梓「・・・嫌いには、なってないですけど・・・」

律「じゃあどうしたらいい?」

梓「その考え方を改めてください」

唯「ごめん、ちょっといい?」

律「あ、ごめん。いいよ」

唯「律が一人に絞ったとして、梓が選ばれるとは限らないんじゃない?」

梓「あ゛・・・」

律「えーと・・・まぁ、うん・・・」

梓(否定しろよっ!)

唯「どうしよっか・・・」

梓「うーん、もういっそこのままで」

唯「守りに入った!?」

梓「だって私が選ばれなかったら嫌ですもん」

律「え?え?」

唯「それはそうだけど・・・」

梓「それに、例えばりっちゃんが澪ちゃんを選んだとして、それを澪ちゃんが断って・・・」

唯「うん」

梓「それで、『じゃあ梓で』ってなるのも嫌ですもん・・・」

唯「それもわかるよ?でも・・・」

梓「それならいっそ、このまま曖昧な方がいいです・・・」

唯「梓・・・」

梓「・・・」グスッ

律「おい、泣くなよ・・・」


唯「よしよし」ナデナデ

梓「りっちゃんのせいですもん・・・」グスッグスッ

律「!」ドキッ

唯「?」

律「う、えと・・・ご、ごめん・・・(なんだ?今、なんかドキッとした・・・?)」




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


その頃



紬「ねぇ、澪?」

澪「なんだ?」パッ

紬「なんで離しちゃうの・・・」シュン

澪「え、あぁ。ごめんな」ギュー

紬「えへへ///」

澪「律先輩達、多分あのドアの向こうにいるな」

紬「えぇ、聞こえるわ」

澪「なんの話してるか、聞こえたか?」

紬「あまり鮮明には聞こえなかったけど・・・律がとんでもないことを言ってるみたいね」

澪「あいつ、何を言ったんだ・・・?」

紬「わからないけど、梓に怒られてるっぽいわ」

澪「じゃあ梓を連れ戻してきたのかな」

紬「うーん、どうかしら。足音からすると、二人とも階段を下りていった様子はなかったけど・・・」

澪「じゃあ扉の前で話してたら梓が戻ってきたってこと?」

紬「かもね。それにしても、会話の内容が気になるわ・・・!」

澪「私は会話の内容よりも、ムギ先輩のそのピンと立ってる1束の髪の毛が気になるんだが・・・」

紬「あぁ、これは百合気を感じてるのよ」

澪「妖気じゃなくて!?」


紬「しかも、ビンビンよ。きっととんでもないことになっているんだわ・・・!」

澪「一体何が起こってるんっていうんだ・・・!?」


ガチャ


律「よーっす!」

澪「律!・・・先輩!」

唯「ごめんね、待たせちゃって」エヘヘ

律「ちゃんとあずにゃんを連れ戻してきたぜ!」

梓「いや、りっちゃんは連れ戻してないから。私が自発的に帰ってきただけだから」

紬「あら、二人とも『りっちゃん』『あずにゃん』には慣れたのね?」

律「おう!ばっちりだぜ!」

梓「私は・・・いまだにちょっと恥ずかしいですけど・・・///」

唯「そんなことより聞いて!」

紬「どうしたの?(待ってましたぁぁ!!)」

律「お、おい。唯ちゃん?別に言わなくてもいいんじゃないか?」

澪「なんだよ、気になるだろ」

律「いや、本当に大したことじゃないから。なぁ、やめようぜ?」

唯「駄目だよ。こんなときこそ、ムギにどうしたらいいか聞くべきだよ」

紬「うふふふふふふふふふ」

梓「怖い、ムギちゃん怖い」

澪「だからどうしたんだよ」

律「え、いや、その・・・澪ならきっとわかってくれると思うんだけど・・・」

梓「わかったら澪ちゃんの人格も疑わしいものになってきますね」

澪「何が!?」

律「ちょっと、澪。こっち」グイッ

澪「な、なんだよー?」

律「いいからいいから」グイグイ

澪「えー?」

唯「部屋の隅っこでヒソヒソ話とか、なんか可愛いなー」

紬「えぇ、きっと素晴らしい展開が待っているのよね、わかるわ」

唯「確かに、ムギちゃんにとっては最高の展開かも・・・」

紬「・・・?(これは、ついに私の時代が・・・!?)」

梓「なんていうか、りっちゃんのこと、どうしたらいいのかっていう・・・」

紬「どうしたの?」

唯「うーん。とりあえず、二人が戻ってきたら私と梓からムギには説明するよ」

紬「わかった!」ツルテカ!




