宇宙、それは最後のフロンティア

これは宇宙船「ワカバガールズ号」が、任務を続行し未知なる世界を探索し

新たなる生命と文明を求め

人跡未踏の宇宙に勇敢に航海した物語である!



宇宙軽音大作戦 『戦慄!誕生日惑星の恐怖!』



ジャジャジャジャーン

ワカバガールズ号 ブリッジ


通信士・菫「はわわ……!船長!前方の惑星から異常な電波反応です!」

船長・梓「よーし!上陸して調査するよ!」

操舵手・直「了解」カタカタ

航海士・憂「空気構成確認、うん、環境は大丈夫だよ~」

菫「あ、機関室から通信です!」

機関士・純『ちょっと!いきなり大気圏突入ってどういうつもり?エンジンもたないよ!』

梓「うそ。どうせサボりたいだけでしょ」

純『ばれたか』

ゴゴゴゴゴゴゴ プシュー

直「着陸完了です」

梓「よーし、憂副船長!上陸班を作って!」

憂「せっかく綺麗な星だし、みんなで探索しようよ」

菫「いいですね!」

直「興味深いです」

ゾロゾロ

梓「ちょっと、あ、まって、私も行く!」


スタスタ チュンチュン

純「うーん、確かに綺麗な星だけど、特に変わったところが無いなー」

菫「おかしいですね。確かに異常な電波を発してたんですけど」

梓「とにかく、もうちょっと調査を続けてみよう」

憂「みんなー!こっちに来て!大変!」

「!?」

梓「どうしたの?何かあった?」

純「エイリアンの襲撃?!」

憂「見て!一面レンゲソウのお花畑!」

パァァァァァ

菫「わあ……きれいですね」

憂「ね?」

梓「レンゲソウといえば、今日って純の誕生日じゃない?」

憂「あ!そうだったね!」

純「ガーン」

菫「あ、ほら、でも、こうやってたくさんの純先輩の誕生化であるレンゲソウに囲まれて良かったですね!」

純「それ、フォローしたつもり?」

梓「まあまあ。船に帰ったら誕生パーティやってあげるよ。せっかくだしレンゲソウ何本か貰って行こうか」


ワカバガールズ号 ブリッジ

直「離陸しました」

梓「結局なんだったんだろうねこの星は」

菫「惑星からの電波はいつのまにか消えてしまいました」

憂「そろそろ純ちゃんのパーティ始めようか。純ちゃんは?」

梓「機関室かな?菫、通信して」

菫「はい。ブリッジより機関室。ブリッジより機関室。純先輩、応答してください」

「……」

憂「あ、あぁー!」

梓「どうしたの?」

憂「船内センサーを調べたんだけど、純ちゃんの反応がどこにもないの!」

直「もしかして惑星に取り残してきたんじゃ」

梓「いくら純でもそこまで馬鹿じゃ……」

ザザッザザザ

菫「惑星から通信です!……これは、純先輩の携帯通信機からです!」

梓「良かった。繋いで」

菫「はい、大気圏を出てしまったのでノイズが多いですが」



『ザザッザザ……タスケテ……ザザザザ』



梓「じゅ、じゅーーーーん!」


憂「大変!純ちゃんを早く助けに行かないと!直ちゃん!」

直「進路変更。惑星に再び着陸します」

菫「な!?まさか……こんなことが」

梓「菫どうしたの!?」

菫「例のおかしな電波をまた受信しました!しかも惑星からではなく、この船内からです!」

憂「ええ!?」

梓「もしかして!」バッ ガサッ

憂「そのレンゲソウがどうかしたの?」

梓「憂、船内センサーでこのレンゲソウをスキャンしてみて。菫は電波受信範囲を出来る限り小さくして発信源をつきとめて!」

憂「うん!」ピーピピッピ

菫「わぁ!電波はこのレンゲソウから発されてるみたいです!」

梓「やっぱり。憂、スキャンの結果は?」

憂「このレンゲソウからものすごい生体エネルギーが発生してるよ!とても植物とは思えない!」

梓「純の遭難と関係ありそうだね」

憂「この電波が生体エネルギーからくるものだとしたら、惑星全体が生体エネルギーを持っていたということになるよ」

菫「この惑星がひとつの大きな生物、ということでしょうか」

直「あの」

直「お取り込み中すいません。例の電波で計器類が乱れて、大気圏突入ができません」

梓「目視の手動操縦で着陸できない?」

直「そうなると突入時に視界が完全に無くなるので、そこで船体を完全に安定させなければいけません。
  ですが機関室に誰もいないのでエンジンのパワー調整が……」

梓「わかった。じゃあ直は機関室に行ってエンジン調整に入って。操縦は私がする」

直「船長が?」

梓「ふふ、私はこの船の船長になる前、ホウカゴティータイム号で操舵手を長年やってきた。心配しないで」

直「……了解」

梓「純、今助けるよ!大気圏突入!!」


ギュャグシグインーーーン


梓「……」

憂「……」

菫「……」

直「……」

純「すぴー、すぴー」スヤスヤ

梓「レンゲソウに囲まれて気持ちよく眠ってるじゃない!!!!」



ワカバガールズ号 ブリッジ

梓「なるほど、あの惑星は人の感情、具体的には『寂しさ』に共感する能力を持ってたのね」

憂「純ちゃんの、誕生日をみんなに忘れて寂しくなった感情に反応して、一面のレンゲソウを生やして私たちを迎え入れた」

菫「そして私たちに置いて行かれた純先輩の寂しさに再び惑星の一部であるレンゲソウが反応した」

直「惑星には鈴木先輩本人がいるから、電波は出さずに鈴木先輩を歓迎したわけですね」

純「ちょっと出発前に写真でも撮ろうと思ってたら船に置いて行かれて、さらに私の周りにレンゲソウが生えまくったんだよ!
  怖かったあー」

憂「それで置いていかないで、じゃなくて助けてって通信してきたんだね」

純「ていうか、誕生日忘れるわ、置き去りにするわで私への仕打ちがひどすぎない!?」

憂「でも、惑星に誕生日を祝ってもらったのは人類で純ちゃんだけだと思うよ!」

梓「惑星に同情された人類も純だけだよね」


純「私は惑星じゃなくて友達に祝ってもらいたかったの!!」

梓「なーんてね、ちゃんと用意してあるよ」

憂「サプライズでやろうと思ってたんだけど、その直前にあの電波がね」

純「ふ、ふーんだ!もう嬉しくないもん!」

菫「あの、また例の電波を受信してるんですが」

純「ちょっと!?」

直「大丈夫ですよ。船の向きを変えるんで、みなさんあの惑星を見てみてください」

惑星「」ピカーーーッ

憂「わあ!キラキラ光ってる!」

梓「そうか。あの星は純の嬉しい気持ちにも反応するんだね」

純「う……///」

憂「じゃあ、惑星さんも入れてみんなで純ちゃんの誕生日パーティだね!」

「おー!」


宇宙船ワカバガールズ号の冒険はまだまだ続く!




おわり


オワリデス



最終更新:2012年04月18日 20:29