唯「あはは、りっちゃんおもしろ~い」

澪「ほらほら、バカやってないで帰るぞ~」

紬「来週からテスト期間だから当分部室には来れないわね」

梓「唯先輩と律先輩が赤点取らないか心配です……」

律「おいおい梓。私の一夜漬け能力を舐めてもらっちゃ困るぜ!」

唯「困るぜ!!」

澪「そうならないように今回は早めに勉強するからな!!」

律「え~~。今までも大丈夫だったんだから行けるって!」

澪「その御陰で私が苦労してるんだが……」

律「困った時はお互い様じゃん」

澪「少なくとも勉強に関してはお前に助けてもらった覚えはないぞ」

唯「じゃあね、ばいば~い」

律「お~う」

澪「うん」

紬「また来週ね~」

梓「失礼します」


……

澪「────だから、午前中から律の部屋で勉強な」

澪「って話聞いてるのか?」

律「う~、腹減った……」

澪「ったく、でも今日は結構練習したからな~」

律「よし、ご褒美にそこのコンビニでプリンを買おう」

澪「ムギのおやつ食べただろ」

澪「しかも、帰ったらすぐ夕ご飯じゃ……」

律「へへ~ん、別腹、別腹」

澪「太るぞ」

律「大丈夫、大丈夫」

澪「その油断が後悔の素なんだからな」

律「経験者は語る、ってか」

澪「なっ!?」

店員「らっしゃっせ~」

律「あれ? 澪入らないの?」

澪「いい。外で待ってる」

律「はっは~ん。さては入店したが最後、澪もプリンを買いたくなる衝動を抑えきれなくなると」

澪「う、うるさい。早く行ってこい!」

律「へいへ~い」


律「……よし、こっちの大きい方にしよう!」



店員「あざっした~」

律「むっふっふ~♪」

律「って、澪は何処行った?」



男「   」

澪「   」



律「み、澪が男と一緒にいるっ!?」

律「じ、邪魔するのも悪いかな~……」


律「って、澪のやつなんか嫌がってるっぽいぞ」

男「なんで、駄目なんだよ!」

澪「そ、そんな事言われても……」

律「ちょっと、ちょっと、ウチのお姫様に手だすなよ!」

男「げっ!? 田井中!!」

澪「律!!」ぱぁぁぁぁ

律「ん? お前は中学んとき一緒だった男!」

男「くそっ……またお邪魔虫と一緒かよ」

律「ああ? なんだって?」

男「せっかく秋山が独りのとこ見つけたってのに」

律「もしかして、愛の告白の最中でございましたか?」

男「そ、そうだよ悪いかよ///」

律「ごめんごめん、じゃあここは若い二人に任せて……」

澪「待って! 行かないで律!!」

律「へっ?」

男「……クソッ、やっぱりか」

律「何が?」

男「中学の時だって、何人の男が秋山狙いだったか」

男「それを田井中が側にいてことごとく阻止しやがるし」

律「わ、悪かったな。でも澪も怯えてたし」

男「桜高行ったって聞いたから、帰り道で待ち伏せしてたら田井中が常に一緒だし」

男「今日やっと、秋山独りかと思えばやっぱり田井中といるし」

男「桜高って偏差値高いんだろ。なんで田井中が合格できんだよ!!」

律「なんだと~! 私だってやるときゃやるんだよ!」

男「そこまでして一緒に居るってことは……」

男「あの噂は本当だったんだな」

律「なんだよ、噂って」

男「お前らがレズだって」

律「はぁ?」

男「中学のときから男の間じゃ、そうじゃないかって」

律「そんな変な噂ふりまいてるやつは誰だよ!!」

男「お、俺じゃね~よ」

律「そいつらに言っとけ、澪が欲しかったらもっと男らしくなれってな!!」

男「お前が、もっと女らしくなれよ」

律「あれ? いいのかな~そんな事言って。また中学の頃みたいに
  私のドラムスティックをお前のケツの穴にぶち込むぞ!!」

男「ひっ!? イヤン!! それだけはよして!!」ピュー

律「おとといきやがれ!!」

澪「律、ごめん。なんか変な噂が立っちゃってて」

律「気にすんなって。それよりあいつ追い返しちゃって良かったのか?」

澪「ああ、いいんだ。いっつも律が居ない隙を狙ってくるんだよ」

澪「毎回断ってはいるんだけど、しつこくってさ」

律「んー。私は告白されるのって経験ないからな~」

律「試しに付き合ってみたらいいのに」

澪「!? イヤだ! 絶対イヤ!!」

律「おいおい……そこまで拒否しなくても」

律「ってもしかして、お前本当に女好きだとか……!!」

澪「バカ! そんなわけないだろ」

律「隠さなくてもいいのよ、澪ちゅわん」

律「それ、ムチュ~」

  ゴチン!!

