唯「それにしても暗い部屋で映画を見てると目がしばしばするね」

梓「暗いほうが雰囲気出るとか言ったのは唯先輩じゃないですか」

唯「だってーそのほうがいいと思ったんだもん」

梓「まったく」

唯「でも、暗いとどこになにがあるかわかんなくてジュースこぼしちゃいそうになったり、ポテチと間違えてあずにゃんに抱きついたりしちゃうんだよー」

梓「うわっ。あぶらぎった手で抱きつかないでください」

唯「あぶらぎってないならいいの?」

梓「そうじゃないですけど」

唯「えへーあずにーん」

梓「ちょっ」

唯「ひどーい。わたしはあずにゃんに抱きつく権利があるんだよっ」

梓「ないです」

唯「あるです」

梓「まねするなです」

唯「まねしませんです」

梓「ゆーいせーんぱーい」

唯「シーツぬれぬれにしてくれる?」

梓「しませんっ。第一なんですか抱きつく権利って」

唯「だってわたしとあずにゃんカップルじゃん」

梓「また空想の続きですか?」

唯「だって一緒にホラー映画みてるじゃん」

梓「見てますよ。それでどうなるんですか」

唯「わたしたちは恋人同士だねっ」

梓「おかしいですって」

唯「だってあれだよ。ムギちゃんが言ってたよ。恋人は一緒にホラー映画見るものだって」

梓「まあその話がほんとかどうかはおいといてもですよ。恋人は一緒にホラー映画を見るかもしれないですけどホラー映画を一緒に見るからって恋人ってことにはならないじゃないですか」

唯「同じだよ」

梓「違います。唯先輩は街で手つないでる人がみんなカップルだと思うんですか?」

唯「ほぼそうじゃない?」

梓「……ま、まあ、そうですね」

唯「じゃあわたしたちはほぼ恋人だね」

梓「でも、わたしたちがほぼ恋人でも、もしかしたらそのほぼじゃない1%かもしれないじゃないですか」

唯「じゃないよ」

梓「証明してください」

唯「また証明ってあずにゃんは証明星人かっ」

梓「なんですかそれは?」

唯「夜になるたび、唯先輩、わたしたちの愛を証明してくださいとかなんとか言うんだよっ」

梓「いいません」

唯「きっとわたしは大変だろうなあー。『その女の子と何もないって証明してくださいっ』とかさすぐ言われちゃうんだよきっと。わたしが好きなのはあずにゃんだけなのに……あずにゃんめーこのこのー」」

梓「なんですかいったい……」

唯「ちょっとテンションが上がっちゃって……。とにかく今からわたしとあずにゃんが恋人どうしだと証明します」

梓「はい」

唯「ちょっと失礼」

梓「抱きつかないでくださいっ」

唯「はい。証明しました!」

梓「どこがですか?」

唯「あずにゃんはわたしに抱きつかれて照れました。照れたということはわたしのことが好きということです。わたしのことをあずにゃんが好きで、わたしがあずにゃんを好きなのでわたしたちは恋人同士です。証明終了」

梓「ぜんぜん終了じゃないですっ」

たららららーたららららー

唯「くるよくるよ……」

梓「……」

どんっ

唯「……ほっ。なあんだ」

梓「……」

ばあんっ

唯「うわあああっ」

梓「……」

唯「はあ……怖かった。あずにゃんは平気そうだね」

梓「隣から襲われないかのほうが怖いですからね」

唯「なんだとー」

梓「冗談ですよ……ほんとですけど」

唯「わあっ」

梓「きゃあー」

唯「えへへっ」

唯「でも、ほんとにあずにゃんはみためによらず……」

梓「なんですか?」

唯「かわいいね」

梓「小粒ですからね」

唯「どうどう」

梓「実は怖くなくなるちょっとしたコツがあるんですよ」

唯「へえーどういうの?」

梓「映画の出演者の出ている別の映画を考えるんですよ。これがうまくいくとぜんぜん怖くなくなるんです。ああこの人は別のとこではこういうふうにしてるんだって」

唯「ほうほう。だからいつもわたしにこう言うの?」

梓「なんですか?」

唯「『別のところでは他の女に抱きついてるんですよね』そんなことしないよあずにゃん『じゃあ証明してくださいっ』」

梓「だーかーら、言ったことないですってばっ」

唯「終わったねー」

梓「終わりましたね」

唯「あずにゃん電気つけてきて」

梓「えー唯先輩行ってきてください」

唯「あずにゃん行ってよー」

梓「嫌です」

唯「あ、さっき嫌ですって言ったよね?」

梓「はい、それが?」

唯「あずにゃん電気つけてきてください」

梓「嫌です」

唯「はいっ。じゃあえっちしようっ」

梓「なんでですかーっ」

唯「だってーあずにゃん電気つけたくないんだよね。てことは暗いままがいいんだよね。ていうことはあれじゃん」

梓「意味わかんないです」

唯「へえ。じゃあわたしがあずにゃんにいいことしてあげなくてもいいんだ……」

梓「な、ななんでそんな耳もとで話すんですか?」

唯「だってわたしあずにゃんの扱い方覚えちゃったから、ね」

梓「……あぅ」

唯「ベットにいこうか?」

梓「でも……」

唯「あずにゃんのできるお返事は1つだけだよ」

梓「……はい」

唯「あずにゃん下の方はどうなってる?」

梓「……です」

唯「よく聞こえないよ?」

梓「ぬ……ぬれぬれ……です」

唯「よく言えたごほうびだよ」

梓「ひゃっ……耳」

唯「ふふっ。ねえ。あずにゃんはどうしてほしいのかなあ」

梓「……あの、やっぱり」

唯「なに?」

梓「……殺されちゃいますよ?」

唯「それは映画の中だけだよ? ほら、早く言いいなよあずにゃん」

梓「……あぅぅ……えと……その」


がちゃっ

「「あーーずさちゃん」」

梓「うわああああああああああああああっ」


かちっ

憂「と、おねーちゃん…………えと…………わわっ、ごめんなさーーい」

ぱたんっ

梓「ちょっと憂待ってーっ」

憂「あ、梓ちゃん。ごめんねー気が利かなくて」

梓「い、い、いやいやそういうんじゃにゃいから」

憂「あ、かんだ……大丈夫っ。わたしはぜんぜんおかしいとか思ってないよー」

梓「そうじゃなくてあれはそうじゃない」

憂「でも……電気消して、ベットで」

梓「違うのホラー映画見てただけだからっ」

憂「てれなくてもいいよー。ホラー映画の後っていうのはカップルの黄金パターンだよ」

梓「違う違うわたしと唯先輩はその手の関係じゃないから」

憂「今さら隠さなくてもいいよー」

梓「ほんとにカップルとかじゃないんだから」

憂「じゃあなんなの?」

梓「え、えーと………………ほぼ恋人っ!!」


おわり



最終更新:2012年08月24日 08:15