唯「夜だねー」

梓「夜ですねー」

唯「深夜だねー」

梓「深夜ですねー」

唯「えっちよかったねー」

梓「は?」

唯「やっぱり後は喉乾くねー」

梓「ん?」

唯「そんなときにはペプシコーラっじゃんっ!」

梓「え?」

唯「さっきのじゃんっ!は映画の歌のじゃんっ、ね」

梓「ああ、わかりますよ」

唯「映画けいおんDVDBD、絶賛発売中、じゃじゃんっ!」

梓「あの」

唯「なに?」

梓「言いたいことはいろいろあるんですけど、まずえっちとかしてませんからね」

唯「ひゅうっ。えっちだってー。えっちってなにー?」

唯「えっちとはあずにゃんのあのへんをそのへんあんなふうやこんなふうにすることだっ」

唯「えーあんなことってー?」

唯「それはねえ……」

梓「……帰ります」

唯「しょうがないなー。ごまかさないでぜんぶわたしが教えてあげるよ♪、ね」

梓「ぞわあ……」

唯「だきつきこうげきだきつきこうげきっ」

梓「びんたっ」

唯「いたい……」

梓「あ、つい」

唯「ひりひりするよー」

梓「自業自得じゃないですか」

唯「なぐらせろーっ」

梓「どうしたんですか」

唯「愛する者どうし痛みの共有だよっ」

梓「さらっと怖いこと言わないでくださいっ。でも……まあ……」

唯「でもまあ?」

梓「……今日は星がよく見えますねっ」

唯「あずにゃん」

梓「なんです」

唯「そういうとこも含めてあずにゃんのこと好きだよ」

梓「……唯先輩」

梓「……だめですよ」

唯「え?」

梓「好きだからってなんでもするのは違うと思うんです」

唯「あずにゃん……」

梓「だから……いくら唯先輩がペプシコーラが好きだといって深夜のうちから7時開店のスーパーの駐車場で新発売を待たなくてもいいんじゃないですか?」

唯「よくないっ」

梓「いいっ」

唯「よくないっ」

梓「いいっ」

唯「いくないっ」

梓「いいっ」

唯「抱きついても」

梓「いいっ……あ」

唯「ざんねーんぎゅー」

梓「……ふあ」

唯「すりすりー」

梓「……ごーよんさんにちっ」

唯「えーはやいっ」

梓「だめです。こういうときは5秒って約束じゃないですか」

唯「むー。さっきの5秒より短かった……」

梓「短くないです」

唯「あずにゃんの足は?」

梓「短くないです」

唯「うそつきっ。軽いうそついたときは50秒だっ」

梓「泣きますよ」

唯「じゃあ、なぐさめるあげるよ。だきっ」

梓「うえーんうえーんひゅいせんぱい……あ、唯先輩の胸あったかいなあえへへ…………満足しました?」

唯「うん」


梓「というよりなんでこんなはやくからスーパーに来なきゃならないんですか」

唯「だって戦争だよ。ペプシコーラ争奪戦」

梓「そんなに人気なものじゃないでしょう」

唯「早く行かないと、なくなっちゃうんだってー」

梓「そういう売り方ですよ。そうやって希少価値を高めて購買意欲を煽るんです。だからこういう期間限定品はわたしは嫌いなんですよ」

唯「クラスのみんなも言ってたよー。早く買わなきゃって」

梓「それはあれです。クラスの人たちはみんなペプシに買収されてるんですよ」

唯「でも、『えーコカ・コーラのほうがいい』って人もいたよ」

梓「それはコカコーラに買収されたんでしょう」

唯「ドクターペーパーは?」

梓「ペーパー? 紙の医者です」


唯「でもさ、あずにゃんはその欲しくもないし嫌いな売り方をしてるものをこんな時間に買いに行こうとしてるんだよ?」

梓「それは唯先輩に呼び出されたから」

唯「じゃあ、あずにゃんは唯先輩って人に呼び出されると、欲しくもないし嫌いな売り方してるものを買うのにのこのこついてきてくれるんだねー」

梓「別にそういうんじゃ」

唯「……のこのことついていく」

梓「……」

唯「のこのこと……」

梓「……」

唯「のこのこあずにゃん。緑のあずにゃん。踏んで使う」

梓「む」

唯「あー今変なふうに考えたーっ」

梓「……やっぱかえります」

唯「ごめんごめんっ」

梓「でも、あれですよ。わたしは唯先輩に買収されたんですよ」

唯「なにで?」

梓「それ」

唯「手? くくくっ……これこそがあずにゃんを買収した魔法の手だー。こちょこちょこちょー」

梓「ひゃあっ……ふふふっ、あ……違いますその手に持ってるやつ……ひゃんっ」

唯「ペプシコーラ?」

梓「のキャップ」

唯「これかー。はいっあげる」

梓「ども」

唯「ごくごく……ぷはっやっぱペプシはおいしいっ」

梓「それでいいじゃないですか」

唯「どれで?」

梓「今ペプシ飲んでるんだからそれで」

唯「だめだよー。期間限定のペプシじゃないと」

梓「そういえば、なにペプシなんですか?」

唯「ウォーターメロンソルティー」

梓「うーたーめろんそるてぃー?」

唯「うん」

梓「スイカ塩」

唯「うん」

梓「おいしいんですかそれ?」

唯「さあ?」

唯「でも、ほら塩って流行ってるよね。塩キャラメルとかさ塩アメとかさ」

梓「なんでも塩入れとけばおいしくなるだろうみたいな風潮はありますね」

唯「うん。そこで」

梓「そこで?」

唯「えいっ」

