幼女澪「やめて……やめてよ……」ポロポロ

幼女律「あはは!あいつよえー!」

子供「りっちゃん、今日こそ泥に石入れて当てようよ」

幼女律「特性爆弾か。よーし!今日のターゲットは澪の隣の変な奴だー」

幼女澪「ダメー!」

幼女律「む、なんだよー。何か文句あんのかよー」

幼女澪「唯ちゃんにイジワルしないで……」

子供「じゃあ澪に当てちゃうぞー」

幼女澪「うう……」

ゴツン!

幼女律「あいてーっ!」


ガシ

「へっへー、りっちゃんつーかまーえたっ!」

幼女澪「昨日のお姉ちゃん!」

幼女律「うわー!出たなー!」

幼女唯「誰ー?」

子供「りっちゃんバイバーイ!」タタタ


幼女律「こらー!私を置いて逃げるなー!」

「ありゃありゃー、お友達に裏切られちゃったね~」ニヤニヤ

幼女律「むぐぐ……」

幼女律「わかったよぉ。謝るから離してよ」

「本当?逃げない?」

幼女律「逃げない逃げない」

「仕方ないなぁ。ほら」パッ

幼女澪「お姉ちゃん!」

「また会ったねー澪ちゃん。その子を助けてくれてありがとうね」

幼女澪「うん……。でも唯ちゃん泥だらけ……」

「ホントだねー。泥だらけだー」

幼女唯「泥だらけだぁ」

「お、唯ちゃんは泣かないんだねー。偉いぞっ」

幼女律「澪が泣き虫すぎなんだよー」

「何か言ったぁ?りっちゃん」

幼女律「なんでもないでーす」

幼女唯「ねえねえ、唯偉い?」

「偉い偉い。ほら、顔拭いてあげるからこっちにおいで」

ゴシゴシ

幼女唯「むー、プハッ。綺麗になった」

「良かったね唯ちゃん。……ってか、昔はこんなだったのかぁ」

幼女唯「?」

幼女澪「なんだか唯ちゃんとお姉ちゃん、本当の姉妹みたい」

「え?そ、そうかな?」

幼女澪「うん、だって似てるもん」

「た、他人の空似って奴だよ!うん!」

幼女澪「?」

幼女律「ところで、何で私のあだ名知ってんだよー」

「え?」

幼女唯「唯の名前も知ってた!」

幼女律「お前何者だぁ?もしかして誘拐犯か!?」

「……」

「ふふふ……」

幼女唯・律・澪「!?」

「ふっふっふ……」

幼女唯・律・澪「……!」ガクガクブルブル

「実は私は超能力者なのです!」

幼女律「うっそだー!バカじゃねーの!そんなの幼稚園児でも信じねーよ!」

幼女澪「お姉ちゃんすごい!」

幼女律「えっ」

幼女唯「ちょーのーりょくって何~?」

「お姉ちゃんはすごいってことだよっ!」ふんす

幼女唯「ふーん。あ、トンボだ」

「……」

「そんなことより、りっちゃん。まずは二人にごめんなさいしないとダメでしょ?」

幼女律「へいへい、ごめんなー澪。と、変な奴」

幼女澪「……」プイス

幼女唯「変な奴じゃないもん!唯だもん!」プンプン!

幼女律「はいはい。ごめん唯」

幼女唯「許した!」

幼女律「単純な奴だなぁ……」

「澪ちゃんもりっちゃんのこと許してあげて?」

幼女澪「……」

幼女澪「ん……」コクッ


――――――――――――

澪「準備はいい?」

律「いつでもOKだぜ!」

紬「私も!」

澪(もしかして平沢さん、昔公園で会った、あの子なのかな?)

澪(あの日以来、会ってなかったからずっと忘れてたけど……)

澪(だとすれば私の名前を知ってたのも頷けるし……)

澪(でもそんな昔のこと、普通覚えてるか?私でさえ、あの子の名前までは思い出せないのに……)

