333. ◆DVsVmzoNGk 2012/03/28(水) 00:45:25
  澪「おっと、ちょっと長くなっちゃったな、そろそろまとめに入るか。
      梓からは他に何かあるか?」

  梓「前回のものより読みやすくなっていたり、
      澪先輩の心情に沿いやすくなっているところが良かったと思います。

        『そういう事を言うから、律は私が居ないと駄目なんだ、と思ってしまう。
          いつも通りの共依存だ。』
    
      という、共依存を自覚しつつも、どうしようもない、と思っている
      澪先輩の内面が丁寧に描かれていていましたよね。

      正直、前回の作品の澪先輩にはあまり共感できなかったのですが、
      今回の作品と前回の作品の澪先輩が似た内面を持っているのであれば、
      前回の作品は澪先輩にとって、とても悲しい話だったんだろうなぁ……
      なんてことを感じました」

  澪「そうだな……
      私としては、やわらかくはなったとはいえ、
      まだ少し文体が固く、昔風なのが気になったかな。
    
      『膨大な』、『交際を申し渡す』などの固く古めの表現、
      『寧ろ』、『縋るような声』などの難読、常用外の漢字、熟語などは
        出来るだけ簡易な表現に言い換えられるなら、避けた方が
        読み手に伝わりやすくなると思うぞ。

      ◆ywLV/X/JUIさんの感性が若いものなのに、
      文体が古いものなのはすごく惜しいと思うんだ。

      次はぜひ、ふわふわで、あまく、
      みずみずしいフルーツを使った作品を読んでみたいな!」

  梓「楽しみにしています!」
334. ◆DVsVmzoNGk 2012/03/28(水) 00:46:50
    八番手◆N5Ar6j1sqU  和「しのびあい」
>>117-139


  梓「さて、次は◆N5Ar6j1sqUさんの和先輩と憂と唯先輩のお話です」

  澪「……和の通り名ってなんなんだろう……」

  梓「澪先輩?」

  澪「……双鏡の和とかかな?……私なら黒縄の……」

  梓「澪先輩ったら!」

  澪「……はっ!
      えーっと、この作品はだな。
      外見は真っ白い雪のような大福なんだ。

      なめらかでやわらかいモチ皮の感触を味わいつつ、一口食べると、
      まずホイップのきいた生クリームにびっくりする。

      そして、イメージしていた和菓子の甘さと、
      洋風のクリームの甘さとのギャップに驚いていると、
      クリームの中にあんこが入っていてまたびっくり。

      さらに驚くのは、それら二つが一番奥に隠れている苺と調和し、
      あまく、ほのかにすっぱい苺の味を引き立てているところだ。    

      忍者ごっこの最中の会話も、種明かしの後の会話も異なる材料でありながら、
      決してくどくならず、唯に対する和の気持ちを、
      二人を見守る憂ちゃんのくるんで見事に一つにまとめあげているな。

      まさに苺クリーム大福みたいな作品だ」
335. ◆DVsVmzoNGk 2012/03/28(水) 00:47:36
  梓「あいだあいだに挟まれるリーダーが、
      まるでお茶を一口飲んだような心地よい一呼吸になっていましたね」

  澪「三番手の『ひみつ』を書いたのと同じ方だそうだけど、
      この『しのびあい』にしても、会話だけで情景が浮かぶところがすごいよな」

  梓「はい、特に冒頭の『じゃ、オーブンを予熱するね』前後の短いやりとりで、
      地の文なしなのに、だいたいの状況と光景を読み手に
      把握させてしまうのは本当にすごいと思いました」

  澪「会話だけで十分、というのがSSの理想かもしれないものな」

  梓「私たちも頑張りましょう!」
336. ◆DVsVmzoNGk 2012/03/28(水) 00:50:56
    九番手◆svsd2HZT5E  菫「ちんもく!」
>>141-148


  梓「九番手、◆svsd2HZT5Eさんの菫直です」

  澪「7レスという短い作品だったけれど、これもまた甘い作品だったな。

      タイトルの『ちんもく!』が前半と後半で違ったものに描かれていて、
      最後まで読んでから、もう一度奥田さんの内面を想像して読み返すと、
      菫ちゃんの場合とはまた違った風に読めるのも面白いな。

      この作品は軽くさわやかなミントの香りとほろ苦いチョコレートが合わさった、
      チョコミントアイスって感じだ。

      ホワイトデーの季節にチョコミントはちょっと清涼感がありすぎる気もするけれど、
      二人で並んで食べるにはぴったりな気がするな。

      黙っていても、同じ味を感じている幸せ。
      ときどきかじるワッフルコーンのカリッ、サクサクという音も、どこか楽しく感じる。
      食べながら、ふと顔を上げて相手の顔を見ようとすると、目が合う。

