数分後
唯「わたしがギー太買って初めてのライブの演奏は聞き返したら恥ずかしくなっちゃうな~。憂の演奏はどうだったスミーレちゃん? わたしまだライブを録画したDVD届いてないの」
唯「あ、ギー太っていうのはわたしの相棒の名前で――」
菫「は、はあ」
菫(私のことを質問されてると思ってたら話題が二転三転して、いつのまにか憂先輩の話がメインに…)
菫「憂先輩のギターはすごいですよ。ほかの先輩方も直ちゃんも目を見張るくらい上手くて」
菫(上手いというか、指6本ないと弾けないはずの譜面をなんなく弾けるのが人間離れしてるというか…)
唯「よかった~さすが憂だぁ。憂とツインギターしてみたいな」
菫「あ、いいですね。わたしも見てみたいです」
唯「憂に聞いてみるよ~聞いてみちゃうよ~」
菫(唯さんの声ってふわぁっとしてて)
菫(私もふわふわした気分になる)ホワホワ
唯「憂の凄いとこは演奏だけじゃないよー。料理もお掃除もできるし、散らかり放題なわたしの部屋もいつのまにか片付けてくれてるし」
菫「わかります。…えっ片付けて…?」
唯「お買い物もてきぱきこなすし、しかも勉強もできちゃう」
菫「んと……憂先輩のそういうところはやっぱり、唯さんを見習ってきた結果でしょうか?」
唯「それはないよ。わたし家事も勉強もぜーんぜんできなくて」
菫「じゃあ憂先輩の能力は自力であそこまで……凄い人ですね」
唯「自慢の憂だよ~」
菫(おねえさんはもっとしっかりしてくださいよー!!)
唯「だけどね」
唯「今年は心配してたんだよ。憂のこと」
菫「心配…?」
唯「うん。中学上がってから去年まで、憂はわたしのことに時間を使ってくれてたから部活に入ったことないの」
菫「そうだったんですか…」
唯「うん。わたしはわたしですこーし…ううん、中学生のころは憂に頼りきってて、高校生になったらなったで家事手伝わないでギー太ばかり触ってた」
唯「そんな私だったけど、今年は仲間達に助けてもらいながらなんとか一人で生活できてる」
唯「憂はどうだろうな、て気にかかってたんだよね。わたしが居ない分時間できたし、自分のために上手に使えれば良いなとか。部活の過ごし方を見つけたかなとか」
唯「まあお互い話したいときは電話してたから、お互いの状況はだいたいわかってるつもり。杞憂で済んで良かった良かった」
菫(なんだ。憂先輩と比べてだらしない人だと思ったけど)
菫(妹さんのことを大切に想う人だった。全然だらしなくなんかない。しっかりお姉さんしてる)
唯「スミーレちゃんと直ちゃんには感謝してる。電話越しでなんだけど、憂と出逢ってくれてありがとう」
菫「そんなおおげさに……わたしはわたしの思うままに動いてるだけです。直ちゃんもきっとそうにちがいありません」
唯「あはは、そう言ってくれると気持ちが楽になるよ」
唯「ゴメンゴメン個人的なお話しちゃったね。もっと楽しいこと話そ?」
菫「…クスクスッ」
唯「どうしたの?」
菫「いえ、なんか唯さんの印象が180度くらいクルンと変わってしまって。面白いなあと」
唯「えー。今わたし良い印象? わるい印象?」
菫「今も前も良い印象もってますよ。ただ憂センパイに聞いてた唯さんは生活態度のすごくしっかりした人だったので、裏切られた気はしてました」
唯「憂はスミーレちゃんになんて言ったんだろうねえ……」
唯「それにスミーレちゃんが言ったこと、あずにゃんにも似たようなこと言われたなあ…」
菫(梓センパイも!)
