紬「うふふ、やっと素直になったね」

律「で、それが唯のことと何の関係があるんだ?」

紬「憂ちゃんの話じゃ、唯ちゃんは梓ちゃんを夢で見ているかもと言ってたでしょ?」

紬「それは多分、唯ちゃんが梓ちゃんのことを好きだから、夢に出てくるんじゃないかと思うの」

律「なるほどな。唯ならありうる」

紬「そして、眠らなくなった原因…それは夢の中で梓ちゃんに会えなくなったから」

澪「夢の中でって…普通に学校でも会えるぞ?」

紬「最近、唯ちゃんは梓ちゃんを避けてたわ。多分、現実で梓ちゃんに会いたくなかったんだと思う」

梓「やっぱり…」

紬「そこで唯ちゃんは夢の中の梓ちゃんにすがってたんだと思う。そうすることによって現実じゃ仲良くできない梓ちゃんと仲良くできるから」

律「じゃあ、夢の中で梓に会えなくなったとしたら…」

紬「どちらにもすがることはできない」

澪「だから、学校にも来なくて眠らない、ってわけか」

梓「…そんなの…認めないです!!」バン

律「あ、梓!?」

梓「なんですか!夢の中だったら仲良くできるって!そんなの私から逃げてるだけじゃないですか!」

梓「私、唯先輩に会ってきます!」

澪「お、おい、落ち着けって…」

紬「がんばって、梓ちゃん!」

澪「ム、ムギ!?」

紬「私たちが行っても、唯ちゃんは心を開いてくれない…ここは梓ちゃんに賭けるしかないの!」

律「そうだな…悔しいけど。梓!唯を必ず連れて帰ってこい!」

澪「…でも無理はするなよ?」

梓「はい!」

梓「それじゃ行ってきます!」タタタ

律「行ったか…」

澪「でもムギ、なんで梓が唯のことを好きって知ってるんだ?」

紬「それは…女の勘よ!」ビシイ

律「ムギはおそろしいな…」

………



――平沢家

梓「憂、唯先輩は…」

憂「部屋にいるよ」

梓「そうか…」

憂「梓ちゃん、お願いね」

憂「私じゃ、お姉ちゃんを助けることができないから…」ウルウル

梓「憂…」

憂「わがままかもしれないけど…お姉ちゃんを助けて!」

梓「…わかった。行ってくる」

梓「唯先輩、いますか?」

シーン…

梓「入りますよ?」


ガチャ


梓「! 唯先輩…」

梓(すごいやつれてる…本当に一睡もしてないんだ…)

