澪「そうだぞ、さすがにそろそろ練習しないと」

律「ブーブーブー」

唯「ブーブー」

紬「まぁまぁ2人とも」

梓「まったく」

律「わかりましたよーハイハイハーイ」

唯「あずにゃんの鬼軍曹」


純(練習がはじまるみたい)

憂(すごい、お姉ちゃんの生演奏だ…)

純(いつも聴いてるんでしょ…?)

梓「その前にちょっとトイレいってきます」


純(えっ?ま、また来た!隠れて!)

ササッ

梓「…」テクテク


純「……憂、追いかけるよ!」

憂「え?」

純「ほらはやく!」



……女子トイレ。

純(ほんとに梓がおしっこしてるのか確かめなくちゃならない)

憂(ど、どうやって確かめるの?まさか覗いて…)

純(別に外からでも確かめるられるでしょ。あ、個室に入った)


バタン

「……ふー」

ジャーーー

純(あ!音姫つかった!梓め~)

憂(普通あればみんな使うとおもうよ)

「あー…紙かみ」

カラコロカラン

純(あ、でもほんとにしてるっぽい)

「えいっ」

ガラガラガラ

「あははは」

純(遊ぶな!)

「よいしょ」

憂(梓ちゃん一人言多いなあ)

ジャーーー

ガチャ

純「あ」

憂「あ」

梓「ん?あれ、どしたの2人とも」

純「あ、あー梓じゃん!こんなところで会うなんてねー」

憂「き、奇遇だねー」

梓「??」

梓「っていうか純、部活は?憂もどうしたの?」

純「じ、実は今日休みになったんだよね」

憂「そうなんだよねー」

純(そこ憂が乗ってきちゃダメでしょ!)

梓「そ、そうなんだ…」

純「ところで梓も部活でしょ?」

梓「あ、うん。練習前にトイレ行っておこうと思って」

純「もうこんな時間なのにまだ練習してなかったの?」

梓「う、うるさいなあ」

純「さすが軽音部」

梓「もう、とにかく私は練習行くから。じゃあね」

純「がんばれー」

憂「じゃあねー」

純「…じゃ、とりあえず私たちも部室に…」

憂「……」

純「どうしたの憂」

憂「純ちゃん、大変なことに気づいちゃった…」

純「え!?なになに!?」

憂「梓ちゃん、手洗うの忘れてた…」

純「……う、うん。たぶん私たちのせいだよね」


…部室。

ジャカジャカ

純(演奏してるみたい)

憂(お姉ちゃん…)

純(ていうか先輩たちは梓のトイレについて気にしてないのかな、憂)

憂(きれいな声…)

純(聞け)グイ

憂(わ、もー純ちゃんなに?)イラッ

純(唯先輩はなにかこのことについて言ってなかった?)

憂(お姉ちゃん?んー特に言ってなかったと思うなぁ)

純(そっか…)

純(…もう梓に直接聞いてみるしかないか)

憂(えっ、でもそれじゃ意味が…)

純(梓はこれだけトイレに行ってるんだよ!きっと自分で気づいてるはず!)

憂(最初と言ってることが…)

純(憂!私たちは梓の何?……友達でしょ?だったら梓のためにできることをしなくちゃ!)

憂「!!!!」

憂(純ちゃん……!)ジーン

憂(うん、そうだよね!梓ちゃんを助けなくちゃ!)

純(……)

純(じゃあ次に梓が来たときに待ち伏せて…)

ガチャ

梓「…」テクテク


純(!)

憂(あ、梓ちゃんだ)

純(うそ…先輩たちはまだ演奏してるのにそんなナチュラルに…)

憂(頻尿ってレベルじゃないよ!)

純(と、とにかくトイレに先回りするよ!)

タタタ…


……女子トイレ。

テクテク

梓「はやく済ませて戻らなくちゃ……って純?憂も…」

純「梓、そこで止まりなさい」

梓「ちょっとどいてよ2人とも、トイレ入るから」

憂「し、質問に答えないとここは通さないよ!」

梓「へ?質問?そんなのあとで…」

純「梓!あんたいくらなんでもトイレ行き過ぎだよ!」

梓「!そ、そんなの仕方ないでしょ、無理に来てるわけじゃないんだから」

純「その反応…なにか隠してるでしょ!教えなさい!」

梓「し、知らない!いいからどいてってば!」

憂「こなくそー!」グイグイ

梓「ほ、ほんとに漏れちゃうから!はやくどいて!」

純「答えろー!」

梓「お願いどいて!ほんとにやばいか…」

梓「……あっ」

ショワーーーー

純「えっ」

憂「まぁ」


……

梓「うっ、ひっく、えぐっ」

純「ご、ごめんって。ほんとに」

憂「梓ちゃんごめんね。梓ちゃんは高校生にもなっておもらししちゃったけど、みんな私たちのせいだから…」

梓「うう…ひっく」


……そして、少しして泣き止んだ梓ちゃんは、しばらくぐずったあと落ち着いたのかつらつらと話しはじめました。

梓「実はね、私普通の人より膀胱が小さいんだ」

梓「小さい頃からわかってたんだけど、それがコンプレックスになってて…」

梓「憂や純にも言い出せなかったんだ…」

梓「あと尿道括約筋も弱くて……」

梓「腎臓の原尿再吸収率も悪くて…」


梓ちゃんは長年ため込んでいたであろう辛い胸中を私たちに打ち明けてくれました。

本当にけっこう病気に近い部分もあったので私たちは内心驚きましたが、悩みを打ち明けてくれた梓ちゃんを精一杯暖かく迎えました。

そして話が終わると、純ちゃんがおもむろに口を開きました。

純「1つ提案があるんだけど…」



……


1週間後。


憂「…でね、体重増えちゃったんだけど、お姉ちゃんがそれは身長のせいだって…」

純「ふーん」

憂「そしたらお姉ちゃんの体重が今度は増えちゃって…」

梓「あはは」


純「ところで梓、トイレは?」

梓「いましてる」

純「そ、そっか」


あの日以来、梓ちゃんは毎日純ちゃんに勧められた紙オムツを履いてくるようになりました。


梓「ふぅ……」

梓「あースッキリした」

純「…」


さすがの紙オムツでも、梓ちゃんが作った笑顔をこぼさずにはいられなかったみたいです。


めでたしめでたし!


     完!



最終更新:2012年08月11日 20:42