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二年前

『唯』見舞い日 AM 02:13 東京 封鎖地区 公園周辺 路地『G3』


ちっ…こんな仕事引き受けるんじゃなかったな。

俺は路地を走りながら、つくづく後悔していた
あの女の子──確か唯って嬢ちゃんだな。あの動き、力を見て…

とりあえずこの仕事を済ませたら、仕事が無くなるな
この感染もすぐに広まっていくだろうな。そして俺も…
まぁ最後の仕事ぐらいきちっと済まして死ぬか

携帯を取り出しG5に連絡

G3「もしもし?G5!東京タワー下で落ち合おう。急いでくれよ」

『わかった。こちらもそこに近いし、1分で着くよ』


G5「大丈夫なのか?その警棒タイプのスタンガンだけで」
G6「そうですよ、テイザー銃とかあるじゃないですか」

車から武器を選別し終わった俺は答える

G3「いいんだよ。こっちのがしっくり来る、
それに一応最後の手段用のあれも持っている」

そう。銃はあまり好かない
とりあえず、3人であの化物嬢ちゃんを捕まえにいき
そして一緒に居るはずの2人のお友達を救出、と俺は大体の仕事内容を話し
琴吹家特製の小型ポータブルナビに嬢ちゃんにバットを振るった時ついでにつけた
小型発信機の周波数を入れる。画面に点が移る。

あの場所からそう、離れていない。なんせ2人両脇に担いでの移動だしな
それにまだこの速度で動いていると言う事は、あのお友達の2人はまだ食べられていない。

──まだ救える

俺は、行くぞとG5、6に言うと、走りながら現状説明と、作戦説明

G3「いいか?あの化物嬢ちゃんは動きがとにかく早い
だから、単純明快な作戦。挟み打ちをする、俺が追い込み
そこをお前らが確保。OK?」

OK。と返事を聞くとすぐさま無線のスイッチをいれ
G5、6と別れる、俺は最短ルートであの嬢ちゃんの元に向かう

G3「はぁはぁ…路地に入って…この先を抜ければ…」

そこにいるはず。その路地を走り抜けるとそこは、ビルに囲まれた大通り
もしなにも起きてなければ車に人が行き交っているが、何も通らないし、誰もいない。

そのため直ぐ左を見るとすぐわかった

──あの化物嬢ちゃんだ


G3「確保対象発見、多分あの2人も生存」

無線でG達に連絡。ポータブルナビを見た結果、
すでに囲むように配置できている様だった。G達の返答を聞いてから
どこに追い込むか連絡。またもや返答を聞いてから俺は言った

G3「作戦開始」

同時に俺は化物嬢ちゃんに向かい走る
化物嬢ちゃんはこちらに気づくと、2人を抱えたまま走った。

手放して逃げるとおもったんだがな…そしたらあいつらに任せて終わりなのに
てか2人抱えてるにしても走ると普通に早いじゃねぇか!

俺は全力疾走をして、追いかける。
嬢ちゃんがある程度逃げると真正面にG5が待ち伏せ

左の路地に入るしかないぜ?嬢ちゃん


予想通り左に逃げていく嬢ちゃんを見て直ぐにG6に連絡

G3「G6行け!」

そう言ってから俺とG5もすぐ路地に入る
そこにはG6と対峙して睨みあっている化物嬢ちゃんがいた

作戦成功。あとは捕獲

G3「テイザー銃ちゃんと狙って打てよ」
G5「わかってる…よ!」

G5、G6が引き金を引く。すると銃先からワイヤーに繋がった針が発射。
見事、腹と肩あたりに命中。一瞬で強烈な電気が通り、その場に倒れてもがいている

だが気絶はしない。
だから俺がその隙に近寄り、頭を──

G3「恨まないでくれよ、嬢ちゃん」





『唯』見舞い日 AM 02:23 東京 封鎖地区 東京タワー『G3』


頭を殴り気絶させ、特別車に乗せる。すぐに薬で眠させ、落ち着かせる
一通り終わった俺が更にお友達2人を乗せようとすると

G5「すまないんだが、その2人は乗せられないんだ。
俺がもう一台手配しておくから、しばらく待ってもらえないか?」

東京タワー下にて告げられる、さらなる仕事内容
待ってもらえないか?とは言われたが、それはつまりこの2人の手当てをするって事だ
理由としては彼女の身体が特別なため、そんな事らしい

G3「はぁ…しょうがないな、少し応急手当用の道具をくれ」
G6「はい!どうぞ!」

全くなんでこいつこんな元気いいんだ?