澪「で、なんだよ?」

律「なぁ、あのさ・・・」モジモジ

澪「だからなんだよ??」

律「澪ちゃんはさ、軽音部のみんなのこと、好きだよな?」

澪「へ?あ、あぁ。好きだぞ?///」

律「じゃあさ、チューしたり手繋いだりしたいよな?」



澪「」


律「?」

澪「お前は何を言っているんだ?」

律「え?え?」ガーン

澪「それは、ないだろ・・・」

律「なんでぇ!?」

澪「いや、ないから」

律「おかしいだろ!」

澪「お前がな」

律「だってみんな可愛いじゃん!」

澪「いや、ちょっと待て」

律「なんだよ!」

澪「お前、それは度が過ぎてるぞ?」

律「そ、そうなのか?」

澪「あ、ああ」

律「じゃあ、澪ちゃんは私とチューするの嫌か?」

澪「・・・いや、じゃないけど・・・///」

律「じゃあ澪ちゃんもやっぱ一緒じゃん!」

澪「一緒じゃない!私はみんなとそういうことがしたいわけじゃない!///」

律「へ?」

澪「だから、あくまで律先輩としたいなーって思うだけで、唯先輩とか梓とかムギ先輩とそういうことがしたいわけじゃないって」

律「なんで私だけ?そんなの不公平だろ」

澪「はい?」


律「贔屓は駄目だ」

澪「お前が駄目だ」


律「なんでみんなわかってくれないんだよ・・・」

澪「じゃあ聞くけど、唯先輩と梓がチューしてたらどうする?」

律「仲いいなーって思うよ」

澪「・・・」

律「なんだよ」

澪「いいか、そういうのは誰か一人としないと駄目なものなんだ」

律「それはわかってるって。だから、今まで誰ともそういうことしてないだろ?」

澪「いや、まぁ、そうなんだろうけど」

律「でもみんなとしたいって思うのは変じゃないよな?」

澪「いや、変だな」

律「あずにゃんと同じこと言う・・・!」

澪「そりゃ梓が正しいよ」

律「でも・・・誰か一人に絞らないといけないなんて・・・」

澪「えーと・・・(あれ?これ、私が選ばれなかったら・・・)」

律「誰にしたらいいかなんて、選べない・・・」

澪「じゃあさ(選ばれない可能性があるなら、いっそのことこのままの方がいいかも)」

律「なに?」

澪「とりあえず、私としてみないか?そういうこと」

律「!?・・・いいのか!?」

澪「い、いいよ///」

律「で、でも・・・」チラッ

澪「こら、みんなの方は見るなよ。いいから」

律「本当にいいのか?」

澪「あぁ(このままキスさせて、私を意識させれば・・・一歩リード!)」

律「よっしゃ!」

澪「・・・顔、近いっ・・・///」ドキッ

唯「ちょっとー?」トテトテ

澪「うひゃい!?!?」

唯「まだー?」

律「あ、ああ!えっと、うん!今ちょうど話終わったところだぞ?」アタフタ

唯「そう?」

律「おう!」

唯「それじゃみんなのところに戻ろう?ムギにも説明しないと!」フンスッ

律「あ、ああ。そうだな、行ってくる」トテトテ

澪「・・・(あとちょっとだったのに・・・)」

唯「・・・」

澪「・・・」ハァ

唯「澪、抜け駆けはいけないよ?」

澪「!?」

唯「みんな平等に、でしょ?」ニコッ

澪「わ、わかってるよ・・・(唯、怖い・・・!)」





紬「さあ、説明して?」キラキラ

律「えーと、説明って言うか、相談なんだけど・・・」

紬「なんでもいいわ」

梓「ムギ先輩、喜ぶんだろうな・・・」

澪「鼻血に備えておいた方がいいかも」

唯「あ、ティッシュでいいかな?」スッ

澪「よし。準備万端。さ、話せ」

律「お、おう」

紬「・・・」ワクワク

律「あのさ、ムギちゃんは軽音部のこと、どう思う?」

紬「へ?楽しくて大好きよ?」

律「メンバーのことは?」

紬「一緒。楽しくて大好き。誰一人欠けて欲しくないわ」

律「よし、ここまでは私と一緒だな」

澪「ちょっと待て。私だって一緒だぞ?」

唯「うん、私も」

梓「私だって同じですよ?」

律「でも、みんなはここから違うだろ?」

澪「そりゃそうだ」

紬「え?なに?なに?」

律「ムギちゃんはさ、メンバーのみんなとチューしたり手繋いだりしたいとか、思わないか?」

紬「・・・!!!!!!(キマシタワァァァァ!!)」

澪「わぉ、やな予感」

唯「澪、私もだよ」

紬「思うわ!すっごく!!!」

梓「あー・・・」

律「だよな!?」

