唯「ふぁ~あぁ」

紬「あらあら、唯ちゃんおっきなあくび」

唯「あっ、ムギちゃん」

紬「夜更かしでもしたの?」

唯「うん。漫画読んでたら眠れなくなって、ふぁ~」

紬「ふふっ、しばらく寝てたら?」

唯「うん」バタッ

紬「きゃっ! ……唯ちゃん。どうしたの!! …………寝てる」

紬(私の股に顔をうずめて寝ちゃった……//)

紬(どうしよう、もう先生がきちゃうよ)

紬「唯ちゃん、起きてください」コソコソ

紬「唯ちゃん、唯ちゃん」コソコソ

律「ムギ?」

紬「あっ、りっちゃん」

律「こっちは唯か。まったくなんて体勢で寝てるんだ」

紬「りっちゃんどうしましょう。このままじゃ先生がきちゃう」

律「……ところでなんでムギは小声なんだ?」

紬「唯ちゃんを起こしちゃったら悪いと思って……」

律「……起こせよ!!」

紬「……! それもそうね」

律「……」

紬「唯ちゃん! 起きて! 唯ちゃん!!」

唯「ふみゅぅ……ムギちゃん?」

紬「唯ちゃん。はやく起きないと先生がきちゃいます」

唯「……あと10分だけ」

紬「わかりました」

律「いやっ! 起こせよ!!」

唯「りっちゃん五月蝿いなー。いいよ。起きればいいんでしょ……あれ」

紬「どうしたの?」

唯「……はなれない」

紬「はなれない?」

唯「うん。ムギちゃんのお股からはなれないの。くっついちゃったみたい」

紬「///」

律「ムギはなんでそこで顔を赤くする! って、そんなわけないだろ。ほら」ギュ

唯「いたいたいたいたい」

律「いや、首に力入れてるだけだろ、こうやって思いっきり引っ張れば」

紬「きゃっ」

律「うおっ、紬の脚まで持ち上がった?」

唯「きゅ~」

紬「唯ちゃん、しっかりして唯ちゃん!!」

律「本当にくっついてる……だと」


―――

さわ子「なるほど、事情はわかったわ」

紬「先生!」

さわ子「ムギちゃんのお股と唯ちゃんの顔がくっついたのね」

紬「そうなんです」

さわ子「仕方ないからそのまま授業受けて。そのうち外れるでしょ」

紬「はいっ!」

律「おいおい、大丈夫なのか?」

紬「大丈夫です! 唯ちゃんのぶんまでばっちりノートとっちゃいますから」

唯「おー、ムギちゃん頼もしーねー」

紬「あっ、唯ちゃん気づいたんだ」

唯「うん。今日一日よろしくねムギちゃん」


びじゅつの時間

唯「ふぅん。エル・グレコって人がその絵を描いたんだ」

紬「ええ、ちなみにエル・グレコってのはギリシャ人という意味で、
  本名はドメニコス・テオトコプーロスって言うの」

唯「へぇ~、ムギちゃんはものしりだねぇ」

紬「///」

唯「まぁ、私にはムギちゃんのスカートしか見えないんだけど」

紬「唯ちゃん……。私、唯ちゃんの代わりに授業頑張るから」

唯「うん。がんばってね!」

律「あのー、盛り上がってるところ悪いけど、今、向きあってお互いの人物像描く時間なんだけど」

紬「あっ」


トイレの時間

唯「……おしっこ」

紬「……私も」

唯「どうしよう」

紬「するしかないんじゃないかな」

唯「……うん。じゃあいこっか」

紬(美術の時間もそうだったけど、周りの視線が痛い……)

紬「ついたよ」

唯「じゃあ……私からでいいかな」

紬「……うん」

唯「パンツ下ろして、っと」

紬(唯ちゃんの大事なところが丸見え//)

紬(あっ、ちょっとだけ毛が生えてるんだ//)

紬(きれい……)

唯「えーっと、ムギちゃん」

紬「な、なにかな」ビクッ!!

唯「水流して欲しいなって」

紬「あっ、音を聞こえなくするためね。はい」ジャー

唯「…………」ジョー

紬(至近距離だからほのかに聞こえちゃってる……//)

唯「ふぅ、すっきりしたよ。次はムギちゃんの番だね」

紬「うん。……でもどうしましょう」

唯「飲む、とか?」

紬「////」

唯「ムギちゃん? 笑うところだよ」

紬「……フゥ」

唯「本当にどうしよっか」

紬「……我慢」

唯「ムギちゃん?」

紬「我慢するから大丈夫」

唯「ムギちゃん駄目だよ。そんなことしたら膀胱炎になっちゃう」

紬「だけど、このまましたら唯ちゃんの顔におしっこかかっちゃう」

唯「……かけってもいいよ。運動部用のシャワーで洗い流すから」

紬「そんなの駄目!!」

唯「ムギちゃん?」

紬「唯ちゃんにおしっこかけるなんて絶対できません!!」

唯「でもそれじゃあムギちゃんの膀胱が」

紬「他に何か方法があるはずです! 待ってて唯ちゃん。今斎藤に連絡を入れて解決法を探らせるから」

唯「あっ、うん……」

唯(こんなに鬼気迫るムギちゃんははじめてだよ……)

