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   朝、3年生教室

律「うー、今日は一段と冷えるな」

澪「もう12月だし、そろそろ雪が降るんじゃないのか」

紬「日に日に、冬が深まっていくわね」

唯「私達の絆みたいに?」

律「この野郎、上手くまとめやがって」

澪、紬「あはは」

唯「暑いのも苦手だけど、寒いのも辛いなー」

和「ここは窓際だから、比較的温かいじゃない」

唯「そうなんだけどね。もっと、ぬくぬくごろごろしていたいんだよ」

和「猫じゃないんだから」 こちょこちょ

唯「えへへー」

律「和ませる奴め。・・・澪もやってやろうか」

澪「絶対嫌だ」

律「だったら、ムギにやってやるー」 こちょこちょ

紬「いやーん♪」

唯「ムギちゃん、なんだか楽しそうだね」

澪「まあ、その辺は突っ込まないでおこうか・・・」

唯「早く春が来ると良いのにね」

和「そうすると、今度は夏がやってくるのよ」

澪「そして秋が来て冬が訪れ、春が花開くんだ」

紬「季節は巡るのねー」

唯「月火水木仕事に通い、朝昼晩の食事も作るんだよ」

紬「世の中いつもの繰り返しって事?」

唯「そうそう。バイクの傾けすぎには要注意だね」

律「一応突っ込むけど、それハングオンな」


   放課後 軽音部部室

唯「うー。夕方になると、また寒くなってくるね」

律「エアコンは効いてるんだが、部室が結構広いからな。なかなか暖まらん」

澪「手っ取り早く暖まる方法って何だろう」

紬「お茶を飲むのも良いけれど、量に限界があるものね」

唯「辛い物を食べたら、すぐ暑くなるよ」

律「それはそれで鬼門の気もするが」

澪「私はパス」

律「という訳で、辛い物を食べる事に決定」

澪「こ、このっ」

   カチャ 

梓「済みません、遅れました。・・・って、寒っ」

唯「あずにゃんっ。寒い、寒いんだよー」

梓「窓が開いてるじゃないですか。一体、どうしたんです?」

律「寒いから辛い物を食べようと思ったんだけど、そんな物どこにも無くてさ」

澪「だから律が、窓を開けてつらい思いをしようって」

紬「ほら。からいとつらいって、同じ漢字じゃない♪」 にこっ

梓(何故、良い笑顔)

律「やっぱり、辛い思いは駄目だな。そもそも、意味が違う」

梓(今気付いたのか)

律「という訳で、激しく動いて暖まるぞ」

唯「でも外は寒いよ。北風ぴーひゃら吹いてるよ」

澪「微妙に違うが、外は確かに寒そうだな」

梓「室内で出来る事って何でしょうか」

紬「・・・今日のお菓子は、おまんじゅうでーす」

律「饅頭、か。ああ、押しくらまんじゅう」

唯「それなら、ここでも出来そうだね」

澪「私はあまりやりたくないんだが」

紬「でも押しくらまんじゅうに決まったなら、仕方ないわよねー♪」

梓(え、決まったの?)

律「中に入る奴は誰にする」

唯「中に入る人?・・・良く分かんないけど、あみだくじにしようよ。早速作ってみるね」

澪「唯はあみだくじが好きだな」

唯「線を増やすと結果が変わるでしょ。なんだか、運命を変えるって感じなんだよね」

梓「うわ、唯先輩が立派な事を」

唯「あずにゃん、しどいよ。・・・よし、出来た」

紬「じゃあ、私から。・・・、あら外れ」 しょんぼり

梓(何故、残念そう)

律「・・・よし、私も外れだ」

唯「・・・ほっ。ナイス外れ」

梓「何ですか、それ。・・・私も外れです」

律「という事で、真ん中は澪に決定ーっ」

澪「ま、まだ分からないだろ。唯が言ったように、私は運命を変えてみせる」

紬「澪ちゃん、頑張ってっ」

澪「ああっ。この黄金の左腕に賭けて、己が運命(さだ)めをねじ曲げるっ」

律「で、結果は?」

澪「私が当たりでした・・・」

梓(そりゃそうだ)

律「よーし。みんな後ろを向いて、澪を囲めー」

唯「おー」

梓「澪先輩、失礼します」

紬「うふふ♪」

澪「お、押すなよー」

唯「うーん、照れる澪ちゃんは格別可愛いねー」

律「だが遠慮してたら、話にならん。私達放課後ティータイムは、演奏も遊びも全力だっ」

唯「じゃあ、行くよ。せーの」

律「押しくらまんじゅうー♪」

唯「押されて泣くなー♪」

澪「きゅー」

梓(そういう鳴くって事?)

紬「わっしょい、わっしょい♪」

澪「・・・穢された」

律「大げさだな、澪は」

紬「ぐふふ♪」

梓(ぐふふ?)

