憂「あは、はは」ポロポロ…
ピ
梓「……」
梓「もしもし」
梓「あ、唯先輩ですか」
梓「はい。すいません遅くに」
梓「実は今、憂がうちの家にですね」
梓「あ、はい。待ってます。…では」
ピ
梓「……」
梓「……ふぅ」
梓「……」チラ
憂「…すー…ぐす」
梓「……」
…
ヴーヴー ヴーヴー
ピ
梓「もしもし。あ、はい。大丈夫です。鍵は開いてます」
ガチャ…
唯「こんばんは…、あずにゃん」
唯「こんな夜遅くに迷惑かけて、本当にごめんね」
梓「なにがあったんですか?」
梓「お酒飲んでたみたいだし…やけ酒みたいな」チラ
憂「……すぅ……ふー」
梓「それに」
梓「憂、泣いてました」
唯「ごめん…、わたしにもよくわからないんだ」
梓「憂は、今日うちに泊めましょう」
唯「いいの?」
梓「はい。もう今日はこのまま、寝かさせてあげましょうよ」
憂「…すー……ふー」
唯「……」
梓「……」
梓「このままじゃ、風邪ひいちゃいますね」
梓「わたしの部屋まで運びます」グッ
唯「あ、大丈夫だよ、あずにゃん」
唯「わたしが、運ぶよ」
梓「大丈夫ですか?」
唯「うん…大丈夫。わたしに運ばさせて」
憂「…すぅ…ふぅ」
唯「…よい、しょっ」グッ
憂「…ぅ……ぅ」
唯「お、とっと」フラ…フラ
唯「あはは、重いや」フラ
唯「……」
唯「憂、重くなったなぁ…」
唯「気付いたら、お互い」
唯「こんなに大きくなっちゃったんだね」
憂「すぅ…ふぅー」
梓「……」
トタ…トタ…
憂「…すー…ふー」
唯「うちはさー」
梓「……」
唯「お父さんとお母さん、いっつもいないから」
唯「もしかしたら、寂しかったのかもしれないなぁ」
唯「大体いつも、家で二人だったし」
梓「……」
唯「っと、っとと」フラ…
梓「……」トン
唯「……」
唯「ありがと、あずにゃん」
唯「やっぱり」
唯「わたしが、こんなだから」
唯「ずっと、甘えたくても、甘えられなかったのかな」
梓「……」
梓「いてくれて当たり前のもの」
梓「…そこに在って、当たり前のものがなくなるのは」
梓「辛いことだと思います…」
梓「それでも、いつかはみんな、ひとりひとり」
梓「自分の道を歩いていくことになるんじゃないですかね」
唯「……」
唯「そうだね」
唯「……」
唯「お姉ちゃん、もっとしっかりしなきゃね」ナデ
憂「…ん……」モゾ
ファサ
憂「すぅ…ふぅ……」
唯「……」
唯「じゃぁ…わたし帰るね。あずにゃん」
梓「はい」
唯「憂を、お願いします」ペコ
梓「わかりました」
梓「あ。玄関まで送りますよ」
唯「うん。ありがと」
唯「…おやすみ、憂」
ギィ
…カチャン
憂「…すぅ……ふぅ」
カチャ……ギィ
カチャ
梓「……ふぅ」
憂「…すぅ…」
梓「いい、お姉ちゃんだね」クス
憂「……ふぅ」
梓「……」ジー
梓「……」
ツンツン
憂「ぅ…ん……?」
梓「あ…。起こしちゃった」
憂「……ぅ」ボー
梓「起きた?」
憂「……ん」ボー
梓「ここ、わたしのうちだよ」
憂「……ぇ、ぁれ」キョロ
憂「あずさ、ちゃん…?……なんで?」
梓「……」クスクス
梓「ねえ、憂」
梓「……」スンスン
梓「なんかアルコールの匂いがするよ?」クス
憂「……」
憂「……」
憂「はは…」
憂「ばれちゃったね」
梓「ばればれだよ」
梓「よいしょっと」ゴロン
憂「わ…、梓ちゃん」
梓「わたしのベットだもん。文句ある?」
憂「ん……ないです」
梓「……」
憂「……」
梓「いったい、どうしたのさ」
梓「ほら。梓お姉さんに、言ってごらんなさい」
