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┃      ┃
┃  逃  ┃
┃  走  ┃
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唯「……あ、あの、その」

唯「あーー!! そこの棚の上にカメみたいな何かがいる!!」

律澪紬「えっ!?」

律「どこ!?」

澪「ひいいい!」

紬「カメっ? かめ?」

律「何処にもそんなのいないけど……あれ、平沢さんは?」

澪「え?」

紬「あら?」

律「逃げられたか……」


2年後


唯「和ちゃーん一緒に帰ろ……と思ったけどこれから生徒会だったっけ?」

和「ええ」

唯「会長だもんね。すごいなー和ちゃん」

和「別にすごくなんてないわよ。それじゃ」

唯「ばいばーい」


唯「帰ろうかな」

唯「今日はどうしようかなー」

唯「コンビニで立ち読み……はもう飽きたし」

唯「ひとりファーストフード……お腹空いてないや」

唯「……」

唯「ただいま」

唯「……夕飯までお昼寝しよう」

唯「おやすみ……」


私は結局どの部活にも入らなかった。
クラスの子と遊んだりしてそれなりに学校生活を楽しんでいたけど、
言葉で言い表せない物足りなさも感じていた。

……部活に入っていたら違っていたのかな。
どんな部活でも未経験から始める人だっているんだし、私も何かやっておけば。
だけど新しい一歩を踏み出すのが怖くて、そしてどこに一歩を踏み出せばいいのかも分からず結局何もしなかった。

高校最後の年になって今更後悔するなんてね。
今から部活……なんて出来るわけない。
そうやってまた一歩踏み出すのを怖がって、このまま……。

もしあの日、踏み出していたならどんな今日だっただろ。
部室でお喋り?
みんなでファーストフード??
……もう思いつかないや。
だって私には部活がどんなものかわからないんだから。





最終更新:2012年05月19日 20:41