律「……痛い」ヒリヒリ

澪「気持ち悪い」

律「ったく冗談だってのに」

澪「あくまで、律とは親友としての付き合いだからな」

律「ふふふ。親友か~」

澪「なによ……」

律「でも男の気持ちも分からなくはないけどな」

澪「へっ?」

律「澪ってば女の私から見てもカワイイって思っちゃうし」

律「もし、私が男として生まれてたら、きっとほっとかないだろうな」

律「あいつみたいに何回もアタックしちゃうかも、なんて……」

澪「……わ、私も」

律「ん?」

澪「もし、律が男の子だったらいいなって思うこと、あるよ」

律「ちょ、、、」ドキドキ

澪「///」

律「///」


紬「///」







澪「ってムギ!? いつの間に!?」

律「帰り道逆だろ!?」

紬「なんだか呼ばれたような気がして」

澪律「呼んでない、呼んでない」



 田井中家 律自室

律「はぁ~、ムギにも困ったもんだな~」

律「しかし、もし私が男だったら、か……」

律「///」ドキドキ

律「って、何か今までにないトキメキを感じている私って!?」

律「///」

律「しかし女同士じゃ気持ち悪いもんな……」

律「でも女である私が想像しただけでここまでドキドキするんだ」

律「もし男の立場になったらこれじゃ済まないんだろうな」

律「……」

律「澪、好きだぞ///」イケメンボイス風に

聡「姉ちゃんご飯できた……」ガチャ

律「…………」


聡「ついに宝塚で男役デビューでも決めたか?」

律「の、ノックぐらいしろ!!///」


───
──────
─────────

律「ふぃ~、いい湯だった~」ホカホカ

律「ん? メールが来てる」

律「澪からか、なになに」

「今日は助けてくれてありがとう、あと律が男の子だったら良かったってのは
 別にお前が女らしくないって言った訳じゃないからな
 それに変な勘違いもするなよ。それじゃおやすみ
 明日は寝坊するなよ」

律「ふふっ。かわゆい奴め」

律「『僕がいつまでも君のことを守ってあげるからね』っと、送信」

律「さて、澪に会ったときの反応が楽しみだ」




律「そろそろ寝るか……」

 チッチッチッチッチッチッ……

律「なんか妙に興奮して眠れん……」

律「もし男になったら、か……」

律「デートなんてどこに行けばいいんだ?」

律「やっぱりショッピングかな」

律「澪ったらショップ店員に話しかけられるのが嫌だからって服はいっつもしまむらだからな~」

律「澪、これとっても似あうよ、、、、なんつって///」

律「澪の私服はだいたいパンツルックだし、たまにはワンピースとか……」

律「か、可愛いかも///」

律「む、ムフフフ……///」





律「……男になったら……澪と……zzzzzzz」



 ジリリリリリリリリリ……!!

律「んん~……。ウルサイ……」カチッ

律「zzzzzzz」

───
──────
─────────

律「ふわ~、、、」




律「おはよう聡」

聡「おはよう姉ちゃ……!!」

聡「父ちゃん、母ちゃん大変だ!!」

父ちゃん「どうした朝からそんな大声だし……!!」

母ちゃん「ちょっと聡、ご近所迷惑……!!」

父ちゃん「律? お前、律なのか?」

律「へっ?」

母ちゃん「はぁ……」ふらっ、、、バタッ

父ちゃん「か、母さんしっかりしろ!!」

律「ち、ちょっと一体どうしたって言うんだよ!!」

聡「鏡見てこいよ……」

律「はぁ? 鏡?」




律「!?」

律「な、なんじゃこりゃ~~~~!!!」




 通学路

澪「お~っす、律」

律「あ、澪。おっす」

澪「ん? どうしたマスクなんかして、また風邪か?」

律「ん~、まぁ、そんなとこ」

澪「おいおい、たとえ周りが風邪引こうが、いつも元気が律の取り柄なのに」

律「なんだかバカは風邪引かないって言われてるみたいだ……」

澪「いや、そう言ってるんだけどな」

律「な、なんだと~!」

澪「ふふっ。それだけ言い返せる元気があるなら大丈夫そうだな」

澪「やっぱり律はそうでなきゃ」

律「む~」

澪「どれどれ、熱はないかな、と」ピトッ

律「ち、ちょ、おでこ同士で直接って///」

律(顔が近い近い! って何意識してんだ私///)

澪「律はおでこ出しっぱなしだからピトッってやりやすくていいな」

律「な、なんだよ、バカにしてんのか」

澪「ん~~。熱は無いみたいだけど……」

澪「って、なんでそんなに顔が赤いんだ? やっぱり熱が───」

律「ば、ばばばばか。 ち、違う違う。ほら、寒くて赤くなってたんだよ」

澪「ん? なにそんなに慌てて……」

律「ほらほら、早く行かないと遅刻だぞ」

澪「あ、う、うん?」

律「///」ドキドキ


 教室

唯「あ~。りっちゃんマスクしてる~」

紬「おはよう、りっちゃん。風邪?」

律「ん~、あ~、そうみたい」

唯「学祭前も風邪引いてたし、りっちゃんって実は病弱な乙女?」

律「そうなの……。あの校庭にある木の枯れ葉が全部落ちたら私の命もそこまで……」

唯「じゃあ、私が一生懸命あの木を揺すってきてあげるよ!」

律「うぉい! 葉っぱが落ちたら死んじゃうんだってば!!」

紬「うふふ、いつも通りのりっちゃんで安心したわ」

唯「やっぱり、りっちゃんは元気でいるのが一番だね!」

律「……今日、登校してくる時も澪に同じような事言われた」

紬「あらあら、ぜひその場に居たかったわ」

律(なんだかんだ言って、みんな私のこと心配してくれてるんだな……)



 昼休み

唯「おなかぺっこぺこだよ~」

紬「早くお弁当食べましょ」

律「ちゅ~ちゅ~」

唯「りっちゃん、ジュースばっかり飲んでる」

紬「もしかして、購買のパン売り切れてたとか?」

唯「私の少し分けてあげるよ!」

紬「よかったら私のも食べて。口に合うかわからないけど」

律「いや、その気持だけで充分!!」

律「私、最近紙パックジュースの魅力に気が付いてさ」

律(ここでマスクを外すわけにはいかない……!!)

唯「とかなんとか言って本当はダイエット中なんでしょ?」

紬「そうなの? りっちゃん?」

律「え? あはは、そ、そうそう。冬はどうしても脂肪を溜め込んじゃうからさ~」


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最終更新:2010年02月04日 01:41