澪「……たまに、誰かが甘えてきたら、受け止めて欲しい」

唯「……澪ちゃん、とか?」

澪「うん……唯に、してほしいなぁ、って、甘えちゃったりするから」

唯「えへへ……任せて。甘える可愛い子は、大好きだから」

澪「可愛い子なら…誰でも良さそうだけどな、唯は」

唯「……わかってるのに拗ねたフリする子も、とっても可愛いと思うよ?」グッ

澪「んっ……」


元々肩を合わせて寝転んでいた姿勢から、転がるように唯先輩が澪先輩の上に覆いかぶさった。
そしてそのまま、澪先輩の額、鼻の頭、頬にと順にキスの雨を降らせる。
澪先輩がくすぐったそうに口を開こうとすると、


澪「ゆぃ……んっ」

唯「んちゅ……ちゅるっ。んふっ、やっぱり唇が一番いい?」

澪「そりゃ…キスって本来そういうものだし……」

唯「ん…じゃああとでいっぱいしてあげる……あとで、ね」ペロッ

澪「ひあぁっ!」


唯先輩が澪先輩の首筋を舌先で勢いよく舐め上げる。
唇よりもピンポイントで激しい刺激に、見ているこちらが驚くほどの声を上げてしまう澪先輩。
くすぐったいのか気持ちいいのか……表情を見る限りでは両方のようだけど。


唯「思ったよりしょっぱくないね」

澪「……そんな、わかるくらい汗かいてたら…恥ずかしいし……」

唯「どっちみち今から汗かくんだけどねー。ほらほら、脱がせてあげよう。ばんざーいして?」

澪「ん……」


蕩けた表情で言われるがままの澪先輩からは普段の威厳なんて微塵も感じられないけど、きっとそういうところを唯先輩は可愛いと評するんだろうな。
完全にスイッチ入ってる澪先輩に対して、唯先輩はいつも通りに見えるけど……


澪「ひゃんっ!」


澪先輩のシャツを脱がせながら脇を舐めたりもしているあたり、そういうコトをしているという意識はあるらしい。
……あの人のことだ、単に舐めるのが好きなだけの可能性もあるけど。


唯「んー……こっちを先に全部脱がしておこうかな。澪ちゃんはすぐに濡れちゃうからね」

澪「そ、そんなこと……」

唯「あるよー。私、澪ちゃんの身体のことなら結構知ってる自信あるよ?」

澪「……もしそうだとしても……相手が唯だから、だよ」

唯「っ……澪ちゃん……それは反則だよ」

澪「あっ…!」


上半身ブラ一枚のままの澪先輩は、唯先輩の手により下半身を包むものをあっという間に全て剥ぎ取られてしまう。
素早いと言うより慌てているような唯先輩は、仰向けの澪先輩の肢体に視線を這わせたままタオルケットを乱暴に掴み取って澪先輩のお尻の下に敷いた。
一瞬だけそちらに目をやって位置を確認した後、唯先輩は我慢の限界と言わんばかりに澪先輩の唇に飛びついた。飛びつくように唇を重ねた。


唯「ちゅ、んっ、んぢゅる、んむ――んふぁ、っちゅ……」

澪「んっ!? んむ、ぁ、ふぁ――はぁっ、んうっ……!?」


唇を重ねるだけのキスから始まり、澪先輩の唇全体を吸い上げるような強いキスに発展して。
一呼吸置いた後、唯先輩は澪先輩の口腔の中に舌を滑り込ませたようだった。
一瞬戸惑った澪先輩が舌を絡め始めると、今度はその舌を吸い上げるように唯先輩が唇を細める。

じゅるるっ、と水を啜る音が響く。
赤い顔をした澪先輩の目の前で唯先輩は喉を鳴らし、何かを飲み込んだ。


唯「……えへへ」


薄く、どこか妖艶に微笑む唯先輩が、蛇のように細く舌を伸ばす。
澪先輩が首を持ち上げ、それにしゃぶりつく。吸い付いた後、顔を傾け、角度を変えて、より深く求める。
下にいる澪先輩は唯先輩を引き寄せるようにその頬に手を添え、上の唯先輩の手は我が侭を言う子供をあやすかのように澪先輩の頭を撫でている。
次第に澪先輩の瞼は閉じられ、しかしそれとは反するように唇と舌の動きは激しさを増しているようだった。もちろん、唯先輩の方も。