律「澪?」

澪「あ、ごめん。私もいつでもいいぞ」

律「じゃあ行くぞー!1、2」

~♪

~♪

――――――――――――
――――――――
――――
澪「ふう……」

唯「わぁー!」パチパチパチ

律「へへへ、どうだった?」

唯「なんて言うか、すっごく言葉にしにくいんだけど……あんまりうまくないですね!」

律「バッサリだー!」

唯「でもでも、みんなが音楽が大好きなことはわかったよっ!」

律「だ、だろぉー!?私達の演奏は真心勝負なのさ!」

唯「私何にもできなくて、きっと下手っぴだけど……、私もみんなといっしょに演奏がしたい!」

澪「私も平沢さんと一緒に演奏したい。いいよな?律」

律「んー、まあ澪が言うならいいか。ちゃんとギター教えてやってくれよ」

澪「わかってる。良かったな、平沢さん!」

唯「ありがとう澪ちゃん。また助けられちゃったね。えへへ」


――――――――――――

「じゃあ仲直りの印でアレやろうよ!」

幼女澪「アレってー?」

「うんたん」

幼女唯「やるー!唯もうんたんやるー!」

幼女澪「えー……は、恥ずかしいよぉ……」

幼女律「うんたんてなんだー?」

幼女唯「りっちゃんうんたん知らないの~?遅れてるぅ~」

幼女律「なんだとぉー!」

幼女唯「ひぃっ!お姉ちゃんたしゅけて!」

「こらりっちゃん、もうケンカしない約束でしょ」

幼女律「ぐぐ……」

幼女唯「あっかんべーだ」

幼女律「こいつムカツク……!」

幼女澪(りっちゃんが弄ばれてる……。唯ちゃんてすごい)

