澪「…一つ言って良いか?」

律「どしたの澪?」

唯「眉間にシワなんか寄せたら、美人が台無しだぞ」

澪「…なんで水着を着てるんだ」

律「そこに行くべき海があるからだ!」ばん!

唯「そこにナンパすべき女が居るからだ!」ふんす!

澪「私達は練習しに来たんだー!!」

澪「早く着替えてこい!!」

律「えー、遊んでから練習で良いじゃん」

唯「律の言うとおりだ、たまには弦を張り替えなきゃ良い音は出せないぞ」

澪「普段から遊んでるだろ!」

すたすた

梓「お待たせしました」

紬「お、遅れてごめんなさ~い」

澪「ムギ、梓!ちょうどいい所に!」

澪「どうか二人も止めてくれ、律と唯が海へ行こうとしてるんだ」

澪「このままじゃ去年みたいにほぼ練習しないで終わ…」

紬「まぁ!」

梓「事情は把握しましたが…」

梓「で、その二人はどこです?」

澪「へ?」

澪「…」

澪「あーっ!居ない!に、逃げたなーっ!?」


律 唯「「ウワハハハハハハハ」」



律「喰らえ唯ー!」ばしゃっ

唯「ハッハッハ、やったな律ー?」

唯「今度はこっちの番だ」ニヤッ

唯「ゥワン!ワンワンワン!!」じりじり

律「ぎゃー!来るな変態ー!」


澪「…結局今年もこうなるのか」よよよ

紬「うふふ、でも楽しいじゃない?」

澪「そうだけどさ…」


梓「海に入る前には準備運動をしなければならない」

梓「皆はしっかり、体を動かしてから入りなさい」

梓「腕振りなさーい、振りなさい♪」


律「ふー…遊んだ、遊んだ」くたっ

唯「全くだ、思わず童心に返ってしまった」

梓「もう満足ですか?なら、練習しましょう」

律「んー…今日はもう良いんじゃないか?」

唯「お腹が減って力が出ん、ご飯か愛を下さい」

澪「却下だ」

梓「夕暮れにはまだ時間がある、練習すべきです」

梓「貴方達に付き合ってあげたのだから今度はこちらの要求を聞きなさい」

唯「体まっくろくろすけになるくらい遊んでた奴に言われてもな」

梓「これは体質だ、仕方の無いことだ」

紬「簡易ステージならあっちにあるわ」

澪「よし、行こうか」

律「あーい…」


れんしゅう!

澪「」…♪

梓「今の演奏は良かったですね」

澪「ああ、律もちゃんとリズムキープ出来ていたし」

紬「唯ちゃんのギターも主張し過ぎずにバッチリ合ってたわ」

澪「二人ともやれば出来るんじゃないか!」


唯「…空腹と疲労でふざける気力も湧かん」

律「お腹空いた…」


澪「…空腹で無駄な力が抜けただけか」

紬「ご飯にしましょうか」くすっ


梓「ごちそうさまでした」

唯「実に美味いハンバーグだった」

律「あたしの得意料理だからな!」

紬「りっちゃんが料理上手なんて知らなかったわ」

澪「律は意外と家庭的な所があるよな」

律「あたしだって乙女なんだぞー?」

唯「ああ、知ってる」グイッ

律「わ!な、なにす…//」

唯「お前が本当は可愛らしい女の子だってことは、とっくにお見通しだ」

唯「カチューシャを外したお前はどんな女神になるのかな?」すっ

律「あ…//」

澪「(わわわ…//)」

唯「…思った通りだ、美しい」

律「お、おかしーし…//」

唯「おかしくなんてない」

唯「むしろ、お前の甘い香りで私がおかしくなりそうだ」

紬「(これはキマシ…)」

梓「やめなさい、不純だ」ばっ

唯「いい所だったのに!」

紬「(…チィッ)」

律「あ、危ねー…乗せられる所だった//」

澪「(あ、あんな顔した律…初めて見た//)」

律「あ、あはは…なんか変な汗かいちった」

律「お風呂入ろうぜお風呂」

紬「そうね…」

澪「そ、そうだな」


唯「お前はことあるごとに私に突っかかってくるな、私が大好きなのか?」

梓「冗談は休み休み言いなさい」

梓「貴方を見ていると、苛つくことこの上無い」

唯「その気持ーちーのー名ー前はー愛だー♪」

梓「断じて違う!」


澪「お前らは入らないのか?」

唯 梓「「入ります!」」


おふろ!

唯「…似てるな」

紬「何が?」

唯「澪と梓だ」

唯「梓なんか、髪をおろしたら澪と殆ど変わらん」

律「確かに」


澪「わぁ…綺麗な髪だな梓」

澪「滑らかで羨ましい…」

梓「もっと褒めなさい」ふんす!


唯「ただ…一つだけ決定的な差がある」

紬「それって…」

律「まぁ、十中八九アレだよな…」

唯「そうだ」


澪「」ドン!

