憂「お姉ちゃん朝だよー!」
唯「んっ」
唯「ふわぁ~あ」
体が重い。
まだまだ寝てたいな。
でも今日は金曜日。
明日から休みだし頑張ろっと。
ってか今日13日……
唯「あっ…」
明日から休み…か。
あずにゃんに会えないじゃん…
憂「お姉ちゃんおきてる?」がちゃ
唯「うん、今起きたよ!」
憂「早く準備しないと遅刻しちゃうよー」
唯「わかったよ憂~」
私は
平沢唯。
同じ高校に通っている後輩が好き。
いつか想いを伝えられたらな~
なんて思いながら1年間を過ごしてきたんだ。
憂「お姉ちゃん早くー!」
唯「今行くー!」
唯「いってきまーす」
放課後、部室
みんな今日は何かと用事があるみたいだ。
部室には私一人。
あずにゃんはきてくれるかなぁ?
がちゃ
おっ?
梓「こんにちは」
唯「あっ、あずにゃーんっ!」だきっ
私は嬉しくなって抱きつく
梓「ちょ、唯先輩!?」
唯「いいじゃないかあずにゃんや。2人だけだよ?」
梓「…///」
梓「と、とりあえず!離してください!」どんっ
唯「へっ!?」どてっ
梓「……すいません」
唯「私こそ……ごめんね」
あれ?あずにゃん?……
私もしかして嫌われt…
がちゃ
律「おーっす!」
澪「遅くなってごめん。あれ、唯なにやってんの?」
唯「なんでもないよ!それよりムギちゃんお茶にしよ?」
紬「そうね。準備してくるわ♪」
澪「こら唯っ!今日こそは練習したかったのにぃ」
律「いいじゃん今日くらい」
澪「今日くらいって…。梓もなんかいってやって」
梓「…」ちらっ
唯「…」
部活後、帰り道
唯「…」
梓「…」
梓「…あの、さっきはすみませんでした」
唯「いいよあずにゃん。気にしてないし」
私こそごめんねあずにゃん。
梓「そう…ですか…」
唯「じゃあ私こっちだから」
唯「ばいばいあずにゃん」だっ
もうしないから。
梓「ぁ!……」
ん?あずにゃん何か言ったかな?
気のせい…だよね。
がちゃ
唯「ただーいまー」
唯「はあ…」
あずにゃん怒らせちゃったよ。
金曜日でよかったな……
憂「お姉ちゃんご飯できたよ」
唯「今日はいいや。ごめんね憂」
もういいや寝よ。疲れちゃった。
―――
あれ?ここはどこ?
唯「…」きょろきょろ
唯「中野…」
そっか、ここあずにゃん家の前だ。
なんでこんなとこに?何時の間に?
とりあえず帰ろう。顔もあわせにくいしね…
唯「あれ?」ぐいぐい
体が動かないや。
どうなってるんだろう?
梓「いってきまーす」
梓「……唯先輩?」
中から出てきたのは、私の大好きな、でも1番気まずいあずにゃんだった。
唯「おはよあずにゃん。昨日はごめんね」
口が勝手に……
梓「私の方こそごめんなさい」
梓「私、唯先輩がずっと好きで…。昨日は恥ずかしくて…それで…」
え?今なんて?もう一回言って
ん?言えてない。
変わりに出てきた言葉は
唯「あずにゃん私も好きだよ」
だった。
梓「…えっ?」
唯「昨日は13日の金曜日だから悪い事が起こったのかもね♪」
梓「昨日…金曜日…」
~~~
唯「ふわぁーあ」
なあんだ夢か。
そりゃあずにゃんもわたしのこと好きだなんていってくれるわけだよ。
本当はどうなんだろう?
って言うまでもないよね…
それにしても寝過ぎたかな。
もう夕方だ。
憂「どう?お姉ちゃん調子は?」
唯「うん…」
憂「風邪かなと思っておこさなかったんだけど…ごめんね」
唯「ううん。ありがと」
憂「そこにおかゆ置いてあるから食べてね」
唯「わかった。でも風邪じゃないよ!私は元気です!」
憂「そっか…」
憂はそれ以上聞いてくることはなかった。
翌日
唯「んっ」
唯「ふわぁ~あ」
昨日寝過ぎたおかげで今日は目覚めが早い。
学校行く日は起きれないのに…
へんなの。
今日はぼーっと過ごして明日に備えよう。
あっ
明日はあずにゃんに謝らなくちゃ。
学校行くの嫌になってきた。
今日はギターの練習しよっと。
憂「お姉ちゃん私買い物行ってくるね」
唯「行ってらっしゃい」
憂「いってきます」
ばたん
唯「はあ…」
ふと見上げる。
…天井には何もない。
当たり前だよ。
一瞬あずにゃんの顔がうつったのはきっと気のせいだよね。
唯「はあ…」
―――
憂「ただーいまー」
唯「おかえり~」
憂「遅くなってごめんね。今日はお姉ちゃんの好きなもの作ってあげるからね!」
唯「ありがと、憂」
ありがと、憂。
憂「…」
明日は絶対謝ろう。
そのために!
