唯「青い空、白い雲~…♪」


授業を抜け出し、ポータブルCDプレイヤーから流れる歌を口ずさむ私
その周りを優しい風が通り抜けていく

この心地よさは景色の良さも相まって中々のものだ


唯「♪」


背中に当たる芝生が妙にくすぐったい
でもそれ以上にこの自然のベッドは気持ち良い

お昼寝には持ってこいだね

こんな私は端から見れば「マイペース」と言われる人種に属するらしい

一時期はそれでちょっと悩んだりもしたが今は特に気にしない

だって本気を出すかどうか「今だ!」と決めるかどうかは
先生でもなくお母さんでもなく私なのだから


唯「大好きって言うなら大大好きって返すよ」


風にとけてくこのメッセージ
あの娘にも教えてあげようかな?


ちっちゃな黒髪のあの娘は


私の答の数を増やしてくれる


唯「もうこんな時間かぁ」


時計を見て呟く
本来ならば今ごろは教室でイヤな数学をやってたはずだ


公式と解答の丸暗記


記号だらけの計算も常識らしいけどね


「そんなものが将来何の役に立つのか」なんて
子供の持論をぶつけてみようか?


だって「選ぶ」の連続が人生の連続だなんて……


ちょっと考えモノじゃない?


唯「大好きって言うなら大大好きって返すよ」


涙腺をくすぐるこのフレーズ
あの娘なら唄ってくれるかも


きらめく沢山の思い出達は


私の秘めた夢のカタチを彩ってくれるはず


……けどたまに不安になったりする


このキモチは気付いちゃいけないモノだったんじゃないかって


そんな時はあの娘が教えてくれた言葉を思い出すんだ


「『不安』になるのは、『自分』でいたいからです」


涙を恐れてちゃ駄目さ



唯「大好きって言うなら大大好きって返すよ」


風にとけてくこのメッセージ
あの娘にも教えてあげたいな


ちっちゃな黒髪のあの娘は


私の答の数を増やしてくれる



「何やってるんですか、こんな所で」


「あれ?どうしてここにいるって分かったの?」


「唯センパイの考えることなんて何でもお見通しです」


「さっすが、以心伝心って奴だね」


「それはちょっと意味が違うような……」


「で、本当に何をやってたんですか?」


「歌をね、唄ってたの」


「歌ですか?」


「そ、歌だよ」


「『大好き』って」


「ね、あずにゃん!」


おわり



最終更新:2012年10月07日 20:39