…
『お知らせです』
『次は桜高軽音部による演奏の予定でしたが』
『プログラムを変更し、吹奏楽部の演奏を始めます』
「え?軽音部のライブやらないの?」ざわざわ
「去年の演奏凄かったから今年も期待してたのに」ざわざわ
「平沢さんのMC聴けないんだ…」ざわざわ
和「(唯…やっぱり治らなかったみたいね)」
『また、演奏の中止理由についてですが…』
『そのことについて軽音部から説明がございます』
澪「こ、こんにちは!軽音部です」
澪「突然、演奏発表を中止してごめんなさい」
澪「でも、これには理由があるんです」
律「言い訳みたいになっちゃうから、細かくは言わないけど」
律「今のあたし達はベストではありません」
紬「このままの状態で演奏しても、きっと皆には楽しんで貰えないし」
紬「私達もきっと後悔すると思うんです」
梓「ですから…」
梓「私達は…」
ギィィィ…バタン!!
梓「!」
「私の名前は!!!」
「えら~い人だ!!!」
澪「えっ?」
律「この声…」
紬「まさか…」
梓「…唯センパイ!?」
唯「いずれ私の功績は伝記として語り継がれ」
唯「私の音楽は永く後世に伝わるだろう!!!」
わああああああああああ!
「平沢先輩だー!」
「ああ、そういう演出なのかな?びっくりしちゃった!」
「これこれ、これが聞きたかったの!」
唯「ハッハッハッ、宜しくー皆のアイドル平沢唯を宜しくー」
唯「おっと、サインは一人一枚までだ」
唯「だが愛なら、望むだけやろう!」
和「唯!」
唯「おお、織姫!」
和「貴方、風邪はもう大丈夫なの?」
唯「そんなものとっくの昔に治っている」
和「じゃあなんで、こんなギリギリまで…」
唯「それはだな」
唯「…」
唯「なんでだっけ?」
和「な!」
唯「さーて、早くステージに上がらなければ」たたたっ
…
唯「よっと!」ひょい
唯「待ったか皆?ああ待っただろうな、みなまで言うな」
澪「唯!」
律「大丈夫なら連絡くらい寄越せ!」
唯「悪ぃ、気付かなかった」
紬「風邪は平気なの?」
唯「全く、皆聞くことは一緒だな」
唯「風邪なら三日前には完治している」
梓「では何故…」
唯「んー…」
唯「まぁ、理由は色々あるが…一番の理由は」
唯「私の性格が悪いからだ」ニヤッ
律「はぁ?」
梓「どういう意…」
梓「!」
唯「理解したか梓?」
梓「…目立ちたいから、なんて言ったら貴方を許しませんよ」
唯「ピンポーン、ムギからハワイ旅行二泊三日をプレゼントさせよう」
紬「えっ?」
紬「二泊三日だけでいいの?」
澪「乗らなくていいぞムギ」
唯「アッハッハッハッー!」
梓「やはり貴方は度しがたい」
梓「私には理解出来ない」
唯「良く言われる、年に七回くらいな」
梓「それだけ言われて何故、自分の性格を直そうとは思わないのか不思議です」
唯「直す?長所は伸ばすものだろ?」
梓「…ふぅ」
律「はい、そこまで」
澪「観客がおいてけぼりにななってるぞ」
唯「おっと、私としたことが」
唯「すぅ…」
唯「待たせたな、私の運命の女達よ!」
唯「八千年に一人の大天才・平沢唯と運命の女神達の復活だ!」
わああああああああああ!
唯「さぁ、一曲目だ!」
澪「ふわふわ時間!」
律「ワン、ツー!ワン、ツー、スリー、フォー!」カッカッ
…
私達の音が講堂いっぱいに広がってゆく
それはまるで、幾重にも折り重なった翼のように
きっとこの学園祭も成功するだろう
そう確信出来るのは、皆が笑顔だからだ
無論、私が天才だからというのも多分にあるがな
そして私は願う
奏でたこの音が今日限りのものではなく永遠に誰かの心に響くことを
唯「終わったかと思ったか?残念、もうちょっとだけ続くぞ、ハッハッハッ!」
ねんまつ!
