しんがっき!

律「今日からあたしらも二年生かー」

紬「皆はもうクラス分け見た?」

律「あたしは二組」

紬「本当?私も二組なの!」

唯「私もだ、何故なら確率の女神の寵愛を受けているからな」

唯「さぁ、クラスだけでなく身も心も私と一つになろう!」

律「せいやっ!」ばしっ

唯「あ痛っ!」

紬「唯ちゃんは変わらないわね~」

律「この馬鹿は…あ、澪はどのクラスだった?」

澪「…一組だった」

律「えっ」

澪「皆は二組なのに…」

澪「なんで私だけ…」

紬「(ど、どう声をかけてあげたら良いのかな…)」

律「澪」

澪「…何?」

律「寂しくなったらいつで…」

唯「いつでも私の胸に飛び込んで来い!深い愛でお前を包んでやる!」ばっ

律「いきなり割って入るなー!」

澪「…それはいらない」

唯「がーん」

澪「うう…」

紬「元気出して澪ちゃん」

唯「そうだそうだ、お前に涙は似合わない」

澪「でもぉ…」


和「あ、いたいた澪」


紬「貴方は…」

唯「ん?なんだ和じゃないか」

唯「私に愛を届けに来たのか?」

和「天地がひっくり返っても有り得ないわ」

唯「…相変わらずクールビューティだな」

和「私、澪と同じクラスになったの」

和「だから挨拶に…」

澪「和ぁ!」がばっ

和「きゃっ!」どてっ

紬「(早々にキマシタワー!//)」

澪「知ってる人が居て良かったぁ…」よよよ

和「(重い…)」

和「こ、これから一年間宜しくね?」

澪「宜しくお願いしますっ!」


唯「仲良きことは」

紬「美しきなり//」


しんかん!

澪「…」カリカリ

律「澪、何作ってんの?」ひょい

澪「部員募集のビラだ」カリカリ

澪「今の時期は新入部員をゲットするチャンスだからな」カリカリ

律「にゃるほど」

紬「にゃるほどー!」

澪「…出来た!」

澪「じゃあ早速配ろうか」


唯「ちょーっと待った」

澪「どうした唯?」

唯「ただ配るというのもつまらないとは思わないか」

澪「意味が分からん」

唯「…さわちゃん!」パチン!

さわ子「例の物はココに」さっ

律「何時の間に!?」

紬「…ショーケース?」

澪「なにそれ」

唯「ファッションも天才である平沢唯が厳選した…」がさごそ

唯「コスプレの衣装だ!」デデン!

律「コスプレ?」

唯「そうだ」

唯「部員を手に入れる為には、思わず目を惹くようなインパクトが必要だ」

唯「まずはナース、これは鉄板だな」

唯「お次はチャイナドレス、スリットがたまらーん」

唯「この水着なんかは凄いぞ」

唯「布の面積の少なさもさることながらおケツの部分が…」

澪「唯」

唯「コスプレ第一号はお前か、澪」

唯「さぁ、どれでも好きなのを…」


ごん!


唯「」


律「すっげー…体育館が人でいっぱいだ」

紬「これ、みーんな新歓ライブを見にきた一年生なのかしら?」

律「っぽいな」

唯「いーや、私の愛するべきファンの皆だろう」

律「無いな」

紬「無いわね」

唯「おっと、ジェラシーか?心配するな」

唯「ちゃんと、お前らも愛して…」

律「そういや、澪は?」

紬「澪ちゃんならあそこ」

澪「…」ごろごろ

澪「…はっ!」がばっ

澪「…」

澪「うー…」ごろごろ

律「何やってんの?」

澪「ききき緊張してるから、リリリラックスしようと」

律「…澪はライブの度にガチガチになる癖をなんとかしないとな」


唯「見つけた、私の女神」

唯「私と愛のメロディを奏でないか?」

女子生徒「えっ?えっ?」あせあせ


律「お前はもっと緊張しろ」

さわ子「貴方達、そろそろ出番よ」

律「お、もう?」

さわ子「早く準備なさい」

紬「はい!」

律「聞いたか?行くぞ澪」

澪「…分かった」

律「よし!」

律「唯、お前も…」


唯「君と出会えたのは偶然なんかじゃない」

唯「これはきっと必然…」


律「いつまでやってんだ」ばしっ

唯「あ痛っ!」

律「ほら行くぞ!」がしっ

唯「わ、私の女神ー!」ずるずる…

『次は軽音部による新入生歓迎ライブです』

ぱちぱちぱちぱちぱち…

唯「入学おめでとう、私の運命の女達よ!」

唯「私は天才ギタリスト・平沢唯!えら~い人だ!」

唯「いずれ私の名前はグーグルの検索ランキングのトップになり…」

唯「私のサインは一枚三十万円の価値になるだろう!」

律「…」

唯「だが心配するな、お前達の為に後で特別にサイン会を開いてやる」

唯「お望みならほっぺにキスまでしてやろう!」

唯「無論、私にキスしたいという奴も大歓迎だ、ハッハッハッ」

律「早く始めろー!」ばしっ

唯「あ痛っ!」


ほうかご!

