澪「お…おい律…冗談だよな…?」

律「へ?あの…その…」

律母「律!本気なの?幼なじみの澪ちゃんじゃない!あんたが一番大事に思ってた人でしょ!」


律「え?え?」

律「あの…えっと…ホントにわからなくて…澪さんっていうんですか?」


澪「澪さん………?」


澪「ガチガチ(そんな馬鹿な…律とは十年以上付き合いがあるんだ…それが…思い出が…一回の事故で…?)」(ポロポロ)

唯「み、澪ちゃん泣いてる…」

紬「と、とりあえず外でよ!りっちゃんも困ってるし…」


梓「そう…ですね、澪先輩…行きましょう?」


澪「シクシク」


律父母「………………」

律「どういうこと…?」(オロオロ)

律父「律…お前には幼なじみがいるんだよ…それが澪ちゃんだ…大学に行ったら二人で暮らすはずだったんだ」


律「そ…そうなの?」


律父母「…」

律父「母さん…先生を…」

律母「ええ…呼んできます…」

先生「そうですか…やはり…」

律父「ええ…しかも一番仲の良い友人のことを…よりによって何故…?」


先生「印象が強いものを忘れてしまうと……全てを取り戻すには時間がかかる場合が多いといわれます…あるいは一生…」


律「………」

先生「とにかく気長に待つことが重要です…ありふれていますが思い出すきっかけを与えることも重要です」

先生「娘さんの健康面は問題ないですし再来週には退院出来るはずです」

先生「できるだけいつも通りに生活させてあげてください…気長にゆっくり」

律父「わかりました…」

澪「(私はその日から律に会うのが怖くなり見舞いに行かなくなった…)」


澪「(皆はちょくちょくいってるみたいだ…私を思い出させるためにパンチラしてしまったビデオや部員との写真などを律に見せてるようだが私を思い出すことはなかった…)」

澪「(二週間後…律は無事退院した。私はと言うとふさぎこんでただ学校に行くだけのロボットのようだった)」



~ある朝~
(ガチャリ)

澪「いってきます…」


律「おはよう…澪さん」


澪「り、律!?」

律「ゴメン脅かせた?」

澪「ううん…大丈夫…」

律「唯達にイロイロ聞いたんだ、澪さんのこと。ゴメンな忘れちゃってて…」


澪「ううん…仕方ないよ…律のせいじゃないよ…」


律「私少しでも早く思い出したくて…だから自分から行動しようと思ったんだ。」


律「これからは一緒に学校行っても良い?」


澪「へ?う、うん…」

律「部活にも来てくれる?」

澪「うん」

律「私達同じ大学に進むんだろ?聞いた話だとルームメイトになるらしいんだけどまだピンと来ないんだ…だから入学までには必ず思い出して澪さんと…」


澪「澪って呼んで!」

律「へ?」


澪「いつも…そう呼んでたから…」


律「じゃじゃあ…み、澪//」


澪「うぅぅ…」(ポロポロ)

律「ど、どうしたの?」(オロオロ)

澪「ご、ゴメン。私律に会うのが怖くて…律に忘れられてるのが辛くて…」(シクシク)


律「ゴメンな!絶対思い出すから!」


澪「うぅぅ…ぐすっ…ゴメンね急に…ぐすっ」


律「もう澪って見かけによらず意外と弱いなぁ…こうなったら私の鉄板ネタを!」


澪「?」

(バッ)

律「ヒゲ!!」

澪「…?(キョトーン)」

律「…………」(プルプル)

澪「…………」

澪「ふえーん……」


律「な、なぜまた泣く!?」


澪「律が優しいからだよぉ…うわーん…」


律「おーよしよし…そろそろ学校行かないと遅れちゃうよ?いこ?」


澪「うん…ぐすっ…ぐすっ…」

澪「(私は学校に着くまで律との思い出や律の印象に強く残っていそうな話しをしたが、律はイマイチな反応だった…ピンとくる物がまだないんだ)」


澪「(私と律はクラスが違うため放課後に初めて顔を合わせた)」



~音楽室~
(ガチャリ)

