唯と聡!


唯「えっとー…りっちゃんのお家は」

唯「ここか! チェストぉぉ!」ピンポーン


「はーい」


澪「どちらさま…って唯?」

唯「あれー澪ちゃん?」

唯「なんで澪ちゃんが出てくるの?」

澪「なんでって…ここウチだし」


唯「え」

澪「え」


唯「ここ田井中さんちじゃないの?」

澪「秋山さんちですけど…」

唯「おっかしいなー」

澪「うん、唯がおかしい」

唯「な、なんでさ!?」

澪「まぁ…いっか(表札見ないのかこいつは)」

澪「とりあえず律の家に行きたいんだろ? 近所だし、案内するよ」

唯「それでこそ澪ちゃんだよ!」ビシッ

澪「は?」

澪「ほら着いたよ。ここが田井中さんちね」

唯「おー…やっと辿り着いたよー」

澪「5分も歩いてないのに」

唯「いや、そうじゃなくて…一人でバスに乗って来てみたり、色々神経削っちゃって」

澪(バス、一人で乗って来れたんだ)

唯「…むむ、なんか今失礼なこと考えたでしょ?」

澪「いや、唯すごいって考えてた」

唯「えっへん!」

澪(なにこいつかわいい)

澪「それじゃあ私そろそろ行くから」

唯「あ、うん。わざわざありがとねー」

澪「いいって。さーて、今日こそはいい歌詞を書くぞー……」

唯「さてと」

唯「なんかドキドキするなぁ。聡くんって一体どんな子なんだろ…」

ピンポーン


唯「もっかい押しとこ」ピンポーン

唯「……」

唯「もっかい、もっかい」ピーンポーン

唯(なんか楽しくなってきた)ピンポンピンポン

「はーい!!」ドタドタドタ

聡「どちらさまですか?(人が糞絞り出してるときに何だよ…)」ガチャ

唯「あ」

聡「ん、もしかして姉ちゃんの友達ですか? だったら姉ちゃんは…」

唯「あの」

聡「出かけて…はい?」


唯「お世話にならせていただきます!」

聡「……」


聡「え、なに?」

聡「…あの、もしかして罰ゲームか何かやらされてたりします?」

唯「え、そうじゃなくて…って、りっちゃんから話聞いてない?」

聡「?」

唯「あ…そういえば(言わないつもりだとか言ってたような…)」

聡「そういえば?」

唯「ちょ、ちょっと説明させてもらっていいかな?」

聡「はぁ…」


唯「―――というわけなんだけど、やっぱり聞いてない?」

聡「はい」

唯「即答だ…」

聡「…ちょっと、あいつに電話してみますから待っててください」

唯「あ、うん」

聡「……」

オカケニナッタデンワハ…

聡「…でねぇし」

唯「ど、どうしよ」オロオロ

聡「と、とにかく…姉ちゃんはあなたの妹と姉妹ごっこをするわけなんですよね?」

唯「たぶん」

聡「で、あなたと俺で姉弟ごっこと?」

唯「…だめかな」

唯「今更帰るわけにも…」

聡「…あ、その……別に構いませんけど(よく見ると結構かわいいしなぁ)」

唯「お世話になりますっ」

聡「早っ!?」

聡「でも今日ウチに俺しかいないんですよ? 大丈夫なんですか?」

唯「あ、それはもう聞いてるよ。だから全然OK」

聡「いや…仮にもあなたいい歳した女子高生なんですし」

聡「ほ、ほら…普通気をつけるじゃないですか」

唯「え? 何で?」

聡「いや何でって…俺から襲われるかもしれないとか」

唯「え!? お、襲う気なの!?」シュ


聡「仮にだよっ! 仮の話!! …ていうか何構えてんスか?」

唯「防犯ベルだよ!」


聡「あ、あらかじめ用意されてたのかよっ、何かショックだ…!」

聡「言っておきますけど、俺は姉ちゃんのダチとはいえ、見ず知らずの女を襲う勇気なんて持ってません」

唯「…それって、自信満々で言うセリフなのかな」

聡「……」

聡「とりあえず中に入りましょうか」

唯(スルーされた!?)