澪「…誰も来ない」

唯「おかしいな、ライブは大成功だったはずだ」

律「どこがだよ」

律「変なMC入れるわ、軽音部だってのにバイオリンは弾くわ、客席にダイブしかけるわ…」

澪「絶対、間違った印象を植え付けたな…はは」

唯「ウーダウダ言ってないで、どんと構えてろ」

唯「果報は寝て待つべし、ただし天才はそれに限らない…だ」

律「反省の欠片も無いな」

紬「お茶ですよ~」

がらっ

梓「…」

紬「あら?」

唯「ん?だーれだお前?」

梓「私を軽音部に入れなさい」

澪「入れなさい…って」

澪「も、もしかして入部希望の子?」

梓「そうです」

律「確保おおおぉぉぉぉぉ!!」がばっ

梓「」すっ

律「いてっ!」どたっ

梓「やめなさい」

紬「(なんて身のこなし…!)」

梓「で、責任者は誰です?」

唯「お前がたったいまやっつけたソイツだ」

律「ぶ、部長の田井中です…」がくっ

梓「何!?」

唯「いーけないんだーいけないんだー」

唯「めーがみーにーいってやろー」

梓「ぐっ…!」

梓「(まさか…いきなりミスをするとは…)」

梓「(ミスは罪だ…罪は…許されない…)」

梓「…」

梓「う…くっ…」ぽろっ

唯「!」

澪「おい、唯!言い過ぎだ!」

紬「大丈夫?怖かった?」

律「あ、あたしなら大丈夫だからさ!」


唯「(…やべっ)」


梓「すみません、もう落ち着きました」

澪「ごめんな、コイツは本物の馬鹿なんだ」

律「それにかなりの女ったらしでさ」

紬「下半身で考えてるような人だから…」

唯「おい最後」

梓「やはりそういう人ですか」

梓「新歓の時にも思いましたが、かなり軽薄な人物のようですね」

澪「そうなんだよ」

梓「ですが、他の皆さんは頼れそうな方ばかりだ」

梓「是非、入部したい」

律「歓迎するぜ!」

唯「…」

唯「(…なーんでか分からんが、コイツは私の女神センサーに引っかからんな)」

唯「(むしろ、イライラする…)」

紬「ねぇ、お名前はなんて言うの?」

梓「そういえば自己紹介がまだでしたね」

梓「私の名は中野梓

梓「1・2・3(あ・ず・さ)と呼びなさい」

澪「あずさか…良い名前だな」

律「これから宜しくな梓!」

紬「一緒に頑張りましょう、梓ちゃん!」

梓「ええ」

梓「」チラッ

唯「!」

梓「唯センパイ…でしたね、宜しくお願いします」

唯「『六千年に一人の天才』の唯センパイだ、宜しく」

梓「そうですか」プイッ

唯「(コイツ…!)」

澪「梓は何か楽器が出来る?」

梓「ええ、パートはギターを」

律「お、唯と一緒か」

紬「ちょっと弾いて貰っても良いかしら?」

梓「まだ未熟ですが…では」

梓「」~♪

唯「!!」

律「(…上手いな)」

紬「(唯ちゃんも大概、上手だけど…)」

澪「(唯と同じくらい…いや、それ以上かも)」

梓「」…♪

梓「いぇい☆」

澪「(そして可愛い…//)」

紬「(ぎゅってしたい…//)」

律「こりゃまた凄い新人が来たな」

律「な、唯?」

唯「…65点と言った所だな」

梓「」ピクッ

律「(何、見栄張ってるんだよ!)」

唯「(だ、妥当な評価だ!)」

梓「…65点ですか、確かにそうですね」

梓「では、唯センパイ、お手本を見せていただけませんか?」

梓「天才と自負するだけあって、さぞ素晴らしい演奏なのでしょう?」

唯「手本だぁ?」

澪「(ど、どうするんだ唯?)」

唯「…」

唯「!」カッ!

梓「!?」

唯「しまった、そろそろデートの時間だ!」

唯「後輩に手本を見せたいのは山々だが仕方無い、アデュー!」たたたっ

律「逃げたー!?」

紬「(ゆ、唯ちゃん!)」たたたっ

紬「(ちょっと格好悪いんじゃ…)」ひそひそ

唯「(悔しいがアイツは私よりギターが上手ーい)」

唯「(だから相手にしなーい)」

唯「(それに限ーる)」

紬「(ええー…)」

唯「じゃ、まったなー」たたたっ


澪「行っちゃった…」

律「もう見えないな…」

梓「(勝った…!私はセンパイに勝った!勝ったんだー!)」



ごじつだん!

がらっ

唯「憂!」

憂「わっ!な、何?」

唯「ギターの特訓だ!付き合ってくれ!いや、付き合え!」

憂「う、うん?」


よくじつ!

がらっ

梓「こんにちは」

澪「梓か」

唯「…」

律「これで皆揃ったな、じゃあ…」

梓「練習ですね」

唯「茶だ」クイッ

紬「は~い」

梓「何!?」

澪「やれやれ…」


2
最終更新:2012年09月12日 02:42