律「あの曲はスタジオで練ってたんだけど、大サビで悩んでいたウチと澪の横にムギが座ってさぁ」

律「突然、サッカーの話をしだしたんだ」

以下、回想

紬「サッカーって面白いよね~」

紬「やっぱり、基本はドリブルね」

紬「レフトがゆ~っくりあがって、ミッドフィルダ―がつなげるの」

紬「でも華麗なサッカーをするにはミッドフィルダーはファンタジスタでないといけないの!!」

紬「ファンタジスタは高い位置から受けてシュート!!」

紬「でも相手は必死なんでひとまずラインアウトで逃げるけど」

紬「間髪をおかずに再開すると相手はあわててファールをしたりするのよ」

回想終わり

律「という話なんだ」

T[えっ?」

律「ムギはその後すぐに席を立って、梓だったか唯だったかと話を始めたんだ」

律「残されたウチと澪はその後すぐにあの大サビを作ったんだよ。」

T「あっ?」

T「僕はアメフト出身やけど、ようやくわかったわ」

律「ムギの厳しさと優しさだよね。」

T「でも、それを理解した律ちゃんと澪ちゃんも凄いね」

律「それがHTTの絆なんだと思う」

T「そんなムギちゃんは、クレジット上での作曲は5曲だけやけど、作詞作曲があったよね?」

律「うん」

T「これは初めての試みやったよね」

律「ムギも作詞ができるってことだよ」

T「3作目は前の2作と違って、おとなしめな感じがした分、表現力の幅は広がったと思ったけど、評価は分かれたよね?」

律「元気溌剌だけじゃダメだってこともあるからね。そういった音楽が聴きたいなら最初の2作で我慢してほしいんだ」

律「でも、ウチらと同じように成長している世代が直面するモヤモヤするものを表現することも大切じゃないかなって思ったんだ」

T「たしかに、『明るい曲なのに、ハッピーになれない』とか『重い曲なのに聴き終ったら元気になれる』とか」

律「コンセプトがあるとすれば『実生活』かな?」

T「セールス的には大成功やったけど、これは思惑通り?」

律「思惑はなかったけど…」

律「ビートルズだってラバーソウルを出したんだから、ウチらもちょっとした冒険をしただけだけだよ。」

T「さて、いよいよ新作になる4作目やけど…」

T「前作との違いは、レーベルを立ち上げて充電期間を経てとかで2年の間が空いた上に、ジャケットのデザインは真っ白でHTTのロゴマークだけ」

T「タイトルもなんにもないんやけど…」

律「ははっ?これは3作目を批判して恥をかいた批評家の捧げたんだよ。」

律「って、言えばかっこいいけツェッペリンのⅣを真似しただけ」

T「前回以上に不思議な作品やけど、驚いたのはいきなりビートルズのコピーで始まるってところ」

律「いいでしょ?」

T「思いっきり意表をつかれたね。しかも"サボイトラッフル"ってのが」

律「唯が『初心に戻ってお菓子から始めようよ』っていったことから始まったんだ」

律「でも、いまさらお菓子って雰囲気が漂っていた中で梓がさ」

梓「ビートルズにサボイトラッフルって曲があります。とにかく甘いものの名前を言い続ける曲です。これをコピーするのはどうでしょう?」

律「というわけで、HTT風ビートルズができあがりました。」

T「いやぁ~、おもわずニヤニヤしてしもうたよ。大御所の雰囲気も出てきたんちゃう?」

律「大御所って…ウチらはまだ20代」

T「でも、ビートルズって全員20代でできることは全部やったやん」

律「ビートルズと比べられるのはうれしいけど、ウチは The Who と比べて欲しいなぁ~」

T「新作では The Who っぽいところもちょっとあるよね?」

律「うん。これはウチとムギで Quick One っぽいことをやったんだ。」

T[澪ちゃんの男役がロミオっぽかったり、律ちゃんの娘役がジュリエットぽかったりするのは、シェークスピアを意識したん?」

