一同「わいわいがやがや、かくかくしかじか、まるまるうまうま…」
梓「さてっと、直と菫を先輩達に紹介しなきゃ!!」
梓「直!!菫!!ちょっとこっち来てよ。」
梓「ちゃんと先輩に紹介しなきゃいけないしね。」
梓「先輩!!ちょっといいですか?新入生を紹介したいんで…」
律「おっ!!梓。なんか他人行儀で固いじゃないか!!」
唯「そうそうもっとリラックス」
梓「い、いやっ、後輩の前なので筋目はつけないといけませんから…」
梓「それよりも、新入部員を紹介します!!」
梓「ドラムス担当の
斉藤菫と、作詞・作曲担当の奥田直です。」
菫・直「よろしくお願いします。!!」
紬「よろしくね!!斉藤さん・奥田さん」
菫「お姉…いや…お嬢…いや…琴吹先輩、よろしくお願いします。」
律「お姉ちゃんでいいぞ!!」
唯「そうそう」
澪「みんな知ってるから、このメンバーの中ではお姉ちゃんでいいよ。」
憂「良かったねスミーレちゃん!!」
菫「は、はい…」
奥田(菫はいいなぁ~、なんにもしないのに先輩たちに溶け込めて…)
紬「あっ、奥田さん!!」
紬「軽音部の新曲を全部つくってるんですって?すご~い」
奥田「いえ!!琴吹先輩や秋山先輩にはまだまだ届きません。」
澪「いやいや凄いよ」
澪「そうそう!!」
奥田「あの、秋山先輩?琴吹先輩?」
澪・紬「ん?」
奥田「私に足りないことってなんですか?」
澪・紬「え?」
奥田「わかっているんです。私と先輩たちの絶対的な差」
奥田「でも、その差がなんなのかがわからないんです。」
奥田「…それが…」
奥田「それが、悔しくて…悔しくて…」
澪「え?え~っと」
澪「そんなに差はないと思うよ」
紬「それは信頼ね!!」
紬「奥田さんは全部自分で抱え込んでるんじゃないかしら?」
紬「私は曲を作るけど、詩は書かなかった。」
紬「だって、澪ちゃんや唯ちゃんが素敵な詩を書いてくれるんだもの」
紬「私はみんなを信頼して曲を作るだけ。」
紬「そして、みんなはその曲を輝かせる詩を書いてくれる。」
紬「もちろん、逆もあって、唯ちゃんや澪ちゃんの詩を輝かせるような曲を作るの。」
紬「ね?私は全部を抱えずに仲間を信頼してるの、そして信頼されてるの」
澪「そうだよな。」
澪「ムギがいるからどんな詩を書いても安心できるし、またムギの曲のための一生懸命に詩を書くし」
澪「唯や律も同じ気持ちなはずだよ。」
奥田「…」
奥田「でも…」
奥田「それだけの事なんですか?」
紬「うん!!それだけの事だと思うわ」
紬「だって、わたしが高校で軽音学部に入って学んだ一番大切なことは『任せる』ってことだもの」
紬「大丈夫よ。奥田さんは作曲に専念したらいいの。」
澪「そうそう」
澪「そして、その曲にふさわしい詩はだれかがきっとつけてくれるよ。」
奥田「そ、そうですか?」
澪・紬「うんうん!!」
奥田(本当にそれだけのことなの?)
奥田(でもあんなに凄い曲を作ってきた先輩の言葉だし)
梓「あれ?直?どうしたの?」
純「本当だ!!直が真剣な顔してる。」
奥田(…)
奥田(ここで、私と菫の不安をぶちまけてもいいかな?)
奥田(ううん、いいはず!!)
