唯「私はギー太をこんな風にした犯人を絶対に許さなあ!!」

唯「聡君!!」

聡「は、はい?」

唯「良かったら、私を手伝ってほしいの。その、一人で出来ることは限界があるから……」

聡「……もちろん、いいですよ。乗り掛かった船ですし」

唯「……ありがとう!」

唯「それから……」

こんな時に、頼りになる人が一人。

プルルルル……プルルルル

唯「もしもし!?」

――――――――――――――――――――
澪「もしもし……あれ、唯? 久しぶり、うん。どうしたの……え?」

澪「えぇぇ!? アパートが燃えたぁ? うん、うん。あ、ちょっと待って」

澪「あ、いいよ……」

カキカキ

澪「オッケー、メモした。……あ、全然いいよ、私の家に泊めるくらい! うん、それじゃあ、また後で」
ツーツー

澪「唯……久々に電話がきたと思ったら、一体どうしたっていうんだ……?」


……

聡「今の電話……澪さん?」

唯「うん、今日これから泊めてもらうことになったから……聡君も、オッケーだって」

聡「俺も!? いいんですか?」

唯「うん、とりあえず澪ちゃんの家に向かおう」

ブーブー

唯「あ、メール……」

受信中



From あずにゃん
すみません、先輩!m(__)m(絵文字)
ちょっと急用ができてしまって、行けなくなって・・・
メール出すのも遅れてしまって、本当にごめんなさい(絵文字)
会うのはまた今度ということで・・・





唯「そんなの信用できないよ、あずにゃん……」


澪ちゃんの家は、私の家から電車で30分ほど離れたところにある
実は私も行くのは初めてだ

電車内で、私は聡君とはほとんど会話せず、
窓の外をボーっと眺めて過ごしていた


―――――――――――――――――――――
聡「澪さんとは、どこで待ち合わせですか?」

唯「えっと、駅の北口って言ってた」

聡「北口……こっちですね、行きましょう」

唯「うん」

澪「唯、聡ー! こっちこっち!」

唯「澪ちゃん!」

ガシッ

唯「会いたかったよぅ、澪ちゃん……」

澪「久しぶりだなぁ、唯……ナデナデ
あとついでに聡も」

聡「……お久しぶりです、澪さん」

澪「車こっち停めてあるから、二人ともおいで」

唯「ねぇ、澪ちゃんってどんな所に住んでるんだっけ……?」

澪「ん? 普通のマンションだよ。最近は仕事場で寝ることも多いけど」

唯「え、小説とかって家で書くんじゃないの?」

澪「う~ん、私の場合はそっちの方が書きやすいから」

澪「あ、こっちこっち」

澪「どうぞ、乗って乗って」

唯「おぉ、左ハンドルだ……」

聡「うわ、すげぇ……」

唯「ね、ねぇ聡君? これって凄い高い車じゃなかったっけ?(ボソボソ」

聡「フェラーリっすよ、唯さん……」

唯「ふぇらーり?」

聡「めちゃくちゃ高いっす」

澪「遠慮しなくていいぞ、さあ乗って乗って」

聡「澪さんの家は、駅からどれくらいなんですか?」

澪「10分くらいかなぁ……まあすぐ着くよ」

唯「あ~あ、いいなぁ、澪ちゃん。運転できて~」

澪「唯、免許取ってないのか?」

唯「うん、だってめんどくさいじゃん。試験とかさぁ」

澪「車あると便利だぞ? 私は、電車はもう人が多すぎてウンザリだ」

唯「私も免許取ろうかなぁ……」

――――――――――――――――――――
澪「ほら、着いたぞ」

聡「……でけぇ」

唯「ポカーン」

聡「何階立てっすか、これ?」

澪「さあ、数えたことないから分からないな。
あ、エレベーターはこっちだ」

唯「な、なんかおっきいホテルみたいだね」

澪「うん、まあ似たようなものだな。レストランも付いてるし」

澪「あ。ここ、ここ」


501号室


唯「……名前とか書いてないの?」

澪「うん、女の一人暮らしだしね」

聡「しかし、どう見てもホテルだなぁ」

澪「どうぞ、入って」

ガチャ

澪「あ、靴は履いたままでいいから」

唯「ひ、ひっろぉぉぉーーーーい!!!!