律「うーん…本当は曽根崎心中ぽくしたかったけど暗すぎたから軽めにしたんだ。」

T[曽根崎心中ってまた重たいね!!」

律「ムギは乗り気だったんだけど、原作を消化していくうちに耐えられなくなったって言い出して、ちょっと軽めにって」

T「そうなんや…でも、ムギちゃんがそこまで乗り切って事は3作目の時のスランプは乗り切れたんかな?」

律「乗り切れたというよりも、全員がコンポーザーとしてのレベルがあがったから、ムギの負担が減ったんだ。」

律「ムギが言う『普通』な曲を全員が書けるようになったんで、ムギは『ムギが納得できる曲』だけ作ればいいってことなんだよ」

T「そんな中で梓ちゃんの『AS』は初めてのインストナンバーやね?」

律「これは、梓がスタジオで練習がてらに弾いてたフレーズをウチと唯がこっそりレコーディングしてたんだ。」

律「それをミーティングの時に『こんな曲はどう?』って流したら、澪もムギも大賛成して、ジャムセッションのような感じで練っていったらできあがったんだ」

律「梓は恥ずかしがってたけど、澪もムギも梓のためって事で『こんなにテクニック重視の演奏したのは初めて』ってくらいの曲になったんだ」

T「梓ちゃんは本当にかわいがられてるんやね?」

律「そりゃそうさ!!ウチらの唯一の後輩だもん」

律「そんな梓のためなら自分の曲以上の事をするのは当たり前じゃん!!」

T「ええ話やなぁ~」

律「そやろ?」

T「関西弁の発音が自然になってきたっちゅうことは調子が出てきたって事やね?」

T「じゃあ、ここらで本質を聞こうと思うけど、かまへんよね?」

律「うん」

T[新作では、澪・紬や唯・紬という黄金コンビの曲が随分減って、澪・律や唯・梓の曲が増えてきて、ムギちゃんの曲はクレジット上は2曲しかないんやけど」

T「さらに、HTT以外の活動が一番多いのもムギちゃんやし」

T「これはムギちゃんがHTTへの興味をなくしたって事?」

律「やっぱり、そこだよねぇ~」

律「でも、ムギの作った曲が駄作って思う?」
T「全然!!逆に一音一音が愛おしく思えるほど優しくもあり、思わずこぶしを握ってたりするし。」

律「そうなんだよ。ウチらは今までのムギに追いついたけどムギはその先を行ってるんだよ。」

律「ムギのためにも言うけど我儘じゃないんだよ。」

律「その証拠にムギの曲での詩のクレジットは澪でしょ?」

律「ムギが突っ走ったときについていけるのは澪だけなんだ。」

律「澪も同じように突っ走るんだよ。」

律「そんな澪が作る詩に曲を付けられるのはムギだけ。」

律「その2つの結果が新作での2曲なんだ。」

T[なるほど、だから2曲とも評価が高いんやね。」

律「でも、ウチらの結束は固いよ。ライブを観てもらったらわかると思う。」

律「まずは夏フェス!!この地域なら○○ソニの初日のマウンテンステージにでるよ。」

律「それに秋から春にかけて全国ツアーもあるし」

律「ウチらは原点を大切にしつつも進化をしたいんだ。」

律「離れる人もいるだろうし、あたらしくファンになる人もいると思う。」

律「今までのファンを忘れずに、これからのファンにはHTTを展開するつもりだよ。」

律「だから、これからのHTTにも大いに期待してね!!」

T「最後はきれいにまとめたね。」

T「このあたりにもHTTの進化がうかがえます。」

T「今日はありがとうございました。」

律「いえいえ、お招きいただきありがとうございます。」

T「次は全員で遊びに来てね!!」

律「はい」

T[正直、律ちゃんだけじゃ目の保養にならないから、ムギちゃん、澪ちゃん、唯ちゃん、梓ちゃんが居ないと調子が出えへんわ」

律「おい!!それはないやろ!!」


おしまい



最終更新:2012年07月18日 07:31