梓「こんにちは~」

唯「あっ、あずにゃん!」だきっ

梓「にゃっ!?ちょ、唯先輩!?」

唯「えへへ~あーずにゃんっ♪」

私は軽音部の後輩のあずにゃんが大好き。
今日もかわいいなーあずにゃんは。

律「ほら唯、そろそろ離れろよ」

唯「そうだね。ほらあずにゃん、ケーキ食べよ?」

梓「今日は練習しますよ?」

唯「わかってるよぉ~」

紬「梓ちゃん、ミルクティーでいいかしら?」

梓「あ、はい。お願いします」

律「お、唯のケーキ美味しそうだな。ちょっともーらいっ」

唯「あっ、りっちゃんずるい!私もりっちゃんのもらう~」

律「しょうがないなー、ほら」

唯「ありがとりっちゃん、おいしいね」にこっ

律「あ、うん…」

りっちゃんも大好きだ。
澪ちゃんもムギちゃんも、
みーんな大好き!

澪「さあそろそろ練習するか」

律「えー、もうちょいゆっくりしようぜ」

唯「りっちゃん、今日は練習だよ!」

なんとなく今日は気分がいい。

律「わかったわかった」

梓「やっと練習できる…」

紬「ふふっ」


帰り道

紬「ごめんね、私今日用事あるからみんなと一緒に帰れないの…」

律「ん、わかった。ばいばい」

紬「ごめんね、ばいばーい」

ムギちゃんと別れ、今は4人で歩いている。

律「……あー疲れた~。もうだめ、み~お~」

澪「自分で歩け」

唯「りっちゃんと澪ちゃんはラブラブだね~」

澪「なっ…」

律「あれ~?澪しゃんなに顔赤くしてるのかな?」にやにや

澪「うるさいっ!」ごつっ

律「いたっ!」

澪「そんなこといったら、唯と梓だって…その……ら、ラブラブじゃないか」

唯「へ~そうかなあ?」

梓「ち、違いますよ!」

そうなのかな?私とあずにゃんはラブラブなのかな?

唯「…まあいっか」

律「どうしたんだ唯?」

唯「ううん、何でもない。それより私達こっちだから。じゃあね、ばいば~い」

律「あ、そっか。じゃあな、唯、梓」

梓「失礼します」

澪「じゃあ」


私とあずにゃんは交差点を渡って、今は二人で歩いている。

唯「あずにゃん、今日はちゃんと練習出来て良かったね~」

梓「明日もしますからね!」

唯「え~」

梓「え~、じゃないですよもう!」

唯「だって明日は土曜日だよ?」

梓「あっ…」かあっ

ふとここで頭に浮かんだことをあずにゃんに問いかける。

唯「あずにゃん、私達ってラブラブなの?」

梓「なっ…」

澪ちゃんみたいな反応だ。

梓「そんなことないですって」

梓「…ていうか唯先輩には好きな人とかいないんですか?」

唯「好きな人かぁ…んーと…あずにゃん?」

梓「えっ…」

唯「あとは、りっちゃんに澪ちゃんにムギちゃんも!みんなだよみんな!」

梓「そうですか…。でもそれ好きな人って言いませんよね?」

唯「んーそうなのかな?よくわかんないや。じゃああずにゃんは好きな人とかいるの?」

梓「そ、それは、まあ…」

唯「ふーん…どんな感じなんだろ?」

梓「それは、その人と付き合いたいって思ったり、一緒にいてどきどきしたりする感じですね」

唯「…わかんないや。私には好きな人いないのかな」

梓「まあ無理に好きな人なんて作るもんじゃありませんし、ゆっくりでなんとかなりますよ」

唯「そうだね、ありがとあずにゃん。じゃあ私こっちだから、ばいばいあずにゃん」

梓「はい、失礼します」


平沢家

唯「ただーいまー」

憂おかえりお姉ちゃん。ご飯できてるよ?」

唯「うんわかった、すぐいくね」

私は自室に入ると荷物をカバンから出し、着替えた。
憂が待ってるしはやくいかないと…

…好きな人かあ。
まだ全然わかんないな~
あ、あずにゃんの好きな人聞けば良かったよ。

憂「お姉ちゃんはやくしないと冷めちゃうよー?」

唯「ごめんね、憂。今いくよ」

まあいいや、あとでゆっくり考えよう。



唯「ごちそうさま~」

唯「私部屋いってるね」

憂「あ、うん。お風呂わいたらまた呼ぶね」

唯「ありがと、憂」

がちゃ

…ふう。

唯「あれ?」

脱いだ服の中が光っている。
なんだろ?
私はそっとポケットの中に手を入れる。

…なーんだ携帯か、誰からだろ?