今日は早めに寝よっと。
―――
憂「お姉ちゃん朝だよー」
唯「んっ」
唯「ふわぁ~あ」
また起こされちゃったよ。
唯「いってきまーす」
学校
律「おはよー唯!」
唯「おはよりっちゃん」
澪「どうしたんだ?元気ないぞ?」
唯「うん…ちょっとね」
紬「唯ちゃんちょっといいかしら?」
唯「へ?うん」
紬「じゃあすぐ戻ってくるからよろしくねりっちゃん。」
律「ん、わかった」
部室
紬「なにかなやんでるの?唯ちゃん」
唯「あずにゃんに嫌われちゃった…」
紬「そんなことないわよ!」
唯「でも、昨日…」
紬「それはきっと好きの裏返しよ」
唯「…?」
紬「梓ちゃんは恥ずかしがってるだけよ。きっと今日にも謝ってくるわよ」
唯「…」
紬「さ、もどろっか唯ちゃん」
ごめんねムギちゃん。
たぶんそうじゃないよ…
そうだと嬉しいけどな…
放課後
またみんな用事が…
あずにゃんきちゃうかも……
がちゃ
梓「こんにちは~」
唯「…」
あずにゃん…
梓「唯先輩、土曜のこと覚えてますか?」
土曜…
夢の話だし……
唯「土曜?あずにゃんなんかあったの?」
うん、夢以外はなにもなかった!
梓「いや、なんでもないです。気にしないでください」
へんなの。
唯「…うん」
梓「あの…唯先輩、金曜はほんとにすみませんでした」
梓「恥ずかしくってつい…」
恥ずかしくって?
それってもしかして…
唯「…」
梓「唯……先…輩…」
もしかしてっ
唯「なーんだあずにゃん。怒ってたんじゃなかったんだ~」だきっ
梓「にゃっ!ちょ!?」
がちゃっ
紬「あらあら♪」
律「お前ら仲いいな~」
梓「ち、ちがっ」
唯「何が違うの?だってさっきあずにゃんはずk」
梓「さっ!練習練習!」
紬「ふふっ」
ムギちゃん!
帰り道
唯「あずにゃん今日はいっぱい練習できてよかったね~」
梓「当たり前です!これからも毎日練習しますよ!」
やっと戻れた。
唯「えっ!あずにゃんそれは…」
梓「『それは…』ってなんなん!」
梓「で…すか……」
唯「?あずにゃん…?」
梓「あの…あそこの河原へ行きませんか?」
唯「いいよっ」
私の後ろには河原への道があった。
唯「うわ~綺麗だねあずにゃん!」
梓「昨日たまたま来た時に綺麗だなって思ってたんです」
唯「学校の帰りだとあんまり通らないからしらなかったよ~。ん?あずにゃんどうかした?」
梓「い、いえなんでも!土手に座りませんか?」
唯「ん、わかった。いいよ」
ふう。綺麗だな。
あれ?ちょっと待って!
座ってから動けないんだけど!
唯「…」ぐいぐい
もしかしてこれ夢…?
唯「あずにゃんおいで」
梓「はい…」
唯「あったかいね~」
梓「そうですね」
唯「ほら、もっと寄ってきなよ」
梓「はい」
唯「あれ?あずにゃん素直だね」
梓「そ、そんなことは…!」
勝手に口が動いてしまう。
梓「唯先輩!」
唯「…?」
梓「唯先輩、好きです」
はい?
梓「先輩として、だけじゃなく、その、なんていうか…あの…」
梓「とにかく!私は唯先輩が好きなんです」
唯「……へ?」ぽろっ
夢だってこれは。
分かってても、
梓「ああ、すみませんいきなり。泣かないでくださいよ。ほんとにごめんなさい」
唯「違うの、嬉しくて…。私も好きだよあずにゃん」
分かってても嬉しいんだもん。
梓「…」
梓「…へ?」
唯「もうちょっとこのままでいようか」
嫌だ、はやく覚めて!
もう辛いよ…
梓「………はい」
何時の間にかあたりは暗くなり
風で散ってゆく夜桜が私達をつつむ。
唯「あずにゃんとこんなとこにいれるなんて夢みたいだよ~」
みたい、じゃないのに…
梓「私もです」
唯「そろそろ帰ろっか」
やっと帰れるよ。
梓「そうですね」
私はあずにゃんに手を差し出す。
あずにゃんはそれにつかまる。
もちろんそこに私の意思はない。
唯「空も綺麗だし、ますます夢みたいだよ ~」
梓「そうですね。でも夢じゃないですよ」
唯「私には信じられないや」
梓「例え夢でも、私は唯先輩とこういう風になれて嬉しいです」
唯「そうだね…」
私も、これが夢じゃなければ…
いや、違う。
早く夢から覚めてあずにゃんに会わないと。
ちゃんと正面から向き合わないと。
そして、ちゃんと伝えないと。
そう思った途端、体が自分の言うことを聞いてくれた。
唯「…あずにゃん」
名前を呼んでみた。
梓「は、はいなんでしょう?」
唯「あずにゃん」
もう一度名前を呼ぶ。
これを伝えないと前に進めない。
私も……あずにゃんも。
唯「覚めない夢は、ないんだよ」
~~~
憂「お姉ちゃん朝だよー!」
唯「うん、今行くー!」
今日は月曜日。
一週間頑張るぞ!
待っててね、あずにゃん。
おしまい
終わりです。
梓「夢の中なら」がバッドエンドじゃないということが伝えたくて書きました。
見てくださった方ありがとうございました。
最終更新:2012年05月11日 22:26