唯「ってさっ和ちゃんのお母さんから電話あったよ」

和「そう。私の携帯にはなんの連絡もないわ」

唯「おばさんかわいそうに。携帯も吹っ飛ばされたみたいで公衆電話からだったよー」

和「なるほど。それなら筋は通らなくもないわ。
娘の携帯番号は暗記してないけれど、昔たくさんかけた平沢家の家電話の番号を暗記していても不自然じゃあないわね」

唯「だからさ。今日はうちに泊まっていきなよ和ちゃん!」

憂「風も強いし、今帰ったら危ないよぉ」

唯「いやいや、和ちゃんは帰るお家が無くなっちゃったからうちで暮らすんだよ!」ぎゅっ

憂「そ、そうそう!和ちゃんよろしくね?」ぎゅっ

和「二人とも、そんなにくっつかれたら家の中なのに動けないわ」

唯憂「和ちゃーん♪」ぎゅーっ

和「・・・やれやれ」なでなで

唯「和ちゃーん。泊まっていこうよー?」ぎゅー

憂「和ちゃんの好きなものいっぱい作るから~」ぎゅー

和「はぁ。姉妹そろって甘えん坊なんだから」

唯憂「えへー」ニコニコ

和「仕方ないわね」

憂「泊まってってくれるの?」がたっ

和「どちらにしろ家に帰れる天気じゃないわね。今日はお世話になることにするわ」

唯「和ちゃーん!」がばっ

和「ちょっ?唯っ」どしんっ!

憂「私も和ちゃーん♪」がばっ

和「憂まで!?」どさっ!

和「この嵐は明日まで止みそうにないわね」

唯「その時はずっと泊まっていってよ~」ぎゅっ

憂「いってよー」ぎゅ~っ

唯「て言うかずっとこの家で暮らそうよ」ぐりぐり

憂「そうしようよ和ちゃん!」ぐいーっ

和「はぁ、早く去らないかしら?この嵐たちは」

唯憂「ふふーっ♪」ぎゅっ

和「二人とも、そろそろ暑いわ」

憂「えー?」ぎゅっ

唯「もうちょっとー♪」ぎゅっ

和「そんなこと言って、そのうち寝ちゃうんでしょ?
そうしたら誰がご飯を作るのかしら?」

唯憂「和ちゃん」

和「だからその私が身動き取れないのよっ」

唯「仕方ありませんな」ぱっ

憂「ううっ。久しぶりだったのに」ぱっ

和「ふぅ。腕が疲れたわ」

憂「じゃあご飯作るね」

和「手伝うわ」

唯「えっと、私もやるよ~」

和「あら、珍しくお手伝い?えらいわねー」しれっ

唯「い、いつもやってるもんっ!お手伝いじゃないもん!」

憂「ふふっ♪そうだよぉ和ちゃん。お姉ちゃんはいつもちゃんと家事してくれるよー」

和「そう?なら良かったわ」

唯「むぅ」


―――

憂「はい、お料理完成でーす」

唯「さっそく食べちゃいましょー!」

和「それでは。みんな座って」

唯憂和「いただきます!」


ザバザバざばざば ビュゥゥゥ

唯「雨止まないねー」

憂「風も止まないね」

唯「このままずっとこんな天気だったらどうしよ?」

憂「その時はずーっと和ちゃんがこの家で暮らすんだよ」

唯「それもいいねぇ」

憂「和ちゃん、その時はよろしくね?」

和「本当に永久に止まなかったらね」


―――

唯和「ごちそうさま」

憂「お粗末さま」

唯「美味しかったよういー♪」

憂「お姉ちゃんありがとー!」

和「相変わらずねぇ」

唯「仲良し姉妹なのです!」ふんすっ

憂「そうなのです!」ふんすっ

和「はいはい」


唯「テレビ消してみようか?」

和「どうして?」

唯「雨音聴いてみようよー」

憂「じゃあ、ちょっとだけ」ピッ


ゴォオオオオオ ザバザバザバザバ


唯「ちょっと恐いね」

憂「うん。和ちゃん、今夜は早く寝ようよ」

和「いいわよ。みんなでいっしょの部屋に寝ましょうね」

唯「うん。私の部屋に布団持ってきてみんなで寝よ?」

憂「私もそれがいいな」

和「電気消すわよ?」

唯憂「はーい」

パチリ

唯「真っ暗」

憂「雨戸全部閉めきったから外の光が一切入って来ないね」

唯「トイレに起きたら誰かの足踏んじゃいそうだね」

和「携帯の明かりでどうにかしましょう」

唯「携帯と言えば、和ちゃん」

和「なに?唯」

唯「私・・・和ちゃんに一つ隠していたことがあるんだ」

和「なぁに?改まって」

唯「私ね、和ちゃんに嘘ついてたんだ。和ちゃんのお家が吹っ飛んだっていうのは・・・」
和「いや、知ってるわよ」

唯「えー?」パタパタ

和「騙されるわけがないじゃない」

唯「えへへ」

憂「和ちゃん。お家には連絡した?」

和「ええ。普通にメールしたら返事が来たわ」

憂「それでバレちゃったんだよお姉ちゃん」

唯「うーむ。メールとはなかなかやりますな」

和「はいはい」


ゴォオオオオオオオビュオォオオオオオオ

ガタガタガタガタッ

ガランガランガランッ


唯「いろんな音が聞こえるね」

憂「眠れないねー」

和「少し恐いわね」

憂「真っ暗なのが余計に恐いんだよねぇ」

唯「なーんにも見えないからね」

和「豆球つける?」

憂「そうしよっか?」

唯「うーん。じゃあ今日だけ」

カチッ

唯「おおっ、二人の顔が見えるよっ」

憂「お姉ちゃんここだよー♪」

和「豆球一個でだいぶ違うわね」

憂「お姉ちゃんお姉ちゃん」

唯「はいはい憂さん」

憂「私からも『みんな』の顔がはっきりと見えるよぉ・・・」

唯「ん?」
和「みんな?」

憂「だってそこに・・・一人、二人、三人んんん!!」

唯「きゃー♪」
和「あははははっ」


唯「じゃあ次は和ちゃんね」

和「私?て言うか怖い話大会になったのね?」

憂「眠れないからなんだか逆に怖い話したくなって」

和「面白いかもしれないわね」

唯「それでは大会続行ですっ」




唯「そんな感じで朝まで怖い話してたから全然こわくなかったんだよー」

律「いや、それもどうだよ?」


おしまい!



最終更新:2012年04月04日 20:34