紬「えっ? た、たんじょう……何?」
唯「そう! 今日は一年に一度しかない、ムギちゃんが生まれた日なのです!」パァン!
紬「!?」ビクッ
律「おめでとー!」パァン
澪「おめでとう!」パァン
紬「? ……???」
律「いや~、ムギを驚かせてやろうと思ってさ。
ほら、ケーキも用意したんだぜ」
唯「ムギちゃんがいない間に、こうやって寮の部屋も装飾して待ってたんだよ!」
紬「あ、私の部屋……」
澪「ごめんな、ムギ。勝手に部屋に入っちゃって……」
紬「え、いえ……それは別にいいんだけれど……」
律「もしかして飾りが気に入らなかった?」
紬「そんなことないわ。すごく綺麗だし……あ、ありがと……」
唯(ドッキリ大成功だねりっちゃん! ムギちゃん言葉もないくらい驚いてるよ!)コソコソ
澪(成功……なのか? ムギはなんだか唖然としてるけど……)コソコソ
律(確かに様子がおかしい……まさか日にちを間違えたとか!?)コソコソ
唯(でもちゃんと公式プロフには7月2日って書いてあるよ?)コソコソ
律(だ、だよな。私たち何も間違ってないよな……?)コソコソ
紬「あ、あの~……」
律「へぁいっ!? あ、ご、ごめんムギ、どうかした!?」
紬「今日は何かのお祝いなのかしら? ごめんなさい、私ったら何も知らなくて……」
澪「え?」
紬「え?」
律「ん?」
唯「お祝いだよ~。なんてったってムギちゃんの誕生日だからね!」フンス!
紬「誕生日? 私の?」
律「そ、そう。ムギの誕生日」
澪「7月2日はムギの誕生日だって、BD特典のキャラプロフィールにも載ってるぞ」
紬「…………………」
律(何かすごく難しそうな顔をして考えごとしてるぞ)
澪(真剣なムギもかわいいな)
唯「どうしたの? ムギちゃん」
紬「その……よく分からないんだけど、まず誕生日って……何?」
律「え?」
澪「おっと」
唯「誕生日は誕生日だよ~」
紬「誕生した日ってこと?」
唯「うん」
紬「誰が?」
唯「この場合はムギちゃんが」
紬「私が今日、生まれたの?」
唯「そういう意味じゃないよ~」
律「ちょ、ちょっと待った! ムギは誕生日ってのが何なのか知らないのか?」
紬「ご、ごめんなさい……初めて聞いたわ……」
澪「oh……ビューリフォー……」
律は誕生日についてムギに説明した。
紬「なるほど、生まれてきた日を一年ごとにお祝いするのね」
澪「今までどうやって年齢を数えてきたんだ……」
紬「なんとなく、今は18歳くらいかな~……って」
律「アバウトすぎるだろ!」
紬「それじゃあ、ちょうど18年前の今日、私が誕生したのね?」
唯「そう! そういうことだよムギちゃん!」
澪「ん? ちょっと違うんじゃないか? ムギは今日19歳になるわけだから、
19年前に生まれたんじゃ……」
紬「……今日19歳になるの? どうして?」
澪「おっと」
紬「だって私、今は大学生一年生で18歳だけど」
紬「19歳になったら大学二年生にならないといけないじゃない」
律「待て。その理屈はおかしい」
唯「大学一年生でも19歳の人はたくさんいるよ~」
澪「もっと言えば20歳の人だっているし……学年と年齢は関係ないよ」
紬「う~ん……ごめんなさい、なんだかしっくり来ないの……
ちょっと考えさせて?」
律「お、おう」
澪(……どうしてこうなった)
しばらく考えに耽るムギ
紬「…………ちょっと確認したいんだけど」
律「何を?」
紬「みんなの誕生日はいつなの?」
律「私は8月21日」
澪「1月15日だけど……」
唯「11月27日だよ~」
紬「ふむふむ…………もう一つ聞いていい?」
律「ムギの理解が捗るなら何でも答えてやるよ」
紬「去年って、みんなの誕生日はどうしたの?」
澪「普通に祝ったと思うけど……」
律「そうだなぁ。毎年やるみたいにケーキ買ってきてみんなで食べてプレゼント渡して……」
唯「それに、去年もムギちゃんの誕生日パーティやったよ?」
紬「その時の様子って、どんなだったかしら?」
律「様子って……そりゃいつもみたいにサプライズで寮の部屋を改造して……」
紬「そこ!!」ビシィ
律澪唯「!?」ビクッ
紬「寮の部屋を……ってことは、去年私たちは大学生だったってことでしょ?」
澪「そ、そうだけど……」
紬「大学の何年生だったの?」
唯「えっと、去年はまだ一年生だったよ~」
律「!?!? え!?」
澪「ちょ、ちょっと待て唯! 私たちは今一年生だろ!?」
唯「あれ? あ、そっか。間違えちゃった」テヘ
律「…………どういうことだ……!? 去年は確かに寮で全員分の誕生日を祝ったはず……」
紬「ちなみに、みんなは今何歳なの?」
唯「18歳だよ~」
澪「……!! 言われてみれば……私もまだ18じゃないか……」
紬「私、去年の誕生日っていうのをあまり覚えていないんだけど、
一年間みんなと一緒に大学に通ったのはちゃんと覚えてるわ」
律「別に留年したってわけでもないのに……同じ一年生を繰り返してるってことか?」
紬「去年はきっと18歳の誕生日を迎えたのよ。それで今年も18歳の誕生日を迎えるの。
これで謎はすべて解けたわ!」ピコーン!