梓「」ぺたーん


唯「さしずめ、澪がバーストモードで梓がセーブモードだな」

唯「アッハッハッハ」

律「(あれ?私もムカついてきた)」

紬「ゆ、唯ちゃん…」


梓「…」


梓「平沢唯」ざっ

唯「ハッハッハッ…ん?」

梓「その命…」

梓「神に返しなさい!!」

梓「ア・ズ・サ・ナ・ッ・ク・ル・ラ・イ・ズ・ア・ッ・プ」

梓「ハッ!!」しゅっ

唯「ぶっ!!」

律「(こ、こめかみにモロ…)」

梓「あの世で悔い改めなさい…」


唯「」


澪「だ、大丈夫か唯ー!?」

紬「(よっぽど気にしてたみたいね…)」


唯「み…澪…」

澪「唯、しっかりしろ!」

唯「私は…もう駄目だ…だから…最期に…」

澪「ゆ、唯!」


むにゅ


澪「へ?」

唯「去年よりデカくなったな、私は嬉しいぞ」ふにゅん

澪「き…//」

澪「きゃーっ!!!」


ごん!


まだまだなつやすみ!

梓「…」PRRRR…

ピッ

憂『はいもしもし、憂です』

梓「やぁ憂君、私だ。今駅前に居るのだが、共に交友を深めないか?」

憂『…行きたいですけど、ちょっと今は手が離せなくて』

憂『久しぶりに良いニスが作れそうなんです』

梓「そうか…分かった」

梓「また改めて誘う」

憂『ご、ごめんなさい』

ピッ

梓「…予定が狂った」

梓「他に誘える友は居ないし…」

梓「どう暇を潰したものやら…ボタン採集にでも出かけようか?」


唯「いーざ、すーすーめーやーゆ・いー♪」すたすた

唯「めーざすはーめーがーみ・よー♪」すたすた


梓「…あれは唯センパイ?」

梓「…」

梓「後をつけてみるか」

梓「あのナンパ師がどんな一日を過ごしているのか…」

梓「白日の下に晒してやる!」たたたっ


唯「ふんふふっ~ん♪」すたすた

唯「ん?」ぴたっ

唯「…」じー


梓「(…ショーウインドーの前で立ち止まった?)」

梓「(展示されているのはウェディングドレスだが…)」

梓「(まさか、結婚願望があるのか?)」


唯「うーん、今日も良い女だ平沢唯」

唯「私が平沢唯じゃなければ、真っ先に求婚してやるのに」

唯「アッハッハッハ…」すたすた


梓「(…ガラスに映った自分に酔っていただけか)」


唯「らーらーらー♪ひっらさわー♪」すたすた


梓「(…今の所は動きが無いな)」

梓「(いや、充分動いてると言えば動いているが…)」


唯「ららるらー♪」くるくる

唯「ん?」


女1「…でさー」すたすた

女2「あはは、マジ?」すたすた


唯「今日の私はツイてるな」

唯「カワイコちゃん二名、愛の楽園へご案内だ」


梓「(…何をする気だ?)」


唯「…」ざっ

女1「それでね…うん?」

女2「何?あんた?」

唯「あたたたたたた!」ばたっ

唯「い、痛い…!!」

女1「え?な、なんなの?」

唯「い、痛いんだ…助けてくれ…!!」

女2「ど、どこが痛いの?」あせあせ

唯「心だ!」しゅたっ

女1「はっ?」

唯「…お前達を見ていると、心が締め付けられるように苦しいんだ」

唯「それは何故か?」

唯「お前達という双子のヴィーナスに惚れてしまったからだ!」

唯「さぁ、そんな私を哀れに思うなら、お前達の愛で私を満たしてくれ!」


梓「(…ミュージカルでもやっているつもりなのか、あの女は)」


唯「さぁ!さぁ!」

女1「なんなのコイツ…」

女2「い、行こ?」


たたたっ…


唯「…」

唯「今時の子はシャイだな」

唯「ま、いずれ私の魅力の虜になるまで気長に待つか」

唯「天才は総じて寛大だからな、ハッハッハッ」すたすた


梓「(…哀れだ)」


唯「お腹が空いたな」

唯「久々にオムライスが食べたいなぁ」

唯「愛情たっぷりの」


梓「(そういえば、もう昼か)」

梓「(私も朝からコーヒーしか飲んでいないからお腹が…)」ぐ~


唯「…」

唯「こんな時はメイドさんカフェだな」

唯「そうと決まれば善は急げだ!」たたたっ


梓「あっ、待ちなさい!」たたたっ


カランコロン

唯「お前達、待たせたな!皆の平沢唯のご帰還だ!」

メイド1「あ、唯ちゃん!お帰りなさいませ!」

メイド2「また来てくれたんだね!私、と~っても嬉しいにゃん☆」

唯「私もと~っても嬉しいにゃん☆」

唯「ハッハッハッ、つくづく素晴らしい時代だ」


梓「(突然走ってどこへ行くかと思えばメイドカフェだと!?)」

梓「(本当に女のことしか頭に無いのか!?)」

梓「(どうする中野梓、私も中に入るべきか…否か…)」


メイド3「むむ?」

メイド3「ねぇ、お店の前で何やってるのかにゃ?」

梓「何?」くるっ

メイド3「じ~…って、誰かを見てたみたいだけど」

メイド3「も、もしや!」

梓「待て、私は怪しい者ではな…」

メイド3「メイドに興味があるの?」

梓「えっ」

メイド3「ねぇ、そうでしょ!凄い顔で見てたもの!」

梓「違う、私は…」

メイド3「おっけー、暇だから特別にメイド服着せてあげる。君可愛いし」

メイド3「そうだ猫耳も着けてあげよう!」

梓「やめなさい!誤解だ!」

メイド3「なんかテンション上がってキター!」

メイド3「おいで、コッチだよ☆」がしっ

梓「離せ!私を誰だと思ってる!私は中野だぞ!」ずるずる…


4
最終更新:2012年09月12日 02:45