唯「えへへ、何かごめんねぇ」

聡「もういいですって」

唯(今頃りっちゃんは憂と仲良くしてるのかな…ううんっ、気にしちゃだめ! 憂のことは忘れよう)

聡「全く、あのバカ姉は」

聡「だいたい何であなたも断らなかったんスか!?」

唯「あのねアイス……たまにはこういうのもいいかなぁって」

聡「それにしても…」

唯「んー?」

聡「……」

聡「調子狂うなぁ」ガリガリ

唯「ど、どうして?」

唯「私変なことしてるかなっ」

聡「いや……はい」

唯「なっ」

聡「ところで…まだ名前聞いてないんですけど」

唯「あれ、そうだっけ?」

唯「じゃあ自己紹介…」


唯「平沢 唯! 16歳! 特技はごろごろすること! 以上ですっ」

聡「すっごくわかりやすい」


聡「ん、唯…? そういえば聞いたことがあるような…」

唯「お! 私も有名になったもんだ」フンス!

聡「姉ちゃんと一緒で軽音部の部員なんですよね?」

唯「うん! ギターやってるんだ~。で、ギターはギー太って言ってね…」

聡「??」

唯「…ってことで友達のムギちゃん…あ、ムギちゃんってのは軽音部の一人で眉毛が…」

聡(聞いてもないのに色々話し始めた…)

唯「で、値引きしてもらってやっとギターを買えたってわけ! 色々あったんだよ~」

聡「へー…」

聡「でも唯さんがギター弾いてるのイメージできないよ」クス

唯「えー、なんでさぁ?」

唯「これでもだいぶ上手くなったって言われるようになったんだよ?」

聡「そうなんスか? 一回聞いてみたいかも」

唯「ふふん、そこまで言うのなら聞かせてあげる! …あ」

聡「どうしました?」

唯「ギー太置いてきちゃった…」

聡「普通は泊まり来るのにギターなんて持ってこないでしょ…」

唯「それもそっか」

聡(切り替え早いな!)

聡「とりあえず今日どうやって過ごします? さすがにこのまま話してるだけってのも色々とキツいじゃないスか」

唯「え、私は楽しいよ?」

聡(俺がキツいんだよ)


ピンポーン

聡・唯「あ」

聡「ちょっと見てきます」

聡「はーい」ガチャリ

男A「おいっす」

男B「聡くん、おはよ」

聡「なんだお前ら…」

男A「な、なんだってなんだよ! とりあえず遊ばね?」

聡「ん、ああ…」

唯「聡くーん」

男A・B(…女?)

聡「どうしたんスか? 唯さん」

唯「トイレどこかなって」

男B「…今日、聡くんしか家にいないって言ってたよね」

男A「答えろよ」

聡「はぁ? どうしたんだよ」

男A「答えろよ。質問はすでに…拷問にかわっているんだぜ」

男B「…裏切り者がぁ」ガシッ

聡「ひ!?」

聡「な、なにかすごく誤解してないか!?」

男A「あの人お前の姉ちゃんじゃないよな? じゃあ一体誰だよ、何だよ、え?」

唯「え? え?」

唯「け、けんかはよくないよ…」

男B「これはケジメですよ」

男A「いつのまに彼女なんて作りやがって…ぶっ殺してやる」


聡・唯「彼女!?」


聡「違うっ、そんなんじゃないから!」

唯「そうだよ! 私はただお泊りに来ただけだよっ」

男A・B「!!」

男A「違わねぇじゃねえか!!」

男B「信じてたのに! ファック!」ペッ

聡「うわ、汚ねぇっ、唯さんはちょっと黙ってて!」

聡「一回説明させて! 実は…―――」

聡「…というわけでして」

男A・B「……」

男A「つまりこちらの唯さんは今日だけ」

男B「聡くんのお姉さん、と」


唯「どうも、聡くんの姉です!」

聡「…わかってくれた?」


男A「よくわからないけど…まぁ、うん」

唯「ごめんね、ややこしくしちゃって…」シュン…

男A・B「 」キュルルルリン!