唯「おお! 名探偵ムギちゃん!」
律「んなバカな……」
澪「いやいやいやいや……そんなの有り得るわけ……」
紬「でも澪ちゃん、そうすれば歳をとらなくて済むのよ?
このまま永遠に10代を謳歌できると考えれば……」
澪「…………悪くないな」
律「澪しゃん!?」
律「歳取らないとか、フツーに考えて怖いだろそれ……」
唯「まあまありっちゃんや。細かいことは気にしない方がいいよ」
澪「そうだぞ律。怖がってばかりじゃ人生うまくいかないぞ」
律「おまえさんには言われとうないわ……」
唯「不思議なこともあるもんだね」アハハ
紬「あ……あの!」
律「? どーしたムギ」
紬「その、話を元に戻すんだけど、」
紬「誕生日って何をするイベントなの?」ワクワク
澪「何をするって……お祝いするんだよ。歌を歌ったり、ケーキを食べたり……」
紬「歌う……食べる……」
唯「そうそう! 一年に一度の特別な日だから、いつもとは違う特別なことをするんだよ!」
紬「特別なこと……ケーキを食べたり、歌ったりするのが?」
律「ま、まあそれは普段からやってるけど……」
唯「それだけじゃないよ! ムギちゃんが生まれてきてくれてありがとうって、
私たちからもお礼があるんだよ」
紬「お礼?」
澪「その……ちょっと段取りが変わっちゃったけど、ムギのために
プレゼントを用意したんだ」
紬「プレゼントだなんて、そんな……」
律「いーの、いーの! 私たちがやりたくてやってるだけだから。
ということではい! 私からのプレゼントはこれ!」
紬「わぁ、綺麗なネックレス……これ、ほんとにいいの?」
律「ムギに似合うかなって思って……その、気に入ればいいけど」
紬「ありがとうっ! 私すごく嬉しい!」
律(ホッ……良かった、喜んでくれて)
澪「私も色々迷ったんだけど、結局こんなものしか……」ゴソゴソ
紬「おっきなぬいぐるみ! 可愛い~」
澪「前に律がゲーセンで取ったクマのぬいぐるみがあったろ? ムギがいつも大切にしてるやつ。
それの新しいやつが置いてあったから、私も挑戦してみたんだよ」
紬「あっ、確かに見た目は違うけど同じ種類なのね」
唯「へぇ~、澪ちゃんUFOキャッチャー得意なの?」
澪「え? ま、まあ得意と言えば得意かな……」
律「私もかなり手伝ったんだけどな」
澪「り、律! そういう余計なことは言わなくても………!」
紬「ふふっ、ありがとう澪ちゃん。大切にするわ」
律「唯は?」
唯「私はね~……じゃーん! ハート型のピックです!
どお? すごくかわいいでしょ?」
律「ってピックかよ! ムギが持っててもしゃーなしだろうに」
唯「ノンノン。実はこれ、ただのピックじゃないんだよね~」
紬「あら? もしかしてこれ……」チャリン
唯「これはピックにも使えるピアスなのです!」フンス!
澪「あっ、これ欲しい……」
紬「すごい、オシャレもできてギターも弾けて一石二鳥ね!」
唯「でしょでしょ?」
澪「いいなー……でもこのピアス、片方しかないぞ」
唯「ふふふ、もう片方は私が持っているんです!
これでムギちゃんとお揃いだね~」チャリン
澪「ああ、唯もピアス穴開けたんだ」
紬「!」
紬(唯ちゃん……左耳に片方ピアスって、まさか……?)」
律「ラブラブかよお前ら……」
紬(もしかしてそれってつまりアレってことよね?
ハート型でお揃いってことは……ゆ、唯ちゃん/// )
唯「どしたのムギちゃん、顔赤いよ?」
紬「え? あ、ありがとう唯ちゃん……あの、私嬉しくて……でも……」カァ///
唯「大丈夫? 具合悪いの?」
紬(唯ちゃん顔が近い! 近すぎるわ!)
紬「はわわ……だ、抱きしめてもよかですか!?」
律「いきなりなんだ!?」
唯「いいよ~!」
澪「いいのかよ!」
紬「唯ちゃんっ」ダキッ
唯「ムギちゃん誕生日おめでと~むぎゅぎゅ~」
紬「唯ちゃん、私とっても嬉しいわ! こんな素敵なプレゼント貰えるなんて……」
唯「喜んでもらえて私も嬉しいよぉ」むぎゅう
紬「澪ちゃんもりっちゃんも、ありがとう! 誕生日ってこんなにも素晴らしいものだったのね!」
律「ま、まあ喜んでくれてなにより」
唯「一家に一台、あったかぽわぽわムギちゃんだよ~」
紬「唯ちゃんもあったかあったか~」むぎゅう
紬(……次の唯ちゃんの誕生日には、私をプレゼントしてあげようかな///)
おわり
※乙
後半のイチャイチャはよかったけど結局どういう世界だったん?
改めまして誕生日おめでとむぎゅうううううううううううううううう
最終更新:2012年07月03日 22:32