唯「ぷっ、なにこれ~」

りっちゃんからだった。

唯「明日それ楽しみにしてるよ…っと」

私はそう打つと送信ボタンを押した。

どてっ

唯「疲れたな~」

今日は難しいことばっかり考えちゃったからね。
まだ私にはいいや…


がちゃ

憂「お姉ちゃ~ん?お風呂わいたy…」

憂「ふふっ」

ばたん


…あれ?ここはどこだろう?

唯「…」きょろきょろ

あたりを見渡してもここがどこか分からない。
分からないけど私は今誰かの家の前にいる。
見たことがある気はするんだけどなあ…

がちゃ

?「ごめんなかなか準備出来なくて…」

どうも私は待ち合わせしていたみたい。

?「家までこさせちゃって、ほんとごめんな」

唯「いいよ気にしないで。じゃ、いこっか」

その言葉に私の意思はない。
なんでだろ?勝手に体が…

唯「あ、でも遅れちゃったんだからなにかお詫びが欲しいな~、なんて」

?「うっ…じゃあ今日のお昼は奢ったげるよ」

唯「わーい!ありがとっ!」

?「ほら、いくぞ。どこがいい?」

唯「私はどこでもいいよ」

?「ん~じゃあハンバーガーでいいや。お金もないし…」

唯「え~ムードないな~。まあ奢ってもらうんだしいっか~」

?「唯さん、やっぱり考えなおしません?」

唯「だめだよ、ほらはやくっ!」

遊ぶ約束でもしてたのかな?
うーん、相手の顔がよく見えないや。

?「待って唯ーっ!」


ーーーーーー

ーーーー

ーー



唯「今日は楽しかったね~」

?「うん…」

唯「どうしたの?楽しくなかった?」

?「出費が…」

唯「あぅ… 私払うよ。いくらだっけ?」

?「いや、いいよいいよ。もとは遅れちゃったあたしが悪いんだしさ」

唯「そう?ごめんね…」

?「そ、それよりさ、河原寄ってかない?」

唯「ん?いいよ」

私達は帰りに河原に寄る。


唯「わあ、綺麗だね~」

?「ああ、ここ座ろうぜ唯」

唯「うん!」

ほんとに綺麗だな~

?「あのさ、」

唯「? どうしたの?」

?「唯って好きな人いたりする?」

へっ?
私は思わず声を出してしまった。

…はずだった。

でも私の口から代わりにでてきたのは

唯「うん、いるよ」

だった。

?「そっか~、唯にもいるんだ、好きな人」

唯「も?」

?「私にもいるんだ、好きな人」

唯「へ~」

?「今日は好きな人に告白しようと思ってたんだけど、だめだめだったな…」

唯「え、今日?私なんかと遊んでて大丈夫なの?」

?「…はあ」

唯「どうしたの?」

?「唯はほんとににぶいな。私が好きなのはな…唯だよ」

唯「へっ?」

今回は思ったことと言ったことが同じだった。
ただひとつ違うことがあった。

唯「…」ぽろっ

なぜか私の頬は濡れていく。

?「ああごめんな困らせちゃって。唯好きな人いるんだもんな。ごめん…忘れて…」ぐすっ

相手がよく見えないから分からないけれど、声の調子から泣いていることだけは分かった。

唯「ううん違うの。聞いて?」

?「うん…」

唯「…私も好き…だよ?」

?「えっ…」ぽろぽろ

唯「あはっ、きたないな~、鼻水でてるよ~」

?「うるさーいっ」

唯「…ふふっ」

?「…へへっ、ありがとな、唯」

唯「こちらこそ、だよ」

?「じゃああたしと付き合ってくれるってこと?」

唯「うん、もちろんだよ」

付き合うってこんな感じなのかなあ?
うーん、顔が見えないのが残念だよ…

?「唯…あのさ、キス、していいかな?」

唯「うん…」

?「ありがとう…」

相手の顔が近づいてくる…

あれっ?

