キクコ「信じがたい話だけど・・・あんたは嘘をつけるような子じゃないだろうからね」

唯「じゃ、じゃあ」

キクコ「あんた達を信じるよ」

唯「あ、ありがとうございます」

キクコ「ま、信じたところであたしが協力できることは何もないけどね・・・」


律「あの!」

キクコ「なんだい?もう話は終わりだ。さっさと次の部屋に行きな」

律「ロケット団に・・・協力してましたよね?」

キクコ「!」

唯「ちょっとりっちゃん!」

律「唯は黙ってて」

キクコ「一体何の話だい?」

律「キクコさんは、またムギに会いたいんですよね?それで失踪した理由を聞きたいんですよね?」

キクコ「誰があんなやつのことなんか・・・」

律「サカキの目的はムギを捜し出すことだった」

キクコ「!!!な・・・なんでアンタがそれを・・・!」

律「むしろなんでキクコさんがそれを?」

唯「あ・・・」

キクコ「・・・」

律「ヤマブキでの戦いは・・・知ってると思うけど、私たちもその戦いに参加してたんだ。
色々あって私たちはサカキと戦った。その時に聞いたんです。サカキの真の目的を・・・」

キクコ「なるほどね・・・」

律「サカキはたぶん、あなたとムギの関係を知り、接触してきたんだ。
  ムギを探す目的を告げて、協力するように頼んだ。そうでしょ?」

キクコ「・・・」

唯「キクコさん・・・」

キクコ「・・・そうだよ」

唯「そんな・・・」

梓「キクコさんがロケット団に・・・」

キクコ「そうだよ・・・あたしはもう一度紬に会いたかった。会って突然失踪した理由を聞きたかったんだよ」

律「やっぱり・・・」

キクコ「サカキの目は野心に満ちていた・・・あいつならあるいは紬を見つけるんじゃないかと思ってしまったんだよ。お互いに探す理由は言わない約束だったけどね」

キクコ「私はリーグ本部に根回しして、ジムリーダーの動向を探り過ぎないようにさせた。・・・サカキが消えた時も、詳しく調査されたら奴とあたしの繋がりに気付かれると思って早急に調査を打ち切らせ失踪扱いで後任ジムリーダー選抜を急がせたんだ・・・」

律「そうですか。話してくれてありがとう」

キクコ「満足かい?もうリーグ本部に訴えるなり好きにしな。あたしも終わりだね」


律「私たちはそんなことしないです」

キクコ「?」

律「あとはこいつと話してください」

キクコ「・・・通信機?」

律「聞いてたか?澪」

澪『うん。ありがとう律。言ったとおりやってくれて』

律「へへ。まあね」

唯「りっちゃん、よく見たらイヤホン付けてるじゃん!いつの間に?」

梓「さっきのは澪先輩の指示だったんですか・・・
  律先輩にしては賢そうだと思ったんです」

律「どーいう意味だー?」ガシッ

梓「す、すいません!」


澪『キクコさん。私はロケット団実行部隊隊長の澪です。今はロケット団のリーダーを務めてます』

キクコ「ロケット団?なんであんた達がロケット団と・・・」

律「さっき言ってたこの世界に来た友達の一人です。まあ詳しいことはいいから、話して話して」

澪『あなたがロケット団に協力していたことは聞きました。
  サカキの独断とはいえ、こちらにはあなたを巻き込んでしまった責任があります』

キクコ「・・・それで?」

澪『あなたには、ロケット団の件で本部に圧力をかけることはやめていただきます。
調査が再開されればあなたとサカキのつながりが明るみに出るかもしれませんが、我々ロケット団にはあなたを世間から保護する用意があります』

