ピンポーン

唯「憂ー、郵便屋さん来たよー」

唯「……あ、憂いまお買い物だった」

ぴんぽんぴんぽーん

唯「うぅー……こたつから出ないと……さむさむ」

てけてけ

唯「はいこちら平沢ー」がちゃ

『まきますか?まきませんか?』

唯「はいはい巻きますよー。ちょっとまっててくださいねー」

てけてけ

唯「はいお待たせしましたー……ってあれ?」

唯「誰もいないよ~……いたずらかな?」

唯「って、何か鞄が置いてあるし!」

唯「適当な郵便屋さんだなぁ~……あぁ寒い寒い」

唯「この鞄高そう……お母さんが通販でもしたのかな?」

唯「勝手に開けちゃ駄目だよねー」

唯「だよねー、憂ー」

唯「……」キョロキョロ

唯「誰もいないし……」

唯「開けちゃえー!!」

カチッ

唯「……きれい……」

唯「赤いお人形さん……」

唯「だっこしよ~っと」

唯「あ、後ろにゼンマイがついてる」

唯「動くのかな!動くのかな!」キリキリキリ

ググ……グググ

唯「おっ、おっ、おおおおーっ!」

真紅「……」

唯「立ったー!立ったー!」

真紅「……うるさいのだわ」

唯「うわぁ!喋った~可愛い~!!」

ぎゅ~

真紅「ちょ、苦し……離しなさい!!」

唯「人形に怒られちゃった……えへへ……」

真紅「はぁ、はぁ……また変な人間に当たったみたいね……」

唯「こんにちは!おにんぎょうさん!」

真紅「あら、あいさつは出来るみたいね……」

唯「褒められた~!」

真紅「……あなた、名前は?」

唯「平沢唯でっす!高校生でっす!」

真紅「そう、唯ね。私は真紅。私たちはおとうさm──

唯「しんくちゃん!よろしくね!」

真紅「え、ええ……よろしくなのだわ……」

──……・・

唯「へぇー、真紅ちゃんはお父さんに会うために闘ってるんだー」

真紅「そうね……お父様に会うためには、完璧な存在、アリスにならなければならないから……」

唯「でも、本当の姉妹なんだよね……」

真紅「……ええ」

唯「……どーしてもやめられないの?」

真紅「……」



憂「ただいまー!」


※ここから作者別↓


唯「あー、憂だ!」

真紅「うい・・・?」

唯「憂はね、私の妹なんだー♪」

真紅「あら、あなたにも妹が・・・?」

唯「そうなのですっ」

真紅「うい・・・変わった名前ね?」

憂(・・・どうしよう、リビングから話し声が聞こえると思って来てみたけど・・・)

唯「うん!でもね、私と違ってすっごい出来た子なんだぁ」

憂(あれ、お人形だよね・・・?アンティークドールっていうのかな?)


唯「お料理もお洗濯もなんでも出来るんだからっ!」

憂(一人で喋ってる・・・?)

真紅「そうなの、是非紹介してもらえるかしら?」

憂(声まで変えて・・・一人二役とか・・・)

唯「うん!今すぐ紹介するね!」

憂(・・・お姉ちゃん、学校でいじめられてるのかな?)ガタッ

唯「憂?そこにいるの?」

憂「!?」

唯「うーいー?」

憂「・・・」


ガチャ


憂「えっと、ただいま・・・」バタン

唯「おかえりー!」

憂「お、お姉ちゃん・・・?」

唯「うん?」

憂「何か辛いことでもあるの?」

唯「へ?ないよー?」

憂(えっと、どうしよう・・・いつものお姉ちゃんだ)