      そして、一緒に笑いあう。
      『幸せな沈黙』という表現にふさわしい時間なんじゃないかな」
337. ◆DVsVmzoNGk 2012/03/28(水) 00:52:08
  梓「別の人に触れられると溶けてきえてしまうような、
      儚さもこの二人には合っているかもしれませんね。

      今回の企画で、わかばガールズが登場したのはこの作品だけで、
      先輩としての私や憂、純は登場しなかったのが残念ですが、
      この作品の場合、登場人物を二人だけに絞ったのも正解だったと思います」

  澪「それにしても、『幸せな沈黙』……ちょっとうらやましくなるな」

  梓「……」

  澪「……」
    (なんで急に黙り込んだんだろう……)

  梓「……」

  澪「よし、次にいこうか」

  梓「えー……」
338. ◆DVsVmzoNGk 2012/03/28(水) 00:53:38
    十番手◆vZmyym56/2  ムギ律「今年のホワイトデーはクッキーなしの方向で!」
>>150-166


  澪「十番手は◆vZmyym56/2さんのムギ律だな」

  梓「これを即興で書けるってすごいですよね。
      推敲で後から形を整えるなんていうのは無理なはずなのに、
      全体を通して独特の雰囲気がしっかり出ていましたし、
      とっても不思議な作品でした」

  澪「多分だけど、即興は一番自分の実力が出る形式なんじゃないかな。
  
      もしも、即興で何らかの自分の色を出せるってことは、
      無意識にせよ相当の『型』が自分の中で出来ているか、
      自分のしていることに意識的なんだと思うんだ」

  梓「冒頭の『CDショップは大きな音でレコードを回しています』
      というような擬人化から始まり、効果的な体現止め、
      やわらかな言葉の使い方などが特徴的ですよね」
339. ◆DVsVmzoNGk 2012/03/28(水) 00:55:21
  澪「うん、まるで……」

  梓「クッキーですか?」

  澪「う……たしかに焼きたてのクッキーのようなさくさく感はあるし、
      そのぬくもりも鍋のあたたかさに通じるものはある……
      でも、ちょっとバターの味じゃあないんだよな。

      外側はかりっとして、さくさくと食べられるんだけど、口の中でほろりと溶け、
      内側のクリームはしっとりとまろやかなマカロンみたいな作品かな。

      ただ、ショコラやバニラじゃなくて、抹茶や黒ゴマのガニッシュって感じ。
      おとぎ話にでてくるようなおかしだけど、ちょっとだけひとひねり。

      そのひとひねりがまた不思議な味わいを魅せてくれているな」

  梓「ホワイトデーに鍋、というのもそうですが、
      ムギ先輩がクッキーを買い占める際に、クレジットカードではなく、
      『笑う豚の貯金箱』を粉々にしたお金で襲撃するというのも面白いですよね」

  澪「いつか私のつくる歌詞にも、この作品の書き手の方が掬いとるような
      空気をまぜることができたらなぁ……」
340. ◆DVsVmzoNGk 2012/03/28(水) 00:56:47

    十一番手◆DVsVmzoNGk  梓「虫歯」
>>168-179


  梓「◆DVsVmzoNGkが書いた自作です」

  澪「ちょっと熟成が足りなかったな」

  梓「はい……ちょっと文章や言葉が想起させるイメージに一貫性がないですね」

  澪「前作もそうだったんだが、
      書いている途中でキャラクターが『こんなの私じゃない!』と怒りだし、
      動いてくれなくなったそうだ。
    
      それで中盤以降を大幅に修正したみたいだな。

      だから、修正がやや少ない前半部は梓がそっけなく、
      大きく書き直したそれ以降の部分は唯にデレデレになっている。

      イメージの想起の不統一は、書き出しの出来に調子にのっていて、
      少し修正はしたものの全体を通してのそれに気づかなかったかららしい。

      ちなみに、最初の案では梓はもっと素直ではなく、
      歯の痛みの原因にも気づいておらず、治療うんぬんも、梓の内省だったそうだ。
      傑作なのは、原案では唯がもっと積極的だったらしいぞ」
341. ◆DVsVmzoNGk 2012/03/28(水) 00:58:01
  梓「……そうなんですか。
      積極的な唯先輩……」
    (それはそれでアリかもなぁ)

  澪「初期の案の方が、モチーフである虫歯よりを生かしたお話だったとは思うけれど、
      演者を納得させるだけの脚本を書けなかったところに力不足が表れているな」