聡「パネェwww」

澪「そ、そうかな?」

唯「みてみてぇ~、ベッドふかふかだよぉ~」

ボスン、ボスン

澪「あ、こらこら」

ジャー

聡「うぉ、景色やべぇ!」
澪「あ、カーテンは後で閉めておいてくれ」

唯「冷蔵庫ちぇ~っく!うぉぉ、お酒いっぱい!
澪ちゃんってお酒とか飲むの??」

澪「まあまあかな。あんまり飲むとほら、アレだから」

聡「液晶でかすぎwww何インチっすかwwww」

澪「あぁ~、それはもらいものだよ」

ピッ

唯「なんかえっちな番組やってるかな?」

澪「もう、皆落ち着けってば!」


澪「……落ち着いた?」

唯「ふぅ、とりあえず一件落着だねぇ……」

聡「まだ何もやってませんよ」

澪「それじゃ、まずは何が起こったのか話してくれるか?」

唯「うん、実はかくかくしかじかで……」

――――――――――――――――――――


澪「えぇ、じゃあ梓たちが窃盗犯のグループだっていうのか!?」

唯「うん、そうらしいの……」

聡「あぁ、それは確かな情報っすよ。
まあ梓さん本人が関わってるとは限らないですけど」

澪「ふ~ん、それでアパートが燃えたっていうのは?」

唯「それが私、あずにゃんと会う約束をしてたんだけど……」

聡「唯さんが梓さんを待っている間に、何者かがアパートに火を付けたんですよ」

唯「結局あずにゃんは来なかったし……」

唯「それで、あずにゃんは危うく死ぬところで、ギー太は丸焦げになったんだよ!!」

澪「……はぁ? なんで梓が死にかけるんだ?」

唯「あ、あずにゃんっていうのは、この子」

ガサゴソ

猫「にゃあ~」
スリスリ

澪「うぉ、……可愛いな。梓って名前なのか?」

唯「ううん、あずさ2号(ry」


澪「あ、でもさ、話を戻すけど。
それって変じゃないか?」

唯「変って、何が?」

澪「だって、もし仮にアパートを燃やした犯人が梓たちならさ、
どうやってアパートの場所を突き止めたんだ?」

唯「あ、それは……」

澪「それに、動機もよく分からない。
いくつも盗んだ楽器のうち一つを奪い返されたからって、
わざわざ防火したりするかなぁ~?」

唯「そ、それは……」

聡「きっと、アレっすよ、奴等はねちっこいんです。
奪ったものは、必ず我が物にする、みたいな!」

澪「う~ん、そうかなぁ……」


聡「ほら、唯さんも。
何か身分を特定できる物とか、持ってなかったんですか?」

唯「身分を特定…………あぁっ!!」

澪「ど、どうしたんだ……?」

唯「手紙……」

澪「手紙?」

唯「うん、憂への手紙」

澪「それがどうかしたのか?」

唯「私のアパートの住所が書いてある」

聡「そ、それっすよ!! きっとそれを見つけて、奴等は……」

唯「おかしいなぁ、出したと思ったんだけど……」

澪「なるほど、じゃあ場所の方は説明がつくのか……」

澪「それで、唯はこれからどうするつもりなんだ?」

唯「うん……やっぱり、あずにゃん達が悪い事してるなら、なんとかしなくちゃって」

唯「それに、防火のことも……」

澪「そうだな……まあとりあえず、今日はゆっくり休もうか。
疲れただろ?」

唯「もうへとへと……」

聡「俺もくたくたっす」

澪「うん。じゃあ、部屋案内するから」


唯「あ、そうだ。澪ちゃん!」

澪「ん、なんだ?」

唯(あの白い粉のこと、言った方がいいのかな……?)

澪「どうしたんだ、唯?」
唯「あ、あの……」

唯(でも、これ以上話をややこしくするのもアレだし……)

唯「ううん、やっぱり何でもない」

澪「そっか、じゃあ行こう」

澪「唯はこっち、聡はこっちな」

聡(いくつ部屋があるんだ……?)

