翌日、平沢家にて皆での朝の食卓。
律「やべぇ……眠い……」
憂「律さんと梓ちゃんも、昨夜は盛り上がったんですね」
律「唯とムギに触発されてな。
あそこまで熱くなったのはさすがに久しぶりだ」
憂「私達もです。
……ね?」ニヤァ
澪「///」
梓「しかし、これで一安心ですね」
澪「だけど、いくらなんでもあの告白シーンをああ間近で見せつけられたら、さすがにこっちまで照れ臭くなったよな///」
紬「///」
唯「そ、そうだ。皆、ムギちゃんの気持ち知ってたなら教えてくれれば良かったのに~。
そしたらこう、あれこれしなくても……」
律「初めにストレートに行け、ってアドバイスを却下したのはお前だろー?」
唯「そうでした……」
澪「それにまあ、恋愛に関しては……
相談に乗ってやったりちょっと背中を押す位はともかく、人の気持ちを正直に教える、ってのも良くない気がするしな」
憂「そうですね。そこまでするとカンニングみたいになっちゃいますし……
ああやって自分なりにあれこれ悩んで動いてみたっていうのも、恋愛の素敵な醍醐味なんじゃないかな」
唯「そっか……確かにそうだね。
全部ぜんぶ教えて貰ってすぐ告白して、トントン拍子に上手く行っても味気なかったかも……
少なくても、今みたいにウルトラハッピーな幸せは感じられなかった気がする。
逆にもしムギちゃんが別に私の事好きじゃなくてそれを聞かされてたら、たぶん私は告白すらせずに居たと思うし……」
律「だな。
今の幸せがあるのは、過程として人に相談しようがなんだろうが、結局は自分で動いたからだろうな。
もし動かず逃げてたら……結果が良きにしろ悪きにしろ、その経験も出来なかった訳だしな。
最悪、逃げグセがついちまってたかもしれねえ。
……て偉そうにすまんっ。
いや、唯やムギの不安だった気持ちとか凄くわかるからさ」
梓「私達も、たまたまカップル成立が唯先輩達より早かったから冷静にこう言えるだけで、告白前はやっぱり不安になりましたもんね」
澪「ああ。
本当、頑張ったよ。唯も、ムギも……」
紬「わ、私はただ一人でうじうじしてただけよ。
全部皆と、唯ちゃんのおかげだわ///」
澪「何言ってんだ。
昨日……いや、日付的には今日か?
昨夜のムギ……たまたまあの状況でリビングに入って来たとかじゃなく、タイミングはかってやって来たんだよな?」
紬「!」
憂「あ、やっぱりそうだったんですね」
梓「最初は気付きませんでしたけど、よく考えたらあのムギ先輩が夜這いという言葉の意味を知らないのは不自然な気がしまして。
話の流れがわからなくてピンと来なかったとか、唯先輩が夜這いしたい対象がわからなくて、『夜這いって、誰に夜這いするの?』って聞き方ならともかく、言葉の意味そのものを聞かれてましたから」
澪「素直な疑問じゃなく、偶然を装って入ってくる時に添える言葉って感じだったな」
律「寝ボケてたって感じもしなかったしな」
紬「昨日は……
唯ちゃんと一緒に寝る事になって興奮して眠れなくて。
いつだったかな、唯ちゃんがふとベッドを抜け出して……
トイレだと思ったけど、その間に唯ちゃんが居た場所のお布団や、タンスの中の唯ちゃんの下着をクンクンしながら待っててもなかなか戻って来なくて。
何となく寂しくなったから、廊下に出てみたら下の階から話し声が聞こえてきたの。
それで階段を降りて確認してみたら、リビングに皆が集まってお話してたから……」
律「うわ。そんなん見ちまったら、自分だけハブられてる様に見えるな。
すまん……」
紬「ううん、皆は訳もなくそんな事するはずないって信じてるから、それは平気だったの」
澪(そんなはずないよなぁ)
梓(普通じゃなくても、ちょっとは嫌だよね)
憂(でも、言葉だけじゃなくて、声色や表情でもそれがまったく感じられない)
唯(やっぱりムギちゃんは凄いなぁ。
マジ天使!