唯「キンクリにも程があるだろう!」ばん!
律「急にどうした?」
唯「独り言だ」
澪「なぁ、皆は年末はどう過ごす予定なんだ?」
梓「私は普通に家で過ごします」
律「あたしもかなー」
紬「私も今年は日本でゆっくりするの、去年はあちこちパタパタしてたから」
唯「私は忙しいぞ、主にデートで」
唯「うっかりダブルブッキングしたりしないように調整に苦労した」
澪「じゃあ、唯以外の皆に提案があるんだけど」
梓「提案?」
澪「皆で年末パーティしないか?」
紬「パーティ!?」キラキラ
律「おお~、なんか楽しそうな響きだな!」
澪「だろ?」
澪「皆でお鍋の食材とか持ち寄ったりしてさ」
律「年越しソバを食べたりとか?」
梓「ならばコタツにミカンは外せませんね」
紬「コタツ…ミカン…//」ぱあああ
澪「どうかな?」
律「あたしは賛成!」びしっ
紬「私も!」びしっ
梓「私もだ!」びしっ
唯「…」
澪「じゃ、決まりだ」
律「場所はどうすんの?」
澪「ムギの所…は駄目かな?」
紬「ごめんなさい、私の家は予定が詰まってちょっと…」
澪「そっか、無理言って悪いな」
律「じゃあ、どうすっかな~」
唯「はい!はいはーい!」
澪「唯?」
唯「私の家を提供してやろう!」
律「あれ、忙しいんじゃなかったの?」
唯「忙しい?何のことだ?」
紬「デートの約束があるってさっき…」
唯「…」ピッ PRRRR…
唯「もしもし、お前の平沢唯だ」
唯「悪いが年末のラブラブデートはお預けだ」
唯「必ず、別の日に埋め合わ…え?また浮気?違う違う!」
唯「この前のは誤解だと何度も言ったろう?」
唯「信用出来ないって…じゃあ例えば、私と非通知で掛かってきた自分の孫と名乗る電話と」
唯「どっちが信用でき…え?非通知?」
唯「そりゃないぜ、めが…」プツッ
唯「…」
澪「…」
唯「年末、暇なんだけど…」
澪「…唯もパーティするか?」
唯「…する」
おおみそか!
がちゃっ
唯「いらっしゃい、良く来たな」
律 澪 紬 梓「「「「お邪魔しまーす」」」」
憂「こんばんわ、皆さん」
律「おっす憂ちゃん!」
澪「一晩、お世話になります」
紬「なります!」
憂「い、いえ!こちらこそ…」
梓「寒いね」
唯「暖房ならそこだ、猫みたいに丸まってていいぞ」
梓「では遠慮なく」ぬくぬき
唯「ちょっと皮肉ったんだが…」
唯「おっと、鍋の食材は皆ちゃんと持ってきたんだろーな?」
澪「私は白菜とか色々な野菜を持ってきた」
律「あたしは豆腐や、きのこ!」
紬「私は黒毛和牛を10kgほど…」
唯「うおっ…金持ちのアドバンテージ活かしまくりだな」
唯「中野、お前は?」
梓「しらたき」
唯「出てけ」
梓「冗談です」
梓「私は鍋の食材ではなく、食後のデザートを持ってきました」
憂「楽しみです」
澪「そういう唯は何を用意したんだ?」
唯「私か?私の食材はな…」
唯「私だ!」ふんす!
唯「さぁ、パクッと食べちゃってくれ!」
紬「どうやって捌きましょうか?」
律「まずは三枚におろすか」
唯「ごめんなさい、本当にごめんなさい」ガクガク
澪「忘れたなら、忘れたって言え」
梓「ミカン美味い」むぐむぐ
最終更新:2012年09月12日 02:47