律「なぁ澪、今両親も聡も夜から出かけるってことで
家に誰もいなくてさ」
律「一人で晩ご飯も寂しいし、家に来ないか?」
澪「!」
澪「(まだ律と一緒に居られる…?)」
律「どうする?」
澪「しょ、しょうがないな…行くよ」
律「…へへっ」
律「じゃあ、早く帰ろ?」
澪「うん!」
~~~~~~~~~~
律「う~…昼間食べ過ぎたせいであまり入らない…」
澪「自業自得だ」
律「せっかく作ったは良いものの…
箸が進まない…」
澪「…ほら」
律「?」
澪「ご飯は三食きっちり取らなきゃダメだ」
律「それは分かるけど…これは何?」
澪「箸が動かないんだろ?
だからほら…あ、あーんして食べさせてやるよ」
律「みおしゃん…積極的!」
澪「う、うるさい!食べないなら知らない!」
律「た、食べる!澪に食べさせて貰えるなら食べる!」
律「さすがにもう食べられない…げふ」
澪「(慣れないことはするもんじゃないな…変な汗出てきた)」
律「じ~…」
澪「なんだ?」
律「みおしゃん汗かいてる」
澪「わっ、嘘!?」
律「お風呂入って来なよ、今日は殆ど外に居たし
汗かいて気持ち悪いだろ?」
澪「でも着替え持ってきて無いし…」
律「オレの貸すよ」
澪「下は良いとしても、上のサイズが…」
律「ちょっとイラっときた」
律「…フリーサイズのシャツあるから大丈夫ですよー」
澪「律、拗ねてる?」
律「今のオレは男ですから!
胸が無くても悔しくありませんから!」
澪「そ、そうだったな、じゃあお風呂借りるよ」
律「…くすん」
律「…部屋に戻って着替えを探すか」
~~~~~~~~~~
澪「ふぅ…気持ち良い…」
澪「拗ねた律の顔、可愛かったなー」
澪「ふふっ」
澪「…」
澪「(今日のデート、最初は律の突拍子も無い思いつきだったけど)」
澪「(なんだかんだで楽しめちゃった)」
澪「(肝心の男への苦手意識を拭うという目的は果たせてないけどな)」
澪「…」
澪「(むしろ…余計に男の人を見れなくなったかも)」
澪「(…分かっちゃったんだ)」
澪「(男の人が苦手、話せない、恋愛対象に出来ない理由)」
澪「(それはきっと)」
澪「(ずっと前から律のことが…)」
澪「…好きだから」
澪「(でも、今日のデートは律のただの善意)」
澪「(私の苦手を克服させようとしてくれただけ)」
澪「(私が本気になって想いを伝えても、律は応えられない)」
澪「(女の子が女の子を好きになっても…気持ち悪がられるだけ)」
澪「なんで…律は男の子じゃないんだろう」
澪「なんで…私は女なんだろう」
澪「…」
澪「なんか一人だと色々考えちゃうな…」
澪「…もう上がろう」
澪「…あれ?」
澪「着替えがない…」
澪「私の脱いだ服は…洗濯されてる」
澪「どうしろと…」
~~~~~~~~~~
澪「り~つ~…!」
律「澪、もうあがった…の…って」
律「なんでバスタオル一枚なんだよ!」
澪「着替えどこにも無かったぞ!」
律「あ、忘れてた」
澪「馬鹿律!」
律「ごめん、ごめん、着替え探してたら昔のアルバム見つけてさ」
律「なんか懐かしくなっちゃって」
澪「お前な…」
律「ほらコレ、小学生の頃のオレら!」
澪「…懐かしいな」
澪「(…思えば、この時から律に何か惹かれていた気がする)」
律「こっちが中学生のころで~こっちも中学生!」
律「大っきくなったよなぁ澪」
澪「律は変わってないな」
律「まったく、体だけはすくすく育っちゃって!」
澪「…だからどこ見てる」
律「でも恐がりや恥ずかしがり屋はずっと変わらないな」
澪「努力はしている!」
律「ならばその努力も…じゃなくて」
律「…」
律「…今日一日、仮想デートしてどうだった?