唯「さっきも思ったんだけど、。押しくらまんじゅうって真ん中に人をいれたっけ」

梓「どういう事ですか?」

唯「私の子供の頃は、単に押し合うだけだったよ」

律「子供の遊びだから、色々アレンジはあるだろうな。だが放課後ティータイムバージョンは、必ず澪が真ん中だ」

澪「ふざけるな」 ぽふ

澪「押しくらまんじゅうは、もう絶対禁止だからな」

律「ちぇー。だったら、これからはどうやって暖まる?」

唯「私にはあずにゃんがいるから大丈夫だよ」

梓「何も大丈夫じゃありません。辛い物はともかく、暖かい食べ物が食べたいですね」

紬「肉まんとか焼き芋とか?」


唯「違うよ、澪ちゃん。無理と思った時点で負けなんだよ」

律「何に負けてるんだよ、何に」

律「・・・部室で鍋か。ちょっと面白そうだな」

澪「律はすぐにそういう事を言う。大体鍋って・・・。ああ、卓上コンロで良いのか」

紬「材料はみんなで持ち寄っても面白いわよね」

梓「唯先輩は、違う意味で面白い物を持って来そうですけど」

唯「あずにゃん、しどいよ」

律「基本的な物はみんなで買って。それ以外に、各自で数種類持ち寄るってのはどうだ?」

澪「とにかく、部室は禁止だぞ。学校の許可が下りないだろうし、火を扱うのは危ないだろ」

梓「となると、誰かの家って事ですね」

唯「そういう時には、この平沢唯を頼ってよ」

律「正確には、平沢憂を頼るんだけどな」

澪「それぞれが材料を持ち寄るって、なんだか闇鍋っぽいな」

紬「素敵ねー。私、闇鍋をやるのが夢だったの」

律「・・・随分マニアックな夢だな。唯、今度の土曜で良いか」

唯「良いよ。憂に頼んで、準備してもらうね」

紬「足りない物があれば、私も用意するわ」

唯「ありがとー。そだな、チョコレートケーキが足りないかもしれないね」

律「誰がデザートを頼めと言った」 ぽふ

澪、紬、梓「あはは」

  カチャ

さわ子「あー、疲れた。ムギちゃん、緑茶に砂糖でお願い」

紬「かしこまりましたー」

唯「今度鍋するんだけど、さわちゃんもどう?闇鍋だよ、闇鍋」

さわ子「面白そうだけど、私はパス。12月は色々と忙しいのよ」

澪「まさに師走ですね」

律「結局の所、駄目な生徒がいるからだろ」

唯「本当、そういう人って困るよね」

さわ子「だったら自覚してよ、二人とも」

唯「たはは。それはそれとして、さわちゃんも何か食材を提供して欲しいな」

澪「こら、唯」

さわ子「良いわよ、澪ちゃん。鍋でお腹一杯になるかも知れないけど、宅配ピザを届けてあげる」

紬「ありがとうございます、さわ子先生」

唯「やっぱり持つべき者は、頼りがいのある恩師だよね」

梓「はいですっ」

律「あれだろ、あれ。さわちゃんの時代の闇鍋って、下駄とか煮てたんだろ。だははー」

さわ子「そういうお前は、地獄の釜で茹でてやろうか。このデコッパチ」


律「あー、ひどい目に遭った」

澪「自業自得だ。・・・本当に下駄とか、そういう物を持ち寄る訳じゃ無いだろ」

唯「やっぱり、美味しく食べられる物が良いよね」

律「さっきのは冗談だってば。・・・まあ他にも、タブーな食材はあるんだが」

紬「もしかして高級で、鍋にすると美味しい物?」

澪「なるほど」

梓「ああ、そういう意味ですか」

唯「ふぐの事、それともカニ?トンちゃん、今の分かる?」

律、澪、紬、梓(アウトーッ)


