音楽室
澪「え?なんで?」
唯「私も唇が乾燥してピリピリしてきちゃった。澪ちゃんさっき塗ってたよね?」
澪「うん、乾燥してたからな。で、唯の唇が乾燥してるのはわかったけど、なんで私がリップを貸さなきゃないんだ?」
唯「いやだから、私も唇が乾燥してるんだってば」
澪「それはわかるって。私のリップを何に使うか聞きたいんだよ」
唯「いや、そりゃ塗るためでしょ」
澪「え……?」
ガチャ
律「ういっすー!」
律「ん?どうしたお前ら」
澪「唯が私のリップを貸せって言うんだよ……」
律「リップクリームを?なんで?」
澪「乾燥してるからとか……」
律「へ?澪のリップクリーム借りてどうするつもりだよ」
唯「そりゃあ、唇に塗るよ。それ以外何に使うのさ」
律「え……?」
澪「さっきからこの調子なんだよ……」
唯「え、何?何かおかしい?」
律「おかしいって言うか……なあ?」
澪「うん、ちょっとリップはさすがに、な……」
唯「二人ともどうしたの?言いたいことがあるならはっきり言ってよ」
澪「じゃあ言うけど、普通他人のリップは使わないだろ……」
唯「えっ?」
律「ムギは喜びそうだけどな……」
唯「嘘!?私、憂と同じリップクリーム使ってるよ!」
律「えぇ……ないわ」
澪「家族でもさすがにそれは……」
唯「りっちゃんは弟さんと同じリップクリーム使わないの?」
律「使うわけねーだろ!」
澪「多分そんなことしてるの唯の家だけだぞ……」
唯「うそ~ん」
ガチャ
紬「掃除で遅れました~」
唯「ムギちゃん!ムギちゃんは家族でリップクリーム使いまわしたりするよね!?」
律「いやいや!使わないだろ!?汚いだろ!」
紬「え?え?」
澪「実は唯が私にリップ貸してって言うもんだから、話を聞いたら唯の家ではリップを家族で使いまわすんだってさ」
紬「まぁ!……とは言うものの、リップクリームの使いまわしはしたことがないわ……」
唯「え~!ムギちゃんもぉ!?」
紬「リップはさすがに、ねぇ?」
ガチャ
梓「こんにちはー!」
唯「家族の使うよね!?」
律「いーや、使わないだろ!?」
梓「えーっと……。え?」
澪「実はかくかくしかじか」
梓「それは唯先輩がおかしいですよ……」
唯「えぇ~……」
律「満場一致だ!リップクリームを使いまわしてるのなんて唯んちだけだな!」
唯「むぅ~」
律「わかったら薬局で自分用のリップを買うんだな」
唯「ぶぅ~」
ゆいんち!
唯「うい~!私専用のリップクリーム買ってきた!」
憂「え?どうして?今使ってるやつ買ったばかりだよ?」
唯「なんかねぇ~、部活の時に澪ちゃんにリップクリームかしてって言ったら、普通他人のは使わないだろって」
憂「そうなの?澪さん変なこと言うね」
唯「それが部活のみんな同じなんだよ!リップクリームは家族でも同じ物は使わないって!」
憂「えぇ~!おかしいね~」
唯「うん、でもみんなそう言うからおかしいのは私の方なんじゃないかって思って……。買って来ちゃった」
憂「家によってそれぞれ常識って違うんだね。そう考えるとちょっと面白いかも」
唯「ホントだね~」
つぎのひ!音楽室
唯「シャカシャカシャコシャコ。ガラガラガラー、ッペ」
唯「はーはー。クンクン。よし!口臭チェックおっけー!」
ガチャ
澪「ういーっす」
唯「澪ちゃんういっす」
澪「ん?何してるんだ?唯」
唯「えへへ……。お恥ずかしながら口臭が心配で……。みんなが来る前に歯磨きしてたんだ~」
澪「そっか。……なんか私も気になってきた……」
唯「澪ちゃんは臭くないよ」
澪「そう?じゃあいいか……。いや、やっぱり気になる……。私も歯を磨こう」
唯「でも歯ブラシあるの?」
澪「貸して」
唯「 え 」
澪「唯の歯ブラシ貸して?」
唯「」
唯「んも~、澪ちゃんの冗談つまんないよ~」
澪「冗談て何が?」
