唯「どうやって閉めるの!?突っ込むの?ギー太突っ込むの!?
ああん!口閉じちゃうよー!」

律「ちょおっと待ったー!!」

ズボ!

律はすかさず手を突っ込んで口を閉じさせなかった

喋るドア「ムグ…!なひふふんあ!(なにするんだ!)」

唯「ギー太!鍵穴を閉じて!」

キュイーン!

唯「ふお!!」

キーブレードは唯の声に反応するように光りだし
その光は鍵穴に向かって伸びた

カチャ…

律「よし!悪かったな。もういいぞ。」

喋るドア「今日は騒がしいやつばかりだ!もう寝る!」

唯「やっと一つだね」

澪「先が思いやられるな…」


もわんもわん

チシャ猫「おみごとおみごと、なかなかやるね。
     ところでアリスを探すならここを探してちゃだめさ。」

唯「じゃあどこにいるの!?」

チシャ猫「教えてあげたから教えてあげない。」

唯「いじわる!」フンス!

澪「まあ、他の世界じゃないか?」

唯「なるほど!」

チシャ猫「どうだろうね?
アリスは影と一緒に闇の中…」

もわんもわん…

またも意味深な言葉を残して去っていく。



律「さあどうする?」

パアア!

唯「まぶし!」

4人の前に扉があらわれた。
どうやらもうここですべきことはないらしい。

澪「次に進めってことか。」

唯「よーし!レッツゴー!」


どんな状況だって乗り越えられる

みんなと一緒なら





アンセムレポート2

彼らのいる地下牢に検体者を与えた。

すると彼らは心を吸い取り増殖した。検体者は跡形もなく消滅した。

彼らの行動を数日観察しているがまるで何かを探しているようだ。

どうやら私の研究室に何かあるらしい。

彼らに私に対する凶暴性は見られないので研究室に入れてみる。

すると彼らは何もない研究室の壁から扉を見つけ出した。

これには私も驚いた。

試しに扉を開けてみる。

暗くてよく見えないが確かに感じる。

非常に強力なエネルギー。

私の心が共鳴している。

確証はないがあれは心に違いない。

彼らは世界の心を求めて何をしようというのか。

謎は深まるばかりだ。






―ディープジャングル―

唯「とーちゃーく!」

唯達の到着先は鬱蒼とした熱帯雨林の中
様々な動物たちの声が響き渡る。

律「すっげーな!ザ・ジャングルって感じ!」

澪「怖くない怖くない…」

律「あー澪は虫ダメだもんな。特に―」

澪「それ以上言うな~…」

唯「ムギちゃんは大丈夫なの?」

紬「うん。私虫取りとかしたことないの。だからむしろ楽しみ。」

律「おーそれは頼もしい。」

澪「も、もうこの話は終わりに…」

唯「そうだね。よーししゅっぱーつ!」

律「ゆい…むぎ…」

律が二人に声を抑えて話しかける。

律「走るぞ…」


唯「え?なんで?」

律「いいから!」

律が二人の腕を掴み走りだす。

唯「ふお!」紬「きゃっ!」

澪「ちょ、ちょっと!おいてくなよ~!!!」


それでも律は二人を連れて走り続ける。

キャアアア!!!

唯紬「みおちゃん!?」律「どうした!」

振り返ると横から一匹のゴリラが澪にすごい勢いで向かっていく。
まるで何かに怯えているようだった。

唯「あれだよ!」

唯がゴリラの後ろを指さす。
体格のいい男が猟銃を構えていた。

律「あいつ!澪に当たるかもしんねえのに!」

唯「夢中で見えてないんだよ!ムギちゃん!」

カチャ…バーン!


ひいい…

その男の猟銃の銃口はひしゃげて使い物にならなくなり、男は腰が抜けて動けない。

唯「さっすがムギちゃん!」

紬「なんとか間に合ったわ。」

紬のおかげでゴリラは難を逃れた。
澪を横切りその先にいた大きな親ゴリラに駆け寄りそのまま連れていかれた。

クレイトン!!

