1 :いえーい!名無しだよん! 2012/05/05(土) 00:02:56 ID:BWlSYryo0


和(無事2年生に進級できた私だけど唯とクラスが離れちゃったわ)

和(幸い澪が同じクラスだからお昼の相手に困ることはないけど)

和(ひとりで寂しいランチタイムを過ごすはめにならなくてよかったわ)

和「澪、お昼食b

「キャー!!!生秋山さん!!秋山さんよ!!」

「すごーい!!!動いてるぅー!!!」

澪「ク、クラスメイトに向かって生はないんじゃないか……?」

「キャー!!!呆れ顔の澪たんも素敵ぃー!!!」

澪「澪たん!?」

「あ、秋山さん!!い、一緒にお弁当食べませんか!?」

澪「えっ?い、いや私お昼は和と

「いいんですか!!!嬉しい!!!今日は赤飯にします!!!」

「みんな!今日は澪たんとのお昼ごはん記念日よぉー!!!」

澪「よくないよ!?あ、ちょっ、引っ張らないで!ど、どこに連れてわあああああぁぁ………」

 キャーキャー    ワーワー

        ギャー
    


和「あばばばばばばばば」

2 : ◆eIOlUm9uGU 2012/05/05(土) 00:04:05 ID:BWlSYryo0



ルールールルルルルールー

和(いいのよいいのよ、澪は人気者だもんね)

和(これはきっとおしゃべりなんかしてないでお弁当の味をしっかり噛み締めなさいという神様のお告げだわ)

和(……)

和(そうだ屋上で食べよう)

和(本当は立入禁止だけど生徒会だから言えば鍵も貸してくれるわよね)

和(生徒会に入っててよかった)

トタトタトタ

3 : ◆eIOlUm9uGU 2012/05/05(土) 00:04:36 ID:BWlSYryo0









「澪たん見て!!ほら屋上の景色が凄く綺麗!!」

澪「いやここ3階建てだしそれほどでも……」

「先生に頼み込んだら屋上で食べていいって言ってもらえて本当に良かったー」

「こんな大人数で食べられるところなかなかないもんね」

「山中先生ありがとう!!!愛してる!!澪たんの次に!!!」

澪「あ、あはははは……」モグモグ




和「あばばばばばばばば」

4 : ◆eIOlUm9uGU 2012/05/05(土) 00:05:53 ID:BWlSYryo0



和(……これはまずいわね)

和(一度教室を出てる以上もう一度戻ってひとりでお弁当を食べるわけにもいかないし……)

和(……)

和(背に腹は代えられないわ……こうなれば唯のところに混ぜてもらおう)

和(唯なら友達がいないだのなんだの変に勘ぐったりもしないでしょ)

和(ふぅ……最初からこうしとけばよかったわ)

トタトタトタ

5 : ◆eIOlUm9uGU 2012/05/05(土) 00:07:50 ID:BWlSYryo0




和(唯の教室は2組だったはずよね……)



唯「ごちそうさまー!」



和「あ…ばば……ばばばば……」

6 : ◆ywLV/X/JUI 2012/05/05(土) 02:26:44 ID:OrHrTl.w0



 唯が昼食を食べ終わった以上、もうこの教室に用は無い。
幸い、和には昼食を摂る場所としての心当たりが浮かんでいる。
生徒会室ならば、誰も居ないだろう。
居たとして、友人とは言えないまでも、知人の範疇だ。