捕獲完了後 PM 12:23 東京 封鎖地区内 コンビニ 『G3』

G5「では僕達行きますね」
G3「あぁその嬢ちゃんちゃんと送り届けてくれよ」
G6「任せてくださいって!G3さん!」

こんな会話を済まして、見送ってから10時間
俺はコンビニにて食糧、薬、使えるもの全てを集めている

なにが起きたかはわからんが手配した車は1時間で来るはずだった
だったのに来ない。なんとなく悟っていた。

──もう来ない

俺はこの先来るであろう最悪の事態に備える準備をしていた
新しい厚生省による発表と昨日あの後、朝見た感染者とをみると

感染者は
どうやら光が苦手な動ける怪物になる。と言う事がわかったから


そういう事もわかり、俺は適当にもぬけの空になっている家を探し
その家を色々細工し化物の襲来に耐えられるようにした

この姿を見たら誰もが、言うだろう。なぜそこまでするの?と
理由は単純。昨日のあれで最後の仕事にするつもりだったのに
嬢ちゃん方のガードマンをするって言う仕事が追加されてしまったから
確か澪と和か?

その家の3階に寝かした嬢ちゃん達には感染者に起こる兆候が見られない
というか全然起きてくれない事の方が、大変なのかもしれない

とはいえそれから3日後の夜にはすでに感染者が道路を走り回り
人を見つけは食い殺す。そんな都市になってしまった

本当最悪の予想通りだったよ


そして俺もその最悪の予想の一部に近づいてるみたいだからな
仕事の一部として旅に出る事にしようと思う。

食糧、薬その他諸々は集めておいたから、切り詰めれば数週間は持つからな
食糧がなくなったら、自分達で調達しろ。
机の上の書置きに書いてある事には絶対注意しろよ。

まぁ今、重要な注意言っておいてもいいか。
昼間意外、外に出ない事。あいつらに家を悟られない様に気をつける事
夜になる前に窓に設置しといた鉄のあれな?あれを閉める事

あぁ……なんかたるいからいいや、やっぱり書き置き見といてくれ

最後に、あの化物嬢ちゃんの弁解をさせてくれ
あの子がお前達を襲ったのはわざとじゃないからな
絶対あの子は生きているから、逢った時には優しく接してやれ

んじゃあこれで──ブツッ


『んじゃあこれで──ブツッ』


澪ちゃんと和ちゃんが聞かせてくれたのは男の人がおよそ5分間
喋っている、カセットテープ

澪「これが生き残っている理由だよ」

そうか、この家はこのカセットテープの男が用意してくれたもので
澪ちゃん達の手当てをしてくれたのもこの人で
でもこの人の言う旅って──

律「なんでここに残っているんだ?もっと人気がないところに場所を移せば」

澪「その時はとりあえずここが安全だったからな、
いつの間にか2年経って今更動こうとも思わない、それに」

それに、と言って間を空けてから呟く

澪「このカセットテープの人はきっと生きているから!待ってるんだ…」


そういうことよ律。と澪ちゃんが話すと和ちゃんは言った

律「待ってるって…!この人死んだんだろう!?」
澪「わからないだろう!生きて帰ってくるかもしれないじゃないか!
私は会って感謝したいんだよ。この人に──ただそれだけなんだ……」