唯(あれっ、ムギちゃんの芳醇な香りに混じって刺激臭がしてきた)

唯(おしっこの匂いだ)

唯(ムギちゃん、我慢できなくてちびっちゃったんだ)

紬「あのぅ……唯ちゃん」

唯「……わかってるよムギちゃん」

紬「ごめんなさい唯ちゃん」

唯「大丈夫。覚悟はできてるから」

紬「ごめんなさい。本当にごめんなさい。お願いだから嫌いにならないで」

唯「む、ムギちゃん?」

紬「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

唯(ムギちゃんが壊れちゃったよ)

唯(あっ、そしておしっこが……)


事後

唯「ムギちゃん」

紬「……」

唯「ムギちゃん! 私ならいいからさ」

紬「……」

唯「とりあえず部室行こ。タオルで髪をふきたいし」

紬「……うん」


紬(唯ちゃんに嫌われちゃった)

紬(……)

紬(唯ちゃんに嫌われちゃった)

紬(……)

紬(唯ちゃんに嫌われちゃった)


ぶしつ

唯「ムギちゃん、ちょっとは落ち着いた」

紬「おしっこの匂い、とれてない」

唯「シャワーしに行こっか」

紬「……うん」

唯「……」

紬「唯ちゃん?」

唯「やーめた」

紬「……?」

唯「ムギちゃんが機嫌なおしてくれるまで行かないよ」

紬「えっ?」

唯「ムギちゃん! 私なら大丈夫だから、そろそろ機嫌直して」

紬「でも唯ちゃん」

唯「……私、ムギちゃんの匂い好きだよ」

紬「へっ」

唯「だからムギちゃんのおしっこの匂いも……そんなに嫌いじゃないんだ」

紬「でも、こんなアンモニア臭」

唯「嫌いじゃないものはないの! わかって!!」

紬「で、でも」

唯「返事ははい!!!!!」

紬「は、はい」

唯「よろしい」

紬「……なんでくっついちゃったんだろう」

唯「ひょっとしたらバチがあったのかも」

紬「バチ?」

唯「うん。実は願掛けしたんだ」

紬「なんて?」

唯「ムギちゃんの匂いをもっとかげますように、って」

紬「……なんで」

唯「ムギちゃんってとってもいい匂いがするんだよ。それにね」

紬「……」

唯「ムギちゃんのこと大好きだから」

紬「……唯ちゃん//」

唯「おしっこまみれで告白なんてかっこつかないよね」

紬「……嬉しい」

唯「……ムギちゃん」

紬「嬉しい!!」

唯「わっ、私の頭に触ったらおしっこついちゃうよ」

紬「だって、嬉しいんだもん!!」

唯「もう、ムギちゃんはしゃぎすぎだよ」

紬「唯ちゃん大好き」

唯「私も」

紬「……そういえば唯ちゃん、誰に願掛けしたの?」

唯「トンちゃんだよ」

紬「なんでトンちゃん?」

唯「亀は縁起がいいって言うし」

紬「じゃあトンちゃんにお願いしてみましょ。くっつきを解除してくださいって」

唯「うん」

紬「とんちゃんさん、とんちゃんさん。どうか二人を離してください」

唯「離してください」

トンちゃん「……」

紬「……」

唯「……離れた!」

紬「唯ちゃん!!」ダキッ

唯「うわっ、だからムギちゃんにもおしっこついちゃうって」

紬「でも……」

唯「ほらムギちゃん、シャワーしに行こう。手、繋いであげるから」サッ

紬「……うん//」ガシッ

唯(これで一件落着、かな……)

唯(……ちょっとだけ嫌な感じがしたな。『どうか二人を離してください』なんて)

唯(……)


翌日

澪「あ、ムギ」

紬「あっ、澪ちゃん。風邪大丈夫だった? お見舞いに行けなくてごめんなさい」

澪「うん。律がきてくれたから大丈夫」

紬「そういえば今日はりっちゃんきてないみたいだけど」

澪「うつしちゃったかな、はは//。それよりムギも昨日は大変だったんだって?」

紬「うん//」

澪「なんで赤くなるんだ」

紬「だって//」

澪「よくわからないことがわかったよ。それで唯はなんでムギの胸に頭をうずめてるんだ?」

紬「寝不足だって」

澪「ふぅん。でももう先生くるから、そろそろ離れたほうがいいんじゃないか」

紬「そうだね。ほら、唯ちゃん起きて。先生がきちゃうよ」

唯「ぅ~ん、ムギちゃんとってもいい匂いだよ~」

紬「唯ちゃん! 匂いなら後から好きなだけ嗅がせてあげるから//」

唯「ふぅ~よく寝た……あれ?」

紬「どうしたの?」

唯「ムギちゃんの胸から頭が離れなくなった」


おしまい!



最終更新:2012年09月07日 19:53