フエンタウン ポケモンジム
アスナ「やあ、お待たせ。マグマ団のことで話があるってことは……あなたがツツジさんの言ってた、和って人?」
憂「えーっと、わたしはそうじゃなくて、和さんの代理の憂と申します」
アスナ「ああ、そういえば代理の子が来るかもしれないって言ってたな。それで?」
憂「これをあなたに渡すように言われました。マグマ団アジトのカードキーです。あ、一応アジトの大体の位置も知ってます」
アスナ「なるほどなるほど……わかってきたよ。うんうん。私がマグマ団のアジトを潰せってことだね!」
憂「え、いや潰せまでとは和ちゃんは言ってなかっ」
アスナ「うんうん!確かにツツジも『マグマ団、アクア団と本格的に戦う前にジムリーダー達の招集をするべきです!』って言ったね!」
憂「はい、そうしてもらえると」
アスナ「だけど!えんとつ山にはアクア団も来てるんだろ?奴らの前にマグマ団のアジトを押さえないとね!」
憂「ちょ、ちょっと待ってください!一旦、和さんに連絡を取らせてください。アスナさんも、できれば他のジムリーダーの方に連絡を……」
アスナ「うん、わかったよ!」
憂「(危なっかしい人だなぁ……)」
マツブサ「ところで、お前は何をしに来たんだ?まさか俺に戦いを挑むつもりか?」
和「まさか。あなたと正面から戦って勝てるなんて思ってません。
今頃、私の仲間がジムリーダーに協力を要請してる。アジトのカードキーを渡したから、ジムリーダー達にアジトを突き止められるのは時間の問題よ」
マツブサ「この俺を脅すつもりか?」
和「ええ。アジトが見つかれば、あなた自身の情報もジムリーダー達に知れ渡る。そうすれば警察にも……あなたは永遠にポケモンを使えなくなるわ」
マツブサ「ハッ!ジムリーダーや警察が怖かったら、大地を広げられるかよ」
和「そうでしょうね。でも、アジトに隠されてる潜水艇を失ってもいいの?」
マツブサ「……知ってたのか」
和「グラードンやカイオーガが眠ると言われている海底洞窟に行くには、潜水艇が必要。アクア団はカイナシティで『潜水艇そのもの』を奪おうとしてたみたいだけど……
マグマ団は潜水艇を自作し、『心臓部の部品』のみを奪う計画」
マツブサ「ああ……だから潜水艇を失うわけにはいかないと?」
和「違うの?」
マツブサ「ははははは!大違いだな!」
マツブサ「古臭いアジトも!!作りかけのポンコツ潜水艇も!欲しけりゃ全部くれてやるわ!!」
和「な……!?」
マツブサ「ホムラの奴と同様、アジトも潜水艇ももういらねえんだよ!」
マツブサ「グラードンとカイオーガを操る『あいいろのたま』と『べにいろのたま』を手に入れた以上、もうこそこそとアジトに隠れてる必要はねえ
まあ、カイオーガを目覚めさせる気はねえがな」
和「だ、だったら尚更潜水艇が必要でしょ?」
マツブサ「ああ必要だな。だが、デボンが作った『心臓部の部品』は、それをもとに設計されたカイナ造船所の潜水艇にしか使えないってことがカガリの調べでわかってな。
だからどっちも奪うことにした」
和「本末転倒ね……カイナシティはアクア団の縄張りで、潜水艇を奪うことが難しいから自作しようとしたんでしょ?」
マツブサ「ふふ、それがな、いるんだよ。アクア団にも……ホムラのような、バトルさえできればそれでいいって連中がな」
和「まさか、アクア団と内通して……!?」
マツブサ「その通り。これもお前のおかげなんだぜえ?アクア団のことを色々と調べてくれたからな。おかげで付け入るスキを見つけることができた」
和「っ…………!」
マツブサ「おっと、そろそろ本題に戻るか。お前が心配してくれなくても、アジトに残された情報は全部処分してある。まあ、ホムラ達のグループは知らねえだろうがな。
むしろ、アジトにアクア団のボスかジムリーダーでも来てくれたら喜ばしい限りだ」
和「どういうこと?」
マツブサ「えんとつ山の作戦開始後、アジトのコンピューターにアクセスして情報を取り出そうとすれば、爆弾が作動してアジト全体が崩れ落ちる仕掛けを作らせておいた」
フエンタウン
憂「うーん、全然通じない……」
アスナ「こっちも、ツツジさんに連絡できないよ。忙しいのかな」
憂「他のジムリーダーさんには連絡できないんですか?」
アスナ「うむむ、できないことないんだけど、私は最近リーダーになったばかりの新人で、しかもドジっていろいろなミスをしまくってるから
同い年のツツジさん以外からは全く信頼されてないんだよねえ」
