唯「いずれ私の名前は全国の音楽の教科書に載り」

唯「私の誕生日は国民の休日となるだろう」ふんす!

律「い、いきなりなんだぁ?」

紬「凄い自信家ね…」

澪「と、隣のクラスの平沢さん…だよな?な、何か用ですか?」

唯「部員が四人集まらなければこの部は廃部になると聞いてな」

唯「この千年に一人の超・音楽の天才である平沢唯様が入部してやろうというワケだ」クイッ

律「(なんで初対面なのに上から目線なんだよ…!)」

澪「にゅ、入部希望…ってこと?」

唯「平たく言えばそうだな、平沢だけに。アッハッハッ」

紬「(頭からお茶ぶっかけた~い)」

律「そこまでゆーからには何か楽器出来るんだろうな?」

澪「おい、そんな喧嘩腰に言わなくても…」

唯「私に出来ない楽器は無い!」

唯「その証拠に一曲演奏してやろう」すっ

紬「え?…バイオリン?」

唯「本来ならば演奏料三千万はいただく所だが…」

唯「今日は五千円で良い」

律「払わねーよ!」

唯「」~♪

澪「(あ…)」

紬「(…自分で天才って言うだけあって上手ね)」


唯「」…♪

唯「どうだ聞き惚れたか?それとも私に惚れたか?」

唯「来るキス拒まず、楯突く男は殺すが私のモットーだ」

唯「さぁ存分に私に愛をぶつけろ!」

律「ていっ!」ばしっ

唯「あ痛っ!」

律「調子に乗るな」

律「(…凄かったけど)」

澪「良い演奏だったよ!」

紬「感動しちゃった~」

唯「当然だ、何故なら天は俺に二物…いや、三物も四物も与えてしまったからな」

澪「実力は申し分無いな」

澪「でも…」

唯「なんだ告白か?赤い糸なら既に両手両足の指全てにつながっているぞ?」

澪「いや、そうじゃなくて」

澪「ここ、軽音部だからさ…バイオリンはちょっと…」

唯「がーん」

紬「他に出来る楽器はある?」

唯「言ったはずだぞお嬢さん」

唯「私に出来ない楽器は無い」

澪「じゃあギターは弾けるかな?」

唯「ギター?」

澪「この軽音部、ギターが居なくてさ」

澪「前に出るの好きそうだし…どう?」

唯「良いだろう、バンドには華が無ければな」

唯「私がその華になってやろう!」

律「…」イラッ

紬「じゃあ、平沢さんこれ」すっ

唯「…随分ぼろっちぃギターだな」

紬「物置にあった奴でごめんね、でも実力を見てみたくて…」

唯「そういうことなら仕方無い、弾いてやろう」

唯「…」

律「…弾かないの?」

唯「弾き方が分からん」

律「おおっと!」ガタッ

澪「大丈夫か?」

律「いてて…」

紬「出来ない楽器は無いんじゃ…」

唯「その通り、私に出来ない楽器は無い」

唯「どんな難解な楽器も一日でモノに出来る」ふんす!

律「そういう意味かよ…」

澪「これからに期待…かな?」

唯「まぁ見てろ」

唯「何かギターの指南書的な物はあるか?」

澪「これで良ければ…」すっ

唯「センキューお嬢さん」



唯「…で、これがこうか」~♪

澪「凄い…弾けてる…」

律「マジかよ…一時間も経ってないぞ」

紬「本当に天才なのかも」

唯「何度も言わせるな、私は天才だ」

唯「二千年に一度のな」

紬「(さっきは千年に一度って言ってたような…)」

澪「なんだか凄い人が入部してきたな…私も負けられないな」

律「だな」

唯「…そういえばお前達の演奏を聞いてないな」

唯「是非聞かせてくれ」

澪「…分かった」


律「じゃあ行くぞ?ワン、ツー…」カッカッ


澪「」~♪

紬「」~♪

律「」~♪


唯「…」

唯「…」

唯「(オムライス食べたい…)」ぐ~


澪「ど、どうだったかな?」

唯「なんというか…」

唯「まぁまぁだな」あっさり

律「…あたしらが大して上手くないのは分かってるけどムカつくな」

唯「う~ん…や~ば~い~お前らは天才だ~私の負けだ~」

律「真面目に聞けよ!」

唯「まぁまぁだな」あっさり

律「ぐっ…!」

紬「あ、あはは…」

唯「…でもまぁ」

唯「とても楽しそうな演奏だった」

唯「改めてお願いしよう」

唯「軽音部に入部させてくれ」

澪「…これから宜しくな!」グッ

唯「こちらこそ」グッ

律「あの~…あたしが部長なんだけど」

唯「ハッハッ、冗談はカチューシャだけにしておけ」

律「どーゆー意味だっ!」

唯「そんなにカッカするな、可愛い顔が二割増しだぞ」

律「それもどーゆー…って、可愛くなってるなら良いだろ!」

澪「何をやってるんだか…」


紬「お茶、いれましょうか」くすっ


いっしゅうかんご!