キクコ「やめな。保護なんて。子供じゃあるまいし」

澪『あ、そういうつもりで言ったわけでは・・・』

キクコ「保護なんていらないよ。私も年だし・・・そろそろ四天王も疲れてきたんだ
    ちょうどいい。この機会に四天王は辞めるとするよ」

唯「キクコさん・・・」

キクコ「このことは自分でリーグ本部に報告して、然るべき処分を受ける。
    もうロケット団の協力は必要ないよ」

澪『・・・わかりました』

キクコ「アンタ達・・・もし紬に会うことがあったら」

律「はい!キクコさんの知りたかったこと、聞いておきます!」

キクコ「・・・違うよ。あたしのことは話すなって言おうとしたんだ。
    こんな落ちぶれたあたしを紬に知られたくないよ」

唯「落ちぶれたなんて・・・」

キクコ「話は終わりだ。次の部屋に進みな」

律「行こう、唯」

唯「う、うん・・・」



四天王 最後の部屋


唯「ついにここまで来たんだね・・・」

梓「はい・・・」

律「最後の部屋だけあってなんか豪華だな」


ワタル「・・・よく来たね。俺は四天王の大将!ドラゴン使いのワタルだ!」

唯「ドラゴン使い!?あ、挑戦者の唯です(澪ちゃんの情報通りだ!)」

律「すげー!強そう!(澪に聞いた通りだな)」

梓「ドラゴン・・・勝ち目はあるんでしょうか・・・!(澪先輩の情報は的確ですね)」

ワタル「はっはっは!そうだろう!ドラゴンは聖なる生き物!
    捕まえるのが難しいけどうまく育てりゃ強さは天下一品だ!
    ・・・さてと!そろそろ始めよう!
    それとも今からシッポまいて帰るかい!唯!」


四天王のワタルが勝負を仕掛けてきた!

ワタルはギャラドスを繰り出してきた!

唯「いっけえ!あずさん!」

律「情報通り先発はギャラドスだ。さすがはロケット団の情報網だな」ヒソ

澪『去年の情報を調べただけだけどな。間に合ってよかった。ていうか今通信機なんか使ってばれないのか?』

律「大丈夫だよ」

ワタル「はーっはっはっは!そんなノーマルポケモンで俺のギャラドスは倒せないぞ!」

律「あいつが大笑いしてる声で気付いてないから」

唯「あずさん。10万ボルト」

効果は抜群だ!ギャラドスは倒れた!

ワタル「えっ」

唯「えっ?」

ワタル「いや・・・はっはっは!少々驚いた!俺のポケモンの中でギャラドスはとびっきり電気に弱いのさ!本当はドラゴンじゃないからな!だがこいつにはそうはいかん!真のドラゴンタイプだ!行け!ハクリュー!」

ワタルはハクリューを繰り出した!

唯「交代!行けっカメ太!」

カメ太「ギャウ!」

ワタル「はっはっは!水ポケモンか!ドラゴンに水は通用しないぞ!」

唯「澪ちゃんにもらった技マシンが役に立つね!カメ太!」

ワタル「技マシンだと?」



唯「れ い と う ビ - ム !!」


効果は抜群だ!ハクリューは倒れた!

ワタル「(馬鹿な・・・ドラゴンタイプの弱点を知る者など・・・そうそういないというのに!)」

ワタル「は、はっはっは!やるな挑戦者よ!だが!おまえのカメックスのスピードではこいつに冷凍ビームを撃つことはできん!行け!カイリュー!」

ワタルはカイリューを繰り出した!

唯「でかい!」

ワタル「カイリュー!破壊光線だ!」

カメ太は倒れた!