男A「いえ、唯さんは何も悪くねーです」

男B「そうですとも」

唯「そ、そう? ありがと」ニッコリ

男A(あふんっ///)

男B(おっきした)

聡「…で、遊ぶって件なんだけど、唯さんのこともあるから今日はキャンセルだわ」

唯「どうして?」

聡「いや、だって俺が遊びでたら唯さん一人がこの家に残ることになるんですよ? 色々心配でしょうが」

唯「あ、そっか」

聡「てなわけで悪いけど…」

B「あ、僕いいこと考えついちゃったー」

A「え、なーにー?」

B「うん。唯さんも僕達と一緒に遊べばいいんだよー」

A「なるほどねー。ね、唯さん」

唯「は、はい?」

A「お前に聞いてない、唯さんに聞いてるんだ」

聡(目が…怖い)


唯「私はべつに構わないけど」

A・B「おお!」


聡「…いいんスか?」

唯「うん、聡くんも友達と遊べたほうがいいでしょ?」

聡「ま、まぁ…」

唯「じゃあそれでいいよね」ニコ


聡「けっきょくゲーセンかよ」

唯「なんかいるだけで楽しいよね~♪」

A「けっこう空いてるな」

B「唯さん何します!?」

唯「んー…色々あって迷うよぉ」

聡「あ、唯さん。あのギターのやつやってみたらどうスか? ギター上手いんでしょ?」

唯「おぉ~! やるやる!」

B「金は僕が出しますよっ」チャリン

唯「あ、ありがと」

唯「むむ……けっこうむずかしい…かも」

聡「これってまだ簡単な方じゃないっスか」

唯「ほ、本物のギターなら上手に弾けるんだからね!?」

聡「あはは、どうだか?」

A「唯さんギターが弾けるんですか?」

B「最高ですね」

唯「いやぁ、えへへ」

唯「…あ、UFOキャッチャーだ!」タタタタ…

A・B「待ってくださーい」

聡(振り回されてる…)

唯「あ、お菓子の詰め合わせ!」

A「穴の近くだし取りやすそうですね」

唯「じゃあいっちょ狙ってみますか~」

B「金は僕がだしますねっ」

唯「え、あ…何度も悪いよぉ」

B「いえいえ!」チャリン

A「お前気前良かったんだなぁ」

唯「あ、始まっちゃった…」

唯「と、とれたーっ! やたー!」ピョンピョン

A「おお~(跳ねてるのかわいい)」

B「マジパネェです」

聡「あの場所にあるなら取れないほうがおかしいって」

A「おい」

聡「…え、え?」

A「お前はなんにもわかってないな!」

聡「!?」

聡「なぁ、そろそろ別のことしない?」

A「別のことって?」

聡「金使わないこととか…」

B「あ、出たよ。貧乏学生気取り(笑)」

聡「気取る意味がわかんないって」

唯「私も聡くんに賛成かな。これでもおサイフの中身すっからかんでして…」

聡「あんたゲームの金、全部Bに出してもらってたじゃないスか」

唯「いやぁ」

A「じゃあサッカーしようぜ。公園で」

聡「そうそう、そういうことがしたかったんだよ」

B「唯さんは大丈夫なんですか?」

唯「え?」

B「サッカー」

唯「……期待はせんでおくれよ?」

聡「とりあえず公園行こうぜ! 公園!」

唯(なんか男の子って感じだぁ)


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最終更新:2010年02月18日 00:26