憂「そ、そうなんですか」
アスナ「そういうわけだから!とりあえず私がアジトに行ってみるよ!」
憂「どういうわけですか!?」
アスナ「事態は一刻を争うからね!大丈夫大丈夫、軽い偵察だから!」
タタッ
憂「待ってください!私も行きます!(この人だけじゃ不安すぎるよ……)」
和「爆弾なんて……ハッタリでしょ?」
マツブサ「信じたくなけりゃそうすればいいさ。ん、どうした?体が震えてるように見えるが」
和「くそっ!!」カチャ
和「もしもし?憂??なんで……通じない!!」
マツブサ「お仲間に連絡か?良いこと教えてやろう。このおくりび山では電波が通らねえんだ」
和「!!」
マツブサ「この深い霧が原因だとか、ポケモンの怨霊が原因だとかいろいろ噂はあるがな……
とにかく仲間と話したければここから離れることだ」
和「……ヤミカラス!!」
ボンッ
和「そらをとぶ!!」
バサッバサッバサッ
マツブサ「はっはっは。仲間によろしくな!」
デコボコ山道
憂「この辺でマグマ団を見かけました」
アスナ「なるほど!それで、どの辺に向かっていったのかな?」
憂「やっぱり言わなきゃだめですか?」
アスナ「当然!ジムリーダーとしてアジトに乗り込まないとね!」
憂「……あっちの方向に歩いていきました」
アスナ「OK!ありがとう!じゃああなたはフエンタウンで待ってて!」
憂「あ、ちょっと!私も行きますから!」
アスナ「ダメだ!一般人の、しかも女の子を巻き込むわけにはいかない!」
憂「アスナさんだって女の子でしょう?っていうか、アスナさんだけじゃ正直不安なんです!」
アスナ「」グサッ
憂「あっ」
アスナ「ふ、ふふふ……言うねえ?私これでも結構繊細なんだよ?傷つくよ?」
憂「ご、ごめんなさい!今のはなんていうかそのあまりにも話が通じないからつい」オロオロ
ゴドドドドド
アスナ「私だってジムリーダーになったんだ!一人で戦えるよ!」
ドガドドドドドドド
憂「それはもちろんアスナさんは強いと思うけど、私が心配なのじゃそうじゃなくて」
ドドドドドドドドドドド
アスナ「……ねえ、さっきから明らかに尋常じゃない音が聞こえてこない?」
憂「うん……しかもアジトの方向から」
アスナ「よくわからないけど行かないと!」
ダッ
憂「あ、待って!」
タタッ
和「間に合えばいいけど……!ヤミカラス、急いで!」
ヤミカラス「カァー」
ヒュンッ
和「(私が甘かった……マツブサにあれほど読まれてたなんて)」
和「(次にマツブサが起こす行動は……いや)」
和「(とにかく今は憂と合流しないと……あの子のことだからジムリーダーと一緒にアジトに乗り込みかねない。
もちろん仮にそうなっても大丈夫なようにバトルして実力があると判断したんだけど……爆弾はポケモンの腕じゃどうしようもない!)」
マグマ団アジト(跡地)
アスナ「なんだ……これ。この瓦礫の山がアジト?」
憂「ついさっきの音はきっとアジトが崩れ落ちる音だったんだ……」
アスナ「こんな山の中に無理やり、アジトなんて作るから土砂崩れが起きちゃったのかな」
ガラッ
???「ううっ」
アスナ「誰かいるよ!」
憂「大丈夫ですか?」
アオギリ「おのれ……マグマ団め!!許さん!」
憂「!!アクア団のマーク!」
アスナ「お前!アクア団の団員か!」
アオギリ「団員?……フフフ、いや、私はアクア団『そのもの』だよ」
アオギリ「私はアクア団総帥、アオギリだ!!」
アスナ「ええっ!なんでアクア団のボスが瓦礫の中から現れるの?」
アオギリ「貴様は……フエンジムリーダーだな」
アスナ「あ、私のこと知ってるの?新人なのに有名人なんだなーてへへ」
憂「(アスナさん……もうちょっと空気読んで!)」
アオギリ「えんとつ山での騒ぎを聞きつけてジムトレーナーと調査に来たってところか……フン」
アスナ「まあいいや!ジムリーダーとしてあなたの身柄を拘束する!」
アオギリ「私の身柄を拘束?私は忙しいんだ……マグマ団に報復しなければならないからな。おとなしく自分の街に帰れ」
アスナ「嫌だ!ジムリーダーとして、悪の組織のボスを放っておくわけにはいかない!」
アオギリ「そうか。穏便に済ませてやろうと思ったのだが……痛い目を見ないとわからんようだな!」
アスナ「バトルなら望むところだ!行けー!コータス!!」
ボンッ
コータス「ンボァー」
アオギリ「サメハダー!」
ボンッ
サメハダー「キシャアアア!」
アオギリ「アクアジェット!!」
ビュン!バシャンッ!
効果は抜群だ!
