和「……正気?」

澪「そうだ! 急に、は、裸になれなんて!」

律「え? いや、そこまでは言ってない」

紬「この戦いを通して、和ちゃんの魅力に気がつき始めたりっちゃんは……」

澪「そ、そうなのか! そういうことなのか!?」


律「だー! もう、ちげぇよ! そうじゃなくて、和の顔色が元に戻ってるって言いたかったんだよ!」


梓「あ。……確かに、元の肌色に戻ってますね」

律「だろ? だから、他の部分もちゃんと肌色なのかな、と思っただけだよ」

澪「ほ、他の部分……」

紬「他の部分は……ピンク」

和「ムギ、そこまでにしておきなさい。怒られるから」


梓「そういえば、先生は?」

律「そ、そうだな。先生も多分ここに来ると思うんだけど」


さわ子「そのとーりー!」


澪「先生!」

和「まぁ、何事もなかったみたいね」

さわ子「それがそうでもないのよね~。何か体が軽くなったというか……」

和「? よくわからないけど。……後は唯達を探すだけよね」

澪「そ、そういえば、唯は何処にいるんだ?」

さわ子「それが……私も目が覚めてから探して回ったんだけど、見つからなくて」

和「私も。最初ここに居るかと思ったけど、皆が寝てるだけみたいだから他のところを探していたのよ」

律「起こせよ!」

和「唯を探す方が先よ……」


紬「でも、そうすると、一体何処に……?」

梓「唯先輩……」


和「……可能性として一番高いのが、唯達の家ね。学校に居ないなら、そうとしか考えられないけど」

澪「じゃ、じゃあ。早く行こう!」

紬「……」

梓「ムギ先輩?」

紬「いえ、なんでもないわ。行きましょう!」



ピンポーン、ピンポーン

和「……反応がないわ」

律「もっと景気よく押してみようぜ!」

ピンポンピンポンピンポピンポピンポピンポーン!

澪「うるさいだけだろ!」ポカッ

律「いてっ」

和「……でもここに居ないとなると……後は」

さわ子「……ムギちゃん」

紬「……いえ、そんなはずは……」

梓「……もしかして、何処か検討がついてるんですか?」

紬「……」

和「ムギ、教えて。二人は何処にいると言うの?」

紬「……羽生蛇、村」

律「ま、まさか、そんなところにいるっていうのか!?」

さわ子「私も、ここに居ないとなるとそうとしか思えないわ……」

澪「そんな……」

和「……行きましょう」

梓「行くって……どこにあるかわからないのに!?」

和「それでも、唯達を助けるためには行くしかないでしょう!?」

律「……そうだな。行こう!」

澪「律まで……! ああもう、わかったよ、行けばいいんだろ、行けば!」

さわ子「とりあえず、ムギちゃんのお父さんに大体の居場所を聞いておきましょう」

紬「ええ、一度行ったことあるから、きっとわかるは」


ピリリリリリリリ


紬「……誰からだろう? 斉藤?」ピッ

紬「はい。もしもし斉藤? ……調度良かった、ヘリを一機」

『ああ、お嬢様。授業中に申し訳ございません』

紬「あー……えっと。大丈夫、よ。それで、何のようなの?」

『ええ、実は。琴吹家の別荘近くの海岸で、打ち上げられた少女達が居りまして』

紬「……少女、達?」

『ええ。……人数は二人なのですが、その、どちらも大変良く似ておりますので、我々の間では姉妹ではないかと噂されまして』

紬「……その姉妹の特徴は?」

『特徴、ですか? 身長から察すると、高校生位ですね。……後は、どちらも栗色の髪の毛をしていまして……』

紬「斉藤! その二人は今どこに!?」


澪「ムギ……?」

和「何かあったみたいね」


『た、ただいま、別荘にて手厚く保護しております、が。……いかがなされましたか?』

紬「斉藤、災害に遭ったときに連絡を入れた友人の家まで、ヘリをチャーターできるかしら?」


『災害……? お嬢様、一体いつの事でしょうか?』

紬「え? い、いつって。……あ」

『お嬢様?』

紬「……斉藤、今から実家に戻るから、いつでもヘリを飛ばせるように準備しておいて!」

『か、かしこまりました。……では、そこまで車を』

紬「いらない! 走っていくから!」

『……かしこまりました。それでは、準備させていただきます』

紬「おねがいね。それじゃあ」プツン


紬「皆、今から私の家まで走るわよ!」

律「え~!? そ、その前に今の電話がなんなのかぐらい教えてもらっても」

紬「後で話すからっ!」ダッ

梓「ム、ムギ先輩!?」

和「……よくわからないけど、ついていった方がいいわね。急ぐわよ」ダッ

さわ子「ちょ、ちょっと。……もう、しょうがないわね」ダッ


……

(あれ? ここ、どこだろう)

(う~ん、何処だかわからないけど、すっごい高いところにいるみたい)

(あ、あれは私たちの学校だ!)

(う~ん、皆は……いないみたい。あ、憂はいるのかな)

(憂もいないなぁ。……あ、あれって憂のお友達だ! ……よかったぁ、元に戻れたんだね)

(あ、あれ? なんだか景色が急に変わっていくような)

(おおお、め、目が回るよ~)



(お姉ちゃん、起きて)

(憂?)

