姫子「さて、じゃあ作戦会議だね」

キミ子「どうアプローチすればいいんだろう」

姫子「やっぱりデートとかじゃない?」

キミ子「うーん」

キミ子「私唯とあんまり話したことないんだよね」

姫子「確かに」

キミ子「どう話しかければいいんだろう」

姫子「唯って誰に対しても懐きやすいって言うか」

姫子「なんて話しかけても優しく接してくれるよ」

キミ子「うん」

キミ子「・・・そんなところが好き」

姫子「はいはい」

姫子「でも一筋縄じゃいかないよ」

キミ子「分かってる」

姫子「女の子同士って色んな障害がありそうだし」

キミ子「分かってる」

姫子「まず唯には女の子同士の恋愛を理解してもらわないと」

キミ子「ふんふん」

姫子「当然唯は現段階ではそんなの分かんないと思う」

キミ子「まあ確かに」

姫子「けいおん部とか和と特に仲良いみたいだけど」

姫子「それはあくまで友達として好きって事だよね」

キミ子「うん」

姫子「いくら仲良くなってもそれじゃ意味無い」

姫子「だからファーストコンタクトが大事だよ」

キミ子「つまりどういうこと?」

姫子「最初の一手が重要だって事」

姫子「その一手で友達として仲良くなっていくか」

姫子「友達としてじゃない、いつもとちょっと違うって思わせるか」

キミ子「?」

姫子「いつもと違えば、友達として以外に何か感情が芽生えるかも知れないでしょ」

姫子「その感情を恋に向かわせるんだよ」

キミ子「なるほど」

姫子「何かしないと女の子の事を恋愛対象としてなんて見ないからね」

キミ子「具体的には?」

姫子「それはちょっと分かんないけど」

キミ子「なにそれ」

姫子「とにかくインパクトだよ」

キミ子「インパクト・・・」

姫子「けいおん部のみんなとか和とは違う事をしてみたらいいんだよ」

キミ子「ふうん」

姫子「頑張ってね」

キミ子「やってみる」

姫子「そう言えばキミ子ってコーヒーブラックで飲むんだね」

キミ子「うん」

姫子「私は無理だな、苦くて」

キミ子「見かけによらずお子様だね」

姫子「そうだよー」

キミ子「純潔守ってるしね」

姫子「そ、それはもう忘れてよ!」

キミ子「ふふ、絶対忘れない」

姫子「キミ子もそうなのに・・・」

キミ子「私は誇りに思ってるもん」

―――

姫子「それじゃまたね」

キミ子「うん、またね」

姫子(なんだかんだで楽しかったな)

キミ子(インパクト、インパクト)


その夜

キミ子「インパクトかあ」

キミ子「どうすればいいのかな」

キミ子「姫子ももうちょっと考えてよ」

キミ子「まったく」


学校

姫子「いい作戦思いついた?」

キミ子「全然」

姫子「うーん」

キミ子「・・・」

姫子「じゃあいきなり抱きついてみようか」

キミ子「えっ」

姫子「インパクト!」

キミ子「変態だよただの」

姫子「いいからいいから」

姫子「唯、ちょっといい?」

唯「なあに?」

姫子「ちょっとこっち来て」

唯「うん!」

キミ子(どうするんだろう)

姫子(キミ子も来て!)

キミ子(来て、って言ってるのかな?)トコトコ

唯(なんだろう)

唯「なあに姫子ちゃん、あとキミ子ちゃん」

姫子「キミ子が話あるんだってさ」

唯「え?キミ子ちゃんが?」

キミ子「う、うん」

唯「なになに~?」

キミ子(うわ、近い)カアアア

姫子(顔赤っ)

キミ子「えーっと」

唯「うん!」

姫子(抱きついちゃえ!)

キミ子「ゆ、唯!」ガバッ

唯「わっ」

キミ子(どうしよ、抱きついちゃった)

姫子(よし!これで唯も・・・)

唯「抱きつかれちゃったよ~」ギュウ

キミ子(唯も抱きついてきた!)

姫子(ぐっ、さすが唯!)

唯「えへへ~」ギュウ

キミ子(どうするの!?)ギュウ

姫子(えっと、どうしよ)

唯「キミ子ちゃんいい匂いだね~」ギュウ

キミ子(うう)カアアア

姫子(唯手ごわ過ぎ!)

キミ子「えっと、唯?」

唯「ん?」

キミ子「あ、あの今度の休み暇?」

唯「うん、多分」

姫子(お、いった)

キミ子「どっか遊びに行かない?」

唯「いいよ!」

姫子(おお!)

唯「姫子ちゃんも?」

姫子「ああ、私は用事があるから無理なの」

キミ子(ナイス姫子!)

唯「他には誰か行くの?」

キミ子「ふふふ、二人で行かない?」

唯「いいよ!」

姫子(よしっ)

キミ子(やった!)

唯「初めてだね、一緒に出かけるの」

キミ子「うん・・・嫌だった?」

唯「全然!なんか嬉しいな!」

キミ子「よかった・・・」

姫子(良かった良かった)