唯「カメ太!」

ワタル「はーはっはっはっは!反動で動けなくなるものの、これで君の冷凍ビームは封じた!」

唯「あ、冷凍ビームなら私のパーティの半分は覚えてるよ」

ワタル「」


………………

ワタル「悔しいが・・・俺の負けだ。おめでとう」

唯「か、勝った!」

梓「おめでとうございます唯先輩!」

唯「あずにゃーん!」スリスリ

律「やったぞ澪!おまえの情報のおかげだな!」

澪『うん。役立って良かったよ』

ワタル「声が一つ多く聞こえる気もするが・・・ドラゴン軍団が負けるなんて信じられない。唯!これからは君がポケモンリーグチャンピオンだ!」

唯「あれ?」

ワタル「・・・といいたいところだが実はもう一人戦わなくてはならない!」

唯「あ、やっぱそうですよね」

ワタル「もっと驚いてくれよ・・・せっかくフェイントかけたのに」

唯「なんかすいません」

ワタル「さてと・・・とにかく君たちよりも早く俺達四天王を倒した人がいる!」

唯「うん。知ってます」

ワタル「・・・とにかく!彼女こそが!ポケモンリーグ真のチャンピオン何だ!」

ワタル「(本部の役員どもめ・・・チャンピオンの情報を一般に漏らすなとあれほど・・・頭の中ヘドロ爆弾で出来てるんじゃねえのか今度破壊光線ぶち込んでやろうか・・・)」ブツブツ