唯「…あずにゃん?」

梓「はい…梓ですよ」

唯「これは夢なのかな…」

梓「えっ…」

唯「そうだよね…夢の中じゃないと会えないもんね…」

唯「あははっ、また会えたね…あずにゃん…」


梓「唯先輩…」

唯「私ね、あずにゃんのことが好き」

梓「へっ!?」ドキッ

唯「でもね、この恋は叶わないんだ…」

梓「…どうしてですか?」

唯「だって、あずにゃんは私以外の誰かが好きなんだもん…私じゃ無理だよ…」

梓「そ、そんなことないです!」

唯「そうなんだよ!」

梓「!?」ビクウ

唯「…だから夢の中のあずにゃんが私の支えだった…」

唯「なのに…なのに…夢の中のあずにゃんも…私のこと、嫌いって…」

梓「……」

唯「でもね、こうしてまた会えて、うれしいなあ…」

唯「これからもよろしくね、あずにゃん」

梓「…っ!!」ダッ

唯「あずにゃん…?」

梓「唯先輩のばか!!」ダキッ

唯「!!」

梓「なんで夢に逃げるんですか!私が居るじゃないですか!」

唯「何言ってるの?これは夢だよ…?」

梓「夢なんかじゃないです!本物です!」

唯「だって本当のあずにゃんは憂のことが好きなんじゃ…」

梓「そんなわけないです!憂のことは友達として好きなんです!」

唯「じゃあ私のこと、好き?」

梓「!………好きですよ?」

唯「うそだ…」

梓「ほんとです」

唯「うそだよ…」

梓「ほんとなんです」

唯「じゃあ証明してよ」


梓「…わかりました。じっとしててください」

唯「えっ…」

チュッ

唯「……」


梓「…いいですか?私は唯先輩のことが好きです。大好きなんです」

唯「……」

梓「夢の中の私よりも、唯先輩のことが好きなんですよ…」


唯「…あずにゃん?」

梓「はい?」

唯「これは夢なのかな?」

梓「夢じゃないです」

唯「本当なのかな?」

梓「はい、本当です」

唯「私、もうあずにゃんの夢をみなくてもいいのかな?」

梓「はい、私がいますから、いいんです」

唯「そっかあ…」

梓「……」

唯「あずにゃん…」

梓「なんですか?」

唯「今までごめんね。私、あずにゃんにひどいことを…」

梓「気にしてないですよ」

唯「ごめん…ね…」ガクッ

梓「先輩…?」

唯「……」

梓「唯先輩!?ゆいせんぱい!!」


唯「……グウ」

梓「…なんだ、寝てるだけか…」ホッ

憂「お姉ちゃん!?」ダッ

梓「あっ憂」

憂「何かあったの?」

梓「ううん、何もないよ」

唯「グウ……」

憂「…寝てる……よかったあ」ホッ

梓「どうやら安心して眠ったみたい」


憂「ありがとう梓ちゃん!なんてお礼したらいいか…」

梓「いいんだよ。私にも関係があるんだから」

憂「はあ…安心して力が抜けちゃった…」ドサッ

梓「今日は休んでて。私が家事とかするから」

憂「そんな悪いよ」

梓「いいっていいって!ほら、寝てな」

憂「じゃあお言葉に甘えて…」

梓「ふう……これで一件落着、かな」

………

唯「う~ん、あずにゃん、重いよ~」

唯「ダ、ダメ!そこは…」

唯「あ、あずにゃん…!」

唯「…だめえっ!…あ、あれ?夢か…」

梓「う~ん…」

唯「うわあっ!?な、なんであずにゃんがここに?」

唯「…そっかあ、あずにゃんが来てくれたんだっけ…」

唯「……ありがと、あずにゃん」

………

唯「どうもお騒がせしました!」

律「まったく!何回迷惑かけりゃあ気が済むんだ!?」

唯「うっ…すんません…」

澪「今度からは一人で何でも抱え込むなよ?」

唯「うん!わかった!」

律「そういえば、なんで現実の梓と会いたくなかったんだ?」

唯「そ、それは…」

紬「梓ちゃんと憂ちゃんが付き合ってるって勘違いしてたのよね」

唯「うん…前ね、あずにゃんと憂がキスしてるの見て…」

梓「あれは髪に着いたゴミを憂が取ってくれたんですよ」

唯「そうだったんだ…よかった」

澪「勘違いの仕方も唯っぽいな」

唯「お恥ずかしい限りです…」

梓「でもまあ、治ってよかったです」

唯「あずにゃんのおかげだよ!ありがとっ!」

梓「わ、私は…当たり前のことをしただけで…///」

律「おっ!梓が照れてるぞ~!」

梓「うぅ~」

唯「えへへっ!」



――帰り道

唯「るんらんるんら~ん♪」

梓「元気ですね、唯先輩」

唯「だってあずにゃんと一緒に帰れるんだも~ん!」

梓「そうですか」

唯「ありゃ、また冷たくなった…」ショボーン

梓「これが普通です!」

唯「ちぇっ。夢の中ならあんなことやこんなことしてくれるのに…」

梓「そうですか。私よりも夢の中の私の方がいいんですね…」

唯「じょ、冗談だよ!」

梓「もう、私がいるんですからそんなこと言わないでくださいよ?」

唯「えへへ、そうだね」

梓「…ところで唯先輩」

唯「はい?」

梓「告白の返事、しないんですか?」

唯「こ、告白~!?」

梓「あ、あの時したじゃないですか!でも唯先輩はそのまま眠っちゃって…」

唯「そ、そうだっけ~?」

梓「とぼけても無駄です!さあ、早く!」

唯「うっ…じゃあいくよ?」

梓「はい…」ドキドキ

唯「すぅーっ……」

唯「わたくしーーーーっ!!ひらさわゆいはーーーっ!!」

梓「ひっ!?」

唯「なかのあずさちゃんがーーーっ!!だいっすきでーーーーっす!!」

梓「せ、せんぱい!こんなところで…///」

唯「ふう、すっきりした!どう?満足した?」

梓「…唯先輩には敵わないです…」

唯「えっへへ~」


唯「ねえ、あずにゃん」

梓「なんですか?」

唯「これで、私たち恋人同士だね!」

梓「!……はい!」

唯「…夢じゃないんだ」ボソ

梓「何か言いましたか?」

唯「なんでもないよ!」

梓「……唯先輩」

唯「な~に~?」

梓「…大好き!」ダキッ

唯「うおっ!あずにゃんから…」

梓「ダメですか?」

唯「ううん、最高だよ!」ギュー

梓「…///」ギュー

唯「…あずにゃん?」

梓「…はい?」

唯「大好き!!」



おわり



最終更新:2010年02月11日 00:15