憂「和さん見てよー?死んでも真面目そうな顔してるんだよ?」

梓「のど…か…さ…」

憂「ね、梓ちゃん、どうだった?先輩たち…」

梓「どうだったって…」

憂「澪さんは後ろから一回殴ったら倒れちゃって…頭打って死んじゃったみたい」

梓「やめて…」

憂「律さんは抵抗してきたから思わず刺しちゃった…すごかったよ?力強かったあ」

梓「やめてって…」

憂「紬さんは澪さんたち見たら泣きじゃくっちゃって、首しめたら死んじゃった…
でも紬さんには最後顔引っ張ったかれたから首を…」

梓「やめてよ!」

憂「和さんは殺したくなかったんだけど…警察行こうってうるさいから思わず…っ」

ガタン!

梓「なんで…なんでこんなことしたの!?」

憂「梓ちゃん苦しいよ…なんでってそんなの簡単じゃん」

憂「みんながお姉ちゃんを取っちゃうからだよ」

梓「は…?」

憂「澪さんも律さんも紬さんも和さんも…私のお姉ちゃんを取っちゃうから…だから殺したの!」

ガッ!

梓「痛っ…」

憂「金づちって痛い?血が出てるけどやっぱり痛いの?」

梓「はぁ…はぁ…う…」

憂「あれ?梓ちゃんおしっこもらしちゃったの?かわいいなあ」

梓「ゆ、唯先輩は…」

憂「え?」

梓「唯先輩はどこ!?まさか…」

憂「バカだなあ梓ちゃん、お姉ちゃんを殺すわけないでしょ?…ていうか」

ガッ!バキッ!

梓「い…痛い!や…やめ…」

憂「お姉ちゃんの名前を気安く口にしないでよ?わかったなら最後に会わせてあげる」

梓「はぁ…はぁ…」

梓(唯先輩を…助けなきゃ…)

憂「ここだよ」

梓「唯先輩の…部屋…」

ガッ!

梓「痛っ…」

憂「だから…ね?」

梓「わかった…よ…せ、先輩!」

ガチャ

唯「すー…すー…」

梓(唯先輩…無事だったんだ…よかった…)

憂「睡眠薬飲んで寝てるんだ…起きてると大変だから」

梓「そ、それってどういうこと?」

唯「ん…」

憂「あ、起きそう…」

唯「むにゃ…」

梓「ゆ…平沢先輩!」

唯「あず…にゃん?」

梓「よかった…無事で…」

憂「おはよう、お姉ちゃん♪」

唯「う…うい…や、こないで…」

梓「先輩!?」

憂「ダメだよお姉ちゃん、さ、いつもの♪」

唯「う…うい、だ、大好き…だよ」

憂「はーい、よく出来ました!」

梓「な、なに…今の」

憂「お姉ちゃんが私を好きになってくれるように、おまじないだよ」

梓「おまじないって…」

憂「ふう…私、色々準備あるから、10分くらいならおしゃべりしてていいよ?最後だし」

梓「うん…」

梓「唯先輩!」

唯「あずにゃん…私…」

梓「何があったんですか?」

唯「あの後家に帰って…ジュース飲んでたら急に眠くなってね?
それからは目覚めるたびに今みたいに言わなきゃダメって…ねえ何があったのあずにゃん?」

梓「う…」

唯「私、みんなに会いたいよ…ギー太は?部屋出たいよ…」

梓(私が…なんとかしなきゃ…)

憂「さあ、梓ちゃん、最後のおしゃべり終了!お別れだよ?」

梓「憂…ねえ、今からでも遅くないよ?警察に行こう?」

憂「まだそんなこと言ってるの?問答…無用!」

ザクッ!

梓「きゃああ!!」

憂「梓ちゃん言ってたよね?みんな大好きだって…私が彫ってあげるよ?お姉ちゃん以外の名前は」

唯「や…やめて…やめてよ憂!」

憂「なんで…そんなこというの?お姉ちゃん」

唯「さっきあずにゃんから聞いたよ…みんな…死んじゃったんだね」

憂「それが?」

唯「…澪ちゃんはね?優しくって綺麗で…りっちゃんは元気だけど繊細で…
ムギちゃんはのんびりしてるけどかわいいの…和ちゃんはいつでも私のこと気にしてくれた」

憂「やめてよお姉ちゃん…」

唯「あずにゃんは!私にギター教えてくれた!」

梓「唯先輩…」

憂「やめてよお姉ちゃん!」

ガッ!


梓「先輩!」

憂「お姉ちゃん…ごめ…」

唯「いいんだよ憂…お願い、聞いてくれる?」

憂「な、なあに?お姉ちゃんのためならなんでも…」

唯「あずにゃんを、助けてあげて」

憂「……」

梓「先輩…」


憂「わかった…」

唯「憂…ありがとう」

憂「その代わり、私だけを好きになってね?」

唯「うん…約束する」

憂「梓ちゃん、こっち来て」

梓「唯先輩!」

唯「バイバイあずにゃん」

梓「…憂、やっぱり…」

ガッ!

