唯「ムギちゃん!」
紬「先生の机の上から拝借させてもらいました」
コトッ
澪「これは……」
梓「T字のカミソリですね」
さわ子「確かに…これは私のだけど」
唯「これがどうかしたの?ムギちゃん」
澪「……あっ、これは!」
紬「そう、このカミソリは……」
紬「このカミソリは……5枚刃なのよっ!!!」
バーン!
梓「5枚刃ッッ!?」
紬「正確には5+1枚刃ね。最近発売された新型よ!」
唯「そうなの!?さわちゃん!!」
さわ子「え、ええ。一応人前に出る仕事だもの。身だしなみは整えないと」
紬「これでわかったでしょう?律ちゃん」
律「え?なにが」
紬「こんな5枚刃のカミソリでヒゲを根こそぎ剃り落とすような人が……ヒゲフェチのはずがないわっ!!!」
ババーン!
律「な、なるほどっ」
梓「確かに…そう考えればさわ子先生はこれ以上ないほどにシロですっ」
唯「ごめんねさわちゃん!私てっきり……」
さわ子「まあいいけど。それにしてもなんなのよ、その呪いって」
律「じつは……」
かくかく しかじか
さわ子「……ほどほどにしなさいよ」
ガチャ バタン
律「スルーされた……」
澪「無理もないな」
唯「手がかりがなくなっちゃったよ……」
律「むぅー」
梓「そもそも、私たちの近くにいるんでしょうか。犯人なんて」
澪「世界規模の現象だからな。探してもそうそう見つかるもんじゃ」
紬「いるわ」
澪「えっ……」
紬「この学校に、いるわ。元凶なりし者。私にはわかる」
唯「ムギちゃん(仙人バージョン)………。」
梓「でも、一体誰が……」
紬「どこかに何か手がかりがあるはずよ。思い出してみて」
律「手がかりったって…なぁ?」
澪「ああ……」
紬「何か違和感を感じることはなかった?」
唯「うーん……あ、りっちゃんのヒゲがのびてた」
澪「なんだって!?」
律「いや、のばしてたんだけどな。あれは」
梓「なんでそんなことしたんですか」
律「いや、ウケるかなと思って」
澪「なにやってんだ」
律「ごめん……」
唯「その後、あずにゃんたちがきて」
律「唯が梓にスリスリして」
梓「ジョリジョリして痛かったです…」
紬「そこもうちょっと詳しく」
唯「あ、でも澪ちゃんはツルツルだったんだよ」
澪「いや、まあ私は抜いてるから」
紬「え?」
紬「ちょっと待って、澪ちゃん」
唯「あっ……」
澪「え……な、なに?」
紬「澪ちゃん……抜いてるの?ヒゲ」
澪「う、うん」
唯「澪ちゃん……痛いの、平気なんだ」
澪「あっ…!」
紬「………」
律「……澪?」
梓「澪先輩……」
澪「ち、違う…!」
ぺた
澪「さ、さわるなっ」
唯「つるつるだよ」
梓「ヒゲ剃りじゃそうはいかないです」
紬「でも抜いたわけでもない…となると」
澪「う、うう……っ」
紬「導き出される答えはひとつ」
紬「最初から……生えてなかったということよッ!!」
梓「生えて…なかった?」
紬「そう、他人のヒゲを愛でるフェチなら、自分にはやす必要はない…」
律「そのツルツルのあごが、何よりの証拠ってわけか」
澪「り、律っ!私は、私は……っ」
律「澪……お前が、やったのか?」
澪「………ううっ」
澪「ぐすっ……」
梓「なんで……こんなことをしたんですかっ!!」
澪「だって、私…ヒゲも…ヒゲも、律も好きだから…」
律「へ?」
紬「まぁ!」
澪「だから……律にヒゲが生えたら…素敵だなって……」 グス グス
律「お、お前なぁ……」
澪「そう考えてたら悪魔さんが出てきて…夢をかなえてやるって言われて……」
紬「悪魔……?」 ピク
澪「それでみんなにヒゲが生えたけど、みんな…!みんな剃っちゃって……!」
唯「み…澪ちゃん?」
澪「なんで…なんで剃るんだよ!!のばせばいいだろ!自然のままにっ!!」 わなわな
律「お、おい澪っ!ちょっと落ち着けっ!!」
澪「そんなに…そんなにヒゲが嫌いか!そんなに!ヒゲが!嫌いかああああっ!!!」
バリバリ
唯「み、澪ちゃんの肌が黒く!!」
紬「いけないわ!ヒゲパワーが暴走している!!」
律「ど、どうすればいいんだよ!おいっ!!」
紬「どうすればって…え、ええと……」 おろおろ
梓「正気に戻ってください!澪先輩っ!!」
澪「ヒゲーッ、ヒゲーッ」
唯「だ、だめだよ。はないきあらい!」
律「鼻息なんだアレ!?」
澪「ヒゲェーッ、くぅぅぅぅぅぅっ…………っかあーっ!!」
モッサァ~~~~~ッ
律「うわあああああああああっ!!」
唯「ひ、ヒゲが!急にぃ!!」
梓「くぅっ、ヒゲが重くて…力が出ないですっ」