唯「あずにゃんったらヒドイんだよぉ? 卒業式当日に私の印象聞いたらだらしないとか、ギー太を大切にしてないとか、抱きつくなとか変なあだ名付けるなとか」
唯「あっそうそう。あずにゃんっていうのは」
菫「知ってます!! 梓センパイのあだ名ですよね!」
唯「おぉー知ってるんだ! よく似合ってるよね~あずにゃん!」
菫「はい! はい! すっっっごくかわいらしいです!」
唯「わかってくれるかいスミーレちゃんよ! ネコミミ装着したら最強! トラミミもグッド! 浴衣もイチ押し! でもやっぱりいちばんはメイド服だよ!」
菫「うわーうわー! 良いですねメイド服! 想像しただけで抱きしめたくなります!」
唯「およっ? 見たことないの!? あずにゃん今年は渋ってるなぁ~」
唯「去年は新歓前に一瞬だけ着てくれたりメイドさんのバイトもしたのに。あとで注意しておかねば、OBとしてっ!」
菫「初耳です! なんだか梓センパイ、わたし達一年生に隠してることがたくさんありそう」
唯「んっふっふっふ。それなら私があずにゃんの秘密を話してあげよう。憂から聞いたことも含めてぜんぶ! 赤裸々に!!」
菫「ありがとうございます!!」
しばらくして
唯「あずにゃんにゃんにゃん♪」
菫「そのフレーズ耳に残りますね!」
唯「うまいっしょ!」
唯「そういえば憂まだ帰ってこない? けっこう話してるのに」
菫「あれ? たしかに」
憂「うぅ…」シクシクシクシク
菫「うひゃあ!! なんでリビングテーブルの下に潜んでるんですか!! しかも泣いてるし!?」
憂「だってスミーレちゃんわたしの携帯勝手に使ってるし…、しかも相手がお姉ちゃんだし…、でもお姉ちゃんもスミーレちゃんも楽しそうだから割り込めなくて、だけどやっぱりわたしもお姉ちゃんと話したいし……、」
菫「なんというか、うん、ほんとにゴメンナサイ」
憂「あっあぁああぁぁあぁ! 私のおねえちゃん取らないで!!!」
菫「取りません!!!」
憂「うん。お姉ちゃんまたね♪」
菫(お姉さんの電話を託した途端に元気になった…)
憂「さてスミーレちゃんっ」
菫「ハイなんでしょう…」ニコッ
憂「どうして私の携帯勝手に使ってたのかな」ニコニコッ
菫「えぅ…その……好奇心というか探究心というか……」
憂「今から罰を受けてもらいます。私の携帯を勝手に使った罰です」ニコニコ
菫「(やっぱり赦してもらえなかったー!)ごめんなさいごめんなさい! 笑顔なのが逆にこわいです!」
憂「…なーんてね」
菫「へっ…?」
憂「ねっねっ? わたしのお姉ちゃん話してみてどうだった? 紬さんとはどんなところ違ってた?」ズイズイ
菫「だから顔近いですってば!!」
憂「スミーレちゃんが答えるまで離れません、お姉ちゃん大好き同盟に賭けてっ」ギュッ
菫「ありましたっけそんな同盟……(腕に抱きつくの好きだなあ憂センパイ)」
菫「私のお姉ちゃんと唯さん……そうですね…」
憂「うんうんっ」
菫「しっかりしてるのはお姉ちゃんです、間違いなく」
憂「ガーン」
菫「というか憂センパイの方がしっかり者…ってちょっと泣かないでくださいよー!?」
憂「エグッ…エグッ…」
菫「でもそんな印象は最初だけですから! 話しているうちに憂センパイのことを大事にしてる優しい人だ、て伝わってきましたから!」
憂「それでそれで?」キラキラ
菫「立ち直り早っ!!」
菫「――優しい人でいいなあ唯さん」
憂「えへへ」
菫「お姉ちゃんなんてお家だと厳しく私に接すること多くて…。どう見ても内心楽しんでるしっ」プクーッ
憂「それはスミーレちゃんのことがかわいいからだよ~」
菫「そりゃかわいがってるんでしょうけど…」
憂「私もあんまりお姉ちゃんがだらしないときは少しきつく言うよ? すこーしだけど」
菫「そうなんですか…? 意外」
憂「メッ、て♪」=b
菫(眼!?)
菫「そ…そっかぁ…お姉ちゃんは全然優しいほうだったんですね……(憂センパイだけは怒らせないようにしよう…)」
憂「う、うん……顔蒼いよスミーレちゃん?」
菫「あのーそろそろお菓子の方作らないと……」
憂「そうだね。うん、色々話してくれてありがとう」
憂「そうそうお姉ちゃんがスミーレちゃんのメアドと電話番号を教えて、て。伝えて良い?」
菫「ほんとうですか!? ハイッ! ぜひ! わたしからもお願いします!!」
憂「あはは、よっぽど気に入ったんだねお姉ちゃんのこと。スミーレちゃんから直接お姉ちゃんにメール送ってあげて」
憂 < お姉ちゃんのメアド送ったよ
菫 < 届きました!
菫(わー! わー! なんてラッキーな日だろ今日!)
菫(最初に送るメールだし文面しっかり考えなきゃ♪)
憂「クッキングの時間だいぶ短くなっちゃったね。ちょっと忙しくなるけど平気?」
菫「ぜんぜんOKです!」
憂「それじゃあらためて準備を始めましょうっ」
菫憂「「おーっ!」」
おしまい!
おまけ
菫「そうそう、この間直ちゃん家にお泊まりしたんですよ」
憂「直ちゃん家? いいなあ。直ちゃんって弟いたよね?」
菫「はいっ! それがなんと四つ子の男の子!」
憂「四ツ子!? お母さん子宝に恵まれたねー」
菫「しかも小学生ですよ小学生!!」
憂「わあ。まだ小さいんだ。大変そう」
菫「しかもしかもわたしの作ったご飯オイシイって言ってくれて! キャーかわいいー!!」プルプル
憂「う、うん良かったね……?」
菫「ハッ! つい///」
おしまいです。
最終更新:2012年09月04日 21:13