梓「わっ……なんか降ってきた?」

唯「塩あずにゃんだっ」

梓「やめてくださいっ」

唯「えー絶対おいしくなると思うよっ」

梓「そういう問題じゃないんです」


梓「ていうかわざわざその塩持参したんですか?」

唯「うんっ」

梓「……そんなに塩かけたいなら少しだけいいですよ」

唯「ほんと?」

梓「……まあ」

唯「えへへ。どこにしよっかなあー……」

梓「指だけです」

唯「けちー」

唯「ぱらぱら」

梓「……はい」

唯「いただきます……はむ」

梓「……んっ///」

唯「なに?」

梓「べつに」

唯「うーむ……塩味っ」

梓「それはそうですよ」

唯「違うよっ。あずにゃんの汗の味のはなしっ」

梓「……へえ」

梓「それにしてもなんか無難ですね。夏のスイカ、はやりの塩ですもん。昔はきゅうりとかやってたのに」

唯「スイカといえばさ、合宿を思い出すよね」」

梓「あ、スイカ割りですか」

唯「うんうん。楽しかったよねー」

梓「楽しかったですねー」

唯「今年もいきたいね海っ」

梓「先輩たちは受験生なんですから」

唯「えーいこうよ合宿あずにゃんは行きたくないの?」

梓「それは行きたいですけど」

唯「よしっスイカ割りをしよう」

梓「どこでですか?」

唯「ここで」

梓「スイカは?」

唯「むっ」

梓「わたし?」

唯「うん」

梓「えーなんかやな予感が」

唯「ほら、そこに丸くなって」

梓「こ、こうですか?」

唯「そう」

唯「じゃあいくよ」

梓「ちょ、ちょっと待ってくださいよっ。まさか棒でわたしをぽこぽこやったりふんだりしてさんざん痛めつけた後おいしそうになったねーとかいいながら食べたりしちゃうんですか?」

唯「しないよ?」

梓「ですよね。よかったです」

唯「よかったね」

梓「ほんとに」

唯「じゃあ、叩く代わりに抱きつくねっ」

梓「あの、それはいいんですけど目隠ししないとゲームの面白みがないですよ」

唯「へんたい」

梓「いやこればかりは違いますからっ」

唯「うーんやっぱりスイカ割りはむりかー」

梓「むりですね」

唯「食べるとこだけやるとか?」

梓「だめですね」

唯「かぷっ」

梓「あ、また指に……やめてくださいっ」

唯「ちえー」

唯「あーひまだーごろごろ-」

梓「そんなとこ転がってると汚れますよ」

唯「……あ、ひんやり。ひんやりポイントだっ。つめたー……ぬるくなった」

梓「元気ですね」

唯「もう夜遅いからすっごくテンションあがっちゃて。なんかこうふわふわするよね胸が」

梓「ふわふわ?」

唯「うん」

梓「病気ですよ」

唯「こんにちはドクターペーパーです」

唯「あの……胸がふわふわして……」

唯「どれどれ……あーこれは恋の病ですね」

唯「恋の病?」

唯「下手をすると死ぬことも……」

唯「そんなどうすれば……」

唯「ちゅーしてもらいなさい」

唯「それしか方法はないんですかっ?」

唯「はい、残念ですが……」

唯「さあ、あずにゃんわたしを助けるために……ちゅー」

梓「ふあああ……ねむ」

唯「……ねえっ」

唯「無視はこたえるよっあずにゃんっ」

梓「え? さすがに眠くて……」

唯「じゃあ目の覚める面白い話をしてあげよう」

梓「どんなんですか?」


唯「あずにゃんショート劇場、ひんやりあずにゃん」

唯「あずにゃんが冷たい……」

梓(唯)「つんつん」

唯「よしっ抱っこして温めよう」

梓(唯)「……ふにゃあ」

唯「すりすり」

梓(唯)「ひゅいせんぱーい…………」

唯「溶けちゃった……」

唯「ちゃんちゃん」


梓「おもしろいです……ふあ」

唯「とか言いながら、ねないっ」

梓「だって……」

唯「寝たらたいへんだよっ」

梓「なにがですか?」

唯「わたしがさびしいっ」

梓「それは大変ですねおやすみなさい」

唯「おーきーろーーあーずーにぃぃーー」

梓「ひたいひたいほっぺひねらないでください」

唯「それにこんなとこで女の子が寝てたら襲われちゃうよっ」

梓「大丈夫ですよ。ほら、わたしたちって襲われるほどあれじゃないですか」

唯「なに?」

梓「色気がない」

唯「それは違うよ。実際深夜女の子が寝てたら襲いたくなるんだよ」

梓「そういうもんですかね」

唯「そうだよっ。じゃあわたしここで寝てるからちょっとあずにゃん向こうから歩いてみてよ」

梓「えー」

唯「はいっどうぞ」


梓「てくてくてくてく……」

唯「すぴーすぴー」

梓「てくてくてくてく……」

唯「すぴーすぴー」チラ

梓「てくてくてくてく……」

唯「すぴーすぴー」チラチラ

梓「てくてくて……」

唯「襲ってよっ!」

梓「……えー」


唯「ほらっ。かむおんっ」

梓「……やですよ」

唯「あっ……そうかそうか、あずにゃんは襲われたい方だったねー」

梓「違いますって」

唯「ごめんごめんっ。じゃあわたしがそっちから歩いてくるからそこで寝ててね」

梓「はいはい」

唯「素直だね」

梓「べつにです」


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最終更新:2012年07月24日 20:59