唯「雪って儚いよね」

律「は?」


律(今のはボケだったのか?)

律(背中がかゆくて反応出来なかったぞ)

唯「どんなに綺麗でも触れれば溶けちゃう」

律(やばい返しが思いつかねえ)

唯「でもね、それでも私は雪に触れてみたい。溶けない雪があるかもしれない」

律「お、おう」

唯「りっちゃん」

律「あ、うん?」

唯「私が触れたらりっちゃんは溶けちゃうのかな」

律「……え?」

律(あ、これ私が返すまで続くパターンのやつだ。絶対そうだ)

律(幸い部室には唯しかいないし付き合ってやるか)

律「……溶けない雪があってもいい」

唯「えっ……?」

律(ぎゃおお……!これはきついぃ)

唯「いいの?」

律「いいさ」

律(つーか何がだよ)

唯「嬉しい……こんなにも暖かいのに雪の花が咲いている」

律(ぐぽぉ)

唯「りっちゃん……大好き」

律(ぶっ!……まてよ、ひょっとしてこれドッキリか?でもここまで来たら何か言って笑いを…)

唯「雪の花にも色があるんだね。鮮やかな色なんて……想像してなかった」

律「……ぐああああああああ!」

律「もう無理!限界!」

唯「え……」

律「かゆいかゆいかゆい!これ何のドッキリだよー」

律「それともあれか?私に恥ずかしい言葉を言わせる作戦か?」

唯「……」

律「あれ、唯?」

唯「りっちゃん……ひどいよ……」ポロポロ

律「へっ?」

唯「今日は帰るね……っ」ダッ

律「ええーまさかマジだったの!?」

律「流石にうそだろ?」

律「実は扉の向こうに澪達がいてドッキリでしたーって」

律「……いねえ」

律「ま、マジなのか…?ガチで泣いてたよな……」

律「マジだとしたら私サイテーじゃん」

律「……」

律「くそっ追いかけないと!」ダッ


律「唯ーーっ!!」

唯「……!」

律(あいつマジで帰るつもりか)

律「待てって!」

唯「っ……」ピュー

律「早ぇ!」

律(しかも上履きのままで学校出んのかよ!大マジじゃねーか)

律「待てってば!おいっ!」

唯「っ!」

律「はぁはぁ……捕まえた」

唯「……」ポロポロ

律「ごめん……」

律(何かいわなきゃ……何か気のきいた事を……)

律「……言ったろ?溶けない雪があってもいいって」

唯「ふざけないでよっ!!」

バチーーン!!

律「へぶぅ!!?」

律(えーこういうのが好きだったんじゃないの!?)

唯「私本気だったのに……バカにしないでよ……」

律(バカにしてると思われた!)

唯「やっぱり雪は触れたら溶けちゃう……りっちゃんは溶けた事すら気付かない。溶けたのは私だけ……」

律(って結局それで続けるのかよ!)

唯「勝手に盛り上がってバカみたい……バイバイりっちゃん、好きだったよ」ダッ

律「待てよ!」

唯「もう追いかけてこないで!」

律「そうはいくか――って唯!車!!」

唯「えっ――」

キキーーッ!

律「唯ーーーー!!」

唯「……」

律「あ……」

唯「……りっちゃん」

律「お、おま……脅かすなよ……ま、マジでびびっただろぉ……」ポロポロ

唯「どうして泣いてるの?」

律「だ、だって……唯がいなくなっちゃうって思ったら……思ったらぁ……うぅ」

唯「りっちゃん……ぐすっ、大丈夫だよぉ……わだしは……」ポロポロ

唯「私はしにましぇん……あなたが好きだからぁ……」

律「ゆいーーーっ!」ぎゅうっ

唯「りっちゃあん!」ぎゅっ

律「唯っ!」

唯「りっちゃん!」

律「私、本当に、もしかしたらお前の事が好きかもしれない……今わかった」

唯「りっちゃん……!」

律「さっきはごめんな。私が馬鹿だったんだ」

唯「ううん、私こそゴメン」

律「唯は悪くない、悪くないよ」

唯「そうかな」

律「そうだよ。お詫びになんでもしてやるぞ」

唯「ほんと?」

律「ああ」

唯「それじゃあ私……カニが食べたい」

律「そっか……ちょっと厳しいかな……金銭的に」

唯「じゃあ……カニっぽいものでいいよ」

律「唯、ありがとう」

唯「私こそありがとう」

律「確かにそうかもしれない」

唯「何が?」

律「私にも雪の花が色付くのがわかった気がする……」

唯「りっ、ちゃん……大好き」

律「私もだ」

唯「ラビニュー…」

律「ミートゥー…」

おしまい



最終更新:2012年06月14日 00:16