紬「お茶が入りましたよ~」

律「待ってました!」

唯「これの為にココへ来ているな私は」

澪「…おい」

唯「なんだしかめっ面なんかして、彼氏にでも振られたか?」

唯「おいで、優しく抱きしめてや…」

ゴン!

唯「」

澪「そうじゃない!」

律「(み…澪があたし以外の人間に鉄拳を振るっただと…?)」

澪「お前ら、ココをなんだと思ってる」

唯「喫茶店」

澪「違う!」

澪「私達は軽音部だ!練習しないでどうする!」

律「…あ」

紬「ご、ごめんなさい…」しゅん

唯「そういえばそうだったな」

澪「それに唯!」

唯「はい!」

澪「いつまで借り物のギターを使う気だ?」

澪「軽音部員たるもの自分の楽器を持たずしてどうする!」

唯「!」

唯「(確かに…あのギターじゃ私の才能の5%も出せないしな)」

唯「仕方無い」がたっ

律「唯?」

唯「ちょっと出かけて来る」

紬「どこに行くの?」

唯「楽器屋」

律「…まさかギターを買いに行くのか?」

唯「そのまさかだ」ふんす!

澪「ちょ、ちょっと待て!」

澪「ギターがどれだけするのか知ってるのか?いくらピンキリとはいえ…」

唯「私に金は必要ない」

唯「必要なのはコイツだけだ」すっ

律「バイオリン!?」

唯「それじゃあな、ふふっふ~ん♪」すたすた…

律「行っちゃった…」

紬「唯ちゃん、鞄置きっぱなし…」

澪「本当にバイオリンだけ持ってったのか…!?」

律「も、もしかして…」


唯『ぐへへ…誰も見ていない…盗むなら今のうちだ』


律「なんてことを!」

紬「た、大変!」

澪「唯を追いかけよう!」



がっきてん!

澪「はぁ…はぁ…た、多分ココに唯は…」

律「ぜぇ…ぜぇ…息が…」

紬「!」

紬「い、居たわ!」

律「どこだ!?」

紬「カウンターの所!」



唯「もしもーし店員さーん、このギターをくれ」

店員「はぁ…じゅ、十五万円になりますが…?」

唯「なんだそれっぽっちか」


唯「良いか、今日この日…私と巡り会えた幸運に存分に感謝しろ」

唯「お前の為だけの平沢唯オンステージだ!」すっ…

店員「バイオリン…?」


唯「」~♪


律「店内で演奏し始めたー!」

紬「凄い綺麗な音…」

澪「バイオリンを弾くときはホント別人みたいだな…」


唯「」…♪

唯「…私の演奏には百万ドルの価値がある」

唯「釣りはいらねぇ、取っておけ!」

店員「!」じーん

店員「か、感動しました!このギターは持っていって下さい!」

店員「ああでも、これだけじゃ足りませんよね…ええと」

唯「いーや、これで充分だ」

唯「私の演奏を聞けたことを好きなだけ友達に自慢する許可をやろう」

店員「ありがとうございます!」ばっ


澪「嘘だろ…」


唯「ん?なんだお前達も来てたのか」

唯「そんなに私が恋しかったか?仕方無いな…」

唯「さぁ来い!三人まとめて愛してやる!」

律「そいやっ」ばしっ

唯「あ痛っ!」

律「調子に乗るな」

唯「あたた…ん?」

唯「(意外と叩かれるのも…悪くない)」

唯「もう一度お願いします!」

律「な、なんだよ!」ぶるっ

律「み、みお~…」

澪「はは…」

澪「そ、それより凄いな唯!」

澪「そのギター、結構良さそうじゃないか」

澪「まさかタダで手に入れるとは…」

唯「タダ?」

唯「支払いなら済ませた、この店丸ごと持ってける程な」

律「…本当にお前の自信はどっから来るんだ」

唯「自信が有りすぎて私も困っている…天才故の悩みだな」

紬「(素なのか計算なのか…)」

唯「さて、もう行くぞ」

澪「そうだな、唯もギターを買った?し」

澪「これで練習が出来…」

唯「?帰るんだよ」

澪「え?」

唯「必要以上のサービスはしない主義なんだ」

唯「じゃ、また明日」すたすた…


澪「ゆ、唯!」

律「…行っちゃったな」

紬「もう見えない…」

澪「ち、ちくしょー!」


唯「ウワハハハハハハ」たたたっ…


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最終更新:2012年09月08日 21:44