  梓「でも、前作とちがって唯先輩との甘いお話に登場できて、
      少しだけ……嬉しかったかもです」

  澪「前回、微鬱と言われたり、キャラクターを殺してしまったことで、
      それなりに凹んでいたみたいだからな」

  梓「次も甘いお話だと良いですね。
      ぜひぜひ、澪先輩とのお話を期待します!」

  澪「み、澪唯かぁ……
      雑談スレで話題になった探偵ものにも挑戦できたらいいな……」

  梓(そっちじゃないですってば……!)
342. ◆DVsVmzoNGk 2012/03/28(水) 01:24:29
    十二番手◆wZtGucU..Q  純「あぁもう、まったくブラック…」
>>181-204


  梓「十二番手は◆wZtGucU..Qさんの、純と……私です」

  澪「やっぱり素直になれない梓と鈴木さんのコンビが可愛かったぞ。
      私なんかにもバレンタインにチョコをくれたし、
      鈴木さんって……なんていうか健気で良い子だな」

  梓(相変わらず、変に鈍いなあ。
        純、かわいそう……)

  澪「さて、このお話だけど、
      ビターな生チョコレートケーキみたいなお話だったな。

      クーベルチュールチョコレートとカカオマスを贅沢に使っているため、
      まず感じるのはビターな味だ。

      でも、口の中の温度ですーっととけていき、
      ほろ苦さとともにチョコ本来の自然な甘さも感じられる。
      生チョコレートを食べているようなトロリとした逸品だな。

      純ちゃんが梓に作ってくれたチョコレートの甘さを想像して、
      添えものの生クリームやバニラアイスとして食べれば、
      風味豊かな苦味と甘さの調和が楽しめそうだ。

      伏線だったブラックコーヒーと一緒に飲んでもいいかもな。
      
      ふふっ、幸せな鈴木さんにとっては、
      それでもまだまだ甘いくらいなのかもしれないけどさ」
343. ◆DVsVmzoNGk 2012/03/28(水) 01:26:58
  梓「それにしても、六番手の方の作品といい、
      私ってこんなにビターに思われているんでしょうか?」

  澪「わ、私に聞かれても……
      梓は可愛いんだけど、ちょっと真面目なところがあるからな、
      律や鈴木さんと言ったキャラクターに対してだと、
      どうしても厳しくなったりしちゃうんだよきっと」

  梓「……澪先輩になら甘いですよ?」

  澪「たしかに、私や唯、ムギ、憂ちゃんには甘えやすいのかも。
      律や鈴木さんに対してだって、私たちとは違った距離や形で
      甘えている気もするけどな」

  梓(……純。
        今ちょっとだけ純の気持ちが分かったような気がするよ)

  澪「さあ、あと少しだな。
      気合を入れていこうか!」

  梓「……お、おー」
344. ◆DVsVmzoNGk 2012/03/28(水) 01:58:56
    十三番手◆njsK9r1FDk  律「唯に振り回される日」
>>206-219


  梓「十三番手、◆njsK9r1FDkさんの律唯です」にやにや

  澪「おいおい梓、顔がにやけてるぞ?」にやにや

  梓「澪先輩だって、顔、にやけてますからね?」にやにや

  澪「……」にやにや

  梓「……」にやにや

  澪「…………すーっ……ふぅー……
      よし!  治った!!」

  梓「…………カムバック、あたし!
      こっちもです」

  澪「感想、行くぞ……」

  梓「はいっ!」
345. ◆DVsVmzoNGk 2012/03/28(水) 02:01:00
  澪「もう正直言って、説明が不要なくらい甘々な作品だったな。
      食べるだけで顔が思わずほころんでしまうような甘い作品だ。

      作品を味で例えるこの趣向では反則かもしれないけれど、
      『チョコレート工場の秘密』で50ペンス銀貨を拾ったチャーリーが、
      板チョコを買って食べた時に浮かべたような笑顔を
      この作品を読んだ時に浮かべてしまったよ。

      単なる板チョコではなく、すっごく厚いもの。
      がぶり、と噛みつくと、前歯がそのままチョコレートに埋まってしまうような、
      大きな大きな甘い甘いチョコレート!!

      がぶり……またがぶり……その度にチョコレートが口の中に入ってくる。

      息が切れるぐらいの勢いで食べたあとの、ほう、という熱いため息。
      その息まで白いお砂糖となって出てくるような幸せな作品だったな。

      チョコレートという言葉の語源が、マヤ語の『チョコル(熱い)』と
      アステカ語の『アトル(水)』から作られたという説を信じたくなる作品だったよ」

  梓「このお話は、もし律先輩の立場で唯先輩に振り回されたら、
      と想像しながら読んだので、本当に顔が変になっちゃうかと思いました。
      酔っぱらった唯先輩の身体のあたたかさを感じてしまうほどでしたね」

  澪「……唯は本当にお酒に弱いのかな……」

  梓「……試してみますか?」

  澪「…………それもありだな」

  梓「…………ありですね」

                          和「……」

                          憂「……」

  澪・梓「?!」ゾクッ

  澪「い、今、和と憂ちゃんが後ろにいなかったか?」

  梓「え、ええ……そんなはずはないんですが……」


  澪「……次にいくか」
    (なんだか怖いし)

