~3組目~

唯『この壁の向こうで』

唯『一人の美少女が、入浴中なわけですねっ!?』

律『そうだぞー』

律『たった、この壁1枚だー』

梓「・・・・・・」

唯『わたし達の沸かしたお湯に、入ってるわけですねっ!?』

律『そうだぞー』

律『一糸まとわぬ姿で、入ってるんだー』

梓「・・・///」

唯『あのスレンダーな体で!?』

律『確かに、ムネはないよなー』

梓「いい加減にしてくださいっ!」

梓「お湯かけますよ!?」きぃぃっ

唯『冗談だよぉ』

律『でも梓、一人で寂しくないかー?』

梓「寂しくなんか、ないです!」

律『さわちゃん、放り込むとか?』

梓「溺死させる気ですかっ!?」

唯『じゃあ、しょうがない』

唯『ここは、わたしが一肌脱いでぇ』

律『いやいや、わたしだー!』

梓「ちょっ!?」

梓「冗談ですよねぇ!?」

シーン

梓「せ、先輩!?」

梓「唯先輩!?律先輩!!?」

唯『いたたたたたっ!?』

律『いでーーーーー!』

梓「!?」びくうっ

澪『安心して、梓』

澪『風呂の前の変質者は、始末したから』

紬『ゆっくり、つかってね』

梓「は、はいっ」

唯『じょ、冗談なのにぃ』

律『耳を引っ張るのは、やめてくれー』



梓「・・・・・・」zzz

唯「お風呂出たばっかで」

唯「あずにゃん、寝ちゃった」

澪「慣れないことして、疲れたんじゃないかな」

澪「寝かしておこう」





さわ子「・・・・・・」zzz

唯「さわちゃんは、起きないね」

律「起こすと、面倒だー」

澪「うん、寝かしておこう」

紬「わたし達も、そろそろ横になる?」

唯「そうだねぇ」

律「電気もないんじゃ、やることないしなー」

澪「雨水が入ってくる心配もなさそうだし」

紬「じゃあ、懐中電灯消すね」

唯「らじゃー」

パチッ

律「うわっ、真っ暗だー」

澪「ほ、ほんとに暗いな」

唯「おっやすみぃ」

紬「おやすみなさい」

がたっ がたたっ

澪「ひぃぃっ!」

律「落ち着け、澪ー」

律「ただの風だー」

澪「そ、そうだよね」

澪「・・・・・・」

澪(こ、こんな時っ)

澪(一緒の布団で寝たいんだっ、なんて)

澪(素直に言える、性格だったら)

律「・・・・・・」

律(澪のやつ、すっごい怖がってるんだろうなー)

律(こんな時に)

律(澪、こっち来いよー、なんて)

律(恥ずかしがらずに言える、人間だったら)

澪・律「・・・はぁ」





紬『唯ちゃん、寒いね』

唯『だねぇ』

唯『あ、お布団もう1枚、かけるぅ?』

紬『むー』ぷくーっ

紬『唯ちゃん、寒いのー』

唯『あ、そっか』

唯『ムギちゃん、こっち来る?』

紬『うん♪』

ごそごそ

唯『あったか、あったか♪』

紬『あったか、あったか♪』

澪(あ、あんな自然に!?)

律(普通すぎるだろー!)

律「あー、こほん」

律「な、なんかちょっと寒い気がするなー」

律「ちょっと澪さん」

澪「は、はいっ!?」

律「こっちの布団、入ってくれませんかしら!?」 ←裏声

澪「なっ!?」

澪「しょ、しょーがないなー、りつはー」

澪「こ、こんかいだけだぞー」 ←棒読み

ごそごそ

澪・律(出来たー!)

澪「こ、これも」

澪「唯とムギのおかげだ」

律「唯大明神様ー!ムギ大明神様ー!」

唯『なんか、祈られてるっ!?』

澪(うぅ)

澪(一緒の布団、入ったはいいけど)

律(顔見えないから、余計緊張するー)

紬『んっ』

唯『どしたのぉ?ムギちゃん』

紬『あ、あのね』

唯『うんっ』

紬『ガマン・・・出来ないの』

澪・律「!?」びくっ

唯『ど、どうしても?』

紬『う、うん』

紬『お願い・・・唯ちゃん』

澪「・・・・・・」どきどき

律「・・・・・・」どきどき

唯『そっか』

唯『わかったよ、ムギちゃんっ』

澪(な、なにがっ)

律(わかったんだー!?)