けど悪い事しちゃったな……)
紬「でもね。
ーーつい立ち聞きしちゃって、細かい内容までは聞き取れなかったんだけど……
唯ちゃんが『夜這いする』って宣言した時とても悲しくて、苦しくて……飛び込んじゃったの。
これは耐えられなかった……」
憂「そうだったんですか……」
梓「その唯先輩が夜這いしに行く相手が、自分だとかは思いませんでした?」
紬「うん、まったく思わなかったわ」
律「そっか~。
しかし唯だけでなく、正直ムギも鈍感だよな。
唯の奴も、普段のムギちゃん大好きオーラはかなりの物だったし」
紬「でもね、だから私はただ居てもたっても居られなくなっただけで、勇気を出したとか頑張ったとかじゃないの」
律「何言ってんだよムギ~。それこそ立派な行動じゃんか。
何より、あんな素晴らしい告白までしたし」
紬「そ、それは唯ちゃんの言葉に引っ張って貰ったから……///」
唯「それを言うなら、あの時ムギちゃんがリビングに入ってきてくれたからだよっ。
皆とムギちゃんのおかげで、私は告白出来たんだよ」
澪「私達は関係ないさ。
二人がお互いに逃げなかった結果だ」
梓「です」
律「結局私達二人をくっ付けさせるどころか、唯の相談事一つ叶えてやれなかったしな。
作戦全部駄目だったし」
澪「でも唯もムギも凄いよ。私だったらこうはいかないと思う」
憂「そうですね。
私が澪さんに告白した時、澪さん告白される側なのに緊張でおもらししてましたもんね」
梓「へぇ」
澪「しっ、したのは確かだけどしてないよ!?」
律「お前は何を言ってるんだ?」
澪「確かに緊張はしまくったけど、おもらしなんかしてないもん!」
憂「あら。じゃあ何であの時、あんなにパンツ濡らしていたんですか?」
澪「そ、それは……憂があんな事するからじゃないか……///」
律(何したんだ)
梓(ナニか)
憂「あれ? その前から濡れててたし、何より自然な匂いやトイレ後の拭き方が甘いってレベルを超えておしっこ臭かったですよ?」
澪「も、もうっ! 緊張してちょっと、ほんのちょっとちびっちゃっただけだよ!
おもらしじゃないのっ!」
憂「それ、立派なおもらしですよ。あまりに立派な染みが出来てましたし。
……って言うか何でそう口答えするかな。昨晩あれだけ調教してやったのに、まだ足りないんだ?
ちょっとこっち来い。もっともっと教え込ませてあげる」
澪「えっ?///
だ、駄目だよぅっ、これから学校が……」
憂「…………」ギロッ
澪「あううっ///ビクッ
申し訳ありませんでした、憂様ぁ///」
憂「ーーっ。ゾゾクッ
じゃあ皆さん、私と澪はちょっと用事すませますから、お先に学校行ってて下さい」
律「私達も我慢出来なくなるからやめてくれ……」
梓「さすがに軽音部全員と、その家族皆で学校遅刻したり休んだらビックリですにゃんね///」
律「やべぇ。梓も盛り上がってきてる」
梓「(盛り上がっちゃ)いかんのか?」ニャフ
律「いや、そんなもんお前決まってるし///」
唯「ムギちゃんの脇の下、本当最高だよっ///」ペロペロハァハァ
紬「唯ちゃんの髪の毛も、唯ちゃんの味がするのぉ///」クンクンハァハァ
律「うを! こいつらいつの間にかおっぱじめてやがった!」
唯「んふふ、幸せだねっ☆」
紬「幸せね~♪」
律「……まったく、こいつらは」フフッ
憂「ーーねえ」
唯「も?」
紬「んふ?」
憂「お姉ちゃんにお義姉ちゃん、本当におめでとうっ♪」
唯・紬「///」
おしまい。
以上です。レスくれた人もROMってくれた人も、皆みんなありがとう!
拙い文章ですが、もし少しでも楽しんで頂けたなら嬉しいな。
ではでは、またご縁がありましたらよろしくです~。
最終更新:2012年03月20日 20:10