澪「ひ、久しぶり…」

唯「あっ!澪ちゃん!」

梓「先輩!」

紬「やっと来てくれたね♪」

律「これで皆そろったな!さぁムギ!お茶にしようぜー!」

梓「先輩!まず練習が先です!」

律「たまには息抜きも必要だろー?」


澪「…(いつもの部活…なのに、律の中に過去の…思い出の私はいないんだな……)」

澪「(その日の部活は私にとって楽しいものとは言えなかった…私意外のメンバーとはいつも通り接する律を見て私は辛くて仕方なかった…)」

澪「(でも神様はそこまで非情ではないみたいだ)」



~ある日~

澪「ゲッホゲホ…ハクション…はぁ卒業ライブ前に風邪なんて……」


澪「みんな怒ってるかなぁ…」

(トン…トン…トン…トン)


澪「!?」

澪「り…律なの?」

(ガチャリ)

律「超能力者かい!」


澪「わかるよ…律の足音は…//」

律「風邪どう?」

澪「まだ少し熱ある…ライブ前だってのにな…わざわざ見舞いありがと//」


律「気にすんなって♪部長としてとうぜんじゃん」

澪「みんな怒ってない?」
律「無いよん♪」

澪「律は?」

律「ないよ♪当たり前だろぉ?」

律「皆心配してるぞー!早くなおせよな」

澪「うん…」


律「私最近気付いたんだぁ」

澪「なにが?」

律「練習にシビアでちょっと怖い澪だけどさぁ…澪のベースがないとなんか寂しいんだぁ。澪のベース聞いてるとなんか安心する、やっぱり澪のベース好きなんだよ…//」

澪「なんだよ急に…//恥ずかしいだろ『馬鹿律』」

律「へっ?」(ビクンッ)

澪「どうしたの?」

律「い、いや…なんでもないよ。まぁ~今日は帰るなっ♪澪思ったより元気そうだし」(なんか…懐かしい言葉?)


澪「えー帰る何て言うなよぉ…寝るまでそばにいてよぉ…ねぇお願い律ぅ…」

律「へっ?」(ビクン)

律「あ…(こ、こんなこと前にも…あった?私が風邪をひいたとき誰かが側にいてくれてすごく安心してうれしくて…………)」

澪「律?ダメ?」


律「…(あれは…誰だった?澪………?澪だった?そうだよ澪だった!間違いない澪だ!)」

律「…まったく…澪は『昔から』寂しがりやで困っちゃうな~♪」

澪「う、うるさい馬鹿律!ゲホゲホ」

律「おいおいむりすんなって~♪そのくせ強がりで恥ずかしがり屋なんだから澪は…『昔から』変わらないな」


澪「うぅぅぅ……………………って、えっ!?!?」

澪「律…?」

律「えへへ(ニコニコ)」

澪「思い出したの?」

律「バッチリ!」

澪「うぅぅ…うぇぇん…うわああああん…ふええええんえんえん……」


律「うぉぉ!泣くなよ澪!」


澪「だって…だって…うえええん馬鹿律ぅ…ふえええん…」


律「よしよし…ゴメンな澪…良い子良い子…//」(ナデナデ)


澪「うぅぅ…ふええん…ぐすっ…ぐすっ…」

澪「うぅ…私律が事故に遭う前酷いことを…」

律「気にしてないよ♪」(ナデナデ)


澪「私ホントは律と同じ学校に行くのも楽しみだしルームメイトとしてやって行くのもすごく楽しみだったんだ…なのに…慌てちゃって……ぐすっ…」


律「わかってるよ馬鹿澪…澪のこと思い出せてよかった」(ギュッ)


澪「ふぇ//」

澪「寝るまでそうしててよ…//」

律「はいはい…ホントは記憶が戻ったら病院に直行しろって言われてるんだけど…特別だぞ♪」


澪「うん♪えへへ//律大好き//」


律「え?なんだってぇ♪」

澪「な…なんでもない!馬鹿律//」

律「はいはい♪」(ギュー)

澪「スースー…」

律「やっと寝た…さて病院いくかぁ」(スクッ)

澪「律ぅ…ムニャムニャ」

律「寝言か…//心配かけてゴメンね」(チュッ)

律「じゃあな澪、また明日」



~病院~

律「こんにちは先生!私全部のこと思い出したよ!」

先生「ええ!?本当かい?親御さんには言った?」


律「あ…忘れてた…テヘヘ♪」


先生「親御さんには先生が連絡して呼んでおくから。これから少し検査をしなきゃならないんだ、君、検査室に案内してあげて。」


看護師「さぁこちらです」

律「ほいほーい」


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最終更新:2010年11月01日 19:47