紬「こわいいどうしようまた梓ちゃんにけられちゃうなぐられちゃう」ガクガク
※
梓「もうやめてくださいムギ先輩」
その言葉は梓の悲痛な叫びだった。
紬「あら、どうして?」
紬「それよりほら、いつものように、ね」
紬は素知らぬ顔で更なる言葉を要求する。
梓はそれに逆らえない。
梓「…ムギ、四つん這いになって私の靴を舐めるです」
紬が梓の家に訪れた日のこと。
彼女に魔が差した。
可愛い後輩の机の中には何が入っているのか。
紬は自分の好奇心を抑えることができなかった。
そして一冊のノートを見つけてしまった。
表紙に「ムギ」と書かれたノートを。
ノートの中には様々なことが書かれていた。
おっぱいを触る程度の軽い願望もあった。
しかし大部分は紬を服従させ、屈服させる妄想が記されていた。
靴や自らの秘所を舐めさせるもの。
糞尿を紬に飲ませるもの。
しかし、紬にはそれだかなら許してあげようと思った。
こういう妄想は誰だって一度はするものだ。
自分も他人を使って様々な妄想をしている。
しかし「ムギ」と書かれたノートの下に「澪」「唯」と書かれたノートを見つけてしまったことで、彼女の考えは一変する。
紬は小さく舌を出して梓の靴を舐めている。
梓のローファーはとても苦かったが、彼女は我慢して舐め続けた。
ちろちろ、ちろちろと。
梓はそれを見て、これからどうなってしまうのかという恐怖を感じると同時に、心地良い背徳感を感じていた。
敬愛する先輩が自分の靴を舐めている。
完全に自分より下の存在としてここに存在している。
梓「……ムギ」
紬「次の命令かしら、梓ちゃん?」
梓「梓ちゃんじゃありません」
紬「ご主人様」
梓「それでいいです」
梓は満足そうに笑い、紬の頭を撫でた。
紬は目を細めくすぐったそうに笑った。
まるで褒められた犬のようだと梓は感じ、新たな命令を思いついてしまった。
梓「ちょっと散歩にでも行きましょうか」
紬「えっ」
梓「四つん這いの格好のまま私についてくるです」
梓はそう言うと、足早に部室を出た。
もう遅い時間なので生徒はあまり残っていない。
しかし運動部の学生などに出くわす危険はある。
紬は顔を赤くし、這いつくばりながら梓の後を追った。
誰かに出くわすかもしれないという恐怖感。
後輩にいいように命令されているという倒錯。
それらが紬を興奮させた。
紬は自分でも驚いていた。
最初は後輩にちょっと意地悪を仕掛けて見ただけだった。
しかし気づけば自分もこの関係にはまっていた。
言ってしまえば、紬は生来のマゾだった。
そして梓はサドだった。
この二人の関係はSMという言葉に集約される。
二人はしばらく校内を散歩したが、誰にも出会わ……
澪「……ムギ?」
紬「み、澪ちゃん?」
梓「もう、帰ったんじゃ」
澪「部活が終わってから、和と話し込んでたんだ。それより二人は……」
紬「お金を落としたから探してたの」
澪「お金?」
紬「ほらこれ」
紬は立ち上がりならが素早くポケットからコインを取り出し、澪に見せた。
少し不審がりながらも澪は納得したようだった。
二三言交わした後、澪は帰っていった。
しかし、それで一件落着とはいかない。
紬は見逃さなかった。
澪の胸に釘付けになっていた梓の眼差しを。
紬は突然立ち上がり、梓の首筋を甘咬みした。
梓「ふひゃっ」
紬「メッ!」
梓「い、いきなりなんですか、ムギ」
紬「澪ちゃんのおっぱい見てたでしょ」
梓にしてみれば迷惑な話である。
無理やり服従プレイをせがまれ、他の女を見たら嫉妬されるのだ。
梓「ペットが飼い主に逆らわないでください」
紬「悪い飼い主さんにはお仕置きしないといけないわね」
既に主従は完全に反転していた。
紬は耳を舌で這うように舐めた。
梓「ひゃっ」
梓が感じているのを確認してから、紬は二本の指を梓の口に侵入させた。
最初は歯茎全体を舐め回すように。
次に舌を上下左右から圧力をかけ、弄ぶ。