澪「んっ……」


程なくして、澪先輩がほんの少しだけ下半身をよじらせた。
それを感じ取ったらしい唯先輩が、頭を撫でていた手を澪先輩の露出した大事なところへと運ぶ。
そしてそっと、人差し指だけですくい上げた。


澪「あっ…!」

唯「…ふふっ。やった、キスだけで澪ちゃんを濡らしちゃった」

澪「っ、ゆ、唯が……上手くて、エッチだから…いけないんだ……」

唯「澪ちゃんのほうがエッチだと思うけどなぁー……ま、いっか」


言いながら唯先輩は澪先輩の液を人差し指と親指で挟んで弄び、糸を引いたのを見て満足そうに微笑むと指を自分の口に運んだ。
ますます顔を赤くした澪先輩の前で指についた液を舐め取り、吸い取り、
そうして今や唯先輩の唾液だけで濡れ光る指を逆に澪先輩の口元に近づけると、一瞬の躊躇の後、澪先輩も同じように口に含んだ。

唯「んっ……」

澪「んじゅる……ちゅるっ……」

唯「…えへへ、澪ちゃん、もう一本お願い」

澪「んむっっ、ん、れろっ……ちゅうっ」

唯「……んふふ…そのままお願いね、そのまま続けてて」


澪先輩の口の中に吸い込まれた唯先輩の右手の人差し指と中指は、ここから見える感じでは特に動かされてなどはいないようだ。
ただ純粋に澪先輩の舌の動きに任せているということになる。口内で澪先輩の舌がどんな風に絡みつき、舐め上げ、しゃぶりつくしているのか。
想像するしかできない範囲だけど、恍惚とした顔の唯先輩が次の動きに移ったという事はそれなり以上の効果はあったようだ。


唯「えいっ」

澪「んんっ!? ああああっ!?」


唯先輩が自由な左手で、澪先輩の豊満な胸をブラの上から左右に擦る。
胸を揉むというより、擦ることに重点を置いたその動き。目的はきっと擦ることによる、その下にある先端への直接的な刺激。
いつもはそこを守る役目も持つはずのものによる、予想外の刺激。それのほどは澪先輩の姿を見る限り、強すぎたようで。
「ごめんね、続けて?」と言いながら、唯先輩は澪先輩が指を舐めながらも悶えられるギリギリのラインを見極めようとゆっくりとブラを擦り始めた。
しかし、どうにも澪先輩の反応は芳しくない。


澪「んんっ……はぁ、はぁっ……」

唯「……うーん……やーめたっ」

澪「へっ…? あっ、ゆい……?」

唯「はずすよ?」

澪「うん……ぁ……」


ようやく取り去られた、澪先輩を包む最後の1ピース。
それを手放し、服を着たままの唯先輩は生まれたままの姿の澪先輩に崇めるように、愛おしく、それでいて奉仕するようにうやうやしく頭を近づけ、腹部に口付けをした。
しかし、その唯先輩らしくない無駄に丁寧な扱いもそこまで。澪先輩の唇に右手の人差し指と中指を再度乗せ、先程の続きを行動で懇願する。
澪先輩が再び二本の指を口に含んだのを見て、唯先輩は空いている左手と舌先で澪先輩の胸の両の突起を刺激し始めた。

指と舌で、どちらも同じように先端を擦るような弾くような強めの刺激を与えると、澪先輩の身体が大きく跳ねる。
突起の周囲を回すように広く長く刺激を与えると、澪先輩の身体は細かく震える。
左右別々の動きをさせてみると、澪先輩は感じながら左右に身体をくねらせる。
唯先輩はそれらを全部熟知しているようで、澪先輩の反応すべてに嬉しそうな微笑みを浮かべ続け、愛撫し続ける。