(もうすぐ、皆が来るから。……そしたら)

(わかった。それじゃあ、早く起きないとだね。)

(うん、一緒に起きよう。)


(せーの)


律「起きろ~!」

唯「うわぁ!」


和「ちょっと律……。あなたいくらなんでもそれは乱暴よ」

律「いいじゃん。起きたんだから」

和「そうだけどね……」

澪「唯、おはよう」

梓「おはようございます、唯先輩」

唯「おお、澪ちゃんにあずにゃん! それとりっちゃんに和ちゃんも……!」

さわ子「私もいるわよ~」

紬「同じくです」

唯「さわちゃん先生にムギちゃんまで! おはよう」

和「唯、大丈夫? どこも怪我してない?」

唯「うん。……私は元気だよ」

和「そう。……よかったわ」


律「そういえば、結局私たちが消えた後、どうなったんだ?」


唯「えぇと、あの後。堕辰憂を倒して、憂を正気に戻して、中の人が教えてくれたんだよ!」

唯「それで、ピラミッドを血だらけにして、私はそこにかぶさって。……そうだ、お風呂はいらないと!」

唯「そのあと憂と私が三人になって、あ、あずにゃんのおかげでピラミッドこわせたんだよ!」


律「……何を言ってるかさっぱりわからん」

澪「まぁ、唯に説明をしいる方が間違ってると言うか」

唯「え~、私本当のことを言ってるんだよ!」

紬「そうね、唯ちゃんなりの説明の仕方だもんね」

梓「私のおかげで?」

唯「うん。あずにゃん大活躍だったんだよ。……って、そういえばここはどこなの?」


紬「ここは私の別荘。……唯ちゃん達が、浜辺に打ち上げられていたのよ」

唯「ほえ~……。そ、そうだ、憂は!?」

律「すぐ隣りにいるだろ」

唯「あ、本当だ……」

和「……まぁ、よくわからないけど、ひとつだけ聞かせて頂戴」

唯「一つと言わず、いくつでもいいよ!」

和「ありがとう。……でも、この一つで充分だから」

唯「うん。……なに?」



和「……全部、終わったんでしょう?」



唯「うん。……終わったよ」


和「ならいいわ。……さ、後は憂ちゃんが起きるのを待つだけね」

紬「そうね。……そうだ、暖炉の火、強くした方がいい?」

唯「う~ん、私はこのままでいいよ」

梓「憂は……どうだろう」

澪「早く目が覚めるといいな」



憂「ううん……」


憂「ん、ふわあぁ。あ、お姉ちゃん、おはよう」

唯「憂!」ギュッ

憂「うわわわわ、お、お姉ちゃん! 急にどうしたの!?」

唯「うい~、良かったよ、無事で~」ギュッ

憂「お姉ちゃん……」


梓「仲良しですね」

律「ま、姉妹なんてそんなもんだろう」

澪「兄弟は違うのか?」

律「なんつーか、兄弟は。……まぁ、な。扱いが違うと言うか」

和「……」

さわ子「姉妹愛ね~」

紬「ふぅ。やはり姉妹はそうでなくては。……それに、若干嫉妬する和ちゃんも」

和「ムギ……」

紬「……冗談よ。半分ね」

和「その半分がいい方の半分であることを期待するわ」

憂「えぇと、私たちどうしてここに?」

唯「なんか浜辺に流されてたんだって!」

憂「そうなんだ。……あの赤い海があったからかなぁ」

唯「そうかも。……なんでここになったかはわからないけど」

憂「そういえば、お姉ちゃん達や憂さん達はどうなったんだろう」

唯「……多分だけど、きっと元の世界に戻れたんだと思うよ」

憂「そう、かな? そうだよね。……お姉ちゃんが言うんだもん。間違いないよ」

唯「そうだ、おきたらお腹すいちゃった。何か食べようよ!」

憂「そうだね。……でも、私は、今すぐには動けないから」

紬「なら、私たちが作ってあげるから」

律「おう、腕によりをかけて作ってやるぜ!」

澪「わ、私たちが作るのか……」

梓「私たちが作った方が愛情たっぷりです!」

さわ子「愛情イッポン~」

和「……唯のために、頑張って作ってあげなくちゃ」

唯「皆……ありがとう!」

憂「良かったね、お姉ちゃん」


唯「思えば……今回の事件では、皆に迷惑ばっかりかけて。……私、ドジだから、上手くできなかったこともあったけど」

憂「私も。……結局、私が今回の原因だから、皆さんに多大な迷惑をかけてしまって……なのに」

唯「なのに、皆は私たちをたすけてくれて……」

憂「何も言わないで、ただ黙ってたすけてくれて……」



『本当に、ありがとうございます』



律「あのなぁ、私たちは仲間だろうが。……仲間を助けるのに理由なんているのか? いらないだろ」

澪「そうだぞ。もっと私たちを頼ってくれたっていいんだからな」

律「ん~? 澪ちゃんは恐くて震えてるから頼りにならないんじゃないかなぁ?」

澪「な、なんだと!」

梓「唯先輩、それに憂。……私は、ふたりのことが好きですから。助け合うのは当然です!」

紬「私も、大好きよ? ふたりのこと。……だから、気にしないで」


和「私も……唯のこと、大好きだから」

さわ子「お、さりげない告白か!?」

和「……はぁ」

さわ子「ねぇ、騒動終わったのに私ずっと和ちゃんにそんな態度取られるの?」

和「少しは、大人になって下さい」

さわ子「大人だもん」


律「ま、とりあえず、そんなことはどうでもいいとして、私たちは唯達に言うべ言葉があるよな」

唯「え?」

澪「そうだな。まだ言ってなかったし」

梓「それじゃ、皆でせーので言いましょうか」

和「そうね。……タイミング外さないでね」

さわ子「わかってるわよ!」

紬「それじゃ、いくわよ。……せーの」





『おかえりなさい!』







『ただいま!』







終わり



最終更新:2010年01月31日 12:07