唯「ふん~ふふん~♪」

憂「ん?お姉ちゃん楽しそうだけどどうしたの?」

唯「あ、憂~気づいた?実はね…」

憂「なになに?」

唯「けいおん部に入ったの!」

憂「ええっ!?お姉ちゃん楽器ひけたっけ?」

唯「んーん全然…」

憂「だ、大丈夫なの?」

唯「大丈夫!部員の人たちが親切に教えてくれるんだ~♪」

憂「そうなんだ、それなら心配なさそうだね」

唯「うん、毎日がワックワックだよ!」

憂「そっかー、じゃあ私も妹として応援するね!」

唯「えへへ、ありがと憂ー」

憂「うん、それじゃ今日はそろそろ寝るねおやすみー」

唯「うん、おやすみー」


次の日

唯「ただいまー」

憂「おかえりーお姉ちゃん。部活どうだった?」

唯「うん、すっごく楽しかったよ。ギターもちょっとはひけるようになったし!」

憂「へー凄いねお姉ちゃん。いつか聞かせてね」

唯「うん!」

憂「…あれ?」

唯「ん、どうしたの憂?」

憂「腕のところ…汚れてるよ?」

唯「ん…あ、本当だ」

憂「転んだりでもしたの?」

唯「んーん、転んでないよ」

憂「じゃあ何で…」

唯「多分…練習で汚れたかな…」

憂「れ、練習で?でもけいおん部って屋内でしょ?」

唯「うん、そうだよ」

憂「……」

唯「えへへ、気にしないで大丈夫だよ憂」

憂「うん…」

唯「じゃあ今日は寝るねおやすみー憂」

憂「お、おやすみ…」


しかしお姉ちゃんの制服の汚れは日を追うごとに酷くなっていきました。洗えば済む話なのですが私は言い知れぬ不安感に襲われていたのです。

そしてとうとう私はお姉ちゃんの様子を見にいくことに決めました

憂「お姉ちゃん…許して」

私は学校に忍び込もうとしたその時です。

唯「ふんふふん~♪」

憂「あれ、お姉ちゃん?」

お姉ちゃんが丁度校門から出てきたのです

憂「おね…」

唯「ふんふ…」

私は声をかけようとしましたが駆け足でどこかに向かいました

憂「お姉ちゃんこれから部活じゃ…」

私は仕方なくお姉ちゃんについていくことにしました。

唯「ふんふん♪」

憂「お姉ちゃん一体どこにいくんだろう…」

憂「……ん?」

しばらくすると大きな建物らしきものが見えてきました

憂「これは…学校?」

そこには数年前に廃校になった高校がありました。

憂「……あっ」


何とお姉ちゃんがその廃校に入っていってしまいました

憂「お、お姉ちゃん?」

唯「……」

私はどうしょうもなくついていくしかありませんでした

―校舎内―

憂「お姉ちゃんこんなところで一体何を…」

憂「………」

しばらく私は暗い校舎の中でお姉ちゃんを探しました。すると

憂「……ん?」

憂「何か音が聞こえる」

憂「…これは楽器…ギターかな」

お姉ちゃんはギターをやっていると言ってたのを思い出し、私は音がする方へ向かいました

憂「ハァハァお姉ちゃん」


次第に音が大きくなってきて、とうとうとある教室の前にきました

憂「ここは…音楽室?」

私は中を覗いてみました

憂「…あ、お姉ちゃん!」

そこにはお姉ちゃんがいました。しかし様子が何か変です

唯「ん~ここ難しいよ…」

唯「ムギちゃんのお菓子はいつも美味しいね~♪」

憂「お、お姉ちゃん…誰と…」

私はその光景を見て鳥肌が立ちました。お姉ちゃんの周りには誰もいません。いないのに一人で楽しそうに喋っているのです。

唯「え~そんなことないよ~」

唯「あはは、律ちゃんおもしろーい」

私は耐えきれず教室に入りました

憂「お姉ちゃん!」

唯「え?」

そこは汚く壁もボロボロでした。お姉ちゃんの服が汚れていた原因はこれかと思いました

憂「お、お姉ちゃん!こんなところで何してるの?」

唯「う、憂?何でここに?」

憂「そんなことよりここで何して…」

唯「な、何って部活動だよ」

憂「え?」

唯「ここにいる皆でけいおん部の活動してるんだよ」

憂「…み、皆?」

唯「そう、皆で」

憂「…お姉ちゃん」

唯「何?」

憂「皆って、ここにはお姉ちゃん以外誰もいないじゃない!」

唯「え?」

憂「お、お姉ちゃんしっかして!ここにはお姉ちゃん以外誰もいないよ!」

唯「……」

憂「……」

唯「…あ、そっか」

憂「?」

唯「憂、ちょっとこっちにきて」

憂「え?」

唯「いいからいいから、ちょっとこっちきて」

唯「ちょっと手貸して憂」

憂「え…」

お姉ちゃんは私の手をとり、何かを触らせるように手を動かしました

憂「……えっ!?」

唯「これが律ちゃんだよ」

憂「こ、これ何?」

唯「これがムギちゃんだよ」

私は不気味に思いました、そこに何かがいるのです

憂「ちょ、ちょっとお姉ちゃん!何なのこれ?」

唯「えへへ、憂もそのうち会えるよ律ちゃんたちに」

憂「り、律ちゃん!?」

唯「そう律ちゃん。ドラムやってるんだー」

憂「ちょ、ちょっと待ってお姉ちゃん!ここに何かいるよ!?」

唯「そう、いるんだよ」

憂「だ、だからこれは一体…」

唯「憂、幻覚って聞いたことあるでしょ?」

憂「幻覚?普通は見えないものが見えることだよね?」

唯「そう、でもその幻覚の世界は本当にないと思う?」

憂「え?」

唯「この世界には何重にも重なってるんだよ憂」

憂「お、お姉ちゃん何言って…」

唯「現にここにいるでしょ?何かが」

憂「……」

唯「憂、考えないで、感じるだよ」

憂「……」

唯「そうすればきっと憂にも見えてくる違う世界が」

憂「違う…世界…」

唯「そう、だから何も怖がらなくていいよ憂」

憂「……」

唯「…帰ろっか憂」

憂「え?」

唯「家に帰ろう憂」

憂「…う、うん」

こうして私たちはお家に帰りました。
お姉ちゃんの言っていた世界、幻覚の世界、お姉ちゃんの見る景色はいつか私にも見えるのでしょうか



おわり



最終更新:2012年08月12日 21:30