おまけ。


ちちちちぃ、しくりやがったです。

この百合にゃん様ともあろうお方が、部室に携帯を忘れてしまったのですよ。

よって今、私は部室を目指して放課後の学校の階段を上っています。


ガチャッ……


梓「……あった」


携帯はすぐ見つかりました。

梓(よし、これで百合SSを投下出来るです!)

ウキウ気分で携帯をしまい、夕日の差し込む部室を出ようとする……と。

さわ子「あら、梓ちゃんじゃない」

ドアの向こうから、さわ子先生が現れました。

梓「あっ、お疲れ様です」

さわ子「お疲れ様。
どうしたの? 一人で」

梓「ちょっと忘れ物をしてしまいまして。
先生は見回りですか?」

さわ子「そうね。もう下校時間過ぎたから」

私の問いにさわ子先生は笑顔で頷きます。

……正直、私はさわ子先生を残念に思っています。

と言うのも、ちょっと聞いて下さいよ皆さん!

めずらしい事に先生はなんと、ストレートなんですよ! いわゆるノンケっ!

いやまあ、世の中色んな人が居ますので、それは良いんです。

こういう趣味の方もそりゃ居らっしゃるです。恥じる事はなかとです。

ただ、さわ子先生みたいな美人がストレートだと言うのがひっじょーーーぅに残念で残念でっ!

惜しいったらありゃしない!

先生には以前何度か百合にゃん・スキャンを掛けてみたのですが、やっぱり百合闘力は無いに等しかったです。

さわ子「でも残念だったわ。今日仕事が忙しくて、部活中に顔を見せられなかったもの」

しょぼんとする先生。

お口が×になっていて、美人さんなのにかわいらしさも感じられます。

女の子たちを着せ替えさせるのが好きだったりと素養はあると思いますし、ホント素晴らしい逸材なのですが……

梓「あはは。ムギ先輩のお菓子、食べそこねちゃいましたね」

さわ子「……でも、よかったわ。
梓ちゃんだけでも顔が見れて」

さわ子先生は笑顔で、そんな嬉しい事を言ってくれます。

……おやぁ?

気のせいでしょうか。今のさわ子先生の笑顔には、ちと感じるものがありました。

百合にゃんだからこそ感じる……百合の匂い。

……ふむむ。

梓「ありがとうございます。
でもどうしたんですか? 突然」
(百合にゃん・スキャンっ!)

言いながら私は、こっそり百合にゃん・スキャンを掛けます。

百合闘力が無い人にこの技を使ってもテンションが下がるだけなので、それがわかってる相手には基本やらないのですが……

百合にゃん、ビビッと来ました!

さわ子「ふふ、可愛い娘に会えたら幸せでしょ?」

梓(……!?)

私は目を見張りました。

さわ子先生。
梓・|| || 7 唯・|| || 7 紬・|| || 7
律・|| || 7 澪・|| || 7 ……………

様々な人に対して、どんどん数値が上昇していますですっ!

今回はムギ先輩の時みたいに暴走している訳でもありませんし、いくらリアルタイムの数値がわかるとは言え、これは一体……?

まさに誰かに恋に落ちた瞬間にスキャったなら、考えられない事もないですが……

それでも、その一人に対して数値が急上昇するのを目撃する位でしょう。

さしもの私も、こんな事例は初めてです。

まあいずれにしても、さわ子先生が百合に目覚めたのは非常ぅぅぅに喜ばしい事です!

やはり純粋たる百合ベイター、アズサ・レイの異名を持つ百合にゃんの勘は当たりますねっ♪

☆今日は記念日☆

さわ子「……私ね、わかったの。
自分の気持ちに」

梓「はいです」

内心のMAX・ハイテンションを隠しながら、私は相づちを打ちます。

さわ子「昨日、ちょっと良いな~って思ってた人に振られて。
一晩ヘコんだんだけど、朝起きたら妙にスッキリしてて。
学校来たら可愛い娘ばかりで。
あ、女の子って良いな……って」

来たか!? 来たよね!?

さわ子「私が本当に恋愛対象として好きなのは、女の子なんだって、ね」

びんご!!!!!


み な ぎ っ て き た で す !


んふふっふ♪


さわ子「それで気付いたの」

さわ子先生はどんなカップリングが……

さわ子「私が顧問やってる軽音部って、超々素敵な娘揃いじゃない?」

……あれ。

色々とカップリングを妄想しようとしていて気が付いたら、さわ子先生が真近に居ました。

これは比喩じゃなくて、まさに目の前。

さわ子「だから何としても今日、皆に会いたかったんだけど……
ふふ、神様って居るのね。
仕事を頑張ったご褒美に、梓ちゃんと二人っきりになる時間を貰えるなんて」

おお! さわ梓ですか! なるほど、それもなかなか良い感じ……

えっ?