苦手意識、無くせそうか?」
澪「…ううん、やっぱり男の人と居るのは想像出来ない」
澪「でも、律と一緒にデート出来て楽しかっ」
律「それじゃダメだ!」
澪「!」
律「それじゃ、ダメなんだよ…」
澪「律…?」
律「あたし、澪に嘘ついた」
律「今日のデートは澪のためなんかじゃない」
律「あたしのためだったんだ」
澪「律の…?」
律「あたしさ…」
律「恋愛感情で、澪が好き」
律「こんなの気持ち悪いよな、ごめん」
律「でも、ずっと好きだったんだ」
律「あたしさ、何度も諦めようとしたんだ
でも、諦められなくて」
律「だから、澪に彼氏さえ出来れば諦められるんじゃないかって
今日のデートを提案したんだ」
律「このデートで澪が男への苦手意識を無くせば澪はハッピー
あたしは最初で最後の恋人デートが出来て万々歳、すっぱり澪を諦める」
律「…はずだった」
澪「…」
律「でもさ、見つけちゃったんだ…アルバム」
律「このアルバムの中のあたし…殆ど澪と一緒に写ってるでしょ
自分で言っちゃうけど、良い笑顔してるでしょ?」
律「この笑顔は…澪と一緒だから出せた表情なんだ」
律「でも、いつかは澪の隣で笑うのはあたしじゃなくなる
それはきっと澪がこれから愛する誰か…」
律「そう思ったら、急に真っ白んなっちゃって…」
律「あたし、諦めたいのか諦められないのか分かんなくなっちゃった…」
律「澪には普通に幸せになって欲しいのに…こんなこと言っちゃって澪を惑わせてる…」
律「澪に必要なのはあたしじゃない
でも…澪が離れていくのは…嫌だよぉ…」
澪「律…」
澪「(同じだ…私と)」
澪「(律も…同姓である私を好きになって苦しんでたんだ)」
澪「(私が男じゃないから…律が男じゃないから…)」
澪「(自分の気持ちに蓋をして…)」
律「…ごめん、勝手なことばかり言って」
律「本当にごめん…ちょっと一人になりたい
…着替えそこにあるから」
澪「律」
律「本当に…」
澪「律!」
律「!!!」
律「な、み、澪!なんで抱きついて…!
タ、タオル取れてる!見えちゃうって!」
澪「見えたって良い、律なら良い」
澪「私、律が好き!」
律「なっ…!」
澪「私は!律が!!大好きだ!!!」
律「…あ、あたしの好きは…恋愛感情の好き…なんだぞ?」
澪「私だってそうだ!」
澪「ありがとう律、私の気持ちを私に気づかせてくれて」
澪「律が勇気を出して言ってくれなきゃ…ずっとごまかしてた」
律「み…お…」
澪「性別なんて関係無いよ、私は律が律だから好きになったんだ」
律「でも…あたしと一緒になっても…子供は産めない
周りは理解してくれない
普通の女の幸せを享受することは出来ないんだよ…?」
澪「そんなの知らない
私は、律の隣で笑っていたい」
澪「律にも、私の隣で笑っていて欲しい」
律「…」
律「あたし…一人で何やってたんだろ」
律「想いは伝わらないって勝手に決めつけて…」
澪「律は、自分の気持ちに嘘をついてた」
澪「私は、自分の気持ちを見ないフリしてた」
澪「二人とも遠回りしちゃったけど
これからは一緒に居よう?同じ道を進もう?」
律「みお…」
澪「律…好き…」
律「あたしも…好き…」
澪「…ん」
律「澪?」
澪「言わせるなよ、今日一日は男なんだろ?
だから…リードしてよ」
律「そ、そうか…じゃあ…」
律「(あたしの心臓凄いバクバクしてる…!)」
律「(澪も同じなのかな…)」
律「目…閉じて澪…」
澪「ん…」
律「…好き」
澪「…んっ」
律澪「…」
律「…柔らかい」
澪「いちいち言うな馬鹿律…///」
律「クセになるかも…
ごめん澪、止まりそうにないや」
澪「…良いよ、来て律」
律澪「…んっ」
澪「…ぷはっ」
澪「なんか…体熱い…」
律「澪…綺麗だ…
ねぇ…ベッドに行こう?」
澪「分かった…」
~~~~~~~~~~
澪「と、言う訳で私の処女は儚く散ったのさ」
梓「え?え?律センパイ女性ですよね?
『アレ』なしでどうやって処女を…」
澪「それは…その…ゆ、指で…///
…でも指でも凄い痛かったな」
梓「はぁ」
梓「というかどこが黒歴史なんですか?
70レス以上使って聞かされたのは
黒歴史どころかただのイチャイチャでしたよ!」
澪「ええ?黒歴史だろ?」
澪「だって好きあっていた二人がすれ違い急ぐ度に
心の距離が遠くなってしまいかけたんだぞ!」
梓「意味が分かりません
それにそんな関係なんですか?
って、さっき聞いた時に否定したじゃないですか!」
澪「そんな関係、というとふしだらな関係みたいに聞こえるじゃないか!」
澪「私と律の愛は純愛なんだ、…だから私の初めてを律に捧げたんだ///」
梓「若さ故の過ちの部分は…」
澪「律に捧げたことは後悔してないがあの場で捧げたのは過ちだと思ってる」
澪「やはら正式なお付き合いは成人してからだ!」
澪「ここだけの話、二人とも20を過ぎたら一緒に住むと約束してるんだ」
梓「変なところで清いというかなんというか…」
澪「…長々と語ってしまったがなんで処女かなんて聞いてきたんだ?」
梓「ああ、私後学の為に処女と非処女を見分ける眼力を身に付けようとしてるんです」
澪「」
梓「私の予想では澪センパイが非処女というのは当たってましたが
相手が女性とは思いませんでした」
梓「それじゃ、次はムギセンパイが控えてるので失礼します」
澪「…なんで?」
紬「ふふ、なんででしょうね」
おしまひ
最終更新:2012年07月25日 20:18