唯「え?冗談、だよね?」
澪「だから何がだよ。私は別にギャグを言った覚えはないけど……」
唯「私の歯ブラシ貸してとかなんとか」
澪「うん。歯磨きたいから貸して」
唯「」
唯「いやいやいや!歯ブラシの使いまわしはないでしょ!リップクリームの方がよっぽどありえるよ!」
澪「リップはさすがにありえないだろ……」
唯「澪ちゃんの神経がわからない……」
ガチャ
律「ういーっす」
唯「りっちゃん!たしゅけて!」ダキッ
律「お、どうしたんだ唯?澪に食われそうな顔して」
唯「なんかね~、澪ちゃんが私の歯ブラシを貸せって言うの」
律「え?貸してやれよ」
唯「はいぃ?」
律「歯ブラシくらい貸してやれよ」
唯「…冗談だよね?」
律「冗談って何が?」
澪「唯、ふざけてないで早く歯ブラシ貸してよ」
唯「あわわ……」
唯「あ……うん……じゃあその歯ブラシ澪ちゃんにあげるよ……」
澪「なんで?ちゃんと返すよ」
唯「いや……家に買い置きあるから……ちょうど新しいのおろそうと思ってたの……」
唯(本当はないけど……)
澪「そう?じゃあ遠慮なく」
澪「シャカシャカシャコシャコ。ガラガラガラー、ッペ」
澪「はーはー。クンクン。バッチリ!」
律「私にも歯ブラシ貸してくれよー」
唯「……」
ゆいんち!
唯「ういー!歯ブラシ買ってきた!」
憂「え?どうして?この前買ったばかりじゃなかった?」
唯「実は歯を磨くために学校に歯ブラシ持っていったんだけど、澪ちゃんが貸してって……」
憂「歯ブラシを?どうして?」
唯「磨くためだって……」
憂「え……?」
唯「みんな歯ブラシ使いまわしてるからびっくりしちゃった。これも家によって常識が違うのかな~?」
憂「う、う~ん……。そうなの、かな……?」
唯「そう考えると面白いよね~」
憂(……歯ブラシはさすがに家がどうとかのレベルを超えてるような……)
つぎのひ!音楽室
唯「ふぃ~、最後の授業が体育とはね~。パンツまで汗びっしょり」
唯「一応予備のパンツ持ってきておいて良かった~。みんなが来る前に着替えようっと」
ぬぎぬぎ
ガチャ
梓「こんにちはー」
唯「うひゃあああぁ!あああ、あずにゃん!」
梓「わっ!唯先輩何してるんですか!」
唯「パンツまで汗びっしょりだから着替えを……」
梓「そうだったんですか。まあここは男の子が来る心配もないし、私も向こう向いてますから大丈夫ですよ」
唯「ありがとうあずにゃん。パパッ!と着替えちゃうね」
ぬぎぬぎ、きせきせ
唯「おしまーい!オッケーだよあずにゃん」
梓「はい。あ、そうだ。その脱いだパンツ貸してくれませんか?」
唯「へ?」
梓「脱いだパンツでいいんで貸してください」
唯「」
唯「一応聞くけど、なんで?」
梓「じ、実は今日朝寝坊してしまってノーパンで学校来ちゃったんです……///」
唯「色々突っ込みたいよあずにゃん。とりあえず、朝寝坊してノーパンのあずにゃんに、どうして私のパンツを貸さなきゃいけないのかな?」
梓「穿く以外に何が?」
唯「いやいやいや!絶対おかしいよ!使用済みだよ!?汗びっしょりだよ!?リップクリームの使いまわしの方がよっぽどありえるよ!」
梓「リップはさすがにありえないですよ……」
唯「」
梓「あ、私は全然気にしませんので大丈夫ですよ」
唯「私が気にするよ!」
ガチャ
律「おいっすー」
唯「りっちゃん!たしゅけて!」ダキッ
律「お、どうしたんだ唯?梓に襲われそうな顔して」
唯「ある意味襲われてるよ……」
梓「実は今日色々あって、パンツ穿き忘れたんで唯先輩に借りようとしてたんです」
律「へー」
唯「おかしいよね!?他人のパンツなんて普通穿かないよね!?使用前でも無理だよ!」
律「なんで?貸してやれよ」
唯「」
律「別にいいだろパンツくらい。女同士なんだし」
唯「あわわ……」
ゆいんち!