幼女律「それで、うんたんてなんなんだよー」

幼女唯「りっちゃん知らないの~?」

幼女律「お前、さっきから私のこと馬鹿にしてるだろ!」

幼女唯「おねーちゃーん!りっちゃんがイジめてくる!」サササ

「こら、りっちゃん!ダメでしょ!」

幼女律「ぐ……」

幼女唯「べー」

幼女澪「話が進まない……」


「じゃあ唯ちゃん、りっちゃんにうんたんやってみせて?」

幼女唯「らじゃー!よーし、やるぞぉ」

幼女律「ゴクリ……」

幼女唯「うんたんうんたん♪」パンパン

幼女律「……」

幼女唯「うんたんうんたん♪」パンパン

幼女律「……」

幼女唯「これがうんたんだよっ」キリッ

幼女律「なんだよそれー。格好悪いし馬鹿みてー」

幼女唯「先生がカスタネット叩くときは、うんたんしろって言った」

幼女律「そんなこと言われないよ。唯の先生も馬鹿じゃん」

幼女唯「馬鹿じゃないもん。言ってたもん」

幼女律「言わねーよー。なぁ澪?」

幼女澪「え?う、うん……。言われてない……」

幼女唯「先生言ってたんだもん……。唯ちゃんのうんたん上手だねって言ってたもん……」グスッ

「ふふ、大丈夫だよー唯ちゃん。お姉ちゃんから見ても、唯ちゃんのうんたんは上手だよ」

幼女唯「ホントぉ?」

「ホントだよっ。ね、お姉ちゃんにもカスタネット貸して?」

幼女唯「ん、ほい」

「うんたん♪うんたん♪」パパンパパン

幼女唯「おぉー!」

「どう?」

幼女唯「格好いい!お姉ちゃん唯より上手かも!」

「えへへ、照れるなぁ///」

幼女唯「うんたんうんたん♪」

「うんたん♪ほら、澪ちゃんも」

幼女澪「う、うん。うんたん……うんたん……」

幼女律「私は絶対やらないからな!そんなダサいこと!」

幼女唯「うんたんうんたん♪」

幼女澪「うんたんうんたん」

「あーあ、うんたんした人には後でアイス買ってあげようと思ってたんだけどなー」チラッ

幼女律「!?」

「今のところアイス食べられるのは、唯ちゃんと澪ちゃんだけかー」

幼女唯「やたー!あいしゅ!」

幼女澪「嬉しい……」

幼女律「……」

「二人は何アイスがいい~?」

幼女唯「ちょこ!」

幼女澪「澪は……イチゴ!」

幼女律「スイカバー!」

「あれー?りっちゃんはうんたんしてないのにアイス食べられるのかな~?」

幼女唯「かな~?」

幼女律「むぐぐ……。やればいいんだろ!やれば!」

幼女律「うんたん!うんたん!」

幼女律「ほら、やったぞ!スイカバー買え!」

「どうする唯ちゃん?」

幼女唯「ん~、おっけー!」

「オッケーだって。良かったねりっちゃん」

幼女律「私はスイカバーのためにやっただけなんだからな!」

幼女唯「これでうんたん仲間が5人になった」

幼女律「5人て?ここに4人しかいないじゃん」

幼女唯「あと一人は和ちゃん」

幼女律「あー和ちゃんかぁ。なるほどなぁ。誰だよ和ちゃん」

「ふふ、みんな音楽が好きなんだね」

幼女唯「好き!カスタネットが一番好き!」

「そっかぁ、唯ちゃんはカスタネットが好きかぁ」

幼女澪「一人で唄ったりするぶんには好き……」

「そっか、今はまだそれでいいよ。ちょっとでも音楽を好きな気持ちがあれば」

幼女律「私きらーい。リコーダーもピアニカも難しくて、あ゛ーってなる」

「りっちゃんは細かい動き苦手だもんねー」

幼女律「よく知ってるな」

「超能力者ですから!」ふんす

幼女律「また嘘付きやがった」

「じゃありっちゃんは……んー。太鼓とかやってみたら?」

幼女律「太鼓?」

「うん!ドコドコ叩くだけだからりっちゃんにはぴったりかもね!」

幼女律「太鼓……太鼓かぁ……」

幼女澪「もう暗くなってきたよ。そろそろ帰らないとママに叱られる」

幼女律「そだな。あ!まだアイス買ってもらってない!」

幼女唯「お姉ちゃんアイスは~?」

「ま、また今度ね!」

幼女律「やっぱり嘘つき野郎だ!私達を騙したな!」

「あはは~何のことやら~」

幼女律「大人ってずるい……」

「私まだ子供だもーん。高校生だもーん」

「ほらほら、帰った帰った。アイス食べるのとママに叱られるの、どっちがいい?」

幼女律「うう……怒られるの嫌……」

幼女澪「今日は帰ろうっか、りっちゃん」

幼女律「そだな」

幼女唯「じゃあお姉ちゃん、今度会った時は絶対アイス買ってね?絶対だよ?」

「わ、わかったわかった。さ、早く帰って」

幼女澪「お姉ちゃん、唯ちゃん、さようなら」ペコリ

幼女律「じゃーなー。嘘つき野郎と変な奴」

「バイバイ」ヒラヒラ

幼女唯「変じゃないもん!唯だもん!」

幼女律「じゃーな、ゆ・い!」

幼女唯「べーだ!」

幼女律「ふん、さっ行こうぜ澪」タタタ

幼女澪「あ、待ってよぅりっちゃん!」タッタッタ

幼女唯「唯も帰る」

「うん、気をつけてね」

幼女唯「お姉ちゃんもね」

「ありがと。それと……、憂によろしくね」

幼女唯「?お姉ちゃんは憂とお友達~?」

「ん~、秘密」

幼女唯「?」

「ほら、暗くなるからもう帰って。今度アイス買ってあげるから」

幼女唯「はーい。じゃあねアイスのお姉ちゃん!」

「バイバイ、唯ちゃん」


――――――――――――

律「なーんか不思議な人だよなぁ、平沢さん」

澪「不思議って?」

律「いや、わかんないんだけどさ……。何か赤の他人に思えないって言うか」

澪「うん。私もそう思ってた」

律「もしかしたらどこかで会ってたのかもな。だとしたら平沢さんが軽音部に来たのは運命!?」

律「だったら面白いよねー」

澪「ふっ、確かに面白いかもな」

澪「あっ……」

律「どしたー?」

澪「この公園……」

律「ここの公園?いつも通学路で通るとこじゃん」

澪「そうなんだけど……。何かいきなり……」

律「なんだよ。要領を得ねーな」

澪「なあ、幼稚園児くらいの時、この公園で他の幼稚園の子と高校生くらいの女の子と遊んだ覚えはないか?」

律「はあ?さすがに覚えてるわけねーだろ」

澪「だよな……」

律「もしかして、一緒に遊んだ他の幼稚園の子が平沢さんだって言いたいわけ?」

澪「確実とは言えないけど……、多分」

律「そんな馬鹿な」

澪「その時に音楽がどうこうって話をしたような……」

律「それが平沢さんの入部に繋がってるってか?」

澪「うぅーん。それと何か約束をしたような……」

律「おいおい、少女マンガ的な展開は『君に届け』だけにしてくれ」

澪「茶化すなよ……」

律「悪い悪い。まあ、確かにそうだったらホントに運命かもな」

澪「うん」

律「ま、何にせよこれで部員は揃ったんだ。平沢さんと一緒に頑張って行こうぜ!な!」

澪「そだな!よーし、やるぞぉ!」


――――――――――――

文化祭当日 音楽室

ガチャ

澪「はぁ~……」

バタン

澪(なんだよみんな……係り係りって、ライブの方が大切だろ。私達は軽音部だろ)

澪(みんなで合わせて練習したいのにさ……)

澪(しかも私が唄うとか……。マジ無理……)

澪「はぁ~……」

ガチャ

澪「ん?」

「やっほ、澪ちゃん」

バタン

澪「唯!……唯……?」

「へ?うん、そうだよ?どうしたの?」

澪「いや……、唯だよな?」


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最終更新:2010年02月13日 02:42