唯「じゃあ連絡先交換しよ~」

キミ子「う、うん」

唯「それじゃ決まったら教えてね」

キミ子「うん」

唯「じゃあ私は戻るね~」

キミ子「・・・」

姫子「やったじゃん」

キミ子「・・・うん」

姫子「どうしたの?」

キミ子「インパクト足りなかったよね?」

姫子「・・・」

キミ子「このままだと友達として・・・」

姫子「ここからが本番だって」

キミ子「そうだといいけど」

―――

律「お、唯どこ行ってたんだ?」

唯「姫子ちゃんとキミ子ちゃんのとこだよ」

澪「なんか珍しい組み合わせだな」

紬(まあ、やっぱり姫子ちゃんとキミ子ちゃんって・・・)ドキドキ

唯「いいでしょ!」

律「いや何がいいんだ」

澪「でもちょっと楽しそう」

唯「えへへ」



キミ子「唯になんて連絡しよう」

キミ子「とりあえず姫子に電話しよっかな」ピピピ

姫子『はい』

キミ子「唯になんて言えばいいのかな?」

姫子『普通でいいと思うけど』

キミ子「普通じゃ友達になっちゃうよ」

姫子『そっか』

姫子『とりあえずデートの日時だけ伝えなよ』

キミ子「唯はデートだって思ってくれてるのかな」

姫子『大丈夫だって、そのうち恋が芽生えるよ』

キミ子「・・・めんどくさくて早く電話終わらせようとしてるでしょ」

姫子『・・・そんな事ないよ』

キミ子「ほんと?」

姫子『ただ、今深夜2:00なんだって事は分かってほしいな』

キミ子「うん」

姫子『今唯に電話とかしちゃダメだからね』

キミ子「当然でしょ」

姫子『・・・』


学校

姫子「どうなったの?」

キミ子「とりあえず日曜日に一緒に買い物に行くことになったよ」

姫子「良かったね」

キミ子「うん、それで練習したいから一緒に来て」

姫子「練習?」

キミ子「ぶっつけ本番は怖いから」

キミ子「姫子で練習させてよ」

姫子「ええ~」

キミ子「協力してくれるんでしょ?」

姫子「そうだけど」

キミ子「じゃあ決まりだね」

姫子「強引だね」

キミ子「まあね」

姫子「その強引さを唯の時も発揮すればいい感じなのに」

キミ子「そんなことしたら嫌われちゃうかも」

姫子「私には嫌われてもいいの?」

キミ子「え」

キミ子「・・・」

姫子「冗談だよ」

キミ子「・・・うん」

姫子「ごめんごめん」

姫子「え、えっと練習だっけ?いつにする?」

キミ子「・・・」

姫子「嫌いになんかならないってば、ね?」

キミ子「・・・うん」

姫子「ほら練習するんでしょ?」

キミ子「する」

姫子「じゃあほら、元気出して」

キミ子「今日これから行く」

姫子「今日?」

キミ子「行くよ」

姫子「あ、ちょっと」


商店街

キミ子「今から予定してるデートコース回るから」

姫子「うん」

キミ子「ちゃんと着いてきてね」

姫子「はいはい」

キミ子「いろいろ意見聞くからね」

姫子「うん」

キミ子「じゃあまずは服屋さんから」

姫子「キミ子ちょっと休もうよ」

キミ子「駄目、次は雑貨屋さん」

姫子「も~こんなに連れまわされたら疲れちゃうよ」

姫子「唯もきっと疲れると思うよ?」

キミ子「・・・そうかな?」

姫子「そうだよ、もっと相手の事も考えなきゃ」

キミ子「相手の事」

姫子「唯の事楽しませようとしてるのは分かるけどさ」

姫子「空回りしちゃうこともあるよ」

キミ子「・・・」

姫子「キミ子は唯の事好きだって言ってたけど」

姫子「だったらちゃんと唯の事見て、唯の事考えないと」

キミ子「・・・」

姫子「キミ子は唯を通して自分を見てるんじゃないかな」

キミ子「どういうこと?」

姫子「きっと初めての女の子への恋で、自分の事ばっかり考えちゃってるんだよ」

キミ子「自分の事・・・」

姫子「自分がしてあげたい事を押しつけるんじゃなくて、相手が望む事をしてあげなきゃ」

キミ子「難しいよ」

姫子「私もよく分かんないや、これも何かの受け売りだし」

姫子「誰かと付き合ったこともないし」

キミ子「自分の気持ちがよく分からなくなってきた」

姫子「恋ってそんなもんだよ、きっと」

キミ子「姫子のくせに」

姫子「何さ」

キミ子「・・・一応参考になった」

姫子「そ、お役に立てて嬉しい」

キミ子「まあ今日はそのための練習だしね」

キミ子「予定してたとこ全部回るから」

姫子「ええ~・・・」

キミ子「ほら行くよ」

姫子「はいはい」


そして日曜日

キミ子「どうかなこの服」

姫子「うん、可愛いよ」

キミ子「ドキドキしてきた」

姫子「大丈夫だって、三回も練習しに行ったでしょ」

キミ子「うん」

姫子「ほんと感謝してほしい」

キミ子「してる」

姫子「えっ、あ、そう」

キミ子「じゃあ行ってくるね」

姫子「頑張ってね」

キミ子「うん」

姫子「・・・」

姫子「頑張って、キミ子」

唯「あ、キミ子ちゃん」

キミ子「おはよう、唯」

唯「今日はどこ行くの?」

キミ子「えっとえっと、とりあえず可愛い服置いてる店があるから」

唯「ほんと?それじゃ行こう!」

キミ子「うん」

キミ子(緊張するよ~)

キミ子(どうしよ姫子・・・)

キミ子(っていないんだった)


服屋

唯「この服可愛いね!」

キミ子「似合うよ唯」

唯「キミ子ちゃんはこれとか似合うよ」

キミ子「ちょっと子供っぽくないかな」

唯「全然!着てみてよ」

キミ子「え~恥ずかしいよ~」

唯「いいからいいから」


雑貨屋

唯「これどうかな?」

キミ子「可愛いよ」

唯「こっちは?」

キミ子「唯に似合う」

唯「これとか!」

キミ子「うんうん」

キミ子(唯に合わせ過ぎかな?どうなんだろう)

キミ子(ああ分かんないよ~)


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最終更新:2012年03月24日 21:01