憂「……」
梓「……」
憂「……」
憂「ねぇ」
梓「…ん」
憂「梓ちゃんは、知ってるかな」
梓「……」
憂「お姉ちゃんって」
憂「なんか、ホイップクリームみたいな、甘い感じの匂いがするんだよ」
梓「こら…体臭の話しはやめなさい」
憂「梓ちゃんから言ってきたのに…」
梓「そうだっけ」クス
憂「そうだよ」クスクス
梓「……」
梓「知ってるよ」
憂「なにが?」
梓「唯先輩が、ホイップクリームみたいな…っていうの」
梓「いっつも、抱きつかれてるしね。まぁ、わかるよ」
梓「でもさ、それって憂もだよね」
憂「…そうなの?」
梓「うん」
梓「まるでホイップクリームみたいな甘さで…」
梓「甘くて、溶けちゃいそうだもん」クス
憂「そうなんだ」
憂「姉妹、だからなのかな」
梓「かもね」
梓「憂と唯先輩って、喧嘩とかしたことないでしょ?」
憂「……」
梓「……」
憂「そう、だね。言われてみれば…ないかな」
梓「それってある意味、凄いよね」
梓「おたがい、ずーっと。絶妙な距離感を保ってるってことでしょ?」
憂「そうかな」
憂「…わかんないや」
梓「なんだか…完璧な距離すぎちゃって」
梓「本当に仲がいいのか、疑いたくなっちゃうな」
憂「……仲悪いかな?」
梓「んーん」フルフル
梓「仲いいと思うけど」
梓「なんて言うか」
梓「姉妹だから似てるって、どんなに言ってもさ」
梓「二人とも別の人間なんだよ」
梓「だからね、憂が想ってるほど」
梓「唯先輩は、唯先輩じゃないかもしれないよ?」
憂「…うん」
憂「………うん」
梓「考え方も違ければ、行動もきっと違うはずだし…」
梓「じゃぁ、他人なのか。って思うかもしれないけど」
梓「そこにはちゃんと、見えない絆があって」
梓「憂と唯先輩はね、一人でいるときも」
梓「二人とも繋がってるんだよ」
梓「それこそ、わたしが見てて嫉妬しちゃうくらいにね」
梓「不思議だよね」クスクス
梓「憂も、そう思わない?」チラ
憂「……」
憂「すぅ……ふぅ」
梓「……」
梓「寝ちゃった…。ね」クス
梓「おやすみ…憂」ニコ
…
憂「……」
憂「…ぅ…ん」
憂「……」ボー
憂「……」
憂「……」モゾモゾ
憂「ぅ……頭、いた」
梓「……」ジー
憂「……え?」
憂「あ…。そっか…梓ちゃんの家にいるんだ」
梓「おはよ」クス
梓「寝癖、すごいよ?」
――テクテク
梓「うわぁ…さむいよ」ブルブル
梓「もう、真冬だね」
憂「うん」
憂「手…つなぐ?」
梓「つながない」プイ
憂「そっか」モフモフ
憂「……」
憂「……梓ちゃん。あのね」
憂「今度…なにかのかたちで、お礼するよ」
梓「……」
梓「そうだなぁー」
梓「なにかあったとき、返してもらおうかな」クス
キーンコーンカーンコーン
憂「……」
梓「……」
梓「今日も…うち、泊まる?」
憂「ありがと。梓ちゃん」
憂「でも、わたし帰るよ」
梓「そっか。わかった」
梓「まぁ、なんて言うか……」
梓「頑張れ」
憂「うん…そだね」ニヘ
梓「じゃぁ、わたし部活行くね」
憂「うん。ばいばい」
ガチャ
憂「…ただいまー」
…バタン
憂「……」ドサ
憂「……ふぅ」
スタン
憂「……」トタトタ
憂「……」
憂「なんか、ちょっと疲れたな」
憂「このまま…寝ちゃおうかな」
ギィ
カチャ
憂「……」トタトタ
憂「……」
ポフン
憂「……」
憂「…ふー」
憂「……」ジー
ぬいぐるみ「……」
憂「……」ツンツン
ぬいぐるみ「……」
最終更新:2010年02月13日 00:46