澪に駆け寄っていくと、そこにもう一人の男が現れた。
その男は細身だが筋肉質で髪が長く、上半身裸のなんとも野性的な青年だった。

クレイトン「ち、ちがうんだ!あいつの足元に蛇がいたんだよ。」

しかしターザンはにらむ。信用する気は毛頭なさそうだ。
そこに律も参加する。

律「おっさん言い訳すんな!あのゴリラ狙ってただろ!
だいたい澪に当たったらどうするつもりだったんだ!」

クレイトン「それは…」

ぐす…

律「げ…!」

クレイトンに言及しているとこれからというところで澪が泣きだした。

澪「律のバカ…」

律「わ、悪かったって!泣くなよ!」

澪「ばか…ぐす…」

どうやら許してくれそうにない。
こっちの勢いがなくなったところでクレイトンが話を切り出す。
水に流そうという魂胆だろう。

クレイトン「さ、さあターザン、今日はキャンプに戻ろう。
お譲ちゃん達もうちのキャンプを使うといい。」

どうにも腑に落ちないがこの右も左も分からないジャングルを周るには拠点はあった方がいい。
そう考えた律と紬は口を出すことはなかった。


ジャングルを抜けテントに着くとジェーンという女の人がいた。
この人達はゴリラの調査に来ているらしい。
そして律が今日あったことをはなすとジェーンは顔色を変えた。

ジェーン「クレイトンさん!何度言ったら分かるの!
ゴリラの捕獲じゃなくて学術的調査に来てるのよ!
もうゴリラには一切近付かないで!」

クレイトン「お、おおげさな…たかがゴリラ一匹に…」

この言葉に全員がクレイトンをにらみつける。

クレイトン「ちっ…空気が悪いな…」

バサ!

自業自得であるにもかかわらず不機嫌そうに外へ出ていった。


ジェーン「あの人はもう信用できないわ。ところであなたたちはどうしてここへ?」

律「私たちにもどうしてかは分からないけど…
  何かしらやるべきことがここにはあるんだ。
  鍵穴があるかもしれないし、もしかしたら仲間が―」

唯「そうだ!私たちみたいな格好してる女の子見てないですか!?」

ジェーン「見たことないわねえ…ターザンは何か知ってる?」

唯「梓と憂って言う子を探してるんだけど知らない?」

ターザン「あずさ うい」

唯「そうそう!」

ターザン「あずさ ともだち うい ともだち」

唯「イエスイエース!」

ターザン「ふたり ここにいる」

律「マジで!?」

ターザン「ターザン いく みんな いく
     カーチャック お願いしてみる」

紬「連れてってくれるのね?」

ターザンが静かにうなづいた。


この話をテントの外で聞いていたクレイトンはよく思わなかった。

クレイトン「くそ!ここには前からいるがあいつらの仲間らしき人間は見たことがない。
      とすればいる場所はただ一つ…ターザンが隠しているゴリラの巣!
      なんだってあいつらに先を越されなければならんのだ!」

ざわざわ…

クレイトン「…?」
カチャ…

森がざわめいている。
ここでの生活が長いクレイトンは何かがいることにすぐ気がつき銃を構える。

ざわざわ…

クレイトン「どこにいやがる…」

ゲロロロロ…

ぐわああああああ!!!!!!!!!

律「今のあのおっさんじゃねえか!?」

唯「もしかしたらハートレスかも!」

律「だな。あいつ助けるのは気が進まねえけど影あるところに鍵穴ありだ。行こう!」

紬「ターザンさんはここでジェーンさんを見ててください。」

バサ!

4人は勢いよくテントを飛び出す。

唯「クレイトンさんいないね…」

ウキー!

ジャングルとは反対の開けた場所からクレイトンに狙われた子ゴリラが逃げてくる。
後ろから追いかけてくるのは数匹のハートレスだった。

律「やっぱハートレスか!」
唯「今助けるからね!」

シュイーン!

ザシュ!ズドン!ズバ!ズキューン!

あっという間に影達をやっつけると子ゴリラは一目散に来た方向へと戻っていく。
自ら影が現れた所へ戻って行くのは普通ではないと思い唯達は追いかけた。


ドドドドドドドド!!!!

