今日はおねえちゃんのおたんじょう日です!

いまおねえちゃんはたんじょうパーティーに出ています
おねえちゃんのお父さま、お母さまの知りあいのかたがたがたくさんきています
わたしはパーティーにはでられないので、へやの外からこっそり見ています

おねえちゃんはとてもれいぎ正しくて、みなさんにほめられています
かわいいドレスを着ています、いいなあ……
……あ、目があった。えへへ、おねえちゃんがわたしにウインクしてくれました

早くおわらないかなぁ……じつはわたし、おねえちゃんにプレゼントを作ってきたんです
おわってもどってきたら、わたすつもりです
よろこんでくれるかな……わくわく


「……菫?」

「え!? あ、おねえちゃん、いつのまに……あ!」


おねえちゃんはりょう手にもちきれないくらいたくさんのプレゼントをもっていました
ぜんぶ、きれいな紙とかわいいリボンでつつまれていて……とても高そうでした


「たくさんもらいすぎちゃったから、部屋に置きにいくの。菫はどうしたの?」

「えっと…」


とたんに、はずかしくなってきました
わたしが作ったやすもののプレゼントなんて……今おねえちゃんが持ってるどのプレゼントにもかなうはずがありません
わたしは、わたしのプレゼントが入ったハコを、思わずうしろにかくしてしまいました


「なーに? 何をかくしてるの? 見せて!」


おねえちゃんはたくさん持っていたプレゼントをゆかにおいて、わたしのプレゼントをとろうとしてきました


「だ、だめ!」

「えい!」

「あっ――」


おねえちゃんは力がつよいので、すぐにとられてしまいました


「……これ、もしかして」

「えっと……ごめんねおねえちゃん、そんなプレゼントで…」

「菫からのプレゼント?」

「う、うん……」

「……うれしい!! ね、開けていい?」

「は、はずかしいよ……」

「えいっ!」


わたしがはずかしがってるのに、おねえちゃんはいきおいよくハコをあけました


「……これは……ネックレス?」


わたしが作ったのは、ひもにビーズをとおしただけの、かんたんなネックレスです
あ、よく見たら、今おねえちゃんはもっときれいなほうせきのついたネックレスをしています
きれいなドレスにきれいなネックレス……それにくらべたらわたしのなんて……はずかしいよ


「ご、ごめんねおねえちゃ――」

「――かわいい~!!」

「……え?」


おねえちゃんは、いがいにもかわいいと言ってくれました
どうして? 今つけているもののほうがきれいなのに


「これ、手作り?」

「う、うん」

「ありがとう、菫!」


そう言っておねえちゃんはわたしをだきしめます
ふかふかしてきもちいい……よろこんでくれて、よかった


「よーし……私、これつけてパーティーにもどるわ!」

「え!? そ、それじゃおかしいよ」

「どうして? 菫が作ってくれたものでしょ? 私が一番つけたいものをつけたいの」

「おねえちゃん……」

「あ、これ部屋に持っていってくれる?」

「うん!」


おねえちゃんはゆかにおいてあったプレゼントをわたしにたのむと、ネックレスをつけかえてさっそうとパーティーにもどっていきました
きれいなドレスににあわないビーズのネックレス……でもおねえちゃんはどうどうと歩いていきました

あっ……おねえちゃんがお父さまにおこられてる!
しかも、おねえちゃんもめずらしくおこっています
ど、どうしよう……わたしのせいで……

あ、おねえちゃんがこっちにもどってきました


「菫、ちょっと来て?」


そう言うとおねえちゃんはわたしのうでをひっぱってパーティーかいじょうの中へつれていきました
えっ、えっ、わたしドレスきてないのに、はずかしいよ
そう思ってるあいだに、あっというまにお父さまとお母さまの前まできちゃいました


「菫がくれたプレゼントなの。私、これをつけてパーティーに出席したいです」


おねえちゃんがそうおねがいすると、お父さまとお母さまはしぶしぶゆるしてくれたみたいです
おねえちゃんはよろこんで、わたしの手をひいてパーティーかいじょうをあるきまわって、ほかのみなさんにわたしをしょうかいしてくれました


「私の妹の菫です。これはプレゼントにもらったんです」

「え!? いもうとじゃ……」

「いいの。菫は私の大切な妹なんだから」


いもうとと言われたり、ビーズのネックレスをしょうかいされるのははずかしかったけど……
みなさんはよかったねとか、いいいもうとさんだねとか、やさしくこえをかけてくれました


そのあともわたしはおねえちゃんといっしょにパーティーをまわりました
いつもは出られないパーティーに出れて、おいしいものもいっぱいたべれて、うれしかったです


「――はー、楽しかった~! ありがとう菫、菫のおかげで楽しい一日になったわ♪」

「ううん、こっちこそたのしかった……ありがとうおねえちゃん」

「あ、そういえばプレゼント持っていってくれた?」

「……あ!」


けっきょく、わたしがプレゼントをゆかにおきっぱなしにしてしまったせいで、ふたりともたくさんおこられました

でも……たのしかったよ、おねえちゃん!
おたんじょうび、おめでとう!


おわり



最終更新:2012年07月03日 00:00