自分の命の恩人への感謝の気持ち、わかるよ良く
けどカセットテープの人の仕事は、旅の意味は

和「あまり言わないで律。死んでるかもしれないし生きているかもしれない
けどこの家はちゃんと隠れ家として機能しているの、だからわかってくれる?」

律「あ、ああそうだな、ごめん澪」
澪「いいよ……」

沈黙。その沈黙を私の疑問が切り裂く

唯「あの…私達を助けた時、和ちゃんはなんであそこにいたの?」


和「うん?ああ、言ってなかったわね。ある所まで行った帰りだったのよ
びっくりしたわ。誰かが襲われてるから、2週間前に生存者みたばっかりだったし」

唯「え!?他に生存者がいたの!?」

和「ええ…さっきの律の話によると私達は唯のおかげでの免疫持ちだけど
その人は純免疫保持者だったわ。その人は──」

「生存者のコロニーに行くって言っていた」

?──生存者のコロニー?集落?村?

律「本当か!?コロニーとかを作って避難する計画とかはテレビで聞いたけど
まさか本当にあるなんて…どこにあるんだ?」

和「北海道の内陸部山中に」


唯「北海道?」

あのとても寒いと聞く?というかそれは今はイメージなのだが

和「自衛隊がね避難所としていくつも作ったコロニーの中で
唯一機能したのがそこ。ウィルスが寒さで死んだとか、なんとか
詳しい事はわからないけど、とりあえず安全らしいわ」

律「そうなのか…って!和そこまで行ったのか!?」

和「まさかその人を途中まで送っていっただけよ」
澪を何日も放っておけないしね」

澪「わ、私は大丈夫だったんだぞ…」

唯「はは──なんかよくわからないけど…生きている人がいっぱいで安心したよ!」

和「本当。よく生存者に逢う1ヶ月だったわ」



更に聞いた話によると、そこの自衛隊が外国の生存者とも通信が取れたという事。
それと北海道のコロニー自体にそこまで人は居ないと言う事。30人ほどらしい

和「色々話したわね…あなた達、お腹空いたでしょ?食べる?」

飯!もうお腹ぺこぺこだったんだよね。
早くご飯にし──

律「いや、今はいいよ。とりあえず斉藤さんと憂ちゃんを捜したいんだ
なんか知らないか?」

和「ごめんなさい…私はなにも澪は?」
澪「いや…私は寝ていたから何も……」

そういえば憂と斉藤さんとの合流をすっかり忘れていた。

律「じゃあ車借りてもいいか?斉藤さん達も捜してるかもしれないからな
私と唯で捜しに行きたいんだけど」

和「ええ。遠慮しないで使って?というか私達も付いて行くわ」


AM 11時24分 東京 封鎖地区内 住宅地


時間はすでに正午を回ろうとしていて
私達は車に乗り込もうとしていた。昨日というか今日、
私とりっっちゃんを助けてくれた、車。あのロゴというかマークは確か、トヨタ
それにヴァングアルドって書いてあった……ヴァンガードか。

律「いい車乗ってんなー」
和「車なんてここじゃ選び放題じゃないの」

それもそうだな。とりっちゃんと和ちゃんの会話が終わると
私はりっちゃんに疑問に思っていたことを聞いた

唯「そういえば、あの斉藤さんに貰った地図に目的地書いてあるんじゃないの?」
律「ああ、そうだな。昨日のあそこに行って貰えないか?和」

ええ、良いわよ。と言うと和ちゃんが運転する車はゆっくりと発車した

唯「りっちゃんその目的地憶えてないの?」
律「ごめんごめん、地図あればいいと思ってたから憶えてないんだよ」
澪「相変わらずだな、律」

──あそこから、全てが始まった。
正面に見える、ビル群を見ながら思う。話でしか聞いてないけど、
あそこで私は澪ちゃん達を襲い、世界を蝕んだ。

考えながらもビル群とは違う方向に進んで行く車。

……1時間程経っただろうか

和「もうすぐ着くわよ」
澪「もうすぐ着くらしいぞ、り…って起きろ!律」
律「うーんあと5分」

左拳が振り落とされた






最終更新:2010年02月25日 12:59