梓は異物感から何度も嗚咽を繰り返したが、紬の指はとまらなかった。
10分後。
梓の舌には水たまりがあった。
梓のよだれでできた水たまりである。
それを紬は丁寧に舐めていた。
梓の顔は鼻水と涎と涙でぐちゃぐちゃになっていた。
そこで彼女は命令する。
梓「ムギ、私の顔を掃除するです」
紬「はい! ご主人様!!」
紬は嬉しそうに、梓の顔を舐め始めた。
目元、鼻の下、口元、そのすべてを丁寧に舐めた。
紬が舐め終わると、梓は撫でてやった。
今度もまた褒められた犬のように喜んだ。
彼女が本当に犬なら、きっと尻尾を上下に激しく振っていたことだろう。
梓「ムギ、ごほうびをあげるです」
紬「ごほうび!」
その言葉を聞いて、紬はとても嬉しそうにした。
しかし、次の瞬間、彼女の顔は曇ることになる。
梓「ご主人様にキスするです」
その言葉で紬は押し黙ってしまった。
梓「ムギ、なんとか言うです」
紬「えっと、あず、ご主人様……キスするのは」
梓「…っ、それ以上は言わなくていいです」
二人の間に沈黙が流れた。
実は二人はまだキスをしたことはなかった。
オナニーを手伝ったり、おしっこを飲ませあったりしたことはあったが、キスだけはしたことがなかった。
梓はこの沈黙に耐えられなかった。
紬は梓のことを好きだと言ったことはなかった。
キスは本当に好きな人としかやりたくない、よくありそうな話である。
紬にとって自分との関係はただの遊びである……梓にそんな考えがよぎった。
梓は自分の浮気性は許せたが、紬の気持ちが他の女に向けられるのは許せなかった。
いや、許せないというより、耐えられそうになかった。
気づけば梓は走り出していた。
紬は必死においかけたが途中で見失ってしまった。
それが分水嶺となった。
梓は次の日から学校にこなくなった。
いわゆる不登校である。
正直なところ、紬にはなぜ梓が不登校になってしまったのかわからなかった。
しかし、自分の責任であるのは明らかだ。
あの時追いついて何か声をかけていれば、結果は変わったはずだ。
そう考えると、楽しかった軽音部で過ごす時間も退屈なものに思えた。
―――
梓は自分でも驚いていた。
紬がキスをためらった。その程度のことで不登校になってしまった自分にである。
紬の事が好きか嫌いか、二択で言うなら好きである。
しかし、唯や澪も梓にとっては性欲の対象であり、紬だけが特別な存在というわけではなかった。
梓は紬が自分の中で大きな存在になってしまったことに戸惑いを覚えていた。
それと同時に、この気持を伝えてみたいという想いがあった。
明日は久しぶりに学校に行こう。
そう決意した瞬間だった。
部屋のドアが粉々に砕けた。
どでかいハンマーを持った紬があらわれた。
紬「梓ちゃん!」
梓「む、ムギ先輩!?」
紬「梓ちゃん……いえ、ご主人様。私に何か至らない点があったなら謝ります」
紬「だから学校に戻ってきてください!!」
梓「あっ……はい」
紬「戻ってきてくれるのね!?」
梓「はい」
肯定の返事を聞いた紬はとても嬉しそうな顔をした。
いろいろ突っ込みたい思いを押さえつけ、梓は一つだけ尋ねた。
梓「なんであのときキスしなかったんですか?」
紬「嫌だったから」
梓「はい?」
紬「ファーストキスが鼻水の味なんて嫌だったから」
それを聞いて梓は押し黙るしかなかった。
確かにあの時、紬は梓の鼻水を大量に舐めていたはずだ。
だからキスをすればその味になる。
梓「じゃあ今なら…」
紬「命令してくれるの?」
紬は今か今かと命令を待っていた。
本当に犬みたいだと梓は思った。
梓「ムギ、私にキスするです」
こうして梓と紬は1stキスを交わした。
しかし、二人の関係はまだまだ始まったばかりである。
おわりです
読んでくれた人ありがとう
立て逃げした人、あんまり立て逃げしちゃ駄目だよ
全くないと寂しいけどね
最終更新:2012年08月07日 20:02