ゴリラたちが一斉に何かから逃げている。
しかし逃げる対象となるものが見当たらない。
いったい何から逃げているのだろうか。

スウ…

不思議に思い見ていると逃げ遅れた一匹が突然姿を消した。

唯「え!?え!?消えちゃったよ!」

紬「何かに…食べられた…?」

すると消えた場所から大量の血しぶきが噴き出した。

律「澪!見るな!」

澪「こっちに来てからこうゆうのはもう慣れたよ!いつまでも子供扱いするな!」

律「な…じゃあもう心配してやんないからな!」

血しぶきが上がった後ゴリラたちの動きが止まり、だんだんと視線が唯達に集まってくる。

唯「なんなんだろ…」


よくきたな…お譲ちゃん達…

スウ…

律「お、おっさん!」

突然目の前からクレイトンが現れた。ゴリラたちはクレイトンから逃げていたようだ。

クレイトン「見たかこの力を!
の力があればゴリラをすべて生け捕りにするのも簡単だ!」

あのゴリラに何したのかよくわからないが血しぶきは横にしか上がらなかった。
何かに押しつぶされたに違いない。
しかしその血がその何かの体を伝うことはなかった。
また垂れることもなかった。
これらのことから曖昧ではあるが見えない大きな何かがゴリラを押しつぶしたと紬は考えた。


紬「クレイトンさんそこにいるのは?」

クレイトン「察しのいい子だ…特別に紹介しよう…我がしもべ…ステルスニークだ!」

スウ…

唯「ふお!」

またも目の前から姿を現した大きなカメレオンの姿をしたハートレス。
口の周りにはびっしりと血がつきポタポタと滴れている。
こいつがゴリラを喰らったのは間違いない。

紬「その子がさっきのゴリラを…」

クレイトン「そうだ。なにしろ飼い始めたばかりで言うことを聞かなくてね」


クレイトン「ゴリラの巣は俺の物だ!お前たちには消えてもらう!」

唯「負けないぞ!」

律「消えんのはおまえだろ!一生消えてろよ!」

全員が武器を構えた。

クレイトン「俺はそのライフルのお嬢さんに手合わせを願おうか
      先の恨みも兼ねて決着をつけたい。
ステルスニーク、その3人は任せた」

紬「ええ。銃を持つ者としては許せない。」

紬は要求を飲み唯達から離れた。
クレイトンの姿はもうない。

勝った方が正しいということにしようじゃないか…

バン!プシュ!

紬「う…!」
どこから撃たれてるか分からない…
とりあえず動きまわらないと…!!

タッタッタッ!

さあ逃げ周れ…狩りの始まりだ!


ザシュ!

唯「いたあ!ひっかかれた!」

見えないというハンデがあるものの
あいにく攻撃に威力はない。

律「そこだあああ!!」

ブオッ!

澪「うわあ!あっぶないなあ!!
  私がいるのが見えないのか!」

澪がいることに気づき武器を止める。


律「唯がやられたってことは明らかにあいつがここにいたろ!
  そんなとこでボサッとしてるからわりーんだ!
  攻撃したら当たったはずだ!」

澪「私も攻撃しようとしたんだよ!そんなおっそい攻撃当たるわけない!」

律「そんな弱い攻撃じゃいつまでたっても倒せないって!」

澪「強くたって当たんなきゃ意味ないだろ!」

律「私のこと言ってんのか!」

澪「いっつもからぶってんのは律しかいない!
  当てたのはあの鎧と戦ったときだけじゃないか!?」

律「なにー!」

唯「ふ、ふたりとも今は…」

律澪「唯は黙ってて!」

唯「はい!」


バン!プシュ!!

紬「うう!」

クレイトン「最初の威勢はどうした!まだ一発も当てれてないぞ」

ぽた…

紬「…!」

紬は異変に気づいて立ち止った

クレイトン「なんだ立ち止って!諦めたか!だが簡単には終わらせない。
      この能力を試す実験台になってもらわなきゃいかんからな。」

バン!!ブシュ!!

次々と銃弾が紬を貫く。
しかし紬は抵抗の素振りを見せなかった。

今は、待つしかない…

ザシュ!

律「いってえな!」

3人の息が合わず防戦一方のままだった。

律「このやろおお!!!」

ザシュ!

律「くっそ、見えないし音も消こえないし、どおすれば―」

ザシュ!

律「いってえ!このやろう!卑怯だぞ!」

またも律が攻撃される。律は熱くなって相手の思うつぼだった。

澪「なめられてるんじゃないのか?」

律「なにい!!!」

唯「敵は見えないしりっちゃんたちはあんなんだし…こんな時こそ私が!でもどうしていいやらわかんないよ…」


バン!!ブッシュウ!!

紬「うう!!!」

クレイトン「そろそろ飽きてきたし終わりにしようか。」

紬「ええ…終わりにしましょう。」


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最終更新:2010年03月03日 00:58