唯「…ん、そろそろこっちに行こうかなー?」

澪「んっ……」

唯「……いい?」


澪先輩は口を開こうとして、そのままコクリと頷いた。
唯先輩は素直に甘えて欲しいから聞いたんだろうけど、あの真面目な澪先輩が「して」だなんて恥ずかしげもなく言えるはずもない、ということかな。
大学生になっても、こうして唯先輩と身体を重ね続けても恥ずかしがりな一面は改善こそされても無くなりはしないらしい。
唯先輩が澪先輩の下の方に顔を運ぶ。その姿を口元に手を当てて羞恥と期待に震えるその様子、確かに唯先輩なら可愛いと言いそうだ。
そしてあの人なら、そんな姿をもっと見たい、もっと声を聞きたい、と思うはず……


唯「わぁ、やっぱりびっしょり……」

澪「ううっ……」

唯「……窓、閉まってるよね」

澪「へっ…?」


情事の前の戸締りくらい、恥ずかしがりの澪先輩が確認しないはずはない。
でもなんで今更そんなことを気にしているんだろう、と疑問に思ったのもつかの間。

じゅるるるるるっ!! と、結構な大音量で水分を吸い上げるような音が部屋に響いた。


澪「ひゃうぅぅっ!? や、やあぁぁっ!!!」


ここからは澪先輩の秘所の様子までは見えないけど、さすがにあれほどの音が出るほどの量の液が分泌されているとは思えない。同じ女の子として。
だからきっと、唯先輩がわざと唇をすぼめたり舌を挟んだり息を調節したりして大きな音を立てたんだ。
もちろん、澪先輩を恥ずかしがらせる、その為だけに。


澪「やあっ、唯、やめてぇっ!」ガバッ

唯「ふも? へも、いいへひょ?」

澪「ひあっ!? 口つけたまま喋るなぁっ!!」

唯「んっ……んくっ…ふぅ。ん、ダメだったかなぁ?」

澪「………」

唯「……みおちゃん?」


あまりの恥ずかしさに上半身を起こしてまで抗議した澪先輩だけど、今は一転して蕩けた瞳で唯先輩を、いや、唯先輩の口から喉あたりを見つめている。
何の躊躇もなく自分の愛液を飲み込む唯先輩に毒気を抜かれた、といったところかな。


澪「唯は……いつも、ちょっとだけイジワルだ」

唯「ごめんごめん。やっぱり恥ずかしがる澪ちゃんがかわいくって」

澪「……今度、仕返ししてやるっ」

唯「……じゃあ、その時イジワルばっかりされないように、ちゃんとしてあげないと、ね」

澪「あっ……んくっ」


唯先輩が再度澪先輩のトコロに顔を埋めて水音を立て始める。
今度は過剰な音ではなく、適度な音。澪先輩の耳に届き、性的興奮を喚起させる程度の音。
局部から感じる快感を耳に届く音が倍増させ、さらに舐められていることにより羞恥を覚えると共に、舐めてくれるという行為そのものにより相手を愛しくも思う。


唯先輩がどういう風にやっているのかは見えないけれど、舐めるという行為で心のいろんなところが満たされるのは、私もよく知っている。
憂のことも満たしてあげてきたつもりだし、憂にもたくさん満たされた。
憂に舐めてもらうと、本当に気持ちよくなっちゃって……


梓「(……んっ……)」


……考えないようにしよう。あぶない。
さっきから隣の憂の様子が気になって仕方ないけど、見ないようにしよう。
見たらきっと、歯止めが利かなくなるから。


澪「……っ、んはあぁっ! んっ、あああっ!!」


澪先輩が一際大きく嬌声を上げる。
見ると、唯先輩が澪先輩のそこにかぶりつくように大きく口を開いて押し付けていた。
あれは……舌を入れてる? いや、それだけじゃなく、澪先輩の不規則な感じ方を見る限り、澪先輩の中でいろいろと動かしているみたいだ。

気持ちいい……のかな。
私も憂も、文字通り身体を重ねるような、身体の表面の触れ合い、愛し合いで満足してしまうことが多いからそっちの感覚はあまりわからない。
でも…うん、今の澪先輩の感じ方は演技には見えないし、とても扇情的で、色っぽくて、綺麗だ。