奥田「先輩!!」
奥田「私はとても不安です。」
奥田「来年度は私と菫しかいません。」
奥田「先輩たちが培った軽音学部を受け継いでいく自信がありません。」
奥田「それを考えると今にも泣き出しそうです。」
奥田「本当に菫と私だけでも軽音学部を続けていけるんでしょうか?」
奥田「うっ、うっ…」
梓「直…」
…
唯「大丈夫だよ!!」
唯「きっと大丈夫」
律「そうそう!!」
律「ウチらが卒業するときは梓しかいなかったけど、今は後輩が二人もいるんだし」
澪「しかもソングライターがいるし」
紬「私の妹もいるし」
一同「大丈夫大丈夫」
さわこ「そうよねぇ~」
さわこ「放課後ティータイムはビートルズのレノン・マッカートニータイプだったけど」
さわこ「奥田さんはビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンって感じかな?」
さわこ「だからこそ、不安になるんじゃないかな?」
さわこ「っと言うわけで、澪ちゃん?ムギちゃん?先輩として曲作りのアドバイスよろしく!!」
さわこ「あっ?斉藤さんも一緒に聞いてよね?なんせ来年は二人で軽音学部を引っ張っていかなきゃいけないんだから」
澪「えっと~あの~」
澪「先輩としての一言ってことだけど…」
紬「なにもいう事なし!!」
澪「えっ?」
紬「だって、さっき言ったじゃない?『大丈夫』って」
紬「ところで奥田さん?」
奥田「はい?」
紬「DAWは何を使ってるの?」
奥田「えーっと、Cubase4 ですけど」
紬「私と同じ!!」
紬「どう?扱いなれた?」
奥田「はぁ…、なんとかって感じです。」
紬「なら大丈夫!!」
紬「ねぇねぇ、打ち込みってマスターした?」
奥田「いえ、せいぜいメロディラインを演奏してコードを付ける程度です。」
紬「それだけできれば大丈夫!!」
紬「曲のストックはあるんでしょ?」
紬「それなら、新曲は作らずにアレンジに挑戦しましょ!!」
奥田「アレンジ?」
紬「そう!!来年度の新歓に向けてね。」
紬「ボーカルは菫に任せたらいいのよ。」
紬「菫って歌がとってもうまいのよ。今日の学際でもボーカルとるんじゃないかなって期待した位だもの。」
菫「おねぇ…琴吹先輩!!」
澪「打ち込みにボーカルって、カプセルみたいだな」
律「お~良いじゃん良いじゃん」
奥田「いやいや、そんなクラブ系の曲を作ってませんから!!」
紬「そうじゃなくって、奥田さんと菫のコンビでできることを追求するって事よ」
紬「奥田さんが打ち込みでアレンジを経験したら、ギターとかベースが入ってもリードできるわ。」
奥田「それって、本当に私にもできますか?」
紬「大丈夫よ!!」
律「そうそう!!困ったときには先輩を頼ったらいいし!!」
律「なぁ?ムギ?」
紬「うふふっ」
紬「頼られたら、断れないかなぁ~」
澪「ムギが断らなかったら、大丈夫だな」
梓「…私も頼って欲しいけど…」
紬「あっ」
紬「梓ちゃん、純ちゃん、憂ちゃんは直接の先輩としてサポートしてあげなきゃいけないでしょ!!」
紬「だから、黙ってても頼られるのよ」
………
放課後ティータイムの演奏を観た時はとてもかなわないとおもったけど、
初めての学祭を経験して、
秋山先輩・琴吹先輩・田井中先輩・平沢(唯)先輩と対面して、
私の作った曲をほめてもらって、
なによりも軽音学部を楽しく過ごしている事が幸せな事だって教えられて、
なんだろ?
この爽快感は?
いろいろ自問自答していたら、中野先輩に観せもらった「放課後ティータイム」のDVDを観終わったときの感じと同じだ。
軽音学部の後輩として観た先輩たちのライブはレベルが高くて、とてもじゃないけど追いつけないと思ってたけど。
先輩たちに会って、話しをして、私のできる軽音学部で良いと思ったとたん。
それまではとても高い壁だった曲が、とても心地よい曲に変わった。
私の作る曲が先輩達に追いつけるかどうかわからないけど。
先輩を目標にして頑張ってみようと思う。
秋山先輩!!琴吹先輩!!田井中先輩!!平沢(唯)先輩!!
私は負けませんよ!!
…終わり…
ということで…
久しぶりに書いたら、締め方忘れた…
最終更新:2012年06月10日 20:59