私の視界が相手の顔でいっぱいになったとき、
一瞬だけだけど見覚えのある顔が見えた気がした。


~~~

憂「お姉ちゃん朝だよー」

唯「んっ」

唯「ふわ~あ」

憂「お姉ちゃんお風呂入ってきなよ。温めておいたから」

唯「ありがと、憂」

そっか、昨日寝ちゃったんだっけ…
なんか夢を見てた気がするけど…

…思い出せないや。

唇がすごく渇いている。
何か嫌な夢だったのかな?


ーーーー

ーー


お風呂と朝食を済ませ私は部屋に戻る。
ベッドの上にある携帯が光っている。

…りっちゃんにメール送りっぱなしだっけ

私は携帯を開ける。


『From りっちゃん

明日って土曜日だぞ?
あ、それともあたしに会いたいってか?
明日は暇だから唯も暇だったら返信ちょうだい。
…ちょーっと話したいこともあるしね。

んじゃおやすみ~』


ありゃりゃ…
今からでも大丈夫かな?

ふと時計をみると10:00を回ったところだった。


『To りっちゃん

ごめんりっちゃん、昨日寝ちゃってたんだ。
今日私暇だよ~

とりあえずお昼食べに行ってそっから遊ぼうよ!

話したいことってなにかな~?』

唯「…よし送信っ」

ぶるるるる…

唯「はやっ!?」

なーんだ広告メールか…
とりあえず憂に言わないと…

一旦部屋をでて、隣の部屋に入る。


唯「憂~今日りっちゃんと遊びにいくからお昼はいいや、ごめんね」

憂「律さんと?わかった、楽しんできてね」

唯「ありがと~」

そろそろ返信きてるかな?
私は自室に戻る。

…やっぱりきてる。

そこには集合場所と時間が書かれていた。


あと30分くらいか…
用意したらちょうどいいくらいだよね。


唯「いってきまーす」

憂「いってらっしゃいお姉ちゃん」

唯「うん、じゃあね」


…はやくつきすぎたかな?
まだ10分ある。

10分、20分…
りっちゃんは来なかった。

なんかあったのかな?
確かここからりっちゃんの家まではそんなに遠くなかったはず…

私はりっちゃんの家へ歩いていった。


ぴんぽーん

?「はい…」

唯「あの…りっちゃんいるかな?」

この子はたしか…聡くん…だっけ?

聡「はい、いますよ。姉ちゃーん!友達きたぞー!」

律「ごめん唯!なかなか準備出来なくて…」

どきっ

唯「え…あ…うん」

いつもと違うりっちゃんの雰囲気にどきっとしてしまう。

唯「りっちゃんかわいい…」

律「そ、そうかな?ありがと。おかしくない?唯もかわいいじゃん」

唯「えへへ~ありがとうりっちゃん」

なんだろう、ものすごく嬉しい。

律「でもごめんな、家までこさせちゃって」

唯「いいよ気にしないで。じゃ、いこっか」

唯「あ、でも遅れちゃったんだからなにかお詫びが欲しいな~、なんて」

律「うっ…じゃあ今日のお昼は奢ったげるよ」

唯「わーい!ありがとっ!」

律「ほら、いくぞ。どこがいい?」

唯「私はどこでもいいよ」

律「ん~じゃあハンバーガーでいいや。お金もないし…」

唯「え~ムードないな~。まあ奢ってもらうんだしいっか~」

律「唯さん、やっぱり考えなおしません?」

唯「だめだよ、ほらはやくっ!」

私はりっちゃんの手をとって走り出す。
勢いよく走り出したせいかりっちゃんはバランスを崩して私の方に倒れてきた。

頭と頭をぶつける。


からんっ


律「…ご、ごめん」

唯「私こそごめんね…」

私はりっちゃんの手を離しそういった。

地面に落ちたりっちゃんのカチューシャを拾い上げる。

唯「はい、りっちゃん」

律「ありがと…」

頬を赤く染め、前髪をおろした顔に見覚えがある。

唯「あっ」

それが何かわかった今、私の頬はものすごく熱い。赤くなってるかな?
恥ずかしくなって顔を背ける。

多分りっちゃんもそうしたんだろう。


代わりにりっちゃんの手を掴み、今度は歩幅を合わせ、私達はゆっくりと歩く。




今日はどんな一日になるのかな。



おしまい



最終更新:2012年06月22日 22:03