   夜、平沢家リビング

唯「・・・という訳なんだけど、良いかな」

憂「任せて。ただ人数が多いから、紬さんにコンロと鍋を頼んでも良いかな。でも、ちょっと重いか」

唯「ムギちゃんに聞いてみるね」 

ぷるるる、ぴっ

唯「・・・あ、ムギちゃん?・・・そう、コンロと土鍋がね。・・・ありがとー。後は多分、チョコレートケーキかな。・・・たはは。それじゃ、また明日」

憂「大丈夫そう?」

唯「車で送ってもらうから大丈夫だって。楽しみだなー、闇鍋フェステバル」

憂「ふふ♪お姉ちゃんは、何を用意する?」

唯「そだね。みんなが好きそうな物で、喜んで貰える物かな」

憂「優しいね、お姉ちゃんは」

唯「そかな」

憂「そうだよ、お姉ちゃん♪」

唯「憂ー♪」


   翌朝 3年生教室

唯「・・・という訳で昨日は、憂と材料を検討してました」

和「唯のアイディアはともかく、憂が付いてるなら心配なさそうね」

唯「もう、和ちゃんまで。それで、和ちゃんは何を持ってくるの?」

和「いつのまに、私も参加してるのよ。・・・まあ、無難な物を持って行くわ」

唯「あっと驚く意外な物を持ってこられても、結構困るしね」

和「それは普段の唯でしょ」

唯「てへへ」

律「うーす」

唯「おはよう。りっちゃんは、何を持ってくるか決まった?」

律「あっと驚く意外な物を持って行くぜっ」

唯「たはは」

和「ふふ」

律「なんだよ、二人して」

澪「普通の物を持っていけば良いんだ、普通の物を」

律「そんなのつまんないだろ。出来る女は意外性で勝負するっ、だ」

澪「何のキャッチコピーだ、それは」

紬「みんなおはよー。唯ちゃん、コンロと土鍋は忘れずに持って行くから」

唯「ありがとー」

和(随分斬新な物を入れるわね)


   2年生教室

純「闇鍋フェステバル?・・・そういうのって、フェステバルって付ける物なの?」

梓「唯先輩のネーミングでしょ。純も来る?」

純「行くのは楽しそうだけどさ。先輩達は、食べられる物を持ってくる訳?」

梓「それは、その」

憂「心配しなくても、その辺はみんな弁えてるよ」

純「だといいんだけど。それに同じ物を持って行ったら、ちょっとあれじゃない?」

憂「同じ物って事は、その人と同じ感性って事だよね。だったら、むしろ嬉しいんじゃないかな」

梓、純(憂ー♪)


   土曜日 午前 平沢家リビング

紬「コンロと土鍋持って来ましたー」

唯「ありがと、ムギちゃん。おこた、おこたあるよ」

紬「憂ちゃんを手伝わなくていいのかしら」

憂「材料がまだ届いてませんし、紬さんはゆっくりしてて下さい。お姉ちゃんは、おもてなしをお願いね」

唯「任されたっ」

紬「まさかられたっ」

唯「まさか、坂田金時?」

紬「まさかり担いだ金太郎♪」

唯、紬「あはは」

憂(意味は全然分かんないけど、2人とも楽しそうで良かった♪)


   同時刻、商店街スーパー

澪「憂ちゃんから頼まれてるのは?」

梓「野菜は大体揃えているので、豆腐とか食べたい物をお願いしますとの事です」

律「了解。それで梓は、何を持って来たんだ?」

梓「普通の無難な物ですよ。奇をてらっても仕方ないですし」

律「醒めた奴め。澪なんて、三日三晩寝ないで考えたんだぞ」

澪「そんな訳あるか。一日徹夜しただけだ」

梓(徹夜はしたのか)

梓「それで、何を買っていきましょうか」

律「考える物でも無いし、適当で良いだろ」

梓「はぁ」

澪「律、それ」

律「ほい」

澪「律、いつもの」

律「もう入れた」

澪「律」

律「ああ、鮮魚コーナーも一応見るか」

梓(なんだ、この夫婦)


   平沢家 玄関

律「うーす、来たぞー」

唯「いらっしゃい。ムギちゃん、もう来てるよ。さわちゃんのピザもね」

澪「和と純ちゃんは?」

唯「二人も来てるよ。和ちゃんは、お鍋の準備もしてくれてるし」

梓「唯先輩は、準備しなくて良いんですか」

唯「私、おもてなし係だから」

律、澪、梓(憂ちゃん、グッジョブ)


   平沢家リビング

紬「みんな、いらっしゃい。今、お茶淹れるわね」

律「すっかり馴染んでるな」

紬「こたつって、本当に良いわね」

澪「同感だ。人数が多いと、ちょっときついけどな」

紬「むふふ♪」

梓(むふふ?)

律「純ちゃんも、こんちは」

純「お邪魔してます」

梓「純、変なの持って来てないよね」

純「そこは、この鈴木純という人間を信じてもらうしかないね」

唯「そうそう。あずにゃん、人を疑うのは良くないよ」

唯、純「ですよねー」

梓(この二人、なんか同じ匂いがするんだよな♪) くんかくんか


   平沢家、キッチン

澪「調子どうだ?私も何か手伝うけど」

憂「ありがとうございます。出汁の準備は出来てるので、野菜をお願い出来ますか」

澪「分かった。和もご苦労様」

和「いいのよ。だって、唯に任せる訳にも行かないでしょ」

憂「そ、そんな事無いよ。お姉ちゃんは一所懸命やってくれて。そこがまた可愛くて、だけど怪我したら大変だから」

和「全く、憂にも困った物ね」

憂「もう、和ちゃんのいじわる」

澪(憂ちゃんを手玉に取るとは、和恐るべし)

ごそごそ

唯「憂ー、アイスー」

澪、和、憂「めっ♪」


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最終更新:2012年06月22日 19:43