唯『一緒に、トイレ行こうっ』

律「って、トイレかい!!!」

唯『うわっ』

紬『びっくりしたー』

唯『な、なにっ、律っちゃん!?』

律「いや、聞くなー」

律「聞かないでくれー」うぅぅ

唯『そ、そっか』

紬『じゃあ、唯ちゃん』

唯『あ、ちょっと待ってぇ』

がさごそ

唯『じゃあんっ、100円ライター!』

しゅぼっ

紬『今度も、持ってきてたんだー』

唯『なんとなくだけどぉ』

唯『これがあれば、安心な気がしてっ』

律「・・・そーゆー準備が」

律「こういう事態を、呼んでんじゃないのかー?」

唯『わたしのせいっ!?』

紬『でも、律っちゃん』

紬『懐中電灯の電池、いつ切れるかわからないかも』

律「た、確かに」

律「それは想像したくねー」

唯『備えあれば、憂いなし』

唯『って言うんだよ、律っちゃんっ』ふふんっ

律「ちきしょー」

律「そのドヤ顔が、微妙にムカツク!」

唯『お待たせ、ムギちゃん』

紬『ちょっと、行ってくるね』

律「あいよー」

すらっ みしっ みしっ

律「うわっ、すげー気味わりー音!」

律「って」

律「澪、どうした、寝たのかー?」

澪「・・・起きてる」

律「眠くなった?」

澪「えっと」

澪「ちょっとドキドキしてる」

律「あ、あー」

澪「ゆ、唯達が」

澪「勘違いさせるようなこと、言うからさ」

律「だ、ダヨネー」

律「ま、まったくしょーがないよなー」

律「あいつらはー、あはははー」

澪「どうしてかな」

澪「なかなか、ドキドキ治まらないんだ」

律「も、もしかして」

律「不整脈だったりしてー」

澪「・・・・・・」

律「な、なんちゃってー」

澪「・・・・・・」

律「うぅ、なんか言ってくれー」

澪「・・・律ぅ」

律「は、はひっ!?」

律「なんでございますかしらっ!?」

澪「なんか、切ないよぉ」

律「!?」どきっ

律「せせせ、切ないって、なにが!?」

澪「いくらそばにいたって」

澪「ふれなきゃわからないこと・・・あるだろ?」

律「ふ、ふれっ!?」

律「って、あれ?」

律「なんか前にも、こんなことあった気がするなー」

律「まいったなー、デジャブかー」いやー

澪「いや、あったな」

澪「"ずいぶん前に"間違いなくあったな」

律「もしかしてわたしー」

律「ぜんぜん成長してなかったりしてー」

澪「・・・いま頃、気付いたの?」

律「い、痛い!」

律「澪の言葉の、端々が痛いっ!」

律「しょうがない」

律「ここは、わたしが成長した証を見せないとな!」

澪「ど、どうやって?」

律「き、キスしてやるぅ!///」

澪「な、なにぃぃぃぃぃ!?///」

律「あ、あれ?」

律「キスしたかったんじゃ、ないの?」

澪「そそ、そうだけど」

澪「いきなり言われると、照れるの!」

律「・・・なんだ、安心したー」

澪「は?」

律「澪も、まったく成長してねーじゃん」

澪「低レベルの争いすんな!」

ごんっ

律「こっ、この暗闇で」

律「どうして頭の位置が、わかるんだー」うぅ

澪「ふんっ」

律「お、怒るなよー」

澪「・・・・・・」

律「機嫌、なおせよー」

澪「やだ!」

律「そんな態度取ってると、キスしちゃうぞーなんて」

澪「やだ!」

律「き、キスしたいなー」

澪「やだ!」

律「キスさせろぉぉぉぉぉ」あぅぅ

澪「泣くことないだろ!」

澪「そ、そんなにキス・・・したいの?」

律「すっげー、したい!!!」

澪「やっぱり、デリカシーないから、やだ!」

律「な、なんでだー!」

澪「だってキスなんだぞ、もう少しさ」

律「うぅっ」

律「・・・み、澪の唇に触れたい」

澪「!?///」

澪「さ、さいしょからさ」

澪「そう言えよ///」

律「わ、悪かったって」

澪「・・・律ぅ」

律「・・・澪」

みしっ みしっ

澪・律「!?」びくーっ

みしっ みしっ みしっ

澪「・・・///」

律「・・・///」

みしっ みしっ みしっ

律「って、この部屋スルーかい!」

澪「あ、あれ?」

律「どしたー?」

澪「お手洗いって、出て左だったよね」

律「だなー」

澪「唯達も、左行ったよね」

律「だなー」

澪「なのに、どうして右から左に足音がしたんだよ」

律「・・・・・・」

澪「・・・・・・」

律「あ、あれぇ?」


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最終更新:2012年10月01日 00:40