紬「えぇ!むしろそう思わない唯、澪、梓がおかしいのよ!」

澪「いやいやいやお前らがおかしいんだよ!?」

紬「きっと軽音部に対する愛が足りないのよ!」

律「じゃあさじゃあさ、憂は?憂も軽音部の一員みたいなもんだし、そういうことしたいよな!?」

紬「もちろんよ!」

律「ムギちゃんは話がわかるなぁ!」

梓「この人達、駄目すぎる・・・!!」

紬「同じ理屈で和ちゃんとだってしたいわ!」

律「おぉう!やっぱそうだよな!!」


唯「逃げて。和ちゃん逃げて」


律「よかった!私はおかしくないよな!?」

紬「おかしいなんてとんでもない、素晴らしいことよ!」

澪「こら、煽るな」

律「だよなー?それなのにあずにゃん達は『誰か一人に絞らないと』って言うんだぜ?」

紬「まぁっ!なんてことを!」

梓「私達は事実を述べたまでです」

紬「・・・いや、ちょっと待って?」

紬「・・・」ポク、ポク、ポク、ポク・・・チーン!


紬「そうよ!誰か一人に絞らないと駄目じゃない!!」

律「えぇぇ!?!?」


澪「ここまで言ってることが真逆になると、いっそ清清しいな」

唯「見て、あのムギの顔」

紬「・・・」モホホホ

梓「なんかよくわかんないけど、いやらしい笑い方してる!!」

澪「絶対何か企んでるな・・・」

唯「ムギ、どうするの?」

紬「簡単なことよ。りっちゃんの真実の相手を私達で探してあげるのよ!」

律「なんだ?真実の相手って」

紬「りっちゃんの本命を探すのよ!」

律「だから唯もそうだけど、何言ってるんだよ?まるで私が恋愛対象としてみんなを見てるみたいじゃないか」

紬「・・・無自覚、だと・・・!!」

澪「いや、律先輩のしたいことっていうのは、普通恋人とすることだろ?」

律「そりゃ男と女の話だろうよ」

唯「女の子同士ならそういうことしていいって思ってるの?」

律「うん?うん」

梓「女の子同士でも、さすがにチューはないと思うけど・・・」

律「そうなのか?」

唯「え?うん」

律「だって、よくチューとかされたぞ?私」

紬「・・・」ハァハァ

梓「この人って・・・」

澪「律先輩は昔から何故か女の子ウケがいいんだよ」

唯「あー、わかるかも。だからそれが普通だと思ってるのかな」

澪「うーん、律先輩からしてるのは見たことないけどな」

律「いや、そこはほら、自分からしたい程でもなかったし。向こうが勝手にしてきただけだし」

澪「・・・つまり?」

律「前とは違うんだ!今はしたいのを我慢してるんだよ!お前らみんな可愛すぎなんだよ!」

梓「この人・・・///」

澪「っていうか私はずっと一緒だったんだけどなー?」イラッ

唯「嬉しいけど、嬉しくないね?」

紬「ちょっと」イライラ

澪「あ、えっと(やべっ、またムギの話無視しちゃった・・・)」

紬「私は」

唯「律の本命の相手を探すんだよね!?」ハラハラ

紬「そう」

梓「でも、どうやって?」

紬「私達がかわりばんこでりっちゃんと二人きりの時間を過ごすっていうのはどうかしら」

澪「えーと?」

紬「だから、1日ずつ交替で二人きりになるのよ、どう?」

律「えーと、それで何がわかるんだ?」

紬「りっちゃんの本心よ」

梓「そのメンバーっていうのは私達4人でいいんですか?」

紬「まぁ、そうね。りっちゃんが望むなら憂ちゃんと和、それに純ちゃんも入れてもいいわ」


梓「はい純ちゃんとばっちりー」


澪「私達はまだしも、その3人には拒否権があるだろ?」

律「っていうかとりあえずこのメンバーでいいぜ」

紬「そう?」

唯「じゃあまず誰からいこうか」

紬「はい!!はいはいはい!!!」ピーン!ピーン!ピーン!

澪「誰にしようか?」

律「うーん、誰でもいいけど・・・」

紬「はぁぁぁい!!」ピーン!

梓「ムギ先輩、必死すぎるでしょう」

澪「うーん・・・」

梓「いや、当ててあげて。お願いだから当ててあげて」

唯「しょうがないなー。じゃあ、ムギからね」

紬「やったぁぁぁ!!!」ヨッシャァァァ!


律「えっと、じゃあ明日はよろしくな、ムギちゃん」

紬「こちらこそぉぉぉ!!」

澪「いや、気合入りすぎだから」


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最終更新:2010年02月03日 00:50