アスナ「早いな……コータス!のしかかり!」
ズシーン!
サメハダー「シャッ……!」
コータスはさめはだで傷ついた!
アオギリ「フフフ……得意の炎技はタイプ不利で使えず……直接攻撃をすればサメ肌でダメージを受ける。貴様に勝ち目はない。
降参をお勧めする。今ならまだ見逃してやってもいいぞ?」
アスナ「ふん!それはこっちのセリフ!降参しても見逃すつもりはないけどね!」
アオギリ「いつまでその強気が持つかな?ところでそこのお前、戦わないのか?ジムリーダーがピンチだぞ?」
憂「あ……(二人の迫力に圧倒されちゃってた……)」
アスナ「ダメだ!憂を危険に晒せないし、2対1なんて卑怯なことはジムリーダーとしてできない!」
アオギリ「2対1だろうと私は一向に構わんがな。まあ戦いたくないならそこでボーっとしていればいいさ。サメハダー!滝登り!」
バシャアアアア!
効果は抜群だ!
アスナ「くそお!コータス!」
アオギリ「まだ倒れないか……思ったよりタフだが、あと一発ってところだろう。サメハダー、アクアジェ」
憂「ラキちゃん!!」
ボンッ ジャシャアアア!
アスナ「ラッキーがコータスの盾に!?」
アオギリ「フフフ、ようやく参戦か。ラッキーとは、珍しいポケモンを持っているな」
アスナ「憂、だめだ!」
憂「だめなのはアスナさんだよ!私のことを心配したり、2対1がダメとか言ってる場合じゃないよ!」
アスナ「う……」
憂「私だって本当は戦いたくないけど、それでも戦わなきゃいけないときのために頑張ってきた!だから少しは信用してよ!」
アスナ「……一般人なんて言ってごめんね。うん!君は立派なポケモントレーナーだ!一緒に戦おう!」
憂「うん!」
ガラガラガラ
アオギリ「!」バッ
アスナ「なんだ?また瓦礫から物音が……」
ガシャアアアア
ホムラ「うおおおあおあああ!!」
憂「……!さっき山道にいたマグマ団の人……」
アオギリ「なんだ貴様。生きていたのか」
ホムラ「アオギリィイイイィィ!!よくも俺らのアジトをぶっ壊しやがったな!」
ホムラ「ウヒョヒョヒョ……ぶっ殺す!!」
アオギリ「マツブサに捨てられたことがわからないのか。哀れな奴だな」
ホムラ「いけっ!!バクーダ!」
ボンッ
バクーダ「バオオオオン!」
アオギリ「愚かな男だ……」
アスナ「ちょっと!私達との戦いの途中でしょうが!」
憂「あ、アスナさん」
バサッバサッ スタッ
和「よかった、無事みたいね」
憂「!!和ちゃん!大変なんだよ、今」
和「ええ、大体察しがつくわ」
アスナ「和ちゃん?あなたがツツジさんの言ってた和って人か!」
和「あなたは、フエンジムリーダーのアスナさんね。憂が世話になってるみたいで、ありがとう」ペコ
アスナ「あ、いえいえこちらこそ」ペコ
和「って、呑気に挨拶してる場合じゃないわね。アスナさん、ツツジに連絡はした?」
アスナ「それが、何度電話しても出てくれなくて」
和「やっぱり……私もよ」
アスナ「何かあったのかな?」
和「おそらく、潜水艇の部品を奪うためにデボンを襲撃したマグマ団と戦ってると思う。マツブサは行動を急いでるはずだから」
アスナ「そんな!じゃあ助けに行かないと!」
和「もちろんそうしたいけど、まずはこっちをなんとかしないと」
アスナ「あいつら私達を無視して勝手に戦ってるんだし放っとけばいいだろ!」
和「そうはいかないの。ホムラは元々戦いさえできればマグマ団の目的なんてどうでも良いと考えてる。だからこそマツブサに裏切られた。
アオギリがそれを利用しないわけがないわ」
ホムラ「ウヒョヒョヒョヒョ!!」
ドゴォ!ボァ!
アオギリ「~~~!~~~!」
憂「……バトルの音でよく聞こえないけど、アオギリって人は何か言いながら戦ってるみたいだね」
和「ホムラを取り込むために説得してるのよ。おそらくホムラはすぐにアオギリ側につくわ。単純な男だからね」
アスナ「じゃ、じゃあどうすれば!」
和「落ち着いて!ジムリーダーでしょ?あなたは私達よりもずっと強いんだから、作戦の中心になってもらわないと」
アスナ「作戦?」
和「即興だけどアオギリとホムラを倒す作戦を考えたわ。アスナさん、それにはあなたの力が必要なの」
アスナ「……わかった。君なら信頼できそうだ。任せるよ」
和「もちろん憂の力も必要よ」
憂「うん!」
和「時間が無いから手短に話すわ。近くに来て」
最終更新:2012年09月27日 00:36