澪「んくっ、ああっ、はぁ、ああんっ!!」

唯「んー………」モゾッ

澪「やっ、あっ、ゆいっ、あっ、ひゃあぁぁんっ!」ビクンッ


澪先輩の太ももの上から手を回して、唯先輩が澪先輩の秘所の近くのあれに触れた。
触れたり舐めたりする私達でもよく終盤に触れる、あれに。
瞬間、必然的に澪先輩の身体は跳ね上がる。しかし、唯先輩が上手く上から手を回して押さえているため、大きな動きは出来ない。
つまり、唯先輩による内と外からの快楽責めから逃れられない。


澪「あっ、ひあっ、あぁっ、んああああっ……!」


涎を垂らし、腰を震わせ、両手でタオルケットを握り締め、全身で気持ちよさに悶え続けて数分後。


澪「――――!!!!!」


澪先輩は、私が聞いたことのない声を上げて、果てた。


唯「……ねぇねぇ、だいぶ気持ちよくなりやすくなったんじゃない? 中も」

澪「ん……はぁ……っ、そう、かも……」

唯「次は外の刺激無しでいけるといいねー。そしたら次はもっと奥のほうに手を伸ばしていこっか。……手っていうか、指?」

澪「………」

唯「……澪ちゃん?」

澪「……なんか……唯の好みに合わせて、身体が変えられていくみたいで……」

唯「……嫌? 私はそんな澪ちゃんの身体も大好きだよ?」

澪「…………」

唯「……だめ?」

澪「………もう少し、待ってて」

唯「……?」

澪「……仕返し」

唯「あっ…! えへへ……待ってるっ」




……なるほど。
こうして見学してみると、最初は唯先輩がとても上手な人で、澪先輩の感じ方までコントロールしているように見えたけど。
要はそれらは単純に、二人で重ねた時間と身体を重ねた回数に由来しているだけっぽかった。
唯先輩が澪先輩の身体を知り尽くしていて、きっと逆もそうなんだ。上手い下手じゃなく、それだけなんだ。

澪先輩は知識を得ようとはするだろうけど、積極的に試そうとはしないだろうし。
唯先輩は逆に手探りでいろいろ試してしまうタイプだけど、澪先輩が本気で嫌がることはしないだろうから。

この二人なら、そういうやり方同士で案外上手く噛みあっているんじゃないかな。
だったら私は私で、憂とのやり方を見つけていけばいいんだ。焦ることはないんだ。

って、憂とのやり方、って、なんか卑猥な言い方になってしまったけど、ただの偶然で――


憂「(……あずさ、ちゃん)」ギュッ

梓「(う、憂!?)」

憂「はぁ……はぁ、っ…」

梓「」ゴクリ

憂「(ごめん……一回だけ、ちょっとだけでいいから、さわって……?)」

梓「(っ、で、でもっ……気持ちはわかるけど、すごくわかるけど、さすがに……)」


さすがに、そんなことをすれば音でバレるだろう。音じゃなくても、声でも。
正直、かなり昂ぶってる今、声も身体の動きも抑えきれる自信はない。
辛うじて理性が「したい気持ち」を抑えているだけだ。今はまだ、抑え切れているだけ。
でも。


憂「(……わたしも、さわってあげるから)」


その一言で、理性なんてあっけなくどこかに飛んで消えていってしまった。

憂が触ってくれる。気持ちよくしてくれる。それはとても嬉しいこと。私の、何よりの幸せ。
もちろん、その逆は憂の幸せ。”する”ことは、私たちの幸せ。

唯先輩達に見つかっちゃう?
別にいいんじゃないかな。私達だって今まで二人のを見ていたわけだし、二人に見られてもおあいこだよね。


梓「……憂」グイッ

憂「梓ちゃん……んっ」

梓「ん……」チュッ


そうやって、一度その気になってしまえば。
あとはもう、目の前の可愛い恋人の姿しか見えない――







最終更新:2012年09月19日 20:33