 そう判断して踵を返しかけた和の耳に、知った声が届いた。
唯と席を寄せて昼食を摂っている、紬の声だった。

「あら?あの人、和ちゃんじゃない?」

「本当だ。和ちゃーん」

 必然的に、唯にも見つかってしまった。

「どうしたのー?誰か探してる?」

 駆け寄ってきた唯に、和は弁当箱を上げて見せた。

「唯と一緒にご飯食べようかと思って。
でも、もう食べ終わったんでしょ?お暇するわ」

「えーっ?そうだったの?ごめんね」

 和の読み通り、唯は勘ぐる事も穿つ事もしなかった。

7 : ◆ywLV/X/JUI 2012/05/05(土) 02:27:53 ID:OrHrTl.w0



「確か、澪ちゃんと同じクラスのはずよね?
澪ちゃん達と一緒に食べれば良かったのに」

 安堵しかけた和だったが、紬の言葉に計算の甘さを思い知らされた。
唯をやり過ごせても、周囲の人間が居る。
唯との昼食を考えるあまり、その事を見落としていた。

「澪はファンクラブに拉致されたわ。
あの調子じゃ、明日以降も昼は拉致されるでしょうね」

 溜息交じりに言った。

「ファンクラブに拉致?あー……。じゃあ、りっちゃん、涙目で戻ってくるのかなぁ。
それとも、一緒に付いてったのかなぁ」

「律?」

 唯にその名を出されて、和は初めて気付いた。
唯達と一緒に昼食を摂るであろう、律の姿がないのだ。

「ええ。澪ちゃんと一緒にご飯食べるんだって、教室出て行ったんだけど。
てっきり私、澪ちゃんの教室で一緒に食べてると思ってたわ」

 和の疑問を引き取る形で、紬が答えた。

8 : ◆ywLV/X/JUI 2012/05/05(土) 02:29:05 ID:OrHrTl.w0



「いえ、律の姿は見てないわ。教室に来てもいないし」

 屋上にも居なかった、と和は胸中で付け加えた。

「まぁ、そのうち戻ってくるよ。
ねぇ、和ちゃん。今日のご飯は、この教室で食べていきなよ。
私が早く食べ終わったせいで、ムギちゃんがまだなんだ」

「唯ちゃんが悪い訳じゃなく、私が遅いのがいけないんだけど……。
付き合ってくれる?」

 二人の誘いは、和にとっても僥倖だった。

「構わないわ」

 和は笑顔で応じて、唯達の輪に加わった。
結局、律は和が教室を後にするまで、姿を見せないままだった。

9 : ◆ywLV/X/JUI 2012/05/05(土) 02:30:10 ID:OrHrTl.w0



*

 放課後、部活へ向かおうとする澪を廊下で捕まえて、和は話し掛けた。

「ねぇ、澪。そういえば今日の昼休み、律には会ったの?」

 特別気になった訳ではない。澪との話題さえ見つかれば、何でも良かった。

「律?いや、見てないよ。自分の教室で、唯達と一緒にご飯食べたんじゃないのか?」

 澪も見ていないらしかった。

「あら、そう」

「で、その律がどうかしたのか?」

「いえ。昼休みに、澪とお昼ご飯を食べに行ったって、唯達が言ってたけど。
澪はお昼休み、どたばたしてたから、会えたのか気になっちゃって」

「ええっ?全く、ご飯くらい、自分のクラスで食べればいいのに」

 そう言いながらも、澪は何処か嬉しそうだった。
反面、和は心を抉られている。

「そうね、自分のクラスで食べるべきだったわ」

「えっ?昼休みに唯と話したって、もしかして和……」

「そ。唯のクラスで摂ったわ。誰かさん、どっか行っちゃったから」

「ああっ、ごめんごめん」

 澪は二度頭を下げた。失言に対する詫びと、昼食に対する詫び。
律儀にその二つを込めているのだろうか。

10 : ◆ywLV/X/JUI 2012/05/05(土) 02:31:27 ID:OrHrTl.w0



「いいのよ、気にしなくて」

「明日は、教室で一緒に食べような。
私だって、明日こそは落ち着いて食べたいし」

 願ってもない言葉に、思わず和の頬も綻ぶ。

「ええ。でも多分教室で食べていても、群がってくるわよ」

「いや、すぐに飽きるんじゃないか?
今日だってお昼ご飯記念日とか言ってたし、連日で騒ぐつもりは無いよ、多分」

「ふふ、そうだといいわね。
でも、ファンが減るっていうのは、バンドとしては困るんじゃない?」

「私の音楽のファンならね。でも、ライブに来てくれてる顔、ほとんど無かったし。
あ、そろそろ部活に行くな。あいつら、私が居ないと怠けるから」

 澪は気付いたように言った。
確かに、けいおん部の面子を思い返せば、澪の言う事も頷ける。

「それもそうね。大変よね、澪は」

 澪の口から、苦労人らしい溜息が零れた。

「本当にね。真面目で頼りになる妹みたいな後輩が欲しいよ。
じゃ、今日は悪いな、今度ゆっくり話そうな」

「ええ、楽しみにしてるわ。その時も、明日の昼も」

 和は澪を見送ると、自身も生徒会室へと急いだ。
その足取りは、昼休みとは打って変わって軽かった。

*

11 :いえーい!名無しだよん! 2012/05/05(土) 02:32:25 ID:OrHrTl.w0


では次の方、よろしくお願いします。


和「澪、お昼食べよう」 2

最終更新:2012年05月07日 07:51