唯「それよりも見て!この子、可愛いでしょ!」エヘヘ

憂「そのお人形、どうしたの?そういうのってすごく高いんでしょ?」

唯「そうなの?この子、真紅ちゃんっていうんだよー」

憂「いや、だからその真紅ちゃんはどうしてここに」

真紅「それは私から説明するわ」

憂「!?!?」

真紅「すごい驚きようね。ドールが喋るのがそんなに珍しいのかしら」

憂「」

真紅「私はローゼンメイデン第5ドールの真紅よ、よろしくね」

憂「え、えっと、よろしくお願いします・・・?」ポカーン

真紅「唯?この子、あなたの言うような『なんでも出来る子』には見えないわよ?」

唯「うーん、ちょっとビックリしちゃってるのかも」

憂「えーと・・・何?手品?」

真紅「頭が固いのね」ハァ・・・

憂「呆れられた!?」


唯「真紅ちゃんはね、姉妹で戦ってるんだって」

憂「戦ってる・・・?」

真紅「えぇ。アリスゲームを制してローザミスティカを集めるの」

憂「ローザミスティカ・・・?」

真紅「私達の魂のようなものよ。私達は戦ってそれを奪い合うの」

憂「なんだか、物騒な話だね?」

真紅「アリスになるためだもの。心からお父様に愛してもらえるのはアリスだけ」

唯「お父様っていうのは真紅ちゃん達を作った職人さんのことだよ!」

憂「へー。お人形に魂を吹き込むなんて、すごい職人さんなんだね」

真紅「というわけで、これからしばらくお世話になるわ。よろしくね」

憂「え?」

唯「うん、よろしくね!」ギュー

真紅「ちょっと、苦しいわ・・・」

憂(お姉ちゃん楽しそうだし・・・まぁいっか)

真紅「ところで」

唯「ん?なに?」パッ

真紅「お茶、入れてくれないかしら」

憂「えっと、お茶っていうと・・・(西洋のお人形さんっぽいし、紅茶かな?)」

真紅「もうすぐ3時よ?お茶の時間にはお茶を飲むの」

憂「わかった、じゃあ淹れてくるね?」トテトテ

唯「憂、頼んだよー!・・・真紅ちゃんにはムギちゃんの紅茶も飲ませてあげたいなー」

真紅「ムギちゃん?」

唯「うん、私の友達でお茶を入れるのがすごく上手なんだよ!」

真紅「あら、是非今度ご馳走になりたいわ」

唯「うん!」

憂「お待たせー」トテトテ

真紅「早かったわね」

憂「え?そうかな?」

唯「憂は慣れてるから早いんだよー真紅ちゃん」

真紅「そういう意味で言ったわけじゃないんだけど・・・」

憂「?」

真紅「まぁいいわ。私の分はこれに淹れて頂戴」

唯「小さいカップ!可愛いー!」

真紅「可愛いだけじゃないわ、シンプルだけれどもとても上品なカップでしょう?」

憂「うん!じゃあこれに淹れるね」ソソギソソギ

真紅「ありがとう。それじゃ、頂くわね」ゴクッ

唯「・・・(お人形さんなのに紅茶飲んでる、どういう構造なんだろ?)」

憂「・・・」ドキドキ

真紅「これは・・・!!」

憂「どうかな?」

真紅「不味いわ。とても」

憂「」


唯「憂の淹れた紅茶が美味しくないの!?」

真紅「しかも熱すぎるわ」

憂「ご、ごめんね?普段はあまり紅茶なんて淹れないから・・・」

唯「えーと」ゴクッ

憂「お姉ちゃんはどう?」

唯「うーん、普通に美味しいよ?」

憂「よ、よかった・・・!」

真紅「憂、あなた・・・紅茶の淹れ方しらないの?」

憂「うーん・・・紅茶を淹れるのって難しいっていうのは知ってるよ?」

真紅「しょうがないわね、私が美味しい淹れ方を教えてあげるわ」トテトテ

憂「う、うん!」トテトテ

唯「私は美味しいと思うけどなー」ゴクゴク




律の家


律「暇だなー、昼寝でもするか。よっと」

バサッ

律「・・・?布団の中に、なんかあるな・・・」ゴソゴソ

律「・・・紙?」

律「いや、これ・・・手紙みたいだな」ペラッ

律「・・・『巻きますか?巻きますか?』」

律「・・・?」

律「巻く一択じゃないか」

律「えーと・・・?」

律「はーい、巻きまーす。・・・なんつって」

律「聡の悪戯か?・・・いいや、寝よ」


律「・・・ん」

律「ふぁー・・・はぁ」ムクッ

律「よく寝たなー・・・」ンー

律「のど渇いたな・・・」モゾモゾ

律「起きるか」バサッ

・・・ゴッ!

ドシャー!