  梓「……いきましょう」
    (なんだか怖いですから)
346. ◆DVsVmzoNGk 2012/03/28(水) 02:40:31
    十四番手◆XyDsvGpsZk  紬「ホワイトデーが待ち遠しい!!」
>>223-234


  梓「さて、最後です!
      十四番手は◆XyDsvGpsZkさんの紬さわです」

  澪「十三番手といい、最後に来て実にストレートな作品が続いたな。
      そして、ストレートなだけに味わい深い作品だった。
      
      さっきのがミルクチョコレートだとしたら、
      これはホワイトチョコレートだな」

  梓「あの……ミルクチョコレートとホワイトチョコレートってどう違うんですか?
      ミルクって白いイメージがありますし、ホワイトも白ですよね?」

  澪「そうだな、この作品の味を語る上でも必要だろうし、簡単に説明してみるか。

      まず、チョコレートは、カカオマス、ココアバター、砂糖、ミルクの
      4つの主な原料からできているんだ。

      ミルクチョコレートはこの4つの原料を全て使っており、
      特に脱脂粉乳、全脂粉乳、クリーム粉乳などの乳製品が加えられている。

      そして、ホワイトチョコレートは、ココアバターを主原料としていて、
      褐色、つまりチョコレート色のカカオマスを使っていないんだ。

      だから、苦みがなく、ミルクの味と色の白さが生かされている。
      加えて、ミルクチョコレートよりも溶けやすいのが特徴だな」
347. ◆DVsVmzoNGk 2012/03/28(水) 02:42:18
  梓「ああ、たしかにホワイトチョコレートはムギ先輩の肌みたいに
      白くてなめらかですね」

  澪「唯とは違うけれど、ムギもちょっと子どもっぽいところがあるだろ?
      そんなところもミルキーなホワイトチョコレートにぴったりだと思うんだ。

      口に入れると、先生のあたたかさで包まれて、少しほほを赤らめて笑っている
      ムギの気持ちが伝わってくる気がするよ。

      十三番手のミルクチョコレートが、勢いよく頬いっぱいに食べる幸せだとすると、
      こっちは一口サイズのホワイトチョコレートを口に入れて、
      ゆっくり溶かして味わうような作品だったな」

  梓「私たちに見せる表情は子どものものが多いですが、
      先生の大人な一面も素敵でしたね」

  澪「  『そういうこと。それじゃあ、入口で……よりも、
          ちょっと離れたところで待っててくれる?』  
      
      と言った、実に『らしい』会話がすごく良かった。

      ちゃんと頭の中で、先生の声が聞こえたような気がしたよ。
      この二人の組み合わせも、もっと人気が出てほしいな」

  梓(SF企画の時に考えて、結局書き上げられなかった作品、
      いつになったら発表できるのかなぁ……
      ムギサワー……もっと流行れ!)
348. ◆DVsVmzoNGk 2012/03/28(水) 02:58:47
    まとめ!

  澪「な、長かったな……」

  梓「はい、結局自分の作品の10倍以上の文量の感想になってしまいました。
      やっぱり、ノリで始めてしまった作品を味で表現する、というのが、
      時間がかかった原因ですよね?」

  澪「……多分、感想を書き始めたのは早い方だと思うんだけど、
      キャラクターによる語りの感想が続いたので、後には引けなかったんだ……
      誰だ!  “文学少女”なんて言い出したのは!」

  梓「…………」

  澪「……ごめん」

  梓「……最初のうちはともかく、あまり後半にその設定生きていませんでしたよね?」

  澪「……ああ、こんなことなら、ちゃんと原作通りに作品を食べる
      第一案のままでいけばよかったな……」

  梓「後悔しても後の祭りですね」

  澪「実際、祭りの後、というか終わって大分経っちゃったものな」

  梓「後悔先に立たずですね。
      公開が遅れてしまっただけに」

  澪「……ぐだぐだだな」

  梓「……しめましょうか」

  澪「……そうだな」

  梓「長々とおつきあいいただきありがとうございました。
      企画者の方も参加者の方もお疲れ様でした。
      次の企画も楽しみにしていますね!」

  澪「色々な甘さの作品を読むのはすごく勉強になったよ。
      これで、作詞のスランプからも脱出できそうだ!」
      菓子づくりだけに!」

  梓「やった!
      ちゃんと当初の目的を達成できましたね!
      歌詞づくりだけに!」

  澪・梓「あはははははは……」

    (乾いた二人の笑い声を残し、舞台は徐々に暗転)
    (スルスルと幕が下りる)

      おしまい!



最終更新:2012年03月28日 22:00