唯「あの、どうしたんですか?」

ワタル「いや!なんでもないよ!とにかく健闘を祈ってるよ!はっはっは!」

唯「そうですか。じゃあいこ♪りっちゃん、あずにゃん!」

律「おう!」

梓「はい!」



チャンピオンの部屋

ギギギイイ

唯「失礼しまーす・・・」

律「やっぱ緊張しちゃうよな」

梓「ですね・・・」

ツカツカ

シロナ「ようこそ。挑戦者さん。私はチャンピオン、シロナよ」

唯「シロナさん・・・やっぱりムギちゃんじゃなかったかあ」

シロナ「!」

律「そりゃそうだろ・・・キクコさんを倒してきてるんだぞ
  ムギなわけ」

シロナ「・・・ちょっと待って!」

唯「あ、はい?」

シロナ「まさかとは思うけど・・・ムギって、紬のことじゃないよね?」

唯「え!そ、そうです!紬ちゃんのことです!知ってるんですか!」

シロナ「君達こそ・・・」






シロナ「私の母さんを何で知ってるの・・・?」


唯「・・・」

律「・・・」

梓「・・・」

シロナ「確かに初代チャンピオンだから名前は知ってるかもしれないけど・・・!
まるで知り合いのように・・・いえ友達のように話してたよね?会ったことあるの?」

唯「・・・え、えと、あの」

シロナ「ねえ、なんで?教えてくれないかな?」

律「・・・ちょっと・・・待って」

梓「頭の整理が・・・」

シロナ「頭の整理って・・・私何か変なこと言ったかな?」


唯「ああ、ああ、あの」

律「澪、聞いてたよな・・・?」

澪『・・・あ、う・・・ん・・・』

梓「お、お、落ち着いてくださ・・・い」

シロナ「・・・大丈夫?みんな顔色が・・・これ私どうしたら」

律「すーはー、すーはー・・・よし!2人とも落ち着け」

唯「そんなこと言ってもお・・・」

律「私だってなあ驚いてるんだよ!」

唯「私はもっと驚いてるもん!」

律「なんだよ!」

シロナ「まあまあまあまあまあまあ」

唯律「!!」

シロナ「喧嘩はだめよ?」ニコッ

唯「と、とにかく話をしようよ」

梓「で、ですね。そうしないと始まりません」

澪『・・・』

律「うん・・・どこから話していいものか・・・シロナさん」

シロナ「なに?」

律「あの、ムギ、いや紬さんの娘さんでありまして・・・?(落ち着け私!)」

シロナ「え、ええ。実の娘じゃないけどね」

唯「えっと、どういう関係で」

シロナ「親子だけど・・・?」

唯「あ、違う!そ、そうじゃなくてえっと・・・」

梓「そろそろ落ち着いてください・・・先輩」

シロナ「ちょっと君たちの動揺の理由がわからないんだけど・・・先に教えてくれないかな?」

律「いや・・・けっこうショッキングというか・・・娘さんは聞かない方が良いというか・・・」

シロナ「大丈夫・・・。母さんが普通と違うってことはよくわかってるから・・・
    それより私が一番知りたいのは」

唯「そうだ、聞かなきゃ!」

シロナ「母さんはどこ?」

唯「ムギちゃんはどこにいるんですか?」

シロナ「・・・」

唯「・・・」


シロナ「・・・どうやら君たちにも事情があるみたいだね」

律「はい・・・」

シロナ「このまま探り合っても仕方ないから、私から話すね。次は君たちの番よ?」

唯「はい」

シロナ「20年前・・・私が赤ちゃんの時、捨てられてた私を母さんが拾って、育ててくれたんだ」

梓「やっぱり優しいんですね・・・」

シロナ「母はとても強くて、優しくて、綺麗で、私にポケモンを教えてくれた。
    この髪形もちょっと母を意識してるんだけど・・・」

律「そういえば・・・ちょっと似てるかも」

シロナ「ありがとう。私が生まれたのはどこかわからないけど、物心ついた時には母とシンオウ地方で暮らしていた。 母はシンオウの神話に興味があって、神話が語り継がれてるカンナギタウンの長老の家に良く出入りしてたなあ。 私も一緒だったから、その家の人と仲良くなって、私が12歳の時その家の養子になったの」

唯「養子って、なんで?」

シロナ「母は、ある事情で何年も同じ場所に住んでいられないの。ちょうどその2年前、ある事件で母はシンオウ中で有名になっちゃってね」


シロナ「結局母はまた別の場所に行くことにした。でも、私は12歳でそろそろ落ち着くべきだって、その家に預けていっちゃったの。今はしょうがないと思うけど、あの時は泣いたなあ・・・まあこんな感じかな。あなた達の話は?」

唯「・・・もしかしたらムギちゃんから聞いてるかもしれないですけど、
  私、平沢唯って言います」

律「私は田井中律

梓「中野梓です」

シロナ「・・・うそ」

唯「嘘だと思うだろうけど・・・本当なんです!」

シロナ「あなた達、軽・・・音部?」

律「そうです!やっぱ話聞いてたんだ!」

シロナ「澪は?澪はいるの?」

律「??一応・・・」

澪『えっと、私が澪です。通信機からすいません』

シロナ「澪もいるのね!」


律「・・・澪がどうしたんですか?」

シロナ「さっき言った事件の話、10年前だけどね、シンオウ地方の西側に、
    大きな港湾都市と、オフィス街を作るという計画があったの」

シロナ「計画はうまく進みそうだったけど、ポケモンを使った犯罪組織みたいなやつらがいろいろ暴れてね・・・都市計画が台無しになりかけた・・・
でも、母さんが1人でそいつらを全滅させたの。それから母はシンオウ中の英雄になったわ。望んではいなかったけどね」

唯「すごいなあムギちゃん」

シロナ「そして港湾都市とオフィス街は完成した。オフィス街の方は、母を記念してコトブキシティと名付けられたわ」

梓「町の名前に・・・」

シロナ「そして、となりの港湾都市は、母が命名することになった。母は友達の名前をくじ引きで決めて使ったって言ってた。 その町の名前?わかる?」

律「まさか・・・」

シロナ「ミオシティって言うの」


澪『ぶ・・・!』

律「すげーな!澪!お前町の名前になってんぞ!」

シロナ「まさか本人と出会えるなんてね・・・」

唯「いいなー澪ちゃん」

シロナ「さて・・・あなた達の事情もだいたいわかった・・・
    他地方に行くためにチャンピオンになりたんでしょ?」

唯「そ、そうです」

シロナ「だったら詳しいことは戦ってから話しましょう?」


唯「はい!」

律「いいのか唯?」

唯「うん、ムギちゃんの娘さんと戦ってみたいじゃん♪」

梓「まあ・・・」

唯「それに、ここまで来たら、なりたいよ!」

律「うん・・・だな」

梓「頑張ってください!」

シロナ「じゃあ、行くよ!」



第二部完



最終更新:2012年09月26日 22:58