唯「ういー!パンツが一枚減った!」
憂「ええ!?いきなりどうしたの!?」
唯「実は今日予備のパンツ持っていったんだけど、あずにゃんがパンツを穿き忘れて来たから貸してって……」
憂「へ~、やっぱり家によって常識が違うん…いやさすがにそれはちょっと!」
唯「みんな女の子同士だから普通って言うんだもん……。さすがに使用済みは使いたくなかったからあげちゃったよ……」
憂「う、う~ん……。普通……なのかな?」
唯「やっぱり面白いね~。こんなに近くに住んでるのに、家によって違うなんて!これが有名な、かるちゃあしょっく?」
憂(いくらなんでも限度ってものがあるよ……)
つぎのひ!音楽室
唯「うう……。生理痛でお腹痛い~……」
唯「ナプキンがグチュグチュで気持ち悪いな……取替えようっと」
唯「良かった~。最後の一枚だった。みんなが来る前にっと」
ぬぎぬぎ
ガチャ
律「ういっすー」
唯「うひゃあぁ!りっちゃん!」
律「お、唯は生理ですか~。大変ですな~」
唯「えへへ……お恥ずかしい///」
律「まあそんなことより早く替えちゃえよ。みんな来ちゃうぞ」
唯「う、うん」
きせきせ
唯「完了です!あ、使用済みナプキン捨ててこなきゃー」
律「うう……」プルプル
唯「りっちゃん!?どうしたの!?」
律「きそう……」
唯「オナラ?別にいいよ。私は気にしないし」
律「生理だよバカ!」
唯「そ、そっか!じゃあ早くナプキンつけないと!」
律「忘れてきた……。唯持ってない?」
唯「私もさっきのが最後の一枚で……」
ガチャ
澪「おいすー」
梓「こんにちはー」
紬「すぐお茶いれるわねー」
律「うう……」
澪「どうした律!?」
唯「生理なんだよ!誰かナプキン持ってない!?」
澪「いや、私は持ってない……」
梓「私もです……」
紬「ごめんなさい……」
唯「そんな……、こんなに女の子がいるのに、ナプキンが一枚もないなんて……」
澪「あるじゃん」
唯「本当!?どこに!?早くそれをりっちゃんに渡して!」
梓「どこって唯先輩が持ってるじゃないですか」
唯「え?」
紬「使用済みだけど、女の子同士だし大丈夫でしょ」
律「早くそれ貸してくれ、唯」
唯「はわわ……」
澪「早く、唯」ズイ
唯「ひいっ!」
梓「唯先輩、早くしないと音楽室が血で染まりますよ」ズズイ
唯「でもでも……」
紬「使用済みでも大丈夫よ。お・ん・な・の・こ同士なんだから」ズズズイ
唯「う、うわあああああああああああああああ」
唯「バクッ!」
律「あ、こいつ使用済みナプキン食いやがった!」
澪「早く出せ唯!律に貸してやれ!」
唯「ぐもももも!」
梓「ああ!唯先輩の顔が真っ青に!」
紬「早く吐き出すのよ唯ちゃん!窒息してしまうわ!」
唯「」
ピーポー
チリーン
~~
唯「昨晩、こんな夢を見ました」
律「気持ち悪い話すなアホー!さすがに許容範囲はリップクリームまでだろ!」
唯「だよね~!」
ガチャ
憂「お姉ちゃんいるー?コロコロ」
唯「うい~、どうしたの?」
憂「友達においしい飴もらったの!お姉ちゃんに分けてあげようと思って!コロコロ」
唯「わーい!ほしいー!」
憂「ふふ、じゃあ寝そべって、あーんして。コロコロ」
唯「あーん」
律「え、ちょ、おい待て」
憂「いくよ?お姉ちゃん」
唯「ほっへー(おっけー)」
律「お、おい!やめろ!」
憂「んべー」ポト
唯「パクッ。コロコロ。ん~おいしい!」
憂「良かったねお姉ちゃん!」
家庭によって、常識が違うことは多々あります。
この姉妹にとっては、飴を口移しするのが常識のようです。
律「とんだ変態姉妹だぜ……!」
おしまい!
最終更新:2010年02月20日 10:56