梓「きゃ…」

憂「お姉ちゃんに見られなければいいんだよね…」

梓「…う…」

憂「さようなら、梓ちゃん」

梓(皆ごめんなさい…唯先輩、好きでした…)

唯「でえええい!」

ドス!

梓「せん…ぱ…」

憂「お姉ちゃん…邪魔しないで…!」

唯「憂、この手袋!覚えてる?」

憂「それ…私があげた…」

唯「この手袋はね、りっちゃんがクリスマス会やるって言わなかったらもらえなかったかも!」

憂「は…?」

唯「みんながいなかったら、私と憂の今はなかったんだよ?」

憂「っ…」

唯「…うい、もう終わりにしよう?」

憂「お姉ちゃん…みんな…私…」

梓(せ…ん…ぱ…)


私の意識はここで途絶えた。


……

梓「はっ!」

さわ子「おはよう梓ちゃん、3日ぶりのお目覚めね」

梓「わ、私…唯先輩…みんなは?…今までのは全部夢?」

さわ子「梓ちゃん…」

さわ子「だったらどれだけよかったかしらね…」

梓「……」

さわ子「今梓ちゃんのお母さんたちは服取りに行ってるわ…
私はちょうど来てたの」

梓「あの、唯先輩は?みんなは?」

さわ子「唯ちゃんは精神的にショック受けててまだ目覚めないわ…りっちゃんたちは…グス」

梓「…憂は?」

さわ子「憂ちゃんは…自分で胸を刺して…」

梓「……」


2年後、卒業式
純「梓ーこの後みんなでカラオケ行かない?」

梓「あ…私、ちょっと寄るところあるから」


ガタン…

さわ子「あら梓ちゃん、やっぱり音楽室に来たのね」

梓「こんにちは…」

さわ子「卒業おめでとう」

梓「ありがとうございます」

…あれからしばらくして、唯先輩は家族と一緒に引っ越して行った。
今は何をしているのか、まったくわからない。
軽音部は廃部になり、私はそのあと部活には入らず、卒業式を迎えた。


さわ子「…ムギちゃんが持ってくるお菓子、おいしかったわねえ」

梓「はい…」

さわ子「澪ちゃんがりっちゃんにゲンコツしたり、唯ちゃんがだらけてたり…懐かしいわ」

梓「……」

梓「…先生、そろそろ私…」

さわ子「ええ、さよなら」

梓(さようなら…軽音部)

さわ子「ねえ梓ちゃん」

梓「はい?」

さわ子「ギター、やめないでね」

梓「はい…」




大学に入った私は、これといってサークルにも入らず、淡々と日々をすごしていた。

そんな、ある日


梓「はあ、はあ…授業遅れちゃう…」

ドンッ

梓「きゃっ…」

?「わっ…」


梓「すいません…あ!」

唯「あ…」

梓「唯…先輩?」

唯「あず…にゃん?」


それは突然すぎる再会だった。唯先輩は浪人した後、私と同じ大学に入学したのだった。

止まっていた時間が、動き出した。

唯「でも驚いたよー!あずにゃんが私と同じ大学にいるなんて!」

梓「私もです…よく受かりましたね」

唯「む、バカにしないでよ?これでも頑張ったんだからね?」

梓「あはは…すいません」

唯「ところでさ、あずにゃん、まだギターやってるの?」

梓「あれからは…全然」

唯「もったいないよ!あずにゃん上手なんだからさ!」

梓「そ、そうですか?」

唯「私、軽音サークルに入ったんだ!よかったらあずにゃんもどう?」

梓「え、いいんですか?」

唯「もちろん!また楽しくやろう?」

梓「わかりました!明日から行きます!」

こうして、私と唯先輩の時間は動き出した。明日からは、またあの日々が戻ってくるのかな。

ねえ、澪先輩、律先輩、ムギ先輩、和先輩、そして…憂、私は精一杯生きるから。





…思ったよりも簡単にいった。相変わらず中野梓平沢唯には弱いらしい。

あの後、私は姉を殺した。私を愛してくれない姉などもういらなかったから。
その後私は平沢唯として生きた。平沢唯として生き、平沢憂として死んだ姉を愛した。
これでお姉ちゃんは私だけを愛してくれることになるから。


そして私は、中野梓の情報をかき集めた。
親には資金だけもらって一人暮らしをし、浪人して彼女が大学に入る時を待った。

そして…彼女は私の前に現れた。明日は、あの時の続きだ。今から楽しみで今夜は眠れないだろう。


教授「それじゃあ君、このゼミの皆に自己紹介を」

唯「やっほー!私は平沢唯です!みんなよろしく!」


おわり



最終更新:2010年03月05日 22:00