紬「ああっ、前が!前がみえないっ!」
梓「ムギ先輩っ!うわもう仙人とかそういうレベルじゃない感じに!」
澪「ヒゲゲゲゲ。絶景かな絶景かな」
律「ぬううううっ、この変態め…!」
律「ぶっとばして…目ぇさまさせてやるっ…!」 ずり…ずり…
澪「ヒゲゲゲゲ。そんな遅い足じゃ私には届かないヒゲ」
律「くっそおおおおおっ!」 ずり…
紬「澪ちゃん!正気に戻って!澪ちゃん!」
澪「ゲッゲッゲッ」
梓「ムギ先輩!」
紬「澪ちゃんは何か強大な力に操られているだけなのよ!」
紬「みんなで呼びかければ、きっと!」
唯「そうか、わかったよムギちゃん!!」
澪「ヒゲゲゲゲ。ムダだムダだ」
唯「澪ちゃん!」
梓「澪先輩!」
紬「澪ちゃんっ!!」
律「正気に戻れ!澪!」
澪「ゲッゲッゲッ、そんな言葉で呼びかけたところで……ぐぅっ!?」
律「澪!戻ってこい!澪っ!!」
澪「うっ……むぅぅっ」
紬「澪ちゃん!」
梓「澪先輩っ!!」
澪「や、やめろおっ、うおおおおおおおおっ!!」
シュウウウウウ………
澪「はぁ、はぁ…はぁ…っ」
紬「澪ちゃん!」
澪「わ、私は…何を」
唯「正気に戻ったんだね、澪ちゃん!」
律「澪っ!!」
澪「律…?これは一体……………あっ」
律「ど、どうした……?澪、まさか」
澪「り、律っ………」
律「澪…?」
澪「ど、どどどどうしたんだよそのヒゲっ! //// 」 ズキューン
律「お前がやったんだろおおおっ!!!」
澪「はうっ」 クラッ
唯「あっ、澪ちゃん!」
澪「……ヒゲゲゲゲゲ!なぜかは知らんがヒゲパワーが急速に充填されて復活だああ!!」
梓「なんですかそれえええええええええっ!!」
律「なんてこったああああああああああああああっ!!!」
澪「ヒゲゲゲゲゲ、このまま地球全体をヒゲ惑星にしてやるヒゲ!」
律「う、打つ手なしかよおっ…」
梓「澪先輩…ううっ」
唯「ムギちゃん!ムギちゃん仙人っぽいんだから魔法でなんとかできないの?」
梓「そんな無茶な!!」
紬「わかったわ、やってみる!」
しゃらんらしゃらんら
澪「うわー!完全に敗北したー」
紬「やったわ!」
唯「すごいやムギちゃん!」
梓「え、ええー……」
律「澪っ!澪!!」
澪「う、ううーん……」
律「澪……」
澪「律……?わっ、ど、どうしたんだよそのヒゲっ! //// 」 ズキューン
律「いや、そういうのはもういいから!」
ジョリ ジョリ
唯「ふう、ヒゲそり完了」 つるん
澪「そうか…私の弱い心が、悲劇を呼んでしまったんだな……」
梓「澪先輩……」
唯「でも、元に戻ってよかったよ!ね、ムギちゃん……あれ?」
梓「ムギ先輩なら、律先輩とどこかに…」
澪「律…そう、だよな。私がやったことは許されることじゃ…」 ウル
梓「あ、み澪先輩っ」
唯「私ムギちゃん探してくるよっ!」
ガチャ
紬「おまたせ~♪」
唯「ムギちゃん!もう、こんな時にどこいってたの!?」
紬「ごめんね、私もこういうのは初めてだったから…でも、ほら!」
律「……… //// 」
澪「り、律!そのヒゲは……っ!」
紬「カストロっぽく仕上げてみたの♪」
律「きょ、今日だけだからな… //// 」
澪「ああ、ああっ……」 ぽろぽろ
律「なんだよ、泣くなよ。ヒゲくらいで……」
澪「律…ありがとう、律…うううっ」
律「まぁ、ヒゲはともかくさ…あたしのこと好きだって言ってくれたのは、その…うれしかった、から…」 ぼそぼそ
澪「律っ……」 グスン
律「ほら、もう泣くなって。今日はこのままで、いっしょにいてやるからさ」
澪「……うんっ!」
~~♪
唯「あれ?」
梓「どうしたんですか?唯先輩」
唯「いま、何か外に飛んでいったような……」
紬「……?」
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クロミ「よっしゃあ、久しぶりの黒音符ゲットだよ!」
バク「しかし、みんなにヒゲがはえたらイイナ♪なんて、変な夢だったゾナ」
クロミ「人間の考えることはわっかんないよなぁ」
バク「ん?また近くで夢の匂いがするゾナ」
クロミ「よーし、この調子でガンガンいくよ!」
憂「ふんふーん」
クロミ「ちょっとアンタ!」
憂「え?なにこれ、ぬいぐるみ!?しゃべってる!」
クロミ「アンタ何か夢があるんじゃないかい?」
憂「え!?ゆ、ゆめ?」
クロミ「そ、夢。言ってみなよ、アタシが叶えてやるからさ!」
憂「うーん、私の夢は……やっぱり…」
\ひらけ 夢のトビラ!/ fin
最終更新:2010年02月04日 02:02