澪と、ケンカした。
はじめはたわいのない話を2人でしてただけだったけど、私の態度と発言に澪が喰いつき、いつのまにか唯たちにも止められないくらいにまで発展してしまったんだ。
私も澪も頑固でお互いに引けなかったんだと思う。
今こうやって冷静に考えればどうしてあんなケンカしてしまったんだろう、って後悔してるけど。
謝りたい。でも今さら引けない。
・・・澪から謝ってきてくれたらすぐに解決するんだけどなぁ。
そんなことを思いながら部屋の窓を見上げる。
「・・・雨、か」
さっきまで晴れてたと思うんだけどな。
・・・夕立かな?
「・・・だろうな」
自分の疑問に自分で答える。
・・・けっこう寂しいな。
いつもなら隣に澪がいるのに。
・・・やっぱ、早く仲直りしないと。
・・・そういえば澪とケンカしたときっていつも澪が先に謝ってきてくれたり、キッカケをつくってくれてたような・・・?
私からって、もしかして一回もない!?
・・・澪、ごめん。
「ふぅ・・・」
ベッドの上で一息つく。
そして、今までの澪との思い出を頭に浮かべた。
初めて澪に話しかけたとき。
あの頃は澪、めちゃくちゃ私のこと拒絶してたなぁ。
目に涙浮かべて。
それから作文のことがあって、仲良くなって。
2人で色んなとこに遊びに行ったな。
動物園、水族館、遊園地・・・。
遊園地でお化け屋敷に行ったときの澪、あれはよかったな。色んな意味で。
・・・他にも数えだしたらキリがないくらい遊んだよな。
お互いの家でもしょっちゅう遊んでたし。
・・・・・・やっぱり、私にとっての澪は・・・
「・・・大切な大切な幼馴染で親友、だな」
そう、ボソッと呟く。
「ありがと、律」
1人言のつもりだったのに、返事が返ってきた。
ガチャ
ノズルをひねる音とともに、澪が入ってくる。
「へっ!?み、澪!?」
「そ、そんなに驚くなよ・・・」
澪は苦笑しながら私の横に座る。
「い、いつからいたんだ・・・?」
「・・・ちょっと前だよ。ドアの前でずっと入ろうかウジウジしてたんだ」
「そしたら律の呟きが聞こえたから。・・・それって私のことかな、ってつい返事しちゃった」
そ、そうだったのか・・・。
・・・澪の足音に気づかないなんて、相当自分の世界に入ってたんだな、私。
・・・しばらくの沈黙。
「「あのさ」」
2人同時に声をかける。
息ぴったりだ。
「・・・律からでいいよ」
と澪が譲ってくれる。
迷ったが今回もキッカケをつくってくれたのが澪だと気づき、謝るのは私からの方がいいと思い
「じゃあ、遠慮なく」
と話を進める
「澪・・・、ごめん。私があんな態度とったりしたから・・・」
「・・・いや、私も悪かったし・・・」
「いや!澪は悪くないって!私が原因なわけだし・・・」
「私だってあんなキツイ言い方しちゃって・・・」
「いや!私が!」
「いやいや!私が!」
私も澪も自分の方が悪いと一歩も引かない。
なんと言うかやっぱ似てんのかもなぁ、私たち。
しばらくその口論(?)は続いた。
でも、いつのまにか2人とも大声で
「「あはははははは!!」」
と笑っていた。
「ふぅ・・・。やっと落ち着いた・・・」
「そ、そうだな・・・はぁ、腹痛い・・・」
一段落ついたところで私から話を切り出す。
「・・・なぁ、澪・・・」
「ん?何、律」
「これからも・・・これからもよろしくな、澪」
「・・・当たり前だろ。・・・こちらこそよろしく、律」
窓の外では、いつのまにか清々しいほどに青空が広がっていた。
ということで終わりです。
最終更新:2012年07月01日 21:19