さわ子「はぁぁ……可愛いわ、可愛い。
今まで生きてきて、こんな気持ちになった事なんてなかったわ」

私の頬に手をやりながら、さわ子先生は甘い吐息を吐きます。

いやいやいや。クンクン

さわ子「これまでの私って、ただ『恋人』が欲しかっただけなのね。
その上女の子に囲まれて過ごしてたから、自分の気持ちに気付かなくて、ずっとつまらない勘違いしていたんだわ」

駄目でしょー、駄目でしょ。

私は百合にゃんですもん。これはいかんですよ。

でも、夕日にきらめくさわ子先生はとっても綺麗で、すっごく良い匂いがします。

こりゃあ、つい静観してしまっても誰も百合にゃんを責められませんね。うん、仕方ない。

さわ子「でももう間違ったりしない。
『当たり前』に胡座をかいて、本当に大好きで大切なものを見失ったりしないわ」


ぎゅっ。


梓「にゃふっ!?」

突如、さわ子先生が私を抱きしめてきました。

うーむむうむむ。

ムギ先輩や澪先輩みたいに、『女性らしい身体の中に、まだ未成熟さも兼ね備えてる』と言うのもたまらなく絶品なのですが……

先生みたいに、完全に成熟した女の人の身体と言うのも良いものなんですね。

これは初めて知りました。

梓(うむ、これも百合道を極める為の勉強だぁ。
ここは静観よぉ)モゾモゾ

さすがは勉強熱心な百合にゃん。

さわ子先生の胸の中で、私は首を振ります。

やっぱり感触をよーく知っておかないと。

梓(……むっふぅ、これはパラダイスです♪)

貴重な経験であり、時間ですね。一秒足りとて無駄には出来ません。

さわ子「あらあら、そんなにイヤイヤして……
ゴメンね。急に抱きしめたりして、驚かせちゃったかしら」

先生は体を少し離し、私の両肩に手をやった状態で優しく言います。

ぬわーーっっ! 抱きしめ終了はまだ早いですよっ!

さわ子「でも大丈夫。
優しくするから」


ドサッ……


ンンンーっ? なんで私はソファーに押し倒されたのですか?


さわ子「梓ちゃん……」チュッ

!!? 上に乗っかられて唇にキスされたです!? これはなんてI wan ちゅー!?

梓「あ、あああの先生? こ、こここれは一体……っ」

さわ子「すき」

先生の唇から一言漏れると、私の首すじに顔をうずめてきます。

むむむむむ。これは百合にゃん思わぬ大ピンチ。

私はガチにゃんではないので、ここは本気で抵抗する振りをしておきましょう。

梓「だ、ダメですっ、こんなの……!///」ムギュゥ

今の私にかかれば悪魔さんも謝り、鬼神さんも撃破出来るでしょう。

泣きそうな顔でひと暴れしました。

よし、完璧です。百合にゃんは演技も得意なのです!

さわ子「……嬉しい。喜んでくれているのね。
そんなに幸せそうな顔で私に抱きつ……
ううん、しがみついてくれるなんて……」

あれ?

さわ子「しかも、ライナーがこんなにびちょびちょになる位濡らして……」

いや、それはさっきムギママと唯ママの赤ちゃんになった時のです。

しかし、もちろんそんなカミングアウト出来ません。

どうしたものかと考えていたら、先生が私の制服をサササッと脱がして私の胸に甘いキスをしてきました。

さわ子「……そっか。私、もっと気付いたわ。
私は女の子が好き。
でも、それ以上に……」

待つです。

これはもしや、詰みというやつですか?

さわ子「だいすきよ」

待つです。

さわ子「梓」

わわわわわわわわわわわわわわわわ///


……………………

………………

…………


そして 夜が 明けた !

何と言う事でしょぅ♪

中野梓こと百合にゃんは、さわ子先生の手によってガチにゃんにされてしまいました。

……うーむ、こんなはずじゃなかったのですが。

でも私は思いました。

私はガチにゃんを否定する事を辞め、ガチにゃんとしても頑張る百合にゃんで在ろうと!

これが私の生きる道なのだと!!

新たな決意を胸に、私は私の道を行きます。

これから先、どんな茨道があっても負けません。

なぜなら私は……

ガチにゃんと完璧同化し、覚醒した完全体・百合にゃんなのですからっ!


おまけ・おしまい。



最終更新:2012年04月08日 20:52