澪「あと、トイレはそこ。
鍵はちゃんとかけるように……特に聡!」

聡「分かってますってば」
澪「じゃあ、そろそろ夕飯にしようか」


唯「澪ちゃん、いっつも夕飯とかどうしてるの?」

澪「う~ん、出前とか頼むこともあるけど……結構自分で作ることが多いよ」

唯「え、じゃあ、今日はー?」

澪「うん、私が何か作ろうかな」

唯「やったあぁ、澪ちゃんの手作りぃ!!」

聡「澪さんの手料理とか……ゴクリ」

澪「それじゃあ、すぐできるから、二人ともリビングで待っててくれ」

唯「りょ~かい、行こう、聡君」

ギュッ

聡「あ……は、はい!」

――――――――――――――――――――
唯「テレビ付けよっと」

ピッ

唯「おぉー、大画面、大迫力……」

聡「あ、唯さん。そこの新聞取ってくれませんか?」

唯「ほい」

聡「何かいい番組やってないかな……あれ?」

聡「これって……唯さん、ちょっと」

唯「うん?」

聡「これ、見て下さい」

唯「どこ?」

聡「ほら、ここ」

唯「Nyan☆Nyans?」

聡「そうです、これ梓さんのバンドの名前ですよ!」


大人気
Nyan☆Nyans新曲披露


唯「ええ、あずにゃんテレビに出るの!?」

聡「そうみたいですね。
もう少ししたら始まりますよ」

唯「すっご~い、あずにゃん!これって初めてじゃないの?」

聡「多分……俺は見たことないですし、TV初登場じゃないですか?」

唯(ワクワク)

澪「皆、できたぞ~」

聡「はやっ! ……これは、ハンバーグですか?」

澪「うん、実は二人が来る前にもう準備してたんだ」

唯「うわぁ、おいしいそう!! 澪ちゃんって、ホント何でもできるよね~!」

澪「ありがとう。でも、そんな事ないよ、ホントは……」

聡「マジうまそうっす。いただいていいっすか?」

澪「うん、どうぞ」


モグモグ

唯「……おいしい!!」

聡「うま!! マジくそうまいっす!!」

澪「そ、そうかな?」

唯「私も料理できるようになりたいなぁ~」

澪「憂ちゃんに習えばいいじゃない?」

唯「憂は今、留学中で家にいないから……」

澪「あ、そ、そうだったな。ごめん」

聡「唯さん、澪さん、そろそろ始まりますよー」


澪「ん、何が?」

唯「あ、忘れてた。澪ちゃん、今からあずにゃんがテレビに出るんだよ!」

澪「え……ホントに?」

唯「ホント、ホント!」

聡「あ、これ梓さんですよ!!」

――それでは、続いてのアーティストは……
――Nyan☆Nyansの皆さんです!

ワアアアアァァァァァァ!!!!!!
パチパチパチパチ

――皆さん、初登場ということですけど
――はい、とっても緊張してます!

澪「ホントに梓がしゃべってるよ……」

聡「すげぇなぁ」

唯「あずにゃん可愛い~!!」

――何でも皆さんは、近日公開の映画「恋の方程式」の主題歌を歌っているそうで
――はい、この映画は、私にとって、とても大切な映画で……。登場人物の気持ちを歌にして作曲しました。

唯「……って、ええぇ!! この映画って、澪ちゃんが書いたやつじゃないの!?」

澪「うん、実は……///」

唯「あずにゃん達のデビューシングルって、この映画の主題歌なんだぁ……」


聡「あ、俺読みましたよ、その小説!」

澪「え? も、もう、恥ずかしいからやめてよ……//」

聡「いやぁ、まさか最後に○○が××になるとは……」

唯「ちょっと聡君、私まだ読んでないんだからネタバレしないでよ!!」

聡「あ、す、すんません!」

澪「おい、歌始まるぞ」

ジャンジャン~ジャジャジャ~♪
梓「ずぅっと仲良しだぁたのに~♪」


唯「う、上手い……!」

澪「歌上手くなったなぁ~、梓は」

聡「演奏も上手っすね……」

唯「あずにゃん、ギター桁外れに上手くなってるよ……」

澪「ベースもなかなかだぞ」

聡「ドラムもいいっすね~」

唯「てゆ~か、皆可愛い!」

澪「だな」

聡「そうっすねぇ」

唯「聡君は、この中だとどの子がタイプ?」

聡「えぇ!? えっと……」

唯「やっぱりあずにゃん?」

聡「いや、その……」

澪「あの長髪の子なんか、特に可愛いと思うぞ」

聡「どれですか?」


澪「ほら、ドラムの……」

聡「あぁ、あの子か…………いや、アレは無いっすね」

澪「そうかぁ?? 一番可愛いと思うんだけど……」

聡「う~ん、なんか違うっていうか……」

澪「じゃあ唯は?」

唯「う~ん、私はやっぱりあずにゃんかなぁ~」

聡「あ、終わりましたね」

唯「ハッ……あずにゃん見てたら歌全然聞いてなかったよぉ~!」

澪「おい」


4
最終更新:2010年02月26日 01:14