律「~~~!!いってぇ!!」ゴロゴロ

律「いったー・・・一気に目覚めた・・・」

律「?なん、だよ・・・この鞄」

律「おーい!聡ー!」

シーン

律「そっか、みんな出かけてるんだった」

律「・・・?」

律「えーと、開けるぞ?開けるからな?」

律「・・・」ジー

バコンッ

律「・・・人形?」

律「高そうな人形だなー」

律「よっと」ダッコ

律「結構重いな・・・」

律「こういう人形って普通、目開けてるんじゃないのか?目瞑ってるなんて珍しいよな・・・?」

律「ん?」

律「なんだ、ネジか?」スッ

律「えーっと・・・」サワサワ

律「あ、後ろか」

キコキコ・・・

律「・・・」

律「って、動かないのかよ」

?「ん・・・うん・・・?」

律「お?動いたか?」

?「お、おはよう・・・?」

律「お、おう?おはよう・・・?(・・・喋るのか、すごいな)」

?「かしら」

律「かしら?」

?「おはようなのかしら!」

律「はい!?」

?「あなたは誰かしら!」

律「え、え、え・・・!?」

?「『え』さんって言うの?変わった名前かしら」

律「えーと・・・?(何、これ・・・会話してる?)」

?「私はローゼンメイデン第2ドールの金糸雀よ!」

律「ローゼンメイデンが苗字でカナリアが名前か?」

金糸雀「違うかしら!」

律「どっち!?お前のその喋り方ややこしいな!」

金糸雀「私はローゼンメイデンっていうお人形なの」

律「ほう?」

金糸雀「それで、金糸雀っていう名前なのよっ!」

律「そうかそうか、わかった。まず、いくつか質問がある」

金糸雀「何かしら」

律「なんで喋ってるんだ?」

金糸雀「私達はただのお人形さんじゃないのよ!ローザミスティカを持ってるんだから!」

律「どうしよう、質問する度にわからないことが増えていく」




律「つまり、だ。金糸雀はアリスになるために姉妹で戦っているってことか?」

金糸雀「ちょっと待つかしら」

律「なんだよ」

金糸雀「カナって呼んで欲しいなっ」

律「うー・・・わ、わかったよ。・・・カナ?」

金糸雀「えへへ///」

律「ばっか、照れるなっつの///」

金糸雀「て、照れてなんかいないかしら!」

律「わ、わかったから質問に答えてくれよ」

金糸雀「えーと、うん。そうなるわね!でも安心して!勝つのはカナだから!」

律「嘘ー?カナはそんな強そうに見えないけど・・・」

金糸雀「なっ!デコのくせに言うわね!」

律「なんだとー!?デコってお前にだけは言われたくないわい!!」

金糸雀「デコにデコって言って何が悪いのかしら!」

律「デコ」

金糸雀「」ピクッ

律「怒ってるのか?」ニシシ

金糸雀「デコだなんて、失礼よ!」

律「デコにデコって言って何が悪いんだよ?」

金糸雀「・・・カナのセリフを取っちゃ駄目かしらー!!!」

律「っわー!ばか!声がでかい!」

金糸雀「律が怒らせるからこうなったのよ」ブー

律「あーあー、私が全部悪うございましたーだ」

金糸雀「わかればいいのかしら」

律「全く・・・それで?」

金糸雀「何かしら?」

律「さっき言ってた契約の話だけど・・・」

金糸雀「わからないことがあった?」

律「まぁ、わからないっていうか・・・私がカナと契約を結ぶってことでいいんだよな?」

金糸雀「・・・律が、嫌じゃなければ」

律「嫌っていうか、わからないよ」

金糸雀「そう・・・」

律「カナリアに力を貸すっていうことでいいのか?」

金糸雀「そう、なるかしら」

律「それは構わないけど・・・」

金糸雀「それがいいならいいじゃない!」

律「・・・喧嘩に手を貸すってことだろ?間接的に」

金糸雀「だからカナのミーディアムになるのが嫌なのかしら?」

律「うーん・・・」

金糸雀「お願い!力を貸して欲しいの!」

律「・・・わかったよ(実はよくわかってないけど)」

金糸雀「本当!?」

律「あぁ、で。具体的にどうすればいいんだ?」

金糸雀「指輪の誓いを」スッ

律「よし、わかった」ギュッ


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最終更新:2010年03月05日 23:53