音楽室
律「それで結局さわちゃんは帰ってこれたのか?」
紬「島を徘徊してるところを捕獲されて、昨日帰ってきたみたい」
澪「捕獲って…そんなクマかなんかみたいに」
梓「そういえば唯先輩はどうしたんですか?」
律「ああ、唯なら…」
5日前の夕方
唯「ただいまー憂!」
憂「お姉ちゃん…」
唯「いやーごめんね?色々あって帰ってくるの遅くなっちゃっ…」
ガバッ
憂「お姉ちゃんのバカ!何も連絡くれないから心配したじゃない…!」
唯「憂…ごめんね?でも合宿ね、とっても楽しかったよー」
憂「もう…お姉ちゃんたら…しょうが…な……」ドサッ
唯「憂?どうしたの?うい!!!」
…
唯「そういうわけでしばらく部活休むね?憂、二日も寝ないで体調崩しちゃって…
お母さんもお父さんも旅行でいないしね
うん、うん…憂が元気になったらまた行くね!」ピッ
憂「…ごめんねお姉ちゃん…迷惑かけちゃって…」
唯「なーにいってんの!たった一人の妹でしょ!」
憂「お姉ちゃん…」
唯「じゃあ私、おかゆ作ってくるね!」
憂「え…う、うん、ありがとう」
憂(お姉ちゃん、大丈夫かな…火傷とかしないかな…お皿割ったりしないかな…)
30分後
唯「おまたせーできたよー」
憂「あ、ありがとう!いただきます!パクッ」(どんな味でも全部食べよう…)
唯「どうかな?」
憂「おいしい…お姉ちゃん、今までこんな上手にできたっけ?」
唯「私がちょいと本気を出せば、ざっとこんなもんだよ!」
憂「お姉ちゃん…グスッ」
唯「あ、私も一口いい?パク」
憂「もーお姉ちゃんたら~私のために作ったんじゃないの?」
唯「えへへ、なんだか憂がおいしそうに食べてるから私も食べたくなっちゃったー」
憂(もう…かわいいんだから)
唯「憂、汗拭いてお着替えしよう?」ガサゴソ
憂「ひぇ!?」
唯「なにかわいい声出してるのー?このままじゃ風邪ひいちゃうよ」
憂「う、うん…」(お姉ちゃんに着替えさせてもらうなんて…私、しあわせ…)
唯「憂、大きくなったねえ」
憂「え?そそそそんなことないよ?まだまだお姉ちゃんのほうが大きいよ!?」
唯「そうかなー私最近身長伸びないんだー」
憂「そ、そっちか…」
現在
憂(お姉ちゃんがこんなに優しくしてくれるなんて…
ホントは体調よくなったけど、もう少しだけ甘えてもいいよね…)
唯「憂ーあのねー」ドタドタ
憂「なあにお姉ちゃん?」
唯「これから軽音部のみんながお見舞いに来てくれるんだって!
よかったねー」
憂「え…?」
憂(な…なんでこんな気持ちになるんだろ…みんな親切で来てくれるのに…)
憂「わ、わーい!楽しみだなあ~」
ピンポーン
唯「あっきたみたい!呼んでくるね」
憂「お、お姉ちゃん!」
唯「なあに?」
憂「な…なんでもない!ちゃんとお茶の準備してね?」
唯「はーい」
憂「私…何言おうとしたんだろう…」
律「おー憂ちゃん、具合どうだ?」
憂「あ、もうだいぶ…」
澪「何か音楽聴く?CD持ってきたんだ」
憂「あ、ありがとうございます…」
紬「はい、フルーツの詰め合わせよ、食べて元気になってね?」
憂「あ、こんなに…ありがとうございます」
梓「憂、ちゃんと食べてる?着替え大丈夫?」
憂「だ、大丈夫…」
唯「失敬だなあずにゃん!こう見えてもちゃんとやってるんだからね!」
梓「不安です…」
憂(みんなこんなに優しい…それなのに…どうしてこんな気持ちに…)
律「あ、そうだ、合宿の写真できたんだった」
唯「わ、ホント!?見せて見せてー」
澪「また変なとこ撮ったんじゃないだろうな…」
紬「わあかわいい♪」
梓「ちょ、ちょっとこんなとこいつの間に撮ったんですか!」
キャッキャッ
憂「……」
憂「お、お姉ちゃん、合宿で迷惑かけませんでしたか?」
律「うーん、そうでもなかったぜ?」
澪「食事の後片付けもしっかりやってたしな」
梓「脱いだ服もちゃんと畳んでましたしね」
唯「えへーそれほどでもあるよー」
紬「あらまあお調子者ねえ」
憂「そう…なんだ…」(お姉ちゃん、家だとそんなことしないのに…)
律「まあ唯も成長したってことだな!」
澪「もう憂ちゃん離れしないとしょうがないぞー唯」
梓「いつまでも憂にべったりじゃダメです!」
唯「うーそうかなー」
憂「で、でも私がいなきゃお姉ちゃんは…」
律「この際だし、唯もこれから家事やれよ?憂ちゃんだって迷惑だぞ?」
唯「うー」
憂「……」
紬「どうしたの?憂ちゃん具合悪いの?」
憂「みんなお姉ちゃんの何がわかるの…?」
律「憂ちゃん?」
憂「ちょっと一緒にいたくらいでお姉ちゃんの全部をわかったような顔しないで!
お姉ちゃんを取らないで!」
澪「う、憂ちゃん落ち着いて!私たちそういうつもりで言ったわけじゃ…」
憂「私とお姉ちゃんはずっと一緒なの!お姉ちゃんは私がいなきゃダメなの!」
梓「憂…!」
憂「みんな帰って!」バフッ
紬「憂ちゃん…」
唯「…ごめんねみんな、今日は帰って?」
律「でも憂ちゃん…」
唯「いいからあとは私に任せて!」
澪「…わかった、憂ちゃんにごめんって伝えてくれ」
―――――
憂(私…なんてこと言っちゃったんだろ…せっかく来てくれたのに…
お姉ちゃん、怒ってるだろうな…)
ガチャ
唯「憂?」
憂(きたっ…)
唯「ムギちゃんが持ってきたリンゴ剥いてきたよー」
憂「お姉ちゃん…指、傷だらけじゃない!?」
唯「まあまあ、ちょっとでこぼこだけどおいしいよ?」
憂「お姉ちゃん…シャクッ…おいしい…」
唯「ムギちゃんが持ってきたからねぇ」
憂「うん…」(お姉ちゃんが剥いてくれたから…)
唯「…さっきはなんであんなこと言ったの?」
憂「それは…」
憂「お姉ちゃんが…遠くに行っちゃうような気がしたから…」
唯「え?」
憂「お姉ちゃんは…私が知らない間に色々できるようになってて…
それでもう私、いらないんじゃないかって…」
唯「憂…」
憂「それで先輩たちが…お姉ちゃんたちを取っちゃうんじゃないかって…」
唯「そういうことだったんだね…」
ギュッ
憂「お姉ちゃん…?」
唯「ばかだなー私はどこにも行かないよ?」
憂「うん…」
唯「りっちゃんたちも、憂のこと心配してたんだよ?後で謝らなきゃだめだよ?」
憂「うん…ごめんね」
憂(お姉ちゃん…柔らかいな…)カーッ
唯「あ、また熱が出てきたみたい!薬持ってくる!」
憂「う…うん」(もう少し…もう少